マンション売却において築10年というタイミングはターニングポイントになります。
築10年まではそこそこ保てていた資産価値も、築10年を皮切りに大きく下落するからです。
その後築20年を経過すれば売却価格は安定し、下落率は緩やかになりますが、築10年を過ぎると売却が難しくなる点は意識しておかなければいけません。
マンション価値がどのように変化していくか知ることは、物件売却が成功するか否かを分ける大きな要因です。
ひとつの壁とも言われる築10年のマンション価値はどの程度なのか、売却相場を理解し高値売却を目指しましょう。
目次
マンション売却における築10年が意味するところ
マンション売却は築10年が一つの境目となります。
よって築10年が経過すると価値がどう変わるのか、しっかりと理解しておくことが大切です。
地域差もありますが築10年以降は、マンション価格が大きく下落します。
たとえ同じマンションであっても時間経過は大きく売却価格が変わる要因になるため、築10年の壁を意識して売却活動をおこなう必要があるでしょう。
一般的なマンションの場合、築年数の経過によってどのような影響があるのか解説します。
マンション売却は築年数による影響が大きい
マンションの売却値に影響を与える要因はたくさんあります。
例えば以下の要因があげられるでしょう。
- 立地条件
- 周辺環境
- 建物の劣化状況
- 日当たりの良さ
- 専有面積
- マンションの管理体制
- 築年数
このようにさまざまな要因がある中でも、築年数はダイレクトに資産価値へ影響を及ぼします。
理由として、建物は耐用年数が決まっています。
マンションの場合は鉄筋コンクリート造に該当するため、法定耐用年は47年です。
もっともこちらは税金など資産価値を計算するときの値で、実際には60年以上寿命が持つと考えられています。
とはいえいずれにしろ築年数が経過すると、残りの耐用年数が減るのは間違いありません。
減価償却により価値が下がるため、マンションの築年数は売却時の大きなポイントとなります。
新築プレミアムが持つ価値とは
マンションの価値がもっとも高いのは、特殊な物件をのぞいて新築時です。
特に日本人は新築好きです。
新築と言うだけで付加価値が付くため、基本的には新築時の価値が最高値となります。
これこそが新築プレミアムと呼ばれる、新築だけが持つ特権です。
そしてその後新築でなくなった瞬間に、マンション価値は下落の道をたどることになるのが一般的です。
いつから新築ではなくなるのですか?
築1年が経過したマンションは、新築という扱いではなくなります
では築1年以内であれば居住歴があっても、新築という区分ですか?
いいえ違います。人が住んだ瞬間に、新築ではなく中古に変わってしまうのです
たとえ1か月暮らしただけでも、売却価格は新築時より大きく変わります。
しかしながら価格の下げ幅に関しては、マンションによりけりです。
よって新築プレミアムの価値がどの程度なのか理解することが、早期売却時のポイントになってきます。
築10年以降価値はどう変わる?マンション売却相場のシミュレーション
築年数の経過と共に、どのようにマンション価値が変わっていくのか相場をシミュレーションしてみましょう。
東京と大阪における中古マンションの築年数別坪単価を表したものが、次の表です。
項目 | 築1年 | 築5年 | 築10年 | 築20年 | 築30年 | 築35年 |
---|---|---|---|---|---|---|
東京 | 261万円 | 232万円 | 203万円 | 149万円 | 147万円 | 148万円 |
大阪 | 163万円 | 137万円 | 109万円 | 69万円 | 64万円 | 57万円 |
マンションの専有面積として、一般的なファミリー向けの広さですと、60m2から70m2あたりの物件が多いです。
1坪はおおよそ3.3m2のため、キリよく20坪では66m2と一般的な広さのマンションに該当します。
よって計算しやすいこちらの数値を用いることとし、20坪の場合におけるマンション価格の築年数ごとの推移を見ていきましょう。
項目 | 築1年 | 築5年 | 築10年 | 築20年 | 築30年 | 築35年 |
