土地を売却する、あるいは購入するといった取引をするときには、その土地の面積および形状などの詳細かつ正確な情報が必要になります。
そんな土地の正確な情報元として利用されるのが、土地の図面です。
と聞くと、学校の社会科の授業で使っていた日本地図や世界地図などを思い浮かべがちですが、土地売買のときに使われる土地図面はそれらとは全然違い、種類も5種類あります。
土地図面にはどのようなものがあるのですか?
そこで、ここでは、土地の売買契約時に必要となる土地の図面の種類やその取得方法について詳しく説明します。
土地の図面はけっこう奥が深いので、この機会にある程度知っておきましょう。
目次
土地の図面を用意しなければならない場合はどんなとき?
土地の売買をするときに必要なのは、
- その土地の正確な情報
土地の売買は不動産の取引ですから金額も大きくなりますし、土地の売り手と買い手の双方がともに納得・合意する取引が欠かせません。
いい加減な憶測のやりとりでする契約は、あとから『言った、言わない』などといったトラブルにもなりますから、誠実な取引とはいえません。
また、契約時に正確な情報が共有されなかったばっかりに、のちのちに土地の境界線などで隣人とトラブルになるケースもあります。
ですから、土地の売買では売り手が正確な情報を提示し、それを双方で確認・合意をして契約書を取り交しします。
そのときの『土地の情報を正確に示す根拠』となるのが、土地の図面です。
なので、土地の売買契約では、必要に応じて、さまざまな図面を要求されます。
というのも、土地の図面に記載されていることはどれも重要な要素ばかりなので、正確な土地図面のあるナシで売買契約の成約率も大きく変わってくるからです。
なので、まずは土地の図面が必要となる次の5つのケースについて知っておきましょう。
土地の図面が必要になるとき | 内容 | |
1 | 不動産取引 | 土地の価格を正確に把握するため、正確な面積、用途地域や境界線などの確認用として |
2 | 土地評価 | 相続したときの相続税を正確に算出するため |
3 | 土地の分筆(ぶんぴつ) | 大区画の土地を小さく分割し直して登記するため |
4 | 寄付・物納・払い下げ | 土地の寄付、税金の代わりに差し出し、公的土地の払い下げ時の確認用として |
5 | 必要の都度 | 今まであいまいだった土地境界線の作成や確定など |
具体的に説明しますね。
土地の図面が不動産取引で必要な場合
土地の価格は、その土地のある所在地や用途、そして面積によって大きく変わってきます。
人気の路線価エリアの土地、人気の駅周辺エリアの土地は、小さな面積でも割高になるなど、
土地の所在地と面積は、その土地の価格設定(ひいては売買契約)に重要です。
なので、土地売買には、その土地の評価を客観的に示すことができる土地図面を必ず要求されます。
とはいえ、以前は、登記簿などに書かれていた内容での土地売買も可能とされていたのが実態です。
ですが、今のような不動産取引の形態となる以前に測量された公簿面積などは、正確な情報ばかりとは言えないのです。
また、古くからの商習慣が元で、土地売買における隣人との境界線トラブルなども少なからず起きてしまうことも少なからずありました。
そんなトラブルを未然に防ぐために、最近の不動産売買取引では、土地の正確な情報源として土地図面(確定測量図など)を売り主に提示・要求するようになってきました。
特に、土地の売買で要求される図面は、境界線のトラブルを予防する意味合いが強く、同時に境界確認書などの添付も要求されます。
なので、今までにちゃんとした測量などをしていない、正確な図面のない土地を売買するときは、隣家や持ち主に協力を仰いで正確な測量し、確定測量図や境界確認書などを作成しておく必要があります。
土地の図面が土地評価を知るのに必要な場合
土地の評価に欠かせないのが土地の図面。
というのも土地の図面は、その土地の時価や実勢価格を知るのに必要な情報ばかりだから。
なお、土地の『時価』とは、不動産取引で実際に売買された価格のことをいいます。
ですから『実勢価格』とはいい方が違いますが、意味合いとしては一緒です。
ただし、土地の実勢価格は、実相場と比較したときには価格帯が違うこともあります。
土地の実際の売買契約では、売り手と買い手の事情がそれぞれある中で取引されますから、実相場とは乖離した価格で契約成立するケースもあるからです。
たとえば、買い手側に諸事情があって、その土地を何が何でも購入したいときや、他の土地で代替えできないケースなどは、実相場で取引されている価格よりも高く契約することはよくあります。
逆に、売り手側でその土地を早急に売却したいといった特別な事情がある場合は、実相場で取引されている価格よりも安く契約締結できることもあります。
なので、土地の時価や実勢価格は、あくまで取引の目安です。
なお、一般の人が土地売買や資産の評価をするときには、「公示価格」や「路線価」などを用いて客観的な目安とすることが多いです。
