不動産の売買手続きに必要となる「登記」について、よく耳にしますが、詳しく内容を理解している方は少なくないでしょう。
これから初めて不動産取引をするなら、どのようなものなのか、知っておく必要があります。
不動産登記が必要になってくるのは様々なシーンであり、登記の内容が詳しく載っているのが「登記事項証明書」になります。
証明書には種類があって、どの証明書を取得するのか、取得方法なども調べないといけません。
登記事項証明書を取得するには、どんなことを基準に判断したらいいのでしょうか?
この記事では登記事項証明書の取得などについて解説しているので、是非参考にしてください。
目次
どんな時に登記事項証明書が必要なの?
登記事項証明書とは
財産である不動産の面積や持ち主、所在などの不動産関連の情報が法的に書き記されている書類のことです。
法務局が管理していて、誰でも申請をすると取得ができます。
不動産の情報や状況を正しく判別するため一般に開示しています。
証明書が必要になるケースは不動産の売買、ローン申請、相続の取引を行う時です。
売買取引の際に名義が一致しているか、チェックするために役立てます。
他にも証明書が必要になるのは、確定申告や会社の設立時です。
確定申告の際には、住宅ローン控除を申請する時に提出し、会社の設立には、金融機関からの融資を受ける時や、補助金の申請に必要となっています。
登記簿謄本と何が違うのか?
結論から言うと登記事項証明書と内容は一緒で、ただ名称が違うだけです。明確な違いは、取得の仕方です。
かつて、登記簿は紙の書類で記録していましたが、現在はデータ化されています。
登記簿謄本は登記簿をコピーした紙の書類のことで、郵送して貰うか窓口で入手するのに対し、登記事項証明書はコンピューターの情報からデータで証明書を取得するものです。
同じ内容ですが、今の正しい呼び名は「登記事項証明書」となります。
かつて | 登記簿謄本 | 不動産の面積や持ち主などの情報や状況が書き記してある。 |
今 | 登記事項証明書 |
証明書の種類
証明書は大きく分けて4つあり、必要な状況はそれぞれ異なります。
現在事項証明書 | 今の登記情報だけが載っているもので、以前の内容は開示されない。 そのため、他の証明書より効力が弱く、証明にならないケースもある。 |
全部事項証明書 | 登記簿の全ての記録が載っている証明書。 |
一部事項証明書 | 登記簿の一部の情報を載せている証明書。 マンションだと権利を持っている人が敷地内に多いため、全部事項証明書を入手してしまうと書類が多くなり手数料がかかってくるが、一部事項証明書は自分の情報のみ取得できる。 |
閉鎖事項証明書 | 閉鎖してしまった情報が載っている証明書。 建物を取り壊しなどすると、登記の情報は閉鎖するが「土地は50年」「建物は30年」の内容は法務局で管理される。 |
ちなみに「歴事項全部証明書」もありますが、こちらは法人の場合、事務所を借りる時や、補助金・融資を受ける際に必要です。
どの証明書を選ぶと良いか
証明書には種類があるため、どの証明書をどのシーンで使用するのか判断するのに悩む方もいることでしょう。
登記事項証明書の選び方を紹介していきます。
基本的に「全部事項証明書」を選ぶと良い
証明書を選ぶポイントは、登記の「現在」「全て」「一部」のどの情報を取得したいのかです。
基本的に不動産の手続きで使用するなら、全部事項を選ぶと良いです。
その他の証明書は、全部事項の内容を抜き出したものになるので、どれを選んで良いか迷ったら、全ての記録がしてある証明書を入手しましょう。
「一部事項証明書」はマンションの時に取得する
マンションは権利を持っている人が沢山いるため、全部事項を選んでしまうと、権利者全員分の証明書が発行されるので書類が沢山になってしまい、その分の手数料も発生することに。
マンションの売買で必要なのは、売主の一部だけで良いので、そのような時は一部事項証明書を選ぶと良いです。
交付請求書に記入する際には、名義人の名前を書いて提出します。
そうすることによって、名義人のみの証明書が入手できます。
金融機関や公的機関には「現在事項証明書」
現在の不動産の状況がどうなのか記載されているのが現在事項証明書なので、過去にあった知られたくない内容がある場合は、こちらを取得するのに適しています。
また、金融機関や公的機関などに個人で提出する際も選んでおくと良いでしょう。
とはいえ、確定はできないので、証明書を求めてきた担当の人に確認しておくのが良いです。
不動産登記が必要な時