---|---|---|---|---|---|---|
東京 | 5220万円 | 4640万円 | 4060万円 | 2980万円 | 2940万円 | 2960万円 |
大阪 | 3260万円 | 2740万円 | 2180万円 | 1380万円 | 1280万円 | 1140万円 |
この表から分かる通り、築年数経過における下落相場はエリアによる違いもあります。
東京23区内であれば比較的下落率は小さいですが、その他のエリアですと下落率はもっと大きくなります。
場所によって下落率の幅は変わってはきますが、時間経過と共に価値が下がるという点は全国どこでも共通です。
つまり価値下落の影響を受けない物件を選ばない限り、マンション価値が下がるのは避けられません。
築10年でマンション売却相場は大きく下落する
マンションの売却相場は、築10年までは比較的価値を保つことができます。
築浅物件というくくりになるため、一定の需要が見込めるからです。
新築プレミアムが付かないことで逆にお手頃価格で購入しやすくなるため、築10年までは大幅な価値の下落はほぼ起こりません。
中古マンション市場において、新築の価値を100%とした場合、築10年まではおおよそ70%から80%の水準を維持できます。
しかし問題はその後です。
築10年を境にして、築20年目にかけて資産価値が大きく下がりやすいです。
築20年の時点では、東京ですと新築当時の60%前後、大阪の場合には40%近くまで価値が下落してしまいます。
このように築10年までに売却するか、その後での売却になるかという違いは売却値に大きく影響する可能性が高いです。
築20年以降のマンション売却相場の下げ幅は緩やかに
築20年までは価値が激しく下がりますが、その後の下落率は非常に緩やかです。
基本的に築20年から築30年まではほぼ変化がなく、築30年の時点で完全に下げ止まります。
よって築10年を過ぎた後、築20年が不動産売却における2度目のターニングポイントと言えます。
築20年を過ぎると売却価格は安定してくるため、売却タイミングをあまり意識しなくてもよくなります。
ただし、それは低い水準においての話です。
マンションの資産価値がゼロになることはありませんが、当然築浅物件と比べると価値は下がります。
下落率が低くなるからといって、あえて築20年目以降まで待っている必要性はありません。
マンションの築年数と住宅ローン残債の関係
売却における築年数を考えるうえで、無視できないのが住宅ローンの残債状況です。
売却価格だけを見れば築浅の方が当然有利ではありますが、住宅ローン残高が多いようであれば売却は現実的ではありません。
住宅ローンは、元利均等返済と呼ばれる毎月一定額を支払う方法を選択している場合、最初のうちは元本がなかなか減りません。
金利の返済部分の割合が大きいため、ローン支払い当初は元本部分の返済まで回りきらないのです。
ある程度支払いが進んでいくと、やがて元本部分の返済割合が増えるようになります。
そうするとようやく住宅ローンの減り方が加速します。
よってローンを組んだ当初は残債が多いため、売却してしまうと売却金だけで債務を払いきれない可能性が高いです。
自己資金で差額を支払うことになるでしょうから、非常に苦しくなってきます。
マンション購入時にどの程度頭金を入れていたかもポイントになるかもしれません。
借入額が少なければ、早期売却しても売却金で完済できますし、もしかすると手元にお金が残る可能性もあるでしょう。
一方で頭金なしのフルローンですと、築10年以内の売却は難しいのではないでしょうか。
いずれにしろ、物件の売却を検討するときに、住宅ローンの残債状況を踏まえる必要があります。
なぜ築10年を経過するとニーズが下がるのか?マンション売却価格への影響を考える
新築当初の価値を100%とすると、築10年まではおおよそ70%から80%の水準を保ちます。
しかし築10年を過ぎると、マンション価値は大きく下落していくのが一般的です。
この理由としては、築10年を超えたマンションは購入希望者が一気に減ってしまうからです。
ではそもそもなぜ築10年を過ぎると、ニーズが減るのでしょうか?