土地の図面が分筆(ぶんぴつ)で必要な場合
土地の分筆とは、
- 登記上で「一筆(いっぴつ)」とされている土地を分割して登記し直すこと
ここでいう「一筆(いっぴつ)」とは、土地の数を示す登記登録上の単位のいい方です。
ですから、一筆は一つの土地のことをいいます。
この一筆の土地を小さく分けて登記し直すのが分筆です。
平成17年3月に新不動産登記法及び関連法が施行されたのを機に、土地の分筆をするときは、
- すべての土地と、隣の土地の持ち主との境界線確認書を作成する
ことが義務付けられました。
そして、分筆した一つの土地ごとに登記をするようにもなりました。
なお、土地を分筆して新たになった土地には、新たな「地番」が割り付けされ、その土地の登記記録も新たに作成されます。
このとき、『地図または地図に準ずる図面(公図)』が必要となり、その情報を元に分筆された土地の境界線が記載されます。
たとえば、土地を分筆するのは次のようなケースです。
- 土地の一部を売買することになったとき
- 土地の一部の地目が異なるとき
- 相続した土地を相続人で分割して保有するとき
- 共有していた土地を分筆し、単独所有に切り変えるとき
- 銀行の融資ローンなどを利用して家を建てるときに、利用しない土地を分筆して抵当権設置を回避したいとき
逆に、数筆の土地を合わせて一筆に変更登記することもできます。
これは「合筆(がっぴつ・ごうひつ)」といい、分筆と同じように『地図または地図に準ずる図面(公図)』が必要になります。
土地の図面が寄付・物納・払い下げで必要な場合
以下のような、
- 土地を寄付する
- 相続税をお金で納める代わりに土地を物納する
- 公的な土地を民間に払い下げる
といった場合でも土地の図面は必要で、それを元に土地価格を算出し評価する必要があるからです。
また、寄付・物納・払い下げをするときは、通常の土地売買契約と同じく土地所有者の変更手続きも必要ですから、確定測量図(境界線確認書付き)は必要になります。
ですが、このとき、過去に正確な測量を未実施の土地は、新たに確定測量図を作成しなければなりませんから、それだけでかなりの時間を必要とします。
また、相続税をお金で納める代わりに土地の物納で行うときは、その土地の現状や測量図と登記内容が同じでなければダメなのです。
なので、相続税をお金で納める代わりに土地を物納したいと思ったら、両親などが生きているうちに測量を済ませておかないと、納税する期限に間に合わなくなることもあります。
いずれにせよ、上記のような場合は、正確かつ公的に登記された土地の図面が必須だということです。
土地の図面は必要の都度要求される
土地の売買契約をするときは、前出のとおり必ず土地の図面を要求されます。
ですが、古い土地売買で使われた公図や現況測量図などは、実際の土地境界線や面積が正しくないことも多いものです。
なので、新たな土地売買をするときには、境界線などをあらためて再確定するために測量をし、正しい確定測量図と境界線確認書の添付を要求されるケースが増えてきています。
とはいえ、すでに住んでいる土地や、古くからある土地などであらためて境界線を確定させるには、その隣の土地を保有する持ち主の協力が不可欠です。
また、測量自体にも相応の作業時間は必要ですし、境界線の確定となるとその双方確認の期間だけでも長い時間がかかります。
ですから、土地の売却、特に相続税を現金ではなく相続する土地の物納でしたいと考えているのなら、早めに測量などをしておいたほうが良いのです。
また、最近の土地売買契約では、買い手や仲介業者側が土地購入後の境界線トラブルを避けるために、売り手に確定測量図や境界線確認図を要求することがほとんどです。
ですが、この境界線を確定させるためには、他の隣接する土地の持ち主と双方確認のうえ合意し、両者の印鑑取り交しが必要になります。
つまり、日頃からご近所の方と上手なコミュニケーションが取れていないとダメなのです。
逆に普段から隣の家の人と仲が良くなかったり、近隣トラブルを抱えたままだと、境界線の確定をするときに協力・合意・押印してもらえないことも考えられます。
実際に、
- 土地を売買するために測量を開始し、合意してもらう段階になってから、ご近所トラブルが原因で土地売却を断念した
といったケースも本当にあります。
ですから、今ある土地の測量があやふやだったり、確定測量図や境界線確認図がない状態の土地があるのなら、普段から上手なご近所づきあいをして、いつでも協力してもらえる関係づくりをしておいたほうが良いです。
土地の図面が必要になる時は、以上のような場合です。
特に、親から相続をしたさいの相続税を、現金ではなく相続する土地の物納でしたいと考えているのなら、早めに測量などをしておいたほうが良いでしょう。
そのような場合に必要となってくる土地の図面には、次のようなものがあります。
土地の図面には次にあげる5種類が存在する
土地の図面には次の5つがあります。
勉強になります!
