完済まで健康に働きつづけられる前提で住宅ローンを組みますが、突然の病気や怪我で収入が途絶え、返済できなくなるケースは少なくありません。
住宅ローンを払えなくなった債務者は大変苦しい思いをすることでしょう。
しかし、債務者の誰もが予想外の病気や怪我に見舞われる可能性があり、そのような状況に陥った際、救済する仕組みもあります。
団信保険や医療保険、労災保険や社会保険などを活用することで、療養をしながら住宅ローンの返済を続けていくことが出来るでしょう。
どのような病状でどのような補償が受けられるのかを知っておくことで、返済だけではなく、生活を維持していくための収入を確保することにもつながります。
今回は、病気や怪我で住宅ローンが払えない時の対処法と返済方法について解説します。
働けなくなった場合に利用出来る保険とその内容、病状によって利用できる保険の違いについても詳しくお伝えしていきます。
病気が悪化して住宅ローンの返済が厳しくなることが予想される方はもちろん、病気のリスクに備えておきたい方にも役立つ内容となっていますので、是非最後までご覧ください。
住宅ローンを返済できなければ、大切な家を手放さなければなりませんよね?
病気になってしまったうえに家も手放すなんて、とても悲しいことですね。
長い人生、何が起こるか分かりません。
しかし、もし返済できない状況になってしまったらというリスクに備えるために各種保険が用意されています。
本記事では加入している可能性の高い保険とその内容について解説していきますので、ご自身が加入しているものと照らし合わせながらご覧ください。
目次
まずは自身の住宅ローン返済状況を確認する
住宅ローンを返済出来ていたが次回からは難しそうという状況と、既に半年以上滞納している状況とでは切迫度が違います。
滞納し始めてから時間が経過している場合は、既に債権者が金融機関から保証会社へと移り、裁判所に対して競売の手配をしている可能性があるのです。
まず、住宅ローンを払えないとどういったことが起こるのかについてみていきましょう。
1 | 督促状が届く | 滞納後1~3ヶ月程度 |
2 | 期限の利益の喪失 | 滞納後3~6ヶ月程度 |
3 | 競売開始決定 | 滞納後6~8ヶ月程度 |
4 | 競売入札期間の通知 | 滞納後8~10ヶ月程度 |
5 | 立ち退き | 滞納後10~12ヶ月程度 |
滞納が長期間に及ぶほど、状況が悪くなる事をお分かりいただけたでしょう。
通知や連絡に応じなければ事態は変わらないかと思いきや、所有者の知らないところで事態はドンドン動いていくのです。
滞納をし始めて2か月目になると、債権者である金融機関から来店依頼状や各種通知書類が届き始めます。
このまま支払いがなければ、遅延損害金を一括返済してもらうという督促状も届くでしょう。
3ヶ月程度経つと期限の利益の喪失、つまり分割して支払う権利が失われ、一括返済請求をされることになります。
それと同時に個人信用情報機関に金融事故情報が記載され、ブラックリスト入りしてしまいます。
また、債権者が金融機関から保証会社へと移る、代位弁済も行われることになります。
その後も返済をしないまま放置していると、不動産を担保として差し押さえられ、競売が開始されます。
入札が開始して買い手が決まり、所有権が他者に移った場合、元の不動産所有者は何の権利も持たない不法滞在者となってしまいます。
滞納からおよそ1年足らずで、不動産を手放すことになるでしょう。
次項より解説する、住宅ローンが払えない時の自分の守る対処と返済方法によっては、滞納を一度でもすると補償を受けられなくなるものや滞納によって自動的に保険が解約されてしまうものもあります。
自分を守る為に備えていた補償なのに、滞納することによってその可能性を失ってしまうことになるのです。
病気で返済できなくても、他の理由で故意に返済しなくても、債権者にとってみれば同じ滞納でしかなく、家を失う結末は同じ。
しかし、病気の悪化というやむを得ない事情を真摯に説明し、早めに対応することで事態は好転する可能性があります。
今後返済が苦しくなるかもしれないと感じた時点で、早めに相談や対策をし、できるかぎりの返済方法を探しましょう。
住宅ローン契約時に加入している団体信用生命保険をチェック
団体信用生命保険、通称団信は、住宅ローンの契約者に万が一のことがあった場合に、返済額や期間に関わらず、住宅ローン残債が全額免除される仕組みの保険です。
一般的な住宅ローンを契約する際に必ずといっていいほど加入する保険ですが、保険料は金利に組み込まれて金融機関が負担するケースが多いため、保険に加入している意識の無い方も多いでしょう。
この保険は病気や怪我で住宅ローンが払えない契約者を救える可能性があるものです。
まずは、団信に加入しているか、またその契約内容について確認しましょう。
高度障害状態で住宅ローン全額免除される団信(標準タイプ)
団信は契約者が死亡した時に住宅ローンが全額免除されるものという認識でいらっしゃる方も多いでしょう。
しかし、死亡だけではなく、高度障害状態になった場合でも保険が適用されます。
高度障害状態とは、病気や怪我で身体機能が重度に低下している状態のことで、団信の規約では下記7つの該当基準を設けています。
- 両目の視力を永久に失ったもの
両方の目が見えなくなった状態。
但し、全盲に限らず、矯正視力が両目とも0.02以下且つ回復の見込みがないものも含める。 - 言語または咀嚼の機能を永久に失ったもの
言語機能を失い、話すことができなくなった状態。
具体的には、下記いずれかに該当するものを指します。- 口唇音・歯舌音・口蓋音・口頭音のうち、3種類以上の言語が発音できず、回復の見込みがない
- 脳言語中枢の損傷による失語症で、回復の見込みがない
