物件売却に必要な書類は多岐に渡ります。
不動産関係の書類だけでも登記や契約に関する複数の書類を揃えなければなりませんし、住宅ローンや本人確認書類も用意する必要があります。
各書類をどのタイミングで揃えればよいのか分からなくなるかもしれません。
しかも必要書類の取得方法は、それぞれの種類によって異なります。
場合によっては必要な書類を紛失してしまって準備できないこともあるでしょう。
この記事では物件売却に必要な書類を用意するタイミングと取得方法、そして紛失時の対応について解説していきます。
物件売却の準備をする際に役立つ情報を紹介します。
初めての物件売却なので必要な書類について詳しく知りたいです
必要な書類を用意するタイミングや各書類の取得方法について教えますね
目次
物件売却で書類が必要になるのは依頼・契約・売却後の3つ
物件売却をする上で必要になる書類は複数あります。
必要な書類の数が多いので、3つのタイミングに分けて考えていきましょう。
- 物件売却を業者へ依頼するタイミング
- 物件売却の契約をするタイミング
- 物件売却後のタイミング
最初のタイミングは物件売却を業者へ依頼するときです。
物件売却の仲介をしてくれる不動産会社へ査定依頼をする際や、媒介契約をする際に書類が必要になります。
次は物件売却の契約を買い主とするタイミングです。
購入希望者が見つかり、売り主と買い主が売買契約の細かな部分について話し合い、契約を締結する際に必要になる書類があります。
最後のタイミングは物件売却後です。
物件売却の契約が買い主と終わった後、確定申告の手続きをする際に必要となる書類があります。
物件売却を業者へ依頼するときに必要な書類と取得方法について徹底解説
まず始めに、物件売却を業者へ依頼するときに必要な書類を紹介していきます。
揃えておきたい書類は主に9種類あります。
- 登記簿謄本
- 物件を購入した際の売買契約書
- 物件を購入した際の重要事項説明書
- 土地測量図や境界確認書
- 物件の図面や仕様書
- 耐震診断報告書
- 地盤調査報告書、住宅性能評価書、既存住宅性能評価書
- 固定資産税納税通知書
- マンション売却のケースのみ必要な書類
各書類について説明していきます。
登記簿謄本は法務局か郵送で入手可能
登記簿謄本は物件の所有者以外の人に不動産の権利について知ってもらうために必要な書類です。
この書類は物件の所有者以外でも取得可能です。
登記簿謄本を取得するには3つの方法があります。
- 不動産を管轄する法務局で入手
- 近隣の法務局で入手
- 郵送で入手
登記簿謄本は、売却物件の地域を管轄している法務局から入手できます。
法務局に行き、登記簿謄本申請書に記入をすれば簡単に手に入れられます。
申請書へ記入する際は、物件の地番や家屋番号が必要となるので事前に調べておきましょう。
基本的には不動産を管轄している法務局で登記簿謄本を入手しなければなりませんが、近隣の法務局で入手することも可能です。
管轄している法務局と近隣の法務局がコンピュータネットワークで連携しているのであれば入手できます。
近隣の法務局で利用できるかどうか確認するには、近隣の法務局へ不動産登記情報交換サービスがあるか聞いてください。
不動産登記情報交換サービスがあれば、別の地域にある法務局から登記簿謄本を取り寄せられます。
近隣の法務局で入手できず、管轄している法務局が遠方にある場合には郵送で取得しましょう。
管轄する法務局へホームページからダウンロードした申請書と登記印紙を郵送してください。
郵送の際は返信用切手の同封を忘れないようにします。
登記簿謄本は重要書類なので、後ほど書類の内容や紛失時の対応について説明します。
物件を購入した際の売買契約書は絶対必要な書類
物件を購入した際の売買契約書も用意してください。
当時の売り主と締結した契約書が不動産会社へ依頼するときに必要になります。
不動産会社は売買契約書を通して物件の状況や特約の内容を確認します。
売買契約書は物件売却時には絶対に必要な書類となりますので、紛失した場合の対応方法を別の項で詳しく解説します。
物件を購入した際の重要事項説明書
物件を購入した際に発行された重要事項説明書も必要です。
重要事項説明書には、土地と家がセットになっている不動産、そしてマンションの特記事項や注意事項が書かれています。
