日本では年々、人口減少と相続が原因で空き家が増え続けています。
増加する空き家を安く購入して高く売却するといった、不動産転売に挑戦する人も多くなっています。
実際に、空き家や中古物件をリフォームして転売したら儲かるのでしょうか?
この記事では、空き家を活用した中古物件の転売について紹介しています。
また、空き家にかかる税金など知らないとリスクになる事もあるので、しっかり把握しておきましょう。
目次
空き家・中古物件のリフォーム転売は儲かるの?
空き家の中古物件をリフォームして、高く売却する事は可能です。
ただし、リフォームにはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。
リフォームなどの修繕費に費用がかかり過ぎてしまっては、結局転売で儲ける事はできません。
結論から言うと、大がかりなリフォームをしてから転売するのは避けた方が良いです。
事前に費用を把握しておきましょう。
リフォームにかかる費用
空き家の劣化状態にもよりますが、空き家全体をリフォームするのか、一部だけにするのか、規模によっても費用は変わってきます。
リビングだけなら、10万円位の費用でリフォームする事が可能です。
一方、フローリングや水回り、外壁などの家全体的に行うとしたら、大体400万円のリフォーム代がかかってきます。
その他にも素材に拘るようならさらに、コストがかかるというもの。
リフォームするなら費用は100万円に抑えておくのが良いです。
まずは、リフォームの相場を箇所別にみてみましょう。
箇所 | 相場価格 |
トイレ | 10〜60万円 |
キッチン周り | 40〜200万円 |
バスルーム | 50〜150万円 |
洗面台 | 10〜80万円 |
壁紙 | 1千円/㎡ |
フローリング | 2〜5万円 |
外壁 | 100〜300万円 |
耐震補強 | 100〜250万円 |
トイレ
洋式トイレでコンセントも付いているなら、ウォッシュレットを設置して、後は簡単な作業で終わるので安くて10万円位で収まります。
和式のトイレをリフォームするには、タンクの撤去や配管の工事など行うため、費用は50万円以上かかる事があります。
キッチン周り
キッチンの型の種類によって金額は変わってきますが、一般的には100万円位と言われています。高額なシステムキッチンだと200万円はかかるでしょう。
バスルーム
最近のユニットバスから、新品のユニットバスに変えるなら50万円程になりますが、かなり前のお風呂をユニットバスにリフォームするには100万円以上はします。
- 洗面台
デザインや収納に拘るなら50万円位かかりますが、一般的な機能の洗面台の相場は15万円前後で設置する事ができます。
壁紙やフローリング
リビングやベッドルームの壁紙の相場は、1千円〜3千円程です。
フローリングの張り替えは広さによっても変わってきますが100万円以上はかかります。
空き家をリフォームするなら大体の費用を把握して、業者に実際どのくらいかかるのか見積もりを出して貰うのが良いです。
上記の相場価格にもあるように、全てリフォームするとなったら、高額な費用がかかる事は予想できます。
個人でこれだけの費用を出して、空き家を転売するのは、コストがかかり過ぎると言えます。
しかし、空き家をリフォームして売却するメリットはあるので紹介します。
リフォームしてから売却するメリット
- 綺麗に見せられると売却しやすい
- 買主がすぐに入居できる
- 買主のローン負担が少ない
最近、若い世代にはレトロ感がある、中古物件が人気になっているようです。
ただし、部屋の臭いがあったり、あまりにも汚れが目立つ箇所があったりすると、購買欲が失われてしまいます。
そんな時は、リフォームを行う事で部屋が綺麗になり、清潔感がアップするというもの。
内覧者が沢山来る程、売却しやすいと言われているので、リフォームした事によって売れる確率は高まるでしょう。
また、リフォーム済みの家なら、買主はすぐに入居できます。
リフォームの工事は大体1ヶ月かかってしまいますが、その期間だけで終わるので、気長に待つ事はありません。
リフォーム済みである事を宣伝すれば、入居者を集めやすくなります。
リフォームをしていない家の場合だと、買主は購入の際にリフォームローンを組まなくてはいけません。
リフォームローンは、住宅ローンより金利が高く2.5〜5%に設定されています。
返済期間は短く、「10〜15年」になるのでリフォーム代が高くなればなる程、毎月の返済額が重く負担となります。
一方、リフォームをしている中古物件なら、買主は住宅ローンだけで良いので購入しやすい物件と言えるでしょう。
次にデメリットを紹介していきます。
リフォームしてから売却するデメリット
- 費用かけたからといって高額で売れない
- 自分でリフォームしたい買主
- 業者によって家が不安定になる
リフォーム費用をかけたから、その分高く売ろうと思っても高額で売れない事が多いです。
例えば、1,500万円の空き家にリフォーム代が200万円かかったので、1,700万円で売ろうと思っても、空き家と同じような条件の中古物件の相場が1,400万円だったとしたら、相場より高くなり過ぎていると感じ、中々売れなくなるでしょう。
リフォーム代の高くなった分を上乗せしても、新築の金額と同じくらいになってしまったら、普通は新築物件を購入するというもの。
リフォームをして高く売り出すより、リフォームをあまりしないで、安く売却した方が売れやすいと言えます。
ここ最近では、中古物件を自分でリノベーションしたい人が増えています。そのため、リフォーム済みの中古物件はそもそも対象外となるのです。
そうなのですね!