土地の図面種類 | 内容 | |
1 | 地図 | 不動産登記法14条で定められた地図 一般的な地図と違い「法14条地図」といわれる 地籍調査などで確定した境界線などが記載されている |
2 | 公図(こうず) | 明治時代の地租改正でつくられた図面 境界線の正確性や精度は法14条地図に比べるとかなり劣るため、おおよその目安として用いられるだけ |
3 | 地積測量図 | 土地の面積を正確に測定した図面 分筆や地積更生のときに用いられる |
4 | 現況測量図 | 土地所有者の主張する境界線に基づき実施された測量で作成した図面 |
5 | 確定測量図 | 境界線が最も正確に記載された図面 隣の土地の持ち主立会いで境界線を確定し、両方の土地の持ち主が合意し押印した境界確認書に基づいて作成した図面 |
具体的に解説します。
土地図面の種類その1・地図(法14条地図)
現在登記所に登記され備え付けられている地図で、不動産登記法第14条の規定に基づいて作成された地図をいいます。
法14条地図は、筆ごとの土地を正確な測量に基づいて作成し、土地の区画と地番が明確に表示された地図のことで縮尺も次のように定められています。
法14条地図の縮尺
市街地地域 | 250分の1、または、500分の1 |
村落・農耕地域 | 500分の1、または、1000分の1 |
山林・原野地域 | 1000分の1、または、2500分の1 |
なお、測量にあたっては、三角点、基準点を基準として実施・記録します。
また、正確な測量が未実施の土地は、課税用に作成された土地台帳付属地図等を「地図に準ずる図面」として代用的に用いることもあります。
法14条地図は、その土地の現況や面積、範囲までを正確に確認でき、公にも認められた情報です。
たとえば、何らかのアクシデントで土地の境界杭が抜かれてしまって、部分的に境界線がわからなくなった状態でも、法14条地図さえ残っていれば、正確な境界線や境界杭をスグに復元することができます。
法14条地図については、下記で詳しく説明されています。
参考:公益社団法人 全日本不動産協会「14条地図」
土地図面の種類その2・公図(こうず)
公図とは、登記された土地の一筆ずつに『地番の記載と区切り線』があり、土地の形状もある程度わかるように書かれた図面で、『法14条地図に切り替えられる前の古い図面』といえます。
ただし、古いとはいうものの、その土地の形状とか位置情報については、ある程度の精度でまとめられた図面です。
なので、今でも法的に利用すること自体は認められていて、『旧土地台帳施行細則第2条の規定に基づく地図』として、
不動産登記法_第14条_第1項に規定する地図
不動産登記法_第14条_第4項に規定する地図に準ずる図面
となっており、登記所で申請さえすれば誰でも閲覧可能です。
なお、公図のほとんどは、明治時代に行われた地租改正のときに作成・整備されたものばかりです。
また、明治時代の地租改正に基づくデータが多いので、当時の測量技術では正確な図面づくりは難しかったからか、現在の法14条地図とは違う部分が多々あります。
ですが、公図のほかに土地の形状や位置の詳細がわかる図面のない土地は、今でも法14条地図の代わりに公図が土地を把握する一資料として使われることもあります。
法14条地図がないのなら、公図を使うのも止むなしという感じですね。
なお、現在は『地籍調査』がすすみ、公図から法14条地図への切り替えが、全国的に進められています。
ですが、その進捗率は未だに52%程度です。(平成30年度末時点)
つまり、今でも日本で公用に使われている地図の4割以上は、依然として明治時代の地租改正のときに作成・整備された公図が使われています。
なので、現在の正確な土地面積や形状とは、およそ違うコトもあるのです。
また公図は、隣接する土地同士の境界線などが、作成時に間違えて書かれたままになっていることもあります。
なので、公図だけでは、その土地を確認する際の『目安』としては使えるものの、土地の売買契約などを取り交わしには使えません。
- 公図は間違ってはいないかもしれないけど、正確な情報とするにはいささか不安…
とみなされているのが今の現実だからです。
土地の売買契約では、取り交わす金額自体がかなり高額となりますから、公図ではなく正確な測量を行った結果をまとめた法14条地図などを要求されるほうが多くなっています。
土地図面の種類その3・地積測量図(ちせきそくりょうず)
地積とは『土地の面積』、なので地積測量図とは、
- 正確な『測量』を行って『地積(土地の面積)』を正確に割り出した図面
であり、前出の公図より地積測量図のほうが正確とみなされます。