買い主が知るべき情報が納められている大切な書類です。
重要事項説明書は購入時に取得していますが、紛失しているなら当時仲介してくれた不動産会社へ写しが保管されているか確認してください。
土地測量図や境界確認書は法務局にて取得可能
売却物件が土地や戸建て、マンションやアパート一棟の場合に土地測量図や境界確認書を用意しなければなりません。
土地測量図や境界確認書は物件の面積や隣地との境界線を明示する書類です。
書類の取得は不動産を管轄している法務局の窓口で申請するだけです。
所有者でなくても誰でも取得可能です。
取得に必要な手数料は以下の通りです。
書類の入手方法 | 書類1通の発行手数料 |
---|---|
窓口申請で受け取り | 450円 |
オンライン申請で窓口で受け取り | 430円 |
オンライン申請で郵送で受け取り | 450円 |
オンラインでダウンロード | 365円 |
書類を紛失してしまったのであれば、法務局に保管されているので問い合わせてください。
保管されている書類をコピーすることができます。
土地測量図や境界確認書を取得していないのであれば自分で用意しましょう。
用意できる測量図には3つの種類があり、それぞれに異なった内容と特徴があります。
測量図の種類 | 内容と特徴 |
---|---|
地積測量図 | 土地の面積を測った図面。作成された時期によっては測量の精度が低い |
現況測量図 | 土地の所有者が認識する境界線に基づいて行われた測量。地の所有者が立ち会っていないので信頼性は低い |
確定測量図 | 隣地の所有者立ち会いの下、境界線を確定した測量図。土地の境界線について一番正確な記載がされている |
上記の中で最も信頼性が高い測量図は、確定測量図です。
私有地や国有地に面する不動産、水路や公有地に面する不動産の場合は官民立ち会い測量が必要です。
測量の費用は50万円から80万円ほどかかり、売り主負担となります。
物件の図面や仕様書は不動産会社かハウスメーカーから取得
物件の図面は不動産会社が販売活動をする上で必要です。
購入希望者の関心を集めるためや、物件に関する質問に答えるために必要な書類です。
物件の図面や仕様書は、購入時に不動産会社やハウスメーカーから受け取っています。
間取りや使用されている設備の情報が書かれている書類となります。
紛失したなら以下の方法で対応してください。
物件の種類 | 対応方法 |
---|---|
戸建て | 不動産会社かハウスメーカーへ問い合わせ |
マンション | 管理会社へ問い合わせ |
古い物件は間取り図が入手できないことがあるため、工務店などに依頼して簡単な間取り図を作成してもらえます。
耐震診断報告書やアスベスト使用調査報告書
耐震診断報告書があると不動産会社が販売活動をするときに物件の信頼性をアピールできます。
2000年代に耐震偽装問題が発覚したため、中古集合住宅を購入する人は耐震強度への関心が強くなっています。
耐震診断報告書があると物件を安心して購入してもらえます。
他にもアスベスト使用調査報告書などもあれば物件の信頼性を高めるために用意しておきましょう。
地盤調査報告書、住宅性能評価書、既存住宅性能評価書
物件売却で不動産会社や購入希望者に安心材料を提供するのに3つの書類が役立ちます。
- 地盤調査報告書
- 住宅性能評価書
- 既存住宅性能評価書
地盤調査報告書とは、土地の地盤調査を行った内容をまとめた報告書です。
土地の地形や地学的な状況、そして地盤の強度などが細かく調査され、調査写真と共に情報がまとめられています。
住宅性能評価書とは、国土交通大臣へ登録している第三者機関が国の基準に沿って住宅の性能を評価した書類です。
建物の構造が安定しているか、温熱や空気環境はどうかなどが評価されています。
全国一律の基準なので他の建物と性能を比較するために使われる書類です。
既存住宅性能評価書とは、建物の基礎や柱、屋根などの部分を検査して評価をまとめた書類です。
住宅の腐朽状態やシロアリ被害の状態などを検査してくれます。
既存住宅性能評価書は、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づいて検査されるため信頼性が高い書類となっています。
各書類を取得したいときには検査を実施している専門機関へ依頼してください。
固定資産税納税通知書か都市計画税納税通知書