直ぐに住める家を探している人にとっては、リフォーム済みは良いですが、自分でリフォームをしたい人が増えてきているのを考えると、リフォームする事はデメリットになってしまいます。
リフォームをする際には業者へ依頼しますが、色々な業者に見積もりを出して貰って、その中から1番安い業者を選んだとします。
安い業者の場合だと一概には言えませんが、扱っている材料の質が悪い事があります。
また、設計が曖昧だと家の中の柱を取り除いてしまい、強度が下がる恐れがあるというもの。
リフォーム業者を選ぶ際には、安いという理由だけで選ばずに、実績がある業者を選んでおくと良いです。
空き家はリフォームしなくても売れる?!
リフォームをしてから売却するメリット・デメリットを紹介しましたが、リフォームをしなくても売れるのなら、その方がコストもかからず転売も成功しやすいでしょう。
次にリフォームをしなくても、空き家を売却しやすくするポイントを紹介していきます。
ハウスクリーニングで綺麗にみせる
ハウスクリーニングはプロの掃除業者が、一般の人には落とせない家の汚れを綺麗にしてくれるサービスの事を言います。
内覧者が来た時にクリーニングを済ませておけば、売却に繋がるというもの。
水回りは特に汚いと売却が決まりにくい部分なので、クリーニングをしておく事で内覧者に好印象を与えられます。
ハウスクリーニングの相場はこちらです。
箇所 | 相場 |
2LDK | 3万円〜6万円 |
3LDK | 5万円〜10万円 |
4LDK | 8万円〜12万円 |
浴室 | 1万円〜2万円 |
キッチン、換気扇 | 2万円〜4万円 |
トイレ | 7千円前後 |
リフォームよりだいぶ安い価格です。家の中全部任せても10万円程で済んでしまいます。
リフォームは最低でも1ヶ月かかりますが、クリーニングだと1日で終わります。
コストが削減できて、完了まで早くて綺麗になるなら、リフォームをする前にハウスクリーニングを利用しておきましょう。
不具合がないか調査をする
住宅診断士の専門家にホームインスペクションの依頼をして、家の劣化箇所や修繕すべき箇所などを客観的に診断して貰えます。
専門家に家の不具合がないか調査をして貰う事で、買主は安心して購入ができます。
もし、中古物件に何かしらの欠陥があったとしたら、買主は後々修繕費に高額なコストがかかってしまうでしょう。
築年数が20年位経っている中古物件なら、行っておいた方が良いです。
インスペクションの相場は5万円程なので、こちらもリフォームするより安く信頼を得る事ができます。
必要な所だけを修繕する
壁の傷や床の凹み、畳に付いたタバコの焼き焦げなどの損耗は、どうしても修繕が必要になります。
壁紙が汚れているだけで、物凄く部屋が暗くなり、汚い印象になってしまうもの。
外壁も少し色が剥げているだけで、古く劣化して見えます。
そのような、パッと見て直ぐに分かる箇所は修繕をした方が良いです。
無駄にあれもこれもと、気になって修繕を行うと、前述した高額なリフォーム代がかかってきます。
リフォーム代をかけて上乗せしても、高い中古物件は売れにくいです。
そのため、必要最低限の箇所を修繕します。
転売のプロも、無駄に修繕はしません。
例えば、素人がリフォームを300万円かけたとしたら、プロの転売業者は必要な修繕ポイントを熟知しているため200万円で抑えられる事があります。
個人が転売で儲けるためには、最小限に費用を抑え、且つ物件を綺麗な状態にする事です。
プロを見習って、必要な所は修繕しておきましょう。
リフォームをするなら800万円前後の物件
リフォームをしない方が売れるなら、それに越した事はないですが、リフォームをしても利益になる中古物件はあります。
それは、価格が800万円前後の中古物件です。
個人が転売で儲けるなら、このくらいの価格の物件で利益を出せます。
価格が安い物件ならフルリフォームを行っても、売却価格が高額にならずに済みます。
例えば、空き家を600万円で購入して、フルリフォームの相場400万円かけて改装しました。
