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廃墟不動産投資とは何か
廃墟といえば、誰も住んでおらず放置されて荒れ果ててしまったような建物や集落などのことがイメージされるでしょう。
昨今では、廃墟の中でも特に空き家をターゲットにした廃墟不動産投資というビジネスが注目を集めているのです。
不動産投資というくらいですから、実態は廃墟を借り上げたり購入したりして利益を出すビジネスの一種になります。
一般的な不動産投資といえば、中古物件を購入して部屋を貸し、その家賃収入で収益を得ていきますが、廃墟不動産投資も仕組みとしては基本的に変わらないのです。
異なっているのは、物件が中古アパートやマンションではなく廃墟となっている家屋であることです。
購入する場合でも数万円から数十万円程度で済みますし、借り上げであれば用意すべき費用は少なくて済み、その廃墟物件が満室になった場合の約8割強の賃料を支払うことで、1棟まるごと借り上げてしまうケースもあります。
そして必要なリフォームなどを行い、第三者に部屋を貸し、手賃料収入を得ていきます。
もとは廃墟だっただけに、所有者もその取り扱いに困っていることが多く、購入や借り上げを申し出るとむしろ喜ばれることも多いようです。
ですから建物のリフォームや使い方などはかなり自由がきくと言われており、それが借りたい人のニーズに合致して収益化できるというわけです。
これまで物件の売買あるいは賃貸といえば、仲介として不動産会社が間に入ることがほとんどであり、査定を経ていわゆる適正価格と呼ばれる値段を提示し取引が行われてきました。
不動産会社としても仲介手数料収入を念頭に置く必要があるので一定以下の価格になることはなく、購入物件としても相応の価格になっていたのです。
しかし、廃墟不動産投資の場合は、不動産会社でも査定できないくらい荒れた物件になるので所有者も持て余していることが多く、そこに購入あるいは借り上げたい旨を申し出ることで個人間取引が盛んになっていったという背景があります。
仲介手数料も必要なく、不動産会社の思惑も存在しませんから、価格だけではなく用途に関しても自由になる範囲が広がったのです。借り手と貸し手との間柄も廃墟不動産投資では従来とは激変しています。
これまでであれば、客となる側に対して過剰なほどのサービスを提供したり、丁寧な接客をしたり最大限のもてなしをしてきましたが、廃墟不動産投資の場合はお互いの立場が同等な中での話し合いになることがほとんどです。
貸し手は持て余してきた物件がお金になるメリットがあり、借り手は自由度の高い物件を手にして転貸し家賃収入を得られるメリットがあります。
双方がバランス良くメリットを得ることができるので、そこにパワーバランスは存在しないと言ってもいいでしょう。
したがって、取引自体もフェアになるのです。
また物件についても、もとが廃墟で借り手が環境を整える必要があることから、ある程度借り手にとって自由度の高い物件にすることができるのです。
不動産会社の介入 | 所有者との取引 | 金額 | |
借り上げ | なし | 貸借 | 家賃の50%など |
買取 | なし | 直接買取 | 無料または数十万円 |
廃墟不動産投資のメリットとは
初期費用が少なくて済む
前述の通り、廃墟不動産投資の大きなメリットとして、一般的な中古物件を購入するより初期費用をはるかに抑えることができる点が挙げられます。
元手が少なくて良いのはいいのですが、廃墟を人が住める程度にはリフォームしなければなりません。
業者を入れて大がかりな工事をしてもいいですし、自らDIYによって構想通りの建物として生まれ変わらせてもいいのです。