築10年で需要が落ちる理由と、それがマンション価値にどう影響を及ぼすのか考えていきましょう。
マンション大規模修繕工事のタイミングと重なる
マンションは常に新築当初の状態を保っているわけではなく、経年劣化していきます。
外から見ると頑丈そうに見えますが、きちんとメンテナンスをおこなわないと鉄骨にサビが生じることがあり
支柱の強度に影響してくるため、災害対策のためにも外壁塗装などのメンテナンスを怠らないことが重要です。
そのため適切なタイミングで、修繕工事をおこなう必要があるのです。
実際国土交通省も12年周期での大規模修繕工事の実施を推奨しているため、それを受けておおよそ築12年から築15年の段階で大規模修繕工事を実施するマンションが多いです。
つまり築10年を超えて売却に出すと、購入後すぐに大規模修繕工事をおこなうことになります。
大規模修繕工事が実施されるとなると、少なからず不便が生じるでしょう。
よって大規模修繕工事とバッティングしてしまうタイミングで購入を希望する人はあまりいません。
築10年を経過したマンションの人気が落ちる理由の一つが、大規模修繕工事の存在でしょう。
修繕積立金の状況に左右される
大規模修繕工事をするためには、多額の費用がかかります。
そのためマンション居住者は、毎月修繕積立金として一定金額を支払っています。
大規模修繕工事をおこなう際は、このプール金をあてがうのが一般的です。
そこで大事なのが、修繕積立金の貯まり具合です。
居住者が毎月きちんと支払っていれば問題ないのですが、滞納者が多い場合などは積立金が不足している可能性があります。
そうなると大規模修繕工事が実施できなくなるため、マンション管理組合は何らかの対策を取らないといけなくなります。
きちんと修繕積立金を支払ってきた居住者にも、少なからず影響が出てくるのは避けられません。
よって築10年マンションの売却がスムーズにできるかどうかについては、修繕積立金の状況に左右されやすいです。
修繕積立金の状況も、売却時における評価ポイントということですか?
そのとおりです。マンション価値は修繕積立金の豊かさが大きく影響します
中古マンション情報サイトによる築10年の壁
わたしたちは中古マンションを探すにあたり、情報サイトを利用するのが一般的でしょう。
情報サイトは購入希望者が希望する物件を探しやすいように、条件によってフィルタリングする機能を設けているところが多いです。
例えばその一つが、築年数による物件の絞り込みです。
多くの不動産情報サイトでは、築10年以内というくくりでマンションを検索できるようになっています。
当然ですが築10年を経過した物件は、築10年以内という区分に表示されません。
そもそも中古マンション選びにおいて、築浅物件の方が好まれる傾向にあります。
築10年以内を目安に考える人が多いため、築10年以内という区分で検索する人は6割程度を占めるとも言われています。
よって築10年以内という区分に表示されないと、そもそも閲覧してもらう機会すらなくなるのです。
人目に触れる機会が圧倒的に減ってしまうため、築10年をわずかでも過ぎてしまうと不利になります。
このように情報サイトによる築10年の壁というものも、築10年を超えると売却しにくくなる理由に該当するでしょう。
マンション設備の流行が変化するため築10年マンションはトレンド遅れ
マンションにも流行り廃りがあります。
人の生活様式にはトレンドがあるため、マンション建築もその当時のトレンドに合わせておこなわれます。
よって築浅のマンションですと、現在のトレンドと合致しているため使いやすく人気が出やすいです。
例えば一昔前まで収納といえばクローゼットでしたが、近年ではウォークインクローゼットと呼ばれる大型収納がトレンドです。
他にも便利な設備がたくさん登場しており、次のようなシステムがあげられます。
- ディスポーザー
- 浴室乾燥機
- 食洗器
- 宅配ボックス
- 24時間ゴミ出し可能なゴミ捨て場
このような最新設備が備わっているほど、マンション価値も高くなります。
一方で築10年が経過する頃にはトレンドも変わり、新たな設備がどんどん登場しているはずです。
買い手としては当然新しい設備が備わっている方が魅力を感じます。