そうなると、単純にリフォーム代を回収するには1,000万円以上で売却ができれば良いという事になります。
1,000万円のフルリフォーム済みの中古物件なら、安いと思って売れやすくなるというもの。
一方で、1,000万円以上する中古物件の場合は、リフォームをせずに売った方が良いでしょう。
不動産会社に相談してみる
空き家を安く購入して転売で儲けるためには、基本的に大がかりなリフォームは行わない方が良いです。
個人がリフォームして転売する場合は、大概マイナスになっている事が多いです。
プロの転売業者は安く物件を仕入れるルートがあるため、転売で儲ける事ができます。
個人の場合は、中々安い物件は手に入りにくいのが現状です。
そのため、個人で空き家をリフォームして転売で儲けるケースは少ないため、ハウスクリーニングなど行い、なるべく費用をかけずに売却をする事をおすすめします。
ちなみに、空き家をリフォームしても良いか判断に迷った時は、不動産会社に相談してみるのも良いでしょう。
不動産会社からリフォーム会社を紹介して貰えたり、的確なアドバイスを貰えたりと情報を得られます。
売却ができなかった場合
空き家を購入して転売しようとしても中々売却できなかった場合、所有し続けるので税金がかかるというもの。
また、空き家を放置すると、どんどん問題が発生していきます。
次の章では、空き家問題と所有する事でどのような税金がかかって来るのか、解説していきます。
増加する空き家問題と知っておくべき税金
空き家が増えている1番の原因は、親元を離れた子供が自分で家を建て、親が亡くなると誰も住む人が居なくなるからです。
子供は自分で新しい家を建てたので、親が住んでいた家は不要になりますね。
この相続が原因でこれからも、空き家は増加していくと想定されています。
総務省が公表している「平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要」によると、2013年の空き家率に比べて2018年は「3.6%」の増加となり、全体の空き家率は過去最高の「13.6%」でした。
空家等対策特別措置法
中でも管理されていない空き家が問題となって、「空家等対策の推進に関する特別措置法」が2015年に施行されたのです。
問題となっている空き家は「特定空家」と指定され、以下になります。
- 倒壊が激しく危険(腐って破損している)
- 衛生面で害の恐れがある(ゴミの放置など)
- 管理がされておらず劣化している(ガラスが割れて汚れたまま)
- 周辺の生活に支障をきたす場合(動物の汚物、異臭)
上記に一つでも当てはまる場合は、特定空家に指定されます。
空き家が今にも倒壊してしまいそうな状態だと、近隣に危害を加えてしまう恐れがあるというもの。
ゴミの放置も、周囲に悪臭を放つ原因になります。
周りの環境が整っているのに、劣化が激しい空き家は、周囲の景観に合わないとなります。
空き家に動物が住み着く事で異臭がしたり、虫が増える原因になったりと近隣住人の生活に支障をきたす事に。
空き家をそのまま放置しておくと、このような事態になりかねないので、定期的に確認しておく事が重要です。
「特定空家」に指定された時の流れはこちらです。
- 空き家のクレーム
- 空き家の調査(特定空家に指定)
- 所有者に確認
- 直接指導、助言
- 勧告
- 取り壊し命令
- 行政代執行法により強制解体
特定空家になると行政から、空き家の状況を説明されて改善するようにと、直接所有者に助言。
空き家に適切な措置を取るようにと、書面で所有者に勧告します。
勧告通りに措置を行えば問題ありません。
勧告をそのままほっといてしまうと、50万円以下が科せられてしまい、取り壊し命令が下されます。
命令も無視してしまうと、行政代執行法よって強制的に解体をするとのこと。
行政によって解体した費用は、所有者が支払う事になります。
また、特定空家に指定されると固定資産税が高くなります。
「住宅用地の特例」から除外されるので、固定資産税の減税がなくなるのです。
税金はどのくらいかかるの?