登記事項証明書について紹介して来ましたが、次に登記について解説していきます。
不動産登記とは
不動産が誰のものなのか明確に示すために行われます。
建物のだと、登記法で決められている事務所や住宅などの種類、木造や鉄筋コンクリート造の構造、面積、持ち主の情報が記されます。
土地の場合、面積などの情報、持ち主の権利を記録。
不動産登記が必要になるシーンは様々あり、例えば不動産の売買があった場合、持ち主が変更になるので「所有権移転登記」します。
また、親から不動産を譲られる「相続」が発生する時も必要です。
親の名前のままだと不動産を売買する時に直ぐに取引ができないので、名義変更は必ず行います。その際には、兄弟など全員の同意があってから移転登記をします。
住宅ローンの融資を受ける際には土地を担保にする必要があるので、「抵当権設定登記」を。
家を建てたばかりだと、登記は行われていない状態なので、どのような不動産なのか申請しなくてはいけません。その時には「建物表題登記」を、家が建ってから1ヶ月以内に申請します。
そして、マイホームであることを証明するために「所有権保存登記」が必要になります。
土地を分割する場合には「土地分筆(ぶんぴつ)登記」を申請し、土地の一部を売りたい時には必要です。
一方、沢山ある土地を全て一緒にする時は「土地合筆(がっぴつ)登記」。
土地の分筆をするには、境界がきちんと決まっていないと登記ができないので、調査を事前にして貰います。
不動産の権利などの変更がある時には、色々な登記が必要になります。
登記の種類と内容
登記の種類 | 内容 |
所有権移転 | 離婚、相続などの財産分与で名義を変える時に必要 |
抵当権抹消 | ローンを完済した際に抵当権を抹消する時の登記 |
建物減失 | 建物を解体した際にする登記 |
不動産を取得した時、所有権に関する権利の登記を必ず行うという訳ではなく、表題部にどのような不動産なのか記載するのは義務となっています。
必ず登記をしなくても良いとはいえ、基本的に登記はするものです。
金融機関から融資を受ける際に、抵当権保存登記をしている必要があります。
加えて、登記を行っていないと不動産を売却しようとなった時、所有権が不明な建物は取引がスムーズにいかず困難になるでしょう。
次に、登記事項証明書を取得するにはどうしたら良いか、2つの方法を解説していきます。
法務局で取得する方法
管轄している登記書の窓口へ行って、登記事項証明書交付申請書を受け取り、書類に必要な項目を記入します。
項目の内容は、以下の7つです。
- 名前
- 住所
- 土地又は、建物の種別
- 不動産の所在
- 通達数
- 所要事項
- 共同担保目録
共同担保とは
債権の担保で複数の土地や建物に抵当権を定めること言います。
共同担保の不動産を一覧できるのが「共同担保目録」です。
記入が必要な時は、不動産の番号とチェック項目を確認します。
7つ記入し終えたら手数料として収入印紙代を支払い、交付申請書に貼って、窓口に出して申請が完了です。
交付申請書の「地番・家屋番号」は物件の住所表示番号と違うので、登記所にある地図で確認してください。
また、地番に13桁の不動産番号を記入した場合、地番・家屋番号・住所を記載しなくても良いです。
交付申請書は、消えてしまう鉛筆のような筆記具で記入できず、黒ボールペンかインクを使用するようにしてください。
法務局で取得する際の注意点
登記簿がデータで管理される前は、登記の証明書を取得するのに、権限のある範囲の登記所ではないと入手できませんでした。
現在は全国の登記所の内容はオンライン上で繋がっているので、どこの登記所でも入手が可能です。
例えば、東京の不動産の登記事項証明書を名古屋の法務局で受け取ったり、大阪の不動産の証明書を福岡で入手できたりということです。
また、前は法務局などの昼休み時間には取得できなかったのですが、今は平日の8:15〜17:15の間で登記事項証明書を入手できます。
登記簿の大体がデータ化されていますが、データで管理していない登記やその他書類もあるため、その際は管轄する登記所のみで取得することになります。
事前に、法務局のホームページで検索して登記所を確認しておくと良いです。
参考:管轄のご案内:法務局
オンラインで取得する方法
ネットで取得する場合は、法務局の「かんたん証明書請求」があります。
こちらで交付請求すると、郵送して貰うか、登記所窓口で入手することが可能です。
登録するのは初回だけで、次からはIDとパスワードでログインして利用します。