マンション設備の流行が変化してしまうことも、築10年を経過すると売りにくくなる理由の一つでしょう。
築10年でマンション売却のタイミングはライバルが増える
丁度キリのよい築10年というタイミングで、住宅を手放そうと考える人は多いです。
前述のように築10年を過ぎると大規模修繕工事が実施されるため、その前に手放したいという思惑もあるでしょう。
よって築10年で売却する際は、中古物件市場にライバルが増えるのです。
中古市場に流出する物件が増えれば、その分価格競争が激化されるため価格は下がってしまいます。
また、ライバルは決して他のマンションだけとは限りません。
世帯数の多いマンションの場合、同じマンションの住人がライバルになることもよくあります。
同じマンションですと基本スペックは一緒ですから、当然少しでも売却価格が安い方が好まれます。
自分が高値で売り出したとしても、結局安値の方に引きずられることになるでしょう。
このように築10年というタイミングは、同じマンションすら競争相手になるくらい中古市場が活発化する時期です。
要は買い手市場になります。
高値での売却が難しくなるため、なるべく避けるのが望ましいでしょう。
築12年を過ぎると35年ローン問題が発生
住宅ローンを組める年数には限度があり、物件の耐用年数によって決まりますが、マンションの場合は鉄筋コンクリート造のため47年です。
となると35年ローンを組みたい場合、築12年のマンションまでしか購入できないことになります。
この35年ローン問題も、築浅物件が好まれる大きな要因でしょう。
ローンを35年の期間で組めないとなると、自己資金を増やしてローン期間を短縮するしかありません。
買い手側としては負担が増えるため、築12年以降のマンションを購入できる人が限られてきてしまいます。
つまり買い手が限定されるため、築年数が経過すると売りにくくなるのです。
築年数に左右されない!10年後もマンション売却価格・価値が変わらない物件とは?
マンションの価値は、築年数が経過するほど下がります。
しかし中には時間経過の影響を受けることなく、資産価値を維持し続けているマンションも少なからず存在します。
それどころか珍しいパターンにはなるものの、価値が上昇する物件というのも中にはあるのです。
今後マンション購入をおこなうのであれば、10年後も変わらずに価値を保てる物件を選ぶ必要があるでしょう。
価値が下がらない物件にはある程度共通点があるため、まずは特徴を理解しましょう。
マンション売却価格に影響が大きいのは土地選び
マンション価値に大きく影響するのは、建物部分よりも土地の部分でしょう。
建物に関しては経年劣化があるため、ずっと変わらない資産価値を維持し続けるのは非常に難しいです。
しかし土地に関しては、時間経過に関係なく需要の見込める土地というのが少なからず存在します。
よって価値の変わらないマンションを見極めるポイントは、立地条件を意識することが大事です。
また、ただ単に利便性の高い土地というだけではなく、何かしらの付加価値がある土地の方が、売却価格は有利になります。
再開発地域の物件
今後再開発が見込めるエリアは、10年後に価値が大きく上昇している可能性もあります。
有名どころで言えば武蔵小杉です。
かつては工場が立ち並ぶだけの何もないエリアでしたが、これらの工場が移転したことがきっかけで再開発が進みました。
その結果住宅地として整備されるのと同時に、さまざまな商業施設が誕生し、街づくりが一気に加速します。
住み心地の良い街に選ばれるなど、土地自体のイメージアップにより、土地価格が大きく上昇しました。
武蔵小杉という、一つのブランドになったわけです。
このように再開発が進めば、以前から建っていたマンションの価値も高まります。
よって今後再開発が見込めるエリアの物件を選ぶことができれば、10年後も安定した資産価値を保つことができるでしょう。
ただし、そもそも再開発地域を予想することが難しいです。
長期的な計画となりますし、さまざまな要因が絡んでくるため、再開発が思ったように進まないケースも珍しくありません。
周囲の状況次第となるため、レアケースと考えておいた方がよいでしょう。
エリアにおけるナンバーワン物件