固定資産税は、評価額によって課税額が変わってきます。
基本的には税率1.4%と決まっていますが、各自治体でそれぞれ課税額は異なります。
土地に建物が建っていると「住宅用地の特例」が受けられ、土地の固定資産税は1/6の減税に。
更地だと特例は受けられません。
特定空家も除外となってしまうので、税金が上がってしまうのです。
固定資産税と一緒に市街化区域内の場合は、都市計画税もかかります。
ただし、課税標準額が「家屋20万円、土地30万円」までかからない場合、税金は発生しません。(※課税標準額とは、税金を出すための基準となる価額のこと)
固定資産税の算出 | |
住宅が建っている土地(特例) | 小規模住宅用地(200㎡までの部分)【評価額×1/6×1.4%】 一般住宅用地(200㎡を超える部分)【評価額×1/3×1.4%】 |
更地(特例なし) | 【評価額×1.4%】 |
特定空家(特例なし) | 【評価額×1.4%】 |
実際に固定資産税をそれぞれ3パターンで算出してみます。
住宅が建っている土地(特例)
固定資産税評価額が土地3,000万円の300㎡で、住宅は1,000万円のケース
<土地の分>
3,000万円×200㎡/300㎡×1/6×0.014=(200㎡までの部分)【4.9万円】
3,000万円×100㎡/300㎡×1/3×0.014=(200㎡を超える部分)【4.2万円】
<住宅の分>
1,000万円×0.014=【14万円】
固定資産税額【約23.1万円】
更地
固定資産税評価額が3,000万円、300㎡の土地のケース
<土地>
3,000万円×0.014=【42万円】
固定資産税額【約42万円】
特定空家
固定資産税評価額が3,000万円の30㎡で、住宅が1,000万円のケース
<土地>
3,000万円×0.014%=【42万円】
<住宅>
1,000万円×0.014%=【14万円】
固定資産税額【約56万円】
このように「特定空家」に指定されてしまうと固定資産税が上がってしまいます。
次に上記と同じ条件の場合、都市計画税はどのくらいかかるのでしょうか。
都市計画税の算出 | |
住宅が建っている土地(特例) | 小規模住宅用地(200㎡までの部分)【評価額×1/3×0.3%】一般住宅用地(200㎡を超える部分)【評価額×2/3×0.3%】 |
更地(特例なし) | 【評価額×0.3%】 |
特定空家(特例なし) | 【評価額×0.3%】 |
住宅が建っている土地(特例)
<土地>
3,000万円×200㎡/300㎡×1/3×0.003=(200㎡までの部分)【2.1万円】
3,000万円×100㎡/300㎡×2/3×0.003=(200㎡を超える部分)【1.9万円】
<住宅>
1,000万円×0.003=【3万円】
都市計画税額【約7万円】
更地
3,000万円×0.003=【9万円】
都市計画税額【約9万円】
特定空家
<土地>
3,000万円×0.003=【9万円】
<住宅>
1,000万円×0.003=【3万円】
都市計画税額【約12万円】
都市計画税は、道路や上下水道の整備などで使用される税金です。
固定資産税のように全員が支払う訳ではなく、「市街化区域内」の不動産に課税されます。
都市計画税の上限は0.3%と設定されていて、固定資産税と同じく、住宅が建っている土地は特例が適用されます。
税金はいつ支払うの?