入力フォームには、自分の名前や住所、不動産の所在など必要な項目を記入して作成します。
登記事項証明書の取得にかかる費用は、入手する方法によって異なるというもの。
オンラインで交付請求して直接窓口で受け取る方法が、一番費用が安く済みます。
とはいえ、窓口まで行く際に交通費がかかるようなら、オンラインで請求して郵送して貰う方が安くなります。
登記事項証明書の取得にかかる手数料
取得方法 | 入手方法と手数料 |
法務局などの登記所 | 窓口で申請 600円 |
オンライン | 窓口で受け取り 480円郵送 500円 |
オンラインで交付請求するのは、メリット・デメリットがあるので、それぞれ紹介していきます。
オンライン取得のメリット
自宅で簡単にできるが大きなメリットです。
かんたん証明書請求を利用して、登記所の窓口で入手するか、郵送にするか選んで手数料を支払えば完了してしまいます。
自宅で請求して、窓口まで行かずに郵送で受け取れば家から全く出なくても、証明書が入手できるというもの。
郵送で受け取るまでの日数は、手数料を納付してから2日前後に発送されることが多いです。混み具合によって多少日数が、異なることもあります。
オンライン取得のデメリット
デメリットとなるのは、手数料の支払い方です。
手数料を支払うためには、ATMかインターネットバンキングを使います。
インターネットバンキングの利用ができない場合、ATMから支払いをしますが、国庫金の電子納付「ペイジー」ができる金融機関のみになります。
金融機関の全てが電子納付に対応している訳ではありませんので、確認しておきましょう。
また、登記の情報を確認するだけなら、「不動産登記情報サービス」を利用するのをおすすめします。
「不動産登記情報サービス」とはなんですか?
次に詳しく紹介していきます。
不動産登記情報サービスのメリット・デメリット
登記の情報を確認するには他にも、「不動産登記情報サービス」を利用することで、どこでも閲覧することが可能になります。
わざわざ登記所までに行かなくて良いので、お金と時間の節約にもなるというもの。
登記の内容のみなら、登記情報サービスを使ってPDFファイル形式で入手した方が良いです。
登記情報サービスは、不動産に関するものだけではなく、法人の登記簿や商業登記簿なども閲覧できます。
登記情報サービスのメリット
不動産登記情報サービスは、窓口に行って証明書を入手したり、オンラインで郵送して貰ったりするより費用が安く済むのはメリットです。
また、前述した通りわざわざ登記所まで出向く必要がないので、交通費もかからず時間とお金の節約になり、いつでも確認することが可能になります。
登記情報サービスのデメリット
不動産登記情報サービスのメリットばかり紹介していましたが、デメリットもあるので紹介していきます。
- 登記情報サービスは情報を確認するだけなので、PDFファイル形式で取得しても法的な証明力はない
- PDF形式なため、印刷することは可能だが、証明書として使用できないので注意する
- 法的な証明書で使う場合、改めて窓口まで行って取得する必要がある
- 登記簿の情報を検索するには、「地番・家屋番号」が必要になる
自宅で登記情報サービスを利用しても、上記のような項目の場合は、窓口に行って相談することが適確でしょう。
また、不動産登記情報サービスはオンラインだと言うのに、利用できる時間が決められています。
利用時間は、平日8:30〜21:00までとなっていて、土日祝日、年末年始は利用が制限されています。利用時間外になるといきなり切断することがあるので、時間には注意しておきましょう。
登記情報サービスの利用料金
登記事項証明書を窓口で受け取ると600円かかり、オンラインだと480円になりますが、登記情報サービスで確認のみなら、かなり費用が安くなります。
不動産、法人、商業の全部事項 | 335円 |
不動産登記の名義人のみ | 145円 |
以前の利用料金は、全部事項が337円で名義人のみの情報が147円でした。
平成28年10月1日に変更になり、いずれも消費税は含まれている料金になります。
上記以外には、最初に登録費用がかかってくるので、確認しておきましょう。
初期登録費用 | 支払日 | |
個人 | 300円 (クレジットカード) | 都度払い |
法人 | 740円 (銀行から引き落とし) | 翌月の27日 |
個人の場合は利用する度に請求されて、法人の場合は翌月の27日に銀行から引き落としになります。
登記情報サービスの利用手順