固定資産税納税通知書、もしくは都市計画税納税通知書を揃えておきましょう。
日本で所有している不動産には固定資産税や都市計画税が課されます。
具体的な課税額は固定資産税納税通知書に記載されています。
固定資産税納税通知書は、1月1日に物件を所有している人へ郵送されるので確認してください。
固定資産税納税と都市計画税納税通知書を用意することで、売却時に売り主と買い主でその年の税金を分割して支払うことができます。
不動産会社は購入希望者と契約する際、重要事項説明書に固定資産税や都市計画税の負担額を明記する必要があるため、早めに書類を担当者へ渡してください。
マンション売却は管理規約・維持費に関する書類
マンション売却で必要になる書類は2つあります。
- 管理規約
- 維持費
管理会社によって制定されている管理規約と維持費に関する書類です。
マンションは共有部分の使い方やペットの可否など細かく規定されています。
購入希望者は管理規約を知りたがるので必ず用意しておきましょう。
維持費に関する書類には、マンションの管理費や修繕積立金の内訳、運用状態などの情報が書かれています。
これまでの大規模修繕の費用や履歴も記載されています。
管理規約や維持費に関する書類を紛失しているのであれば、管理会社が保管していますから問い合わせて送ってもらえます。
物件売却時に必須の登記簿謄本の内容と紛失時の対応
先の項で説明したように登記簿謄本は物件売却時に用意すべき書類です。
登記簿謄本は以前は縦書きでしたが、コンピュータ管理されるようになってからは横書きになりました。
今では登記簿謄本ではなく、登記事項証明書と呼ばれています。
登記事項証明書には複数の種類があり、それぞれに違った特徴があります。
登記事項証明書の種類 | 特徴 |
---|---|
登記事項証明書 | 以前の登記簿謄本 |
全部事項証明書 | これまでの履歴情報が掲載されている登記簿謄本 |
現在事項証明書 | 現在の効力に関係した情報のみ記載されている登記簿謄本 |
一部事項証明書 | 以前の登記簿抄本 |
所有者事項証明書 | 現時点の所有者に関する情報が記載されている |
登記事項要約書 | 現在の効力に関係した一部の情報のみ記載されている |
閉鎖事項証明書 | コンピュータ管理以前の情報が記載されている登記簿謄本 |
物件売却時に使用するのは、2番目の全部事項証明書です。
全部事項証明書にはコンピュータ管理後の情報だけが掲載されているため、コンピュータ管理以前の情報が必要なら閉鎖事項証明書も取得しましょう。
閉鎖事項証明書の取得方法は、法務局の申請用紙にあるコンピュータ化に伴う閉鎖登記簿という項目を選択するだけです。
登記簿謄本である登記事項証明書の内容
登記簿謄本である登記事項証明書には不動産に関係する様々な情報が記載されています。
土地や建物に関する以下の情報を登記事項証明書から確認できます。
建物 | 土地 |
---|---|
不動産番号 | 不動産番号 |
所在地 | 所在地 |
家屋番号 | 所有者 |
建物の番号 | 地番 |
所有者 | 地目 |
建物の種類 | 地積 |
他にも権利についての項目には、地上権や賃借権、さらに抵当権や所有権について書かれています。
永小作権や採石権に関しても記載されており、かなり細かな情報まで確認できるようになっているのです。
名義変更や抵当権抹消の履歴なども見ることができます。
登記簿謄本を紛失したときは法務局で再発行
登記簿謄本を紛失した場合、どのように対応したらよいでしょうか。
法務局へ行けばすぐに再発行してもらえます。
書類1通につき600円の手数料がかかります。
登記簿謄本の再発行時には物件の所在番地や家屋番号、法人の不動産なら商号などが必要です。
事前に権利書などをチェックし、必要な情報を申請書へ漏れなく記入できるように準備しておきましょう。
物件売却時に必要な売買契約書を紛失した際の対応方法をチェック
売買契約書は物件売却時に必ず必要です。
しかし、物件を購入した際に作成した売買契約書を紛失していることがあるかもしれません。
購入したのが何十年も前だったり、売却物件が実家だったりすると売買契約書が見つからないことがあります。
探すのが面倒だと感じるかもしれませんが、売買契約書は絶対に必要なので見つけるようにしてください。
売買契約書が絶対に必要な理由とは?