空き家の名義人が税金を支払います。
年に固定資産税と都市計画税をまとめて1回で支払うか、4回に分納するか、どちらかを選んで納税します。
自治体によって支払うタイミングは違ってきますが、ほとんどの場合はこちらです。
- 6月(第1回)
- 9月(第2回)
- 12月(第3回)
- 2月(第4回)
支払い方法は、金融機関や郵便局、クレジットカード、コンビニなどで納税できます。
固定資産税などを支払わないでいると、延滞税が課税されてしまいます。
そのままほっておくと、強制的に微収されたり、財産の差し押さえをされたりするので、忘れないようにしてください。
ただし、収入が減ってしまって経済的に困難になった時は、早めに税務署に相談をしましょう。
差し押さえの猶予が認めて貰える事や、延滞税の一部や全てが免除されます。
他にも費用はかかるの?
空き家にかかる税金は「固定資産税と都市計画税」を紹介してきましたが、他にもかかる費用はあります。
項目 | かかる費用 |
光熱費 | 年2万円前後 |
火災保険料 | 契約の内容によって異なる |
修繕積立金 | 毎月2万円前後 |
相続税 | 総額や相続人数によって異なる |
譲渡所得税 | 譲渡所得によって異なる |
登録免許税 | 評価額×0.4% |
管理代行費用 | 毎月7千円前後 |
光熱費
誰もいない状態の空き家は、窓が閉め切っているため換気が悪く、水道もサビてしまいやすいです。
そのため、月に一回は空き家に行って、掃除など手入れをする必要があります。
光熱費を支払っておかないと、水や電気が使用できず掃除ができないので、光熱費用がかかるものだと認識しておきましょう。
火災保険料
空き家は、放火されやすいリスクがあります。
基本的に人がいないため狙われやすく、万が一放火の被害に遭ってしまったら、実費で撤去をしなくてはいけません。
そのようなリスクを防ぐため、火災保険に加入しておく事をおすすめします。
空き家は放火されやすく、一般の保険料より割高になってしまいますが、被害に遭ったとしたら大きな損失になるので、入っておいた方良いでしょう。
空き家が適用されない保険もあるため、確認しておいでください。
修繕積立金
修繕積立金に関しては、マンションの空き家のみ毎月かかる費用になります。
マンションは管理費も発生するので、毎月支払わなくてはいけない費用です。
相続税
相続税は資産総額に課税されるもので、空き家を相続すると相続税を支払う事になります。
ただし、小規模宅地等の特例を受けると、空き家の評価額を減らす事ができます。
例えば、相続した後、亡くなった人の家に住むと特例を受けられるといった内容です。
詳しくはこちらです。(国税庁 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例)
譲渡所得税
空き家を転売した時に、取得費より売却額の方が高い場合に、譲渡所得が発生して「所得税と住民税」の税金を支払う事になります。
5 年以上空き家を所有してから売却した場合は、「20.315%」の税率がかかります。
一方、5年以内の所有で売却した場合は、「39.63%」の税率です。
登録免許税
空き家を相続したら登記手続きして名義人変更を行いますが、その際にかかる税金です。
管理代行費用
空き家から遠くに住んでいても、代わりに空き家の管理をしてくれるのが管理代行会社です。管理内容は、掃除や換気、周辺のチェック、郵便物などを見てくれます。
不動産の状態で税金は変わる
空き家の状態や広さ、所有している場所などで固定資産税は異なります。
都市部であったり、駅から近かったりと利便性が良い場所に空き家があったら、土地の価値は高いので固定資産税もそれなりになります。
また、同じ条件の空き家だとしても、道路に面している事や、土地の形、高低差などでも固定資産税は違いがあるのです。
さらに、空き家を解体して更地にする事で税金が安くなる場合もあります。
更地にした方が安くなるのは、土地の価値より住宅の評価額が高い事です。
そうなのですね!