廃墟不動産投資の場合は後者のケースが非常に多く、時間をかけて借り手が自ら建物を復活させることが非常に多いようです。
そうすることで、リフォーム費用も抑えることができます。
もちろん、廃墟だからと言ってどのようにリフォームするのも用途も完全に自由というわけにはいきません。
そこは貸し手である所有者とよく話し合った上で、どのような用途で使いたいか、そのためにはどのように手を加える必要があるか、費用目安はどれくらいで借り手である自分が捻出するといったことがらをよく理解しあう過程が欠かせません。
優良物件であることが多い
不動産投資といえば中古物件や新築物件といった居住用建物が対象になってくるので、投資家もそれら不動産に投資することがほとんどです。
つまり、廃墟は最初から投資の対象になっていないことが多いのです。
しかし、実は廃墟というだけで立地条件の良い優良物件であることも多々あります。駅から近かったり庭や駐車スペースなど敷地が広かったりするなど、住む人にとって快適な環境が揃っていることは少なくありません。
ただし廃墟であるために、誰も手を付けようとしなかっただけなのです。おのずとライバルは少なくなり、初期費用が高騰することもないでしょう。
人気があるエリアにある廃墟であれば、人気物件に生まれ変わる可能性も大きく秘めているといえます。
入居者を順調に集めるためのコツ
廃墟は条件が悪いことを前提に考える
新築物件や中古物件に比べると、廃墟は最初から条件が悪いことが明白です。
いくら立地が良くても、建物自体が老朽化して住める状態ではなかったり外観が古く汚すぎたりしますし、建物内部としても部屋は住める状態ではないことが多々あるからです。
つまり人が集まらない物件だからこそ廃墟になっているのです。
現在、借り手よりも賃貸物件の方が多い供給過多の状態であることからも、新築物件や中古物件と同じ土俵で闘っても入居者を集めることは簡単ではないでしょう。
やはり建物としての廃墟は、まだ住むことができる物件に比べると劣ってしまうので、なんらかの形で特徴ある再生をし、オリジナリティを持たせることが重要になってくると考えられます。
廃墟再生後のターゲット層は誰か
次に考えるべきなのは、オリジナリティある物件を必要としているターゲット層は誰かということです。
アパートやマンションはすでに供給過多だと言われているなかで、どうすれば再生した部屋を借りてくれる人を集めることができるのか、検討しなくてはなりません。
そこで注目したいのは、入居者が抱える、困っていることや制限を受けていることです。
例えば楽器を演奏する人は練習するためにスタジオなどに出向かなければいけず、毎回レンタル料を出費します。
自宅で練習できれば一番良いのですが、賃貸物件で防音仕様の部屋となると、賃料だけでもばかになりません。
そこで廃墟の各部屋を防音仕様にして、楽器可としてしまう方法が思い浮かびます。
そうすれば、今まで楽器練習で困っていた人達は喜んで借りてくれる可能性が高くなるのです。
同様に人々の困り事を解決することを念頭におけば良いという視点からいえば、部屋の審査に通りにくい単身高齢者の入居を可能にしたりシェアルームOKとしたり、ペットとの同居や部屋の内装のDIYを認めたりするのも一案です。
一般的な賃貸住宅では叶いにくいことを叶えてあげれば、自ずと関心を持ってくれる人が出てくるでしょう。
どうやって入居者を集めるか
廃墟をどのように活用するかおおよそのイメージが固まったら、次にどうやって入居者を集めるか考えてみましょう。
どうやって入居者を集めたらいいのでしょうか?