- 声帯全てを摘出し、話すことができない
- 流動食以外の物を摂取できず、回復の見込みがない
- 中枢神経系・精神又は胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常時介護を要するもの
中枢神経系…全神経の統合・支配をする部分。
胸腹部臓器…肺・心臓・消化器等の臓器部分。
これらの障害より、常に介護が必要な状態。
介助なしでの歩行や入浴、食事、どれか一つでも可能な場合は、これに当てはまらないものとする。 - 両上肢とも手関節以上で失った又はその用を永久に失ったもの
両腕共に、手首より上のところで切断している。
両腕を自分で全く動かすことが出来ない状態。 - 両下肢とも足関節以上で失った又はその用を永久に失ったもの
両足とも、足首より上のところで切断している。
両足を自分で全く動かすことが出来ない状態。 - 1上肢を手関節以上で失い、且つ、1下肢を足関節以上で失った又はその用を永久に失ったもの
片腕を手首より上のところで切断していて、片足を足首より上のところで切断又は自分で全く動かすことが出来ない状態。 - 1上肢の用を全く永久に失い、且つ、1下肢を足関節以上で失ったもの
片腕を全く動かすことが出来ず、また片足を足首より上のところで切断している状態。
住宅ローンの契約者が上記のような状況になってしまった場合は、死亡時と同じく団信が適用され、残りのローン全てを保険会社が弁済してくれます。
団信保険が適用されず保険金支払いがないケース
高度障害に該当するような状態になったとしても、保険金の支払いに該当しないケースもあります。
例えば、
- 保障が開始される前に高度障害になってしまった
- 故意に高度障害状態になった
- 戦争やその他変乱によって高度障害になった
- 契約者が反社会勢力の者である
等
このようなケースでは団信の保険適用要件に該当するものと認められず、保険金が下りない可能性があります。
団信は死亡または高度障害でのみローンの返済が免除されるのですね。
では、ガン等その他の病気の場合は、団信ではカバーできないのですか?
死亡や高度障害状態以外でも、住宅ローンの滞納を余儀なくされる病気はありますよね。
団信には、ガンや生活習慣病といったリスクに備えられる特約もあるのですよ。
高度障害以外の病気でもカバーできる特約付き住宅ローンの団信
団信は契約者が死亡または高度障害状態のみに全額免除されるものではありますが、実は特約を付けることによって標準の団信ではカバーしきれない範囲の病気にも備えることができます。
団信に疾病の特約を付けているかによって今後の返済方法が大きく変わることになるでしょう。
団信保険に加入している方は、その内容を必ず確認してください。
住宅ローンの契約条件として契約者の団信保険加入が必須とする金融機関が増えるとともに、住宅を持つ人の団信加入率は増えてきました。
それと同時に、生涯起こり得るリスクに対応するための特約も多様化してきています。
ここからは、団信の特約とその内容について詳しくご紹介しますので、ご自身の加入内容と照らし合わせてご覧ください。
ガン保障特約(ガン団信)
ガン保障特約を付けている場合、医師によって所定のガンであると診断されると保険金が支払われます。
上皮内癌や皮膚癌は保障対象外、もしくは保険金半額となるところも多いようですが、悪性新生物全てに対して保険を適用し、住宅ローンを完済できるところもあります。
この特約については保険会社によって保障内容が異なりますので、契約内容をよく確認しましょう。
3大疾病保障特約
ガン・急性心筋梗塞・脳卒中、これら3つをまとめて3大疾病と呼びます。
3大疾病特約は、これらの病気になった時に保険金が支払われる特約のことです。
こちらの保障内容も、ガン保障特約同様に保険会社によって規定や該当基準が異なります。
例えば、ガンは医師の診断によって保険が下りるが、心筋梗塞の場合は入院、手術、60日以上の行動制限を受けたとき、脳卒中の場合は60日以上後遺症があったときのみ保険金が下りるといった具合です。
一定期間について住宅ローンを保険で賄い、その後の症状次第で完済されるなど、段階的に適用されるタイプもあります。
3大疾病特約に介護保障特約を付帯できるものもあり、この特約付きでは要介護2以上に認定されると住宅ローンが全額免除となります。
8大疾病保障特約
8大疾病保障特約は、ガン・急性心筋梗塞・脳梗塞の3大疾病に加え、高血圧症・糖尿病・肝硬変・慢性腎不全・慢性膵炎もカバーする保障です。
標準タイプの団信よりも広い範囲の病気をカバーすることができます。
9大疾病保障特約というのもあり、これなら8大疾病にウイルス肝炎が追加、生活習慣病団信と呼ばれる11疾病を保障するものもあります。
ただしこちらについても、保険の内容は各金融機関によって異なります。
これらの特約を付けていれば、病気の悪化やけがによって就業が不可になった場合、住宅ローンが全額免除、または猶予してくれる可能性が高いでしょう。
注意!住宅ローンを滞納している場合は団信が無効に
住宅ローンを滞納してから3ヶ月程度経つと、代位弁済通知と呼ばれる通知が送付されてきます。
これは、住宅ローンの支払窓口が金融機関から保証会社へと変わった代位弁済が行われたことを意味します。
つまり、債務者は保証会社に対して債務を負うことになるのです。
代位弁済が行われると、団信保険の契約が解約されてしまいます。
住宅ローンを既に滞納してしまっている方は代位弁済によって団信保険を利用することが出来ない可能性がありますので、金融機関に確認しましょう。
団信への加入は健康状態の告知が必須です。
もし加入条件を満たしていない場合は団信に入っていない可能性もあります。
それでは、病気で住宅ローン返済が苦しい時どうすればいいのでしょうか…