例えば、田舎の土地に豪邸が建てられていた場合、豪邸の方が評価額は高くなり、土地の固定資産税以上になる事もあるでしょう。
その場合は、豪邸を解体して更地にしたとしても、土地の税金は高くなりません。
空き家の場所や、家の評価額がどのくらいなのかで固定資産税は異なってきます。
譲渡所得税控除の特例を受ける
空き家を売却して利益が出た場合、譲渡所得が発生し「所得税」「住民税」の税金がかかります。
譲渡所得の算出法はこちらです。
売却価格-取得費(購入価格と経費)-譲渡費=【譲渡所得】
この譲渡所得ですが、「空き家の譲渡所得3,000万円控除」の特例を受けられるケースがあります。
相続で受け取った空き家を、「平成28年4月1日〜令和5年12月31日」の間に売った場合、条件を満たしていれば、譲渡所得から上限3,000万円を控除できます。
空き家の特別控除の特例を受けるには以下の要件に適している事です。
- 1981年(昭和56年)5月31日以前の建物であること
- 相続から譲渡まで空き家であること
- 被相続人が一人で住んでいた家に限る
- 譲渡額が1億円以下であること
- 相続してから3年が経った年の12月31日までの譲渡期限
いろいろな活用方法
空き家を転売するのも良いですが、いろいろ活用法があるので紹介していきます。
補助金も受けられるので、上手に利用しておきましょう。
空家解体補助金
空き家が売却できずに、そのまま放置してしまうと固定資産税がかかり、さらに特定空家に指定されたら税金が上がってしまいます。
そうなる前に、解体をして更地にするという選択肢があります。
解体費用の相場は物件によって違いますが、150〜200万円という高額です。
解体を考えるなら、補助金を利用すると良いです。
各自治体によって補助金の支給額や内容も異なるので、直接問い合わせてください。
更地にする事で月極駐車場にできたり、資材置き場にできたりいろいろな活用ができるようになります。
空き家の転売がイマイチだと感じたら、解体も検討してみても良いでしょう。
賃貸にする
空き家を貸家にして運用する事もできます。
賃貸物件にする事で毎月家賃収入を得られますが、管理をする手間は増えるため、管理会社に依頼しておくのもおすすめです。
また、空き家を低額所得者に貸し出す事で、補助金を受けられる制度があります。
その制度の事を「家賃低廉化補助制度」と言って、1 戸につき「月4万円」の補助金を受け取れます。
原則として10年間もしくは、自治体によって20年間と設定されているため、安定した家賃収入が見込めるというもの。
家賃には規定があり、公営住宅の家賃以下であるとしています。
東京 | 6.7万円以下 |
大阪 | 6.4万円以下 |
静岡 | 5.4万円以下 |
青森 | 4.4万円以下 |
低額所得者は家賃を滞納する可能性が高いので、一般的な賃貸物件では好ましくないですが、国から補助金が出る事でリスクを防ぐ事ができます。
改修工事補助制度
2017年10月「住宅セーフティーネット制度」の改正で、改修工事補助制度が導入されました。
国土交通省が定める「住宅セーフティーネット制度」とは、増加している空き家を活用して、高齢者や障害者、低額所得者など賃貸が難しい人に住居の配慮をした制度です。
「改修工事補助制度」とは、低額所得者が入居する時に限り、改修工事をする必要があるなら、国から「1戸100万円」の補助金が出るというものです。
改修工事にかかる費用を補助してもらい、家賃低廉化補助制度と一緒に利用すれば、空き家を上手く活用して賃貸運営できます。
改修工事ができる内容は、低額所得者の生活を確保したものになるので、最低限の生活水準を満たす工事になります。
- 部屋を広くする間取りの工事
- バリアフリーの工事
- 耐震改修
- 防火対策工事 等
まとめ
空き家の中古物件をリフォームしてから転売するのは、個人では中々難しくなるでしょう。
リフォーム費用が高額なため、転売でリフォーム代を上乗せして回収しようとしても、売却価格が高くなってしまい、買い手が現れにくくなるというもの。
空き家を転売して儲けるなら、リフォーム代をかけ過ぎず、必要最低限の修繕を行う事です。
価格の安い物件なら、リフォームしても利益を出せる可能性はあります。
しかし、個人ではリフォームを無理にしなくても良い場合が多いので、不動産会社などに相談してから決めるのが良いでしょう。
また、空き家をそのまま放置しておくと税金が高くなり、色々とマイナスになる事が多いので、定期的なメンテナンスと、かかる税金についてしっかり把握しておきます。
転売以外にも、更地にして活用する方法や、賃貸にして家賃収入を得る方法もあります。
物件に合った活用法を探して、上手く空き家を活用しましょう。