不動産登記情報サービスを個人で利用する手順はこちらです。
- 不動産登記情報サービスのホームページを開いて、利用者別登録メニューにある「個人利用」に申込みクリックをする
- 登記情報サービスの「契約約款と個人情報の取り扱い」を確認したら、「同意する」をクリックする
- 登録する画面になったら入力をして、終わったら「次へ」をクリックする
- 登録した内容に修正する箇所がないか確認して、問題がないようなら「登録」をクリックする
- 登録完了通知書が登録した住所に届くまで約1週間
- 通知書が届いたら、IDが記載されているので、パスワードとIDでログインをして利用開始
登記情報サービスの申し込みは、上記のような流れになっています。
クレジットカードを登録するのですが、プリペイドカードやデビットカードの利用はできない恐れがあるので、直接問い合わせておくと良いでしょう。
また、登録をしないで一時的な利用も可能で、その際は初期登録費用がかかりません。
ただし、一時的な利用になると毎回IDを取得したり、クレジットカードの情報を入力したりしないといけないので手間がかかります。
初めて利用した時から4ヶ月間は、すでに登記情報を取得したPDFファイルが見られますが、また新しく登記情報を求めるにはIDの取得などが必要になってきます。
そのため、初期登録費用が個人だと300円かかりますが、毎回の手間を考えると登録しておいた方が利用しやすいです。
完了通知書が家に届くまでの間など、一時的に利用するのがおすすめです。
一時的に利用する方法
- 登記情報サービスのホームページから、「一時利用」を選んで申し込みをクリックする
- 一時利用申し込みは、前述した個人の利用手順とほとんど同じ
- IDはメールで送られてくるため、確認のURLをクリックする
- IDとパスワードでログインして利用開始
登録してから30分以内にログインしないと利用できなくなるので、早めに情報を取得しておきましょう。
登記事項証明書の見方や具体的な内容
登記事項証明の内容は「表題部」と「権利部」の2項目があります。
さらに、権利部は甲区と乙区があります。
表題部の項目は義務があり、権利部は内容によって登記の義務づけはありません。
登記事項証明書の見方を理解しておくことで、内容を具体的に把握できます。
表題部
表題部は不動産の基本状況が記録されていて、土地は「地目」「地積」「地番」など、建物のだと「床面積」「構造」「種類」などが書き記してあります。
マンションの場合は、区分と専用建物などさらに詳しい内容で登記をしなくてはいけません。
表題部の土地の見方
- 所在:市町村字が記されている。
- 地番:土地に付けられた番号。所在と地番の2つ一緒になったものが正式な所在地。
- 地目:土地の使用する目的のことで田畑、雑種地、宅地、など色々な種類がある。
- 地積:土地の面積を表し、面積を明確にすることで、隣人トラブルを回避することにも繋がる。測量は家屋調査士に依頼する。
- 登記の日付:登記した日と原因
土地の所在や地番が不明な時は法務局に聞くか、権利書を確認すれば分かります。
表題部の建物の見方
- 所在:番地まで記されており土地の所在と違う。建物が立つ土地の場所。
- 家屋番号:建物に付けられた番号。
- 種類:種類を示すもので、居宅や事務所、店舗などがある。
- 構造:何階建てか、建築材料など。「鉄筋コンクリート造4階建」のように記載される。
- 床面積:階層ごとの床面積。壁なども含まれるので、実際に使用する部屋の面積と異なる。
- 附属建物の表示:建物と一緒に物置なども使う時に書き記される。
- 登記の日付:登記された日と原因。
権利部の甲区
権利部は、所有権などに関するものが載っています。
「甲区」と「乙区」に分かれていて、甲区は所有権の情報や、現在と過去の持ち主が分かるようになっています。
- 順位番号:登記された順番で記載されていて、数字が増えるほど新しい内容。
- 登記の目的:所有権が移転されたなどの登記目的。
- その他の事項:名前、住所、原因。
例えば、Nさんが建築した住宅をSさんが買った場合、順位番号1はNさんの所有権保存が記録してあります。
Sさんが購入したことで順位番号2の欄は、Sさんに所有権移転をしたことが記載されるのです。
Sさんは登記をした原因の欄に、移転の理由が記載され、Nさんから住宅を買ったことが明記されます。甲区は今と過去の情報が確認できます。
権利部の乙区
「乙区」は、所有権以外のものを示します。
抵当権や地上権などに関する登記が記載されています。