売買契約書には不動産の契約情報や特約の項目が記載されています。
物件売却の際、不動産会社が新たに売買契約書作成するために必要な情報が記載されているので過去の売買契約書は絶対に必要です。
確定申告の際にも売買契約書が必要になります。
物件売却後は売却収入が入るので確定申告をしなければなりません。
課税される部分は、売却額から不動産の購入額といった取得費と売却費用を差し引いた額です。
売却額が高くても、取得費と売却費用が高ければ課税される譲渡所得金額が低くなり、支払う税金を抑えられます。
不動産購入時の取得費を証明する書類が売買契約書なのです。
簡単に言うと、売買契約書があれば課税譲渡所得金額を少なくできる可能性があります。
売買契約書がないと取得費は一律5%と計算され、課税譲渡所得金額が本来の額よりも多くなるケースが出てきます。
もし売買契約書があれば所得税を支払わなくても良かったのに、売買契約書が無いために所得税が発生するケースが出てしまうのです。
正確な課税譲渡所得金額を割り出すためにも売買契約書は絶対に必要な書類です。
売買契約書を紛失した場合の対応方法
では売買契約書を紛失してしまった場合はどう対応すべきでしょうか。
売買契約書は購入者と不動産会社が用に2部作成されています。
購入した不動産会社が分かるのであれば、不動産会社が売買契約書を確実に保管していますから問い合わせてください。
親や親戚が購入したため仲介した不動産会社が分からないときはどうしたら良いでしょうか。
確定申告のために取得費が知りたい場合、売買契約書以外の書類を使って取得費を割り出せます。
取得費が不明なときに、売買契約書の代替として使用できる証明書類が3つあるので覚えておきましょう。
- 通帳
- 住宅ローン契約書
- 購入時の広告
物件購入の出金履歴が確認できる通帳や、住宅ローンの金額が確認できる契約書を代替書類として使えます。
購入金額が書かれている広告も証明書類として用意できます。
確定申告の場合は上記の書類のどれか1つ、もしくは複数の書類を添付して取得費の信頼性を高めてください。
物件売却の契約を結ぶ際に必要な書類についても教えてください
売買契約を締結するときに揃えておくとよい書類を見ていきましょう
買い主と物件売却の契約をするときに必要な書類と取得方法とは?
物件を購入する買い主と売買契約を結ぶ際や、引き渡しをする際に必要な書類をチェックしていきます。
用意しておきたい書類は以下の通りです。
- 本人確認書類
- 印鑑証明書
- 住民票
- 通帳
- 住宅ローン残高証明書
- 登記済権利書
- 建築確認済書
- 検査済証
- 物件の設計図面
- 設備のマニュアル
- 購入時の広告
各書類の必要性や取得方法について説明します。
本人確認書類は運転免許証やパスポートを利用できます。
運転免許証とパスポートを持っていなければ、保険証かマイナンバーカードを本人確認書類として使えます。
本人確認書類は物件の所有者と売り主が同一人物であるかどうか確認するために必要な書類です。
共有不動産を持っている場合は、所有者全員の本人確認書類が必要になります。
印鑑証明書と実印も用意してください。
買い主と売買契約を結ぶときに実印が必要となりますし、引き渡し時の登記書類作成にも必要です。
実印が確実に役所に印鑑登録されているかを確認するため、印鑑証明書も必要となります。
印鑑証明書は売買契約締結時に買い主に渡し、引き渡し時には司法書士へ渡してください。
取得方法は役所で申請するか、マイナンバーカードを持っているならコンビニの自動交付機を使って入手するか2つの方法から選べます。
印鑑証明書の有効期限は入手してから3ヶ月しかないので注意してください。
売買契約をする日や、引き渡し日から逆算して取得するようにしましょう。
売却する物件の登記住所と売り主の現住所が違うときに移転登記をしなければなりません。
移転登記のためには住民票が必要です。
以前の住所と現住所が記載されている住民票のコピーを司法書士へ渡してください。
一般的に住民票には現住所とそれ以前の住所しか記載されないため、何回か引っ越しをしている人は全ての履歴が書かれている戸籍附表を用意しましょう。
住民票の取得方法は印鑑証明書と同じです。
戸籍附表を取得するには、本籍がある自治体へ申請しなければなりません。
本籍地が遠方の人は郵送で取得できます。