前出のとおり、公図は間違ってはいないかもしれないけど、正確な情報として不確実要素が多いからです。
また、昔から土地を所有する地主の中には、公図の情報を根拠に『土地の境界線の正当性』を主張するケースがあります。
ですが、公図よりも正確とみなされるのは『地積測量図』ですから、このようなときに根拠として用いられるのは地積測量図です。
なお、『法14条地図』と『地積測量図』だと、どっちが正確なのか?というと、これはどちらも正確で、ただ用途が違うというだけ。
地積測量図は、『一筆の土地部分』だけを正確に測量していますが、それはあくまで一筆の土地部分だけで、隣接する土地については、
- 地積測量図では『地番』のみ記載されている
ので、それだけでは隣接する他の土地との位置関係が情報不足になることもあるのです。
一方の法14条地図は、その土地を含む地域全体を表示していますから、隣接する土地との位置関係なども正確に把握できますから、
- 法14条地図にある一筆の土地ごとに地積測量図がある
と考えても良いでしょう。
そんな地積測量図に記載される各項目は、次のとおりです。
1 | 地番と区域の名称 | 土地の所在を表す 右上一段目に地番があり二段目に所在地 |
2 | 方位 | その土地の方位記号を記載 方位記号の矢印の先が北を指すよう調整・作成 |
3 | 縮尺 | 250分の1の縮尺で作成 縮尺は右下に記載 巨大な土地の場合は500分の1の縮尺で記載、または1ページ目に土地形状、2ページ目に求積表と分割して記載 |
4 | 当該地の地番、および隣接地の地番 | 当該土地を中心に、地番と隣接地ごとの地番をすべて記載 隣接地ごとの境界線に『ヒゲ線』を記載し、おおまかな位置関係を示す |
5 | 地積およびその求積方法 | 土地の面積である地積と、その求積方法を記載 図面の左側半分に地積を求めた座標求積表という表を記載 |
6 | 筆界点間の距離 | 筆界点間の距離を単位mで記載 「筆界点」とは「境界点」のこと 最低でも小数第2位(センチ)まで表記される |
7 | 国土調査法施行令2条1項1号に規定する平面直角座標系の番号又は記号 | 全世界共通で位置を特定することが可能な座標系『世界測地系』の記載 作成者ごとに原点が異なる座標系『任意座標系』を記載 |
8 | 基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値 | 境界点(筆界点)の座標値を必ず記載 単位はmで、少数第3位(ミリ)まで記載 |
9 | 当該境界標の表示 | 土地に埋設された境界標識がある場合は、その標識が金属標なのか、コンクリート杭なのか、金属鋲なのか、プラスチック杭なのかを記載 |
10 | 測量の年月日 | 「測量年月日」として測量を実施した日付を図面内に記載 作成者の住所・氏名・作成年月日(通常は土地家屋調査士名を記載) 申請人(土地所有者)氏名の記載 |
以上のとおり、の作成においては『不動産登記規則77条』などで記載項目の制約が設けられていますから、法的にも担保された内容で記載されます。
なお、昭和52年の地積測量図法改正以前は、現在のように『正確な境界線』や『座標系』などの測量・記載義務がありませんでした。
したがって、それまでの地積測量図はただ単に土地の面積だけが書かれているなど、隣接する土地との境界線が不明瞭なモノも多くあります。
また、平成17年以前までは、土地を分筆する場合に分筆する部分だけを測量し、残りの土地の面積は引き算で求める方法でも認可されていました。
このため、正確性にやや欠けている地積測量図が、今も多くあることは否めません。
現在の地積測量図は、GPSなどを駆使した最新技術で測量されています。
更には、世界基準座標による境界線も記載が義務付けられていますから、正確な境界線の復元がいつでも可能な、とても精度の高い図面です。
つまり、地積測量図は、
- 作成された時代によって精度が大きく異なる場合もある
ことを頭の片隅に入れておきましょう。
土地図面の種類その4・現況測量図
現況測量図とは、その土地の所有者が独自に測量を依頼し製作をした土地の図面です。
なので、土地の境界線などは、その土地所有者の過去の記憶や判断に基づいて作成されています。
つまり、隣接地との境界線などについては、その土地所有者の了解・合意を得ないまま測量をすすめ、独自に製作がなされた可能性が極めて高い図面だということ。
また、一般的には、ブロック塀の位置や、水路などについても記載されていますが、現況測量図の場合はかなりアバウト的な要素が強くなります。