どのエリアにおいても、エリアにおけるナンバーワン物件というのが存在します。
エリアに住む誰もが知っている物件で、地域の象徴的なマンションがそれにあたるでしょう。
地域におけるシンボル的な物件であれば、誰もがその良さを知っているため簡単には値崩れしにくいです。
要は地元の憧れ的なポジションのマンションなら、売却した際にも買い手がつきます。
仮に古くなったとしても、このようなマンションは恵まれた立地に建っていることが多いですから、土地価格も安定しています。
一方で地域における二番手以降のマンションは、特別感が薄れることから一番手ほど安泰ではありません。
その土地における一番という特別感が付加価値を生み出しているため、資産価値を保ちたいのであれば一番の物件を狙った方がよいでしょう。
災害の有無や駅からの距離
将来的な安全性を保てるかと言うのも、一つのポイントです。
特に災害が起こった地域は、人気が下がります。
災害の心配がないエリアに住まいを求めるのが普通の心理ですから、災害リスクの大小が資産価値に少なからず影響します。
特に近年日本では水害が多いです。
そのため水害に強い地域の物件であれば、将来もマンション価値の減少幅を抑えられる可能性が高いでしょう。
となると川沿いや海沿いではなく、高台にある物件の方が今後の価値は安定するかもしれません。
また立地条件として、駅からの距離は欠かせない要素です。
駅から近ければ良いというわけではなく、利便性がありながらも騒がしくない場所は将来にわたって需要があります。
マンション購入層としてはファミリーが多いですから、家族で安心して暮らしやすいエリアであることが大事です。
また家族で暮らすうえでのポイントとして、子どもが通う小中学校の学区も大きなポイントです。
人気のある学校へのアクセスが良い物件は、10年後も需要があるため価値が下がりにくいでしょう。
単身向けよりファミリー向けのマンション物件
土地の部分ではなく建物の部分では、どのような物件であれば価値が下がりにくいのか考えていきましょう。
ポイントとしては、間取りが単身向けよりファミリータイプの方が価値は安定傾向にあります。
その理由として、単身物件はファミリー物件と比べると人の入れ替わりが激しいです。
常に住人が変わるため部屋の劣化が進んでしまいやすく、資産価値にも影響します。
また総戸数が少ない物件より、世帯数の多い物件の方が一般的に価値は下がりにくいと言われています。
総戸数が多くなれば、その分一世帯あたりの修繕積立金及び管理費の負担額を抑えることが可能です。
金銭的な費用負担を減らせるため、築年数が経過しても比較的人気は保ちやすいです。
よって総合して考えると、ファミリータイプの間取りになっている総戸数の多いマンションであれば、価格は下落しにくいでしょう。
ブランド力やプレミア性のあるマンション
ブランド力やプレミア性も、10年後のマンション価値を左右する要因です。
どこのディベロッパーが手掛けた物件かというのが、ブランド力に該当します。
マンション業界大手企業の場合、強い信頼力や安心感があります。
中古マンションを求めている人の中には一定数ディベロッパーにこだわりがある人も存在するため、そのような人に向けて強いPR力があるため値崩れしにくいです。
他にはないプレミア性を持つマンションも、一定数需要が見込めるため安定した価値を維持し続けられます。
たとえば部屋からスカイツリーが見えたり、敷地内に桜の木が植わっていて春になると桜並木が出来るなどです。
このように他のマンションにはない珍しい要素があれば、それはプラス要因となり価値に影響をもたらします。
ただし共用部設備の充実具合に関してはあまり関係ありません。
最初のうちは珍しさから住人も頻繁に利用しますが、時間がたつにつれて利用者数も減っていきます。
共益費負担がのしかかるだけになりがちですから、余計な設備が付いているよりもシンプルに暮らしやすい物件の方が人気は安定しやすいです。
また同じマンション内においても角部屋や最上階などの人気要素があると、他の部屋よりも資産価値が高くなり値崩れしにくいです。
マンション売却は築何年が正解?タイミングを見極めよう
マンション価値は築10年を境に下がっていきますが、それでは一体どのタイミングで売るのが正解なのでしょうか?