通帳も用意しておいてください。
引き渡しの際に、売却総額から最初に支払っている手付金を差し引いた額を買い主から指定口座へ振り込んでもらいます。
指定口座を買い主が確認するために通帳が必要です。
通帳そのものがなくても金融機関名と支店名、そして口座種別と口座番号が分かれば問題ありません。
住宅ローン残高証明書も必要です。
一般的な金融機関は毎年10月か11月に残高証明書を発行するので保管しておいてください。
残高証明書を紛失した場合は、返済予定表を代わりに使うことができます。
登記済権利書は、不動産取得時に法務局から発行される書類です。
物件の所有者が誰かを証明する重要書類となっています。
非常に大切な書類ですので厳重に保管しておいてください。
紛失した場合の対処法については次の項で説明します。
建築確認済書は戸建てを売却する場合に必要です。
物件の建設計画が法律を遵守していたことを証明する書類です。
次に表示している検査済証は、工事が完了した際の検査でも建物が法律に適合していることを証明する書類となっています。
2つの書類があることで、売却する建物が計画時から工事完了のときまで法律に適合していたことを証明できます。
建築確認済書と検査済み表は物件購入時に取得しています。
再発行できない書類のため、紛失時は建築確認済書と検査済み表を取得できません。
しかし物件を管轄する役所に申請すると、建設計画の内容と概要が書かれている建築計画概要書を取得することができますし、有料で建築確認台帳記載事項証明書を取得できます。
建築計画概要書や建築確認台帳記載事項証明書を使用することで建物の合法性を証明できます。
物件の設計図面は物件を購入するときに不動産会社から取得しています。
紛失しているなら購入時に利用した不動産会社へ問い合わせてください。
設備のマニュアルは、物件で使用されている給湯器やウォシュレットなどの使用説明書です。
引き渡しのときにマニュアルがあると買い主は助かります。
紛失したなら設備メーカーへ問い合わせるか、メーカーのホームページからマニュアルをダウンロードしてください。
購入時の広告も用意しておくと買い主に喜ばれます。
必須ではありませんが、もし持っているのであれば契約の際か、もしくは引き渡し時に買い主へ渡しましょう。
物件売却の契約時に必要な登記済権利書を紛失した時の対応方法を確認しよう
物件売却の売買契約時に登記済権利書を用意しなければなりません。
登記済権利書があると物件の所有者を明確にでき、移転登記もスムーズにこなせます。
物件購入時に法務局から発行されています。
売買契約書を作成する際に必須の書類ですが、紛失したらどう対応したらよいのでしょうか。
紛失時の対応方法は3つあります。
- 事前通知制度を利用
- 本人確認情報の提供制度を利用
- 公証人による本人確認制度を利用
一つ目の対応方法は事前通知制度を利用することです。
事前通知制度とは、登記済権利書なしで所有権移転登記を申請する方法です。
とりあえず登記済権利書なしで登記を行い、後日法務局から所有者の本人確認のために事前通知が封書で郵送されてきます。
届いた事前通知を本人の署名と実印で作成し、発送日から2週間以内に返送すれば登記申請が完了します。
事前通知制度を利用すると、登記済権利書が無くても追加費用なしで登記手続きを行えます。
二つ目の対応方法は、本人確認情報の提供制度を利用することです。
本人確認情報の提供制度とは、司法書士が所有者へ面談をして本人確認書類もチェックした後、本人確認情報という書類を作成し登記書類に添付する方法です。
手続きに必要な本人確認書類は、運転免許証やパスポートなどです。
他にも物件購入時の売買契約書や戸籍謄本などが必要になります。
手続きの際には、司法書士へ依頼する費用がかかることと、面談のための日程調整が必要になることを覚えておいてください。
公証人による本人確認制度が三つ目の対応方法です。
引き渡し日の残金決済前に所有者が公証人役場へ行き、公証人と面談をして所有者本人であると認めてもらう方法です。
公証人が面談後に本人確認認証書類を作成し、登記済権利書へ添付してくれます。
手続きには本人確認書類に加え、実印と印鑑証明書、そして登記の委任状が必要です。
司法書士へ依頼するよりも安い手数料で実施できます。
物件の引き渡し後に必要な書類はありますか