というのも、その土地の所有者が「土地の境界はココだったはず」という、確かな根拠のない憶測をもとに、土地家屋調査士や測量士などの専門家に作成を依頼して製作する測量図だからです。
ですから、現況測量図だけでは、土地の売買契約に利用することはあまりありません。
ですが、住宅を建てるときの建築確認申請では、地積測量図がないときの代替えとして現況測量図を添付することもあります。
土地図面の種類その5・確定測量図
確定測量図の場合は、現況測量図と違って、
- 土地の境界線を隣接する地主と双方確認・合意をした測量図
土地には『境界』があり、その境界線で隣接する土地や道路との線引きが明確になっています。
一般的にそれらの境界には、石や金属、プラスチックなどでつくられた境界杭(境界杭)を埋め、その杭によってそれぞれの土地の境界線を区分けしています。
このような『正確な境界線の有無が明確である』ことは、土地の売買契約では非常に重要です。
というのも、土地の価値や価格は『その土地の広さ』に比例するから。
従って、隣接する地主の立ち合いを経て境界を確定させている確定測量図には、とても価値があります。
もちろん、確定測量図の作成は、
- 境界線や境界点を地主1人だけで確認しない
- 土地に隣接する土地があれば、その地主と境界線や境界点を双方確認・合意する
- 土地に道路が隣接する場合は、その道路を管轄する行政管などが立ち合いをして双方確認・合意する
ことが前提条件となります。
そして、測量士や土地家屋調査士などの有資格者が測量図を製作し、隣接する地主および行政も確認・合意したうえで署名・押印をし、確定測量図は完成します。
つまり、確定測量図のない土地は、その土地の境界を隣接する地主(複数の場合もあり)や、隣接する道路を管轄する行政に確認や承認を得られていない土地である可能性も否めないということ。
そのような土地は、売買契約後の隣人トラブルにも発展しかねませんから、確定測量図のない土地を購入するときは要注意です。
注意します!
土地の図面が実際に必要になった場合に取得する方法
新たに土地の図面が必要となったときは、
- 法務局に現在登記されている土地図面の種類を確認し実際に取得してみる
ことから始め、記載事項を詳細まで確認しましょう。
そのうえで、すでに登記された土地の図面が、土地の売買契約にそのまま使える種類なのかどうかを判断しなければなりません。
土地を管轄する法務局の調べ方
まずは、土地を管轄する現在の法務局を調べましょう。
- 法務局に直接電話する方法
- インターネットで検索する
電話の場合は、土地の近くにある法務局に電話をし、土地の図面が欲しい土地住所を伝えれば、管轄の法務局を教えてくれます。
インターネットで検索する場合は、法務局のホームページに全国の法務局の住所と電話番号が乗っていますから、そちらで検索をしてみましょう。
土地の図面取得にかかる手数料とは?
法務局で土地図面を取得するときは、次の手数料がかかります。
土地の図面取得方法 | 1通あたりに必要な手数料 |
法務局の窓口で申請し、直接受け取る | 450円 |
事前にオンライン請求を済ませ、窓口で受け取る | 430円 |
オンライン請求し、郵送で受け取る | 450円 |
オンラインでPDFデータを取得する | 365円 |
手数料は1通ごとですから、隣接地の家や周辺道路などの図面が必要な場合は、それぞれ別に申請・取得をしなければなりません。
なので、すべて取得する場合は、想像以上に手数料がかかることもあります。
また、土地の図面取得には、
- 正確な住所と地番が必須
どうしても住所や地番があいまいでワカラナイときは、法務局のブルーマップ地図などで正確な住所と地番を確認しておきましょう。
まとめ
土地の図面が必要となる時は、
- 土地の売却をするとき
- 土地を寄付するとき
- 土地で税金を物納するとき
それ以外で土地の図面は、まず必要ないモノといっても良いでしょう。
とはいえ、上記のようなタイミングは突然やってくることもありますし、そもそも法的に通用する土地図面の作成には時間もお金もかかります。
ですから、何らかのかたちで土地の図面が必要になりそうなら、まずはその土地の登記された法務局、あるいは現在管理・管轄していると思われる法務局に連絡をしてみること。
正確な住所や地番がわからなくても、管轄する法務局であれば何とか情報は共有できますし、職員の人に事情を伝えれば、おおよその住所でもスグに調べてもらうことはできます。
そのうえで、土地図面を作成する必要性などをあらためて検討すべきです。
土地の図面を取得するには大変な面や時間がかかる面のですね。
必要になりそうだと思ったら、早め早めに行動することを心がけておきましょう。