リフォームも住み人が住める状態であれば、一般的には不動産会社に依頼して入居者募集する流れになります。
もう1つの方法としては、アパートやマンションを1棟ずつまわり、各戸にチラシを配るやり方があります。
廃墟を楽器可の物件にリフォームしており、楽器所有者を入居者として集めたい場合、まずは自分の物件の周辺に防音仕様のアパートやマンションがないか調査しましょう。
ライバルがいないか少ないとわかったら、楽器演奏可である旨をアピールしたチラシを各戸に配布していきます。
狙い目は学生街ではないでしょうか。
中学高校時代から続けてきた楽器を大学に入ってからも演奏しているが、練習場所がないために仕方なく近所のカラオケ店などで自主練習している、といったケースは案外多いからです。
このほか、単身で居住する高齢者をターゲットにしている場合は、市営住宅などにチラシ配布するか新聞の折り込みチラシを活用してみましょう。
高齢者は一般的な賃貸アパートでは断られることが多いことから、最終的に家賃も安く入居可能な市営住宅に入居するケースが見られます。
同時に、年齢が上がるほど新聞を購読している割合も高くなるので、チラシ配布や折り込みチラシが効果的なのです。
工夫とアイデアと少しの努力で、自分の廃墟不動産にも入居希望者が現れることが期待できるでしょう。
廃墟不動産投資のリスク
廃墟不動産を購入する場合は完全に自分のものになりますから問題はありませんが、借り上げる場合の所有権は廃墟の所有者にあることを今一度確認しておきましょう。
所有権が所有者にあるということは、借り上げたとしても自分の自由にはならないということなのです。
勝手にリフォームしてはいけませんし、それが修繕であったとしても基本的に毎回所有者の許可を得る必要があります。
投資としてのリスクではありませんが、自由度に関するリスクは存在するわけです。
もう1つのリスクとしては、廃墟の所有者が、借り上げた廃墟を修繕・リフォームして貸し出す案を現実的だと思わない点にあります。
そもそも廃墟ですから所有者本人が自ら用途を見出せず放置している状態です。
それを直して貸し出し賃料収入を得るといった話は、所有者には甘い話のように聞こえるかもしれません。
所有者が提案に許可を出してくれなければ、そもそもビジネスは始められませんから、事前に計画書や根拠のある見込み、活動内容などをしっかり整理して、所有者に安心納得してもらえる根回しも重要です。
考え得るリスク | 対策 |
空き家が自分のものにならない(貸借の場合) | 予め許可の必要な事柄をリストアップし、所有者からOKをもらう |
所有者が投資物件として現実性を感じない | 計画書や見積書などを用意し説得力を持たせる現実的な数値を根拠立てて説明する |
所有者が甘い話として疑う | 現在運用されている他の廃墟投資例を紹介する |
居住者の退去を防ぐための方法
居住者の退去を防ぐにはどうしたらいいでしょうか?
ひとたび入居してくれる人が現れたら、あとはいかに長く住み続けてもらえるかが重要なポイントになってきます。
居住者の退去を防ぐためにどういう方法があるのか考えたとき、つい頭に浮かんでしまうのが、入居基準を厳しくして長く住んでくれそうな人を選ぼうという気持ちではないでしょうか。
書類を何種類も用意してもらったり人物考査をしたり、多くの約束事を設けたりしたくなるかもしれません。
しかし、これでは普通の賃貸物件とさほど変わらなくなってしまいます。
一般的な物件よりも自由度が高かったり入居のハードルを下げたりして入居者を集めるはずだったのに本末転倒になってはいけません。
もっと違う視点から退去を防ぐための動きをとってみましょう。
高齢入居者との適度なコミュニケーションは大事
もし、単身の高齢者を積極的に受け入れることを考えているなら、高齢者だからこその対応を心がけてみましょう。
単身の高齢者は年齢的に寂しさを感じやすく、横の繋がりに不足しているケースが非常に多く見られます。
このため、できるだけ関心を寄せてあげるようにするといいでしょう。
家賃を毎月払ってもらうだけではなく、できるだけ物件に立ち寄り各戸の入居者に声かけをしていくのも良い案です。
最初はよそよそしかったとしても、徐々に信頼関係が築かれていき、入居者も安心して気持ち良く暮らしてくれるはずです。
体の調子はどうか、暑くなってきたがちゃんと水分補給をしているかといった心の交流は非常に大切なのです。