- 順位番号:甲区と一緒で、最初に抵当権など定めた時は1と表示され、数字が増えるごとに新しい内容になる。
- 登記の目的:どういった目的で行われたかを記載。
債権額
債権者が貸した金額。
利息
貸した金額に対する利息。
損害金
債務者の返済が滞ってしまった場合の損害の利息。
債務者
借りた人の名前や住所が載っている。
抵当権者
貸した側のこと、ローンの場合は金融機関の名前が記載。
共同担保
担保になった不動産がいくつかあると、番号が記される。
マンションの証明書は少し違う
マンションの証明書の表題部は、少し違ってくるので注意します。
戸建てのケースだと、土地と建物で分かれて記載してあるのに対し、マンションの場合は、専有部分の建物の欄に土地の内容も一緒になっています。
何故なら、マンションのような共同住宅では、土地だけを売ったり、専有部分だけを売ったりすることが無理だからです。
つまり、マンションの表題部は、一棟全部、専有部分、土地の敷地権の情報が一緒に記されていることになります。
- 家屋番号:全ての部屋番号が記載されているので、部屋がどのくらいあるのか確認できる。
- 表題部(一棟の表示):所在地や構造、何階建てかなど全部が記載。
- 〃(土地の表示):マンションがある所の面積や地目など。
- 〃(専有部分の表示):部屋の面積や種類などが記載。
- 〃(敷地権の表示):部屋と一緒の土地の情報。権利がどのように割り当てられているか記載。
登記事項証明書で確認しておくポイント
証明書の見方が大体理解できたら、次に確認しておきたいポイントを把握することが重要です。
しっかりポイントを押さえておけば、不動産取引でのリスク回避にも繋がります。
はい!お願いします!
証明書を確認する際の注意点
最初に、権利部の所有者が実際に本物の所有者なのか確かめることが大切です。
ほとんどは、権利部の所有者が本物でありますが、稀に所有者が異なるケースがあるので注意する必要があります。
基本的に、不動産の売買契約が終わった後、所有権の移転登記が行われますが、相続などによって所有者が変更になった場合でも、移転登記がされていないことがあるのです。
また相続の際、所有権を巡る争いがあると相続人がなかなか決まらない状態が続いたため、移転登記が遅れているケースもあります。
前述した、表題部の登記は義務づけられていますが、権利部については、そうではない部分があるので、所有者が本物ではない状態になり得ると言うことです。
抵当権の確認
乙区に抵当権の記載があるかどうか確認しておきます。
抵当権が付いている不動産だと権利部の乙区に書き記してあります。
抵当権は、担保とする不動産を金融機関が定めるもので、仮にローンが滞ってしまった場合、その担保にした不動産を売却して、その売却益を残債に充てるというもの。
一般的に、家を購入する際に融資を受けますが、購入した家を金融機関は担保として抵当権を定めます。
また、ローンの保証人になった場合にも、自分の不動産を担保に抵当権を付けることがあります。
不動産を購入する際に注意して欲しいポイントは、乙区に抵当権に関しての記載があって、下線が引かれていないようであれば、その不動産はまだ抵当権が付いている状態なので、抵当権が設定されたままの不動産を買う羽目に。
抵当権が付いたままの不動産を購入してしまった場合、ローンの残債があると抵当権者により差し押さえに合ってしまう可能性があります。
一方、抵当権の記載と所に下線が引かれている場合は、既に抹消されているので抵当権の効力はありません。
抵当権があるかどうかは、しっかり権利部の乙区の記載をチェックしておきましょう。
また、不動産を売却するには抵当権を外さなくてはいけないので、忘れないようにしてください。
抵当権が付いていると、不動産を売ることはできません。
たまに、ローンが完済されているのにも関わらず、抵当権の抹消を行っていない方もいます。
いずれにせよ、抵当権の確認はとても重要なことなので、念頭に置いておきましょう。
証明書を入手するときの注意点
登記事項証明書をスムーズに受け取るために、次の注意点を参考にしてください。
登記所の確認
登記事項証明書を取得する前に、事前に近くの法務局や登記所の情報を調べておくと良いです。
登記簿がデータ化されてきているので登記所などの統廃合が進み、いざ取得しようと出向いても閉まっていた場合は無駄足というもの。
窓口に直接行くなら、事前に電話で問い合わせてみるか、ネットで調べてからにしましょう。
管轄の法務局なのか調べる