引き渡し後はホッとして全部終わった気がしますが、確定申告のために揃えておくべき書類があります
何を準備すべきか教えてください
物件売却後に必要な書類と取得方法を紹介
物件売却後には確定申告をしなければなりません。
大抵のケースでは譲渡損失が発生し、特例を利用して節税していきます。
特例を利用するために確定申告で必要になる書類と取得方法を見ておきましょう。
住み替えによる確定申告をする場合
住み替えによる確定申告をする場合、居住用財産の買換えに係る譲渡損失の繰越控除の特例を利用することがあります。
その際に用意すべき書類は以下の通りです。
- 確定申告書B様式
- 所得税青色申告決済書
- 譲渡所得の内訳書
- 住み替え先の住民票
- 除票住民票
- 課税所得計算明細書
- 譲渡資産の登記事項証明書
- 買換え資産の登記事項証明書
- 住宅ローンの残高証明書
所得税青色申告決済書は不動産所得用、譲渡所得の内訳書は確定申告書付表兼計算明細書を選んでください。
住民票は住み替え先の住所が記載されているものが必要です。
住宅ローンの残高証明書は、新しく購入した不動産に組んだ住宅ローンの書類です。
物件売却のみで居住用財産の譲渡損失の繰越控除の特例を利用する場合
物件売却だけの際に、居住用財産の譲渡損失の繰越控除の特例を利用するなら以下の書類が必要です。
- 確定申告書B様式
- 所得税青色申告決済書
- 譲渡所得の内訳書
- 課税所得計算明細書
- 譲渡資産の登記事項証明書
- 除票住民票
- 住宅ローンの残高証明書
住宅ローンの残高証明書は、売却した物件に関する書類を準備してください。
確定申告書や譲渡所得の内訳書など各書類の取得方法
それぞれの書類の取得方法を表にまとめましたのでご確認ください。
書類の種類 | 取得先 |
---|---|
確定申告書B様式 | 税務署か公式サイトからダウンロード |
所得税青色申告決済書 | 税務署か公式サイトからダウンロード |
譲渡所得の内訳書 | 税務署か公式サイトからダウンロード |
課税所得計算明細書 | 税理士 |
住民票 | 役所 |
住宅ローンの残高証明書 | 金融機関 |
譲渡資産の登記事項証明書 | 法務局 |
上記以外に、不動産購入時の売買契約書や売却時の売買契約書が、譲渡所得を計算するために必要となるので用意しておきましょう。
課税譲渡所得がプラスの場合の必要書類
課税譲渡所得がプラスになった場合には、どの書類を揃えたらよいでしょうか。
必要になる書類は利用する特別控除や特例によって変わります。
課税譲渡所得がプラスになったときに利用される特例は、3,000万円の特別控除か、所有期間が10年超えの居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の2種類です。
それぞれの場合の必要書類を表からご覧ください。
内容 | 3,000万円の特別控除 | 所有期間が10年超えの居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例 |
---|---|---|
譲渡資産の登記事項証明書 | 必要なし | 必要 |
譲渡所得計算明細書 | 必要 | 必要 |
除票住民票 | 必要 | 必要 |
譲渡所得がプラスの場合には、住宅ローン残高証明書は必要ありません。
物件売却時に揃えておくべき書類についてよく理解できました
各書類を用意するタイミングや取得方法に気を付けて準備してください
物件売却で必要な書類を揃えるタイミングは3つあります。
不動産会社へ物件売却を依頼するときと買い主と契約をするとき、そして物件売却後に確定申告をするときです。
物件売却を業者へ依頼する際には、登記簿謄本や購入時の売買契約書を揃えておください。
重要事項説明書や物件の図面などもあるとよいでしょう。
土地の売却なら土地測量図や境界確認書が必要ですし、マンションなら管理規約や維持費の書類が必要です。
登記簿謄本を紛失したのであれば再発行をしてもらい、売買契約書の紛失時は不動産会社へ問い合わせてください。
買い主と売買契約を結ぶときには、本人確認書類や印鑑証明書、そして登記済権利書などが必要になります。
確定申告の際には、確定申告書B様式や課税所得計算明細書を揃えなければなりません。
用意する書類が多いように思えますが、不動産会社がサポートしてくれるので安心してください。