ただし、単身高齢者の場合は万が一のことが起こるリスクもあるので、緊急連絡手段の設置などできる限りの対策を取っておくことが大切です。
学生入居者には日々の挨拶が心の繋がりに
同じくちょっとしたコミュニケーションが退去を防ぐ要素になり得るのが大学生層です。
若い年齢層の場合、積極的に声かけされたり話しかけられたりすると、面倒だと感じて敬遠されてしまいかねませんので、挨拶に留めておきます。
おはようございます、お帰りなさいといったちょっとした挨拶を続けていくだけでも、若者は気持ちを許していってくれるでしょう。
特に女子学生の場合は、親が安心してくれることに繋がるはずです。
学生は部屋の内装や間取りも気にしますので、ハード面とソフト面の両方を整えてあげれば、短期間で退去される可能性は低くなることが考えられます。
廃墟の運用事例
廃墟の実際の運用について紐解いてみましょう。
廃墟を対象とした投資は徐々に人気が高まりつつあり、中には1人で複数の物件を所有している人もいるようです。
例えばこのような物件を所有し改装を行っている例があります。
物件 | 実際の条件 |
築年 | 昭和30年代 |
構造 | 木造平屋建 |
立地 | 都心部から電車で2駅 |
価格 | 100万円 |
エリアによっては200万から300万円、あるいは無料という物件もあります。
こういった廃墟を借り上げあるいは購入し、敷地に余裕がある場合は庭を造ったり畑にしたりして、住環境を整えている例も見られます。
購入の場合はいくらで買うかにもよりますが、戸建ての場合はできる限り環境を整えれば倍近くの値でも売れる可能性があるため、事前にしっかりと手入れを行ったり設備投資したりする人が多いようです。
賃貸物件を複数持っている人の場合では、家賃収入だけで月に数十万円ずつ入金されていく例もあります。
物件購入と改装の費用として500万円を金融機関から借り入れた場合、返済期間を30年とし金利が1%とすれば月1万数千円の返済で済むことになります。
このくらいの金額であれば許容範囲ではないでしょうか。
その一方で入居者が集まるようになれば賃料収入が入ってきますから、投資する側としてもプラスになりますし、安価な家賃設定にしたとしても十分ペイできます。
入居者にとってもメリットは大きくなります。
一般的に収入の大半を家賃が占めるものですが、その家賃が割安であるほど生活は楽になり感謝されることでしょう。
廃墟を活用するということは、自分自身の利益になるだけではなく入居者のメリットにも繋がってくるのです。
空き家の見つけ方
空き家を探そうと思ったら、まず見てみるのが不動産会社のホームページではないでしょうか。
しかし、不動産会社で取り扱っている空き家は、すぐに住めるよう内部が片付けられており、古くても建物として機能する住宅になります。
求めているような廃墟が見つかることはないと考えて良いでしょう。
現在、廃墟不動産投資は徐々に人気が高くなっていることから、ニーズは十分にあることがわかります。
そこで廃墟情報が交換されているのがインターネット上の地域掲示板なのです。
なぜ地域掲示板だと見つかりやすいかといえば、やはり不動産会社で掲載する物件に比べて明らかに居住向けではないからです。
荒れ果てていたり外観が古すぎたり部屋の床も抜けかかったような廃墟を載せるわけにはいきません。
しかし、所有者もその扱いに困っている廃墟には、敷地の荒れや建物の崩れだけではなく残置物がそのままになっているケースが多々あるのです。
ですから、不動産取引の流通に載せるのではなく、欲しい人は買って欲しいというニーズを発信する掲示板が有効活用されているのです。
こまめにチェックしていると、欲しい廃墟物件が見つかる可能性は多いにあるでしょう。
廃墟の売買例
売る側の意識とは
廃墟を売る人というのは、所有する建物を持て余していることが多く、どう処分すればいいのか売っても売れるものなのか迷いながら解決策を求めている傾向があります。
値段は付かないだろうと判断し無料で譲る、という例もたびたび見られるのです。
値を付けて売りに出されている物件の中でも、通常なら高額であろう別荘地の建物が破格値で売られていることもあります。
通常の不動産取引を行っても売れる可能性はありますが、それよりも建物や庭などを整える時間や費用がなかったりできるだけ早く手放したい事情があったりして、破格値で売りに出していることもあるのです。
廃墟の売り出し例
実際にどのような廃墟が売りに出されているのでしょうか?