これに関しての答えは、人によります。
ローンの残債状況も人それぞれですし、売却を検討している物件も違うわけですから、一概に正解はありません。
同じマンションですら部屋により資産価値が異なるため、まさにケースバイケースです。
ただしそれを踏まえたうえでも、おすすめのタイミングや避けるべきタイミングは一般論として少ならずあります。
マンションを売却するタイミングの見極め方についてご紹介します。
早期のマンション売却希望なら10年以内を意識して
早期売却を検討している場合には、築10年を過ぎないようにすることを意識しましょう。
前項でもお伝えした通り、築10年を過ぎると不動産情報サイトにおける築10年以内の検索に引っかからなくなります。
また他のマンションも中古市場に流出するタイミングのため、ライバルが増えて価格競争が激化します。
高値で売却しにくいタイミングとなるため、築10年以内と表示されているうちに売却に出すのがベターでしょう。
築5年以内の場合には新築時と同等の状態を保ちつつライバルも少ないため、思わぬ高値で売れる可能性もあります。
ただし築年数が浅ければ浅いほど、売却値は市場の相場状況に左右されやすいです。
どういうことかと言いますと、近隣の新しく建てられたマンションの販売価格が安い場合、その価格に引きずられます。
相場の影響をダイレクトに受けるため、築浅の物件を売却する際は市況をよく判断することが大切です。
築15年前後でのマンション売却は大規模改修工事の有無次第
築15年前後で売却する際には、大規模修繕工事の有無が一つ大きなポイントとなります。
大規模修繕工事が実施済であればそれがウリにもなり、比較的買い手を見つけやすく売却値もそこそこの高さを維持できます。
しかし大規模修繕工事がおこなわれていないようですと、売り手に敬遠される可能性が高いです。
修繕積立金がきちんと貯まっていないなければ、一時金の負担を余儀なくされます。
そうなると買い手側としては負担が大きいため、なかなか売り手が見つかりません。
また築15年前後の物件は、前述のとおり35年ローン問題も出てきます。
買い手が限定されてしまうことから、売りにくい時期になるでしょう。
築20年以降は焦らずローン残債でマンション売却の判断を
築20年以降はマンション価値の下落率が緩やかになります。
急激に価値が下がることはないため、住宅ローンの残債状況を考えながら、焦らずに売却タイミングを見極める選択肢も出てきます。
ただし住宅ローン控除を利用できるのが、マンションですと基本的には築25年までの物件です。
そのため築25年を過ぎてしまうと購入層が限られてしまうため、できればその前に売り切ってしまうのがよいかもしれません。
また築20年を経過したマンションは、リフォーム及びリノベーションの有無も売却値に大きく影響します。
リフォームやリノベーションをおこなっていないようですと見た目の問題も出てくるため、少しでも築年数の浅いうちに売り切ることを検討しましょう。
築30年前後のマンションは耐震基準を確かめる
築30年前後のマンションですと売却価格が安いことから、住み替え用物件を探している人にニーズがあります。
よって資産価値は少なくなりますが、売却できないということではありません。
しかし注意しておきたいのが、耐震基準です。
1981年以前に建築されたマンションは昔の耐震基準で建てられているため、現在の基準を満たしていません。
そのためいくらお手頃価格とはいえ1981年以前のマンションは、買い手側が敬遠する傾向にあります。
もちろん2回目の大規模修繕工事を実施していればそれほど売却は難航しませんが、そうでないなら売却タイミングをよく考えた方が無難です。
築30年前後で売却する場合も、修繕積立金の積み立て状況が大きく影響します
それはなぜですか?
ちょうど2回目の大規模修繕工事のタイミングにあたるからです。2回目の工事は金額が高くなりがちのため、修繕積立金の豊かさ次第で売却の難易度が変わってきます
まとめ
マンションは築10年を経過すると、買い手探しが難しくなります。
その要因として不動産検索サイトの築10年以内というくくりから外れてしまうことや、大規模修繕工事のタイミングと重なることがあげられます。
また築10年というタイミングで売りに出す人も多いため、必然的に買い手市場になりやすいです。
中古市場におけるマンションの数が飽和状態になると、売却価格はどんどん下がっていきます。
客観的に判断すると早期売却の方が有利にはなりますが、そもそも住宅ローンの残債状況によるところも大きいです。
築年数の経過と共に価値は下がっていきますが、たとえ築30年が経過したところで価値がゼロにはなりません。
資産価値の推移をしっかりと理解し、市況を見極めて売却できれば、ポテンシャル以上の価格で売れる可能性もあります。
ですから築10年というタイミングを念頭に置いたうえで、自分にとってベストな売却タイミングを模索しましょう。