管轄している法務局がどこにあるか調べる必要がありますが、最初に法務局のホームページにある「案内」を開きます。
案内を開くと、全国の登記所や法務局などの情報が開示されているので確認できます。
また、ネット以外にも直接電話で問い合わせして調べることも可能です。
ちなみに、北海道を除いて、法務局は全国に各1つとなります。
証明書の請求をする前に
登記事項証明書を請求するためには、「家屋番号や地番」を把握しておきます。
住所と地番が同じエリアもありますが、実際とは違っていることが多いので注意してください。
家屋番号や地番を予め把握しておくためには、法務局以外にも色々調べる方法があるので紹介していきます。
- ブルーマップ
- 登記情報サービス
- 役所
- 公図
ブルーマップ
市役所や図書館、法務局でも見ることができて、法務局の場合は無料でチェックできます。
ブルーマップとは
地図に地番の情報を重ねたマップで、内容の部分が青い色のため、このように呼ばれているそうです。
登記情報サービス
前述した「不動産登記情報サービス」でも地番を調べられます。
まず、IDを発行して貰ってログインしたら、「不動産請求」をクリックして、地番検索サービスへ。
都道府県で検索できるのでクリックして、不動産の住所を開くと地番をチェックできます。
登記情報サービスはブルーマップが基になっているので、ブルーマップに載っていない情報はこちらでは調べられません。
役所
役所は有料になりますが、ブルーマップで地番を調べられます。
また、役所の職員が地番を調べてくれることもあるので、相談してみましょう。
公図
公図はブルーマップより詳しい内容が分かります。
公図は有料ですが、隣の敷地との境界線が正確に分かることで、後々に隣人トラブルとならずに済むでしょう。
公図は法務局や登記情報サービスから取得できますが、請求するには申請書を出さないといけません。
申請書に、名前、住所、所在など書いて「閲覧」か「証明書」のどちらかを選び、図面の選択もします。
閲覧を選んでしまうと見るだけになってしまうので、証明書を選択してください。
申請書に必要な項目を記入して提出したら、公図を入手できます。
過去の証明書の確認の仕方
昔の登記事項証明書を確認したい場合は、どのくらい遡るかを明確にしておくことが大事です。
既に取り壊されている建物でも閉鎖登記事項証明書は取得できます。
通常の登記事項証明書と同様に、オンラインや郵送でも申請ではできますが、既にない建物なので、その物件の詳しい情報が必要になります。
データ化された登記簿なら取得できますが、データで管理される前の情報に関しては書面でしか残っていません。
例えば、30年前に今の所有者が土地を購入して、それより前の所有者は不明なため、誰が持ち主だったか調べたい時、その土地を管轄している法務局へ尋ねて取得することになります。
不明な点があったら不動産会社へ
登記事項証明書で分からないことがあったら、信頼できる不動産会社へ相談すると良いです。
不動産に関して知識が豊富な不動産会社の担当者なら、証明書について詳しく知っているでしょう。
これから不動産の取引をする方は、不動産会社選びは大事になってくるので、一括査定サイトなどで複数の会社に依頼して、色々比較してから選ぶことをおすすめします。
気になる不動産会社の目星が付いたら直接足を運んで、会社や担当者の雰囲気が自分にとって合っているか確認します。
話しやすく、資格を持っている担当者を選ぶようにして、不明な点があったら直ぐに聞けるのが理想です。
まとめ
登記事項証明書とは
不動産の所有権や状況が明確に記録されていて、それを証明するものです。
登記の内容は1つですが、具体的に証明するものは何かで、登記事項証明書の種類を判断します。種類は全部で4つです。
全部事項証明書は、不動産取引など多くのシーンで使われるもの。
権利者が多い共同住宅のマンションなら、一部事項証明書が適しています。
また、現在事項証明書の場合は、金融機関や公的機関で今の状況を証明するために使います。
登記事項証明書は、何を証明するのかで入手する証明書が異なるというもの。
何の証明をしたいのか、どの証明書を取得するのか、取得する方法はどれにするか、事前に確認してから手続きをしましょう。
また、登記事項証明書を取得したら内容をしっかりチェックすることも重要です。
特に抵当権が付いたままの不動産を購入するのは気をつけたいポイントなので、この記事を参考に登記事項証明書を確認してください。
はい!とても勉強になりました!