ここではいくつかの事例をあげていきます。
物件 | 実際の条件 |
売り出し理由 | 転勤で物件管理ができないため格安で譲りたい |
構造 | 木造二階建て3LDK |
価格 | 50万円 |
状態 | 荒れ具合が激しい廃墟 |
上記物件は、所有者が転勤によって物件を直したり維持管理したりしていくことが困難になったことが売却の理由になっています。
荒れ果てた廃墟であるものの、二階建ての3LDKを50万円で購入できるとしたらかなりのお得物件になるのではないでしょうか。
物件 | 実際の条件 |
買取理由 | 物件を複数所有しているため当該物件を手放したい |
構造 | 木二階建て延床面積約138㎡ |
価格 | 90万円 |
状態 | ペットの多頭飼育崩壊履歴あり物件内はかなり荒れている状態ライフライン完備 |
多頭飼育崩壊ということは、動物の引っ搔き傷や糞尿の跡が残されていることが想定されます。
しかし、建物そのものは崩壊しているわけではなくライフラインは完備されているため、古家付き土地として再生させることを考えれば90万円という価格は格段に安いといえるでしょう。
買う側の意識とは
不動産は資産運用の対象として非常に一般的であり、購入する人は土地や家を賃貸物件にして賃料収入を得ることを目的としていることが多い傾向にあります。
しかし、昨今の購入者は目的が若干異なってきているようで、自分自身でDIYを行い自由に改装するなど楽しみの対象として買う人もいるといわれています。
ある程度満足するまでDIYを楽しんだら、その後は売却してお金にするという考え方です。
実際、廃墟同然の物件を無料で譲りたいという申し出に対し、希望者が殺到して競り合いになり数十万円の値がついたこともあったようです。
廃墟だからこそ自分の自由にしていい、という自由さの極致にある物件だからか、まるでおもちゃを手にするような高揚感がそこには存在するのでしょう。
もちろん、物件をできるだけ安く買い取って改装し、賃貸物件として貸し出すことを目的とした人の方が多くなってきているかもしれません。
実際にこのような募集広告も出されています。
- 戸建てやアパート買取希望
- どんな古家でもOK
- 廃墟もOK
- 不動産の処分に困っている方は声かけを
- 再建築不可物件でもOK
この場合の目的はやはり賃料収入にありますので、いらない物件があれば譲ってほしいというスタンスで上記のような広告を出すこともあるようです。
廃墟借り上げ・購入の方法
廃墟の借り上げや購入は、不動産会社を通して行われることはほとんどないようです。
基本的には廃墟の所有者と購入希望者とが個別に話し合い、条件合意にいたったら物件を借り上げるか金銭を支払って購入するかという流れになります。
借り上げの場合は所有者にもメリットがなければいけませんので、毎月の家賃収入のうち一定割合を所有者に支払ったり契約時に一括支払いで借り上げたりと、いろいろなケースがあるとされています。
購入の場合は代金を支払えば終わりですが、所有権移転登記を行う必要があるので司法書士に依頼して手続きを済ませる必要があります。
廃墟も火災保険への加入は必要か
現在も人が居住している家の場合は、さまざまな自然災害から家を守るために火災保険に入っておく必要があるでしょう。
起こり得る災害としては、火災や水災、風雪災害などがありますし、それ以外にも家の破損や盗難などにも備えておかなければなりません。
人が住んでいればリスク対策をするのは当然と考えられますが、人の住んでいない廃墟の場合も同じように火災保険による備えは必要なのでしょうか。
空き家にも災害リスクはある
相続で廃墟となっている空き家を受け継いだ場合について考えてみましょう。
相続したのはいいけれど、長年空き家だったことから建物も土地も荒れ果てて廃墟のようになっていたら、運用のしようがありません。
ただ持て余すだけになりやすいのです。
このように廃墟化した空き家は資産価値が低いため基本的に運用を考える人は少なく、今後も人が住む可能性が低いことが想定されます。
しかし、自然災害や火災、盗難などによる被害を受けるリスクは人が住む家と同等にあるのです。
もし何らかの災害が起こり、それによって家屋が倒壊したり破損したりした場合、残存物を片づけたり家屋を取り壊したりする必要も出てくるでしょう。
そのための費用は決して少ないものではありません。
空き家であるために維持管理が適切に行われていないことが多いので、廃墟化するほどリスクは大きくなるのです。
このことから、たとえ空き家であってもその資産価値にかかわらず火災保険には加入しておくべきだといえます。
火災保険の仕組み
火災保険とはどういうものなのでしょうか。
火災保険は、火災を始めとするさまざまな自然災害などに備えた保険になります。
ただし、以下のような条件によって加入できるプランや料金は大きく変わってくるのです。
火災保険の加入条件項目 |
建物の所在地 |
構造 |
建物の用途 |
現在の状態 |
建物の状態により災害などに遭った際のリスク度合いは変わります。
リスクの度合いによって適切なプランに加入することになるのです。
ちなみに建物は住宅物件と一般物件に大別することができ、住宅物件は戸建てかマンションかにかかわらず人が居住する目的の建物を指します。
一方、一般物件とは主に事務所などビジネス目的で使用される建物を指しています。
保険料は居住用の住宅物件よりビジネス利用の一般物件の方が高い傾向にあります。
火災保険加入における空き家の分類
空き家は火災保険においてどのように扱われるのでしょうか。
空き家といってももともとは居住目的の建物ですから住宅物件に該当するはずですが、長らく人が住んでいなかった場合は一般的な居住物件とよぶには少し難しいように思われます。
この点は火災保険においても同様の考え方がなされるので、居住用ではなく一般物件として取り扱われることになります。
ただし、建物が荒れ果ててしまった廃墟の場合は、火災保険への加入自体が困難になることがあるので注意しましょう。
空き家でも住宅物件として火災保険に入れる例としては、転勤などであくまでも一時的な空き家状態になる場合や、旅行や帰省などの際に寝泊まりしている場合などがあげられます。
一般物件として扱われるか住宅物件として扱われるかの境目は、実際に住居として機能しているかどうか、短期間でもそこに人が住まい生活を送れるかどうかといった点にあると考えても良さそうです。
以上のことから、保険会社がどういう基準をもって火災保険の受け入れを行っているか、予めよく確認したうえで加入を検討するようにしましょう。
まとめ
廃墟不動産投資は、基本的に所有者が持て余している物件を極端に安価な価格で仕入れたり借り上げたりして運用に回す方法です。
一般的な不動産投資の利回りは高くても10%程度だとされている一方、廃墟不動産投資の場合は初期費用をかなり抑えることができるため、利回りは100%を超えるといわれています。
例えば廃墟不動産を所有者から借り上げる場合、許可を得てリフォームを行い転貸する方法もありますが、少し修繕すれば生活することが可能な場合はより経費を抑えることもできます。
すると、入居者からの家賃収入は一部を所有者に支払えばあとはすべて自分の収入となるため、早期に経費分を回収でき、あとは定期的な収入源として確保していくことが可能なのです。
家賃が月4万円でその半分を所有者に支払う場合、自分の手元に入ってくるお金は月2万円となります。
年間では24万円の収入となりますが、ほとんど直しを入れていない状態だと年間24万円は純粋な利益として得ることができるのです。
また、修繕が必要な場合でも費用を数十万円程度に収めて直せば、利回りは100%に近くなる点が魅力的です。
確かに、1部屋から得られる1カ月あたりの収入は低めですが、その分入居者が増えれば自動的に収入額も上がることになります。
このため、廃墟不動産投資を行う人は複数の物件を抱えることを目標としていることが多いのです。
所有者としても、そのまま廃墟として放置しておけば固定資産税もかかりますし近所からの苦情のもとにもなりやすいことから、活用の道が見えれば大きなメリットとなります。
投資家と所有者がともにwin winとなりやすいため、今後も廃墟不動産投資というジャンルは注目していく価値があるといえるでしょう。
賃貸物件を探している多くの人たちはこぎれいで便利な部屋を求めますが、ペットと住みたい、高齢者の一人暮らしである、楽器を演奏できる部屋を探しているといった、いわゆるニッチな要望に応えられる態勢を整えておけば、古い空き家でも入居者が集まる可能性は十分にありますし、他に同様の条件を満たす物件があったとしても賃料が安ければそのまま退去せず定着してくれることが予想されます。
今までになかった不動産の活用方法ではありますが、入居希望者の悩みを解決する一種の隙間ビジネスである廃墟不動産投資は、今後より市場拡大していくことが見込まれるでしょう。
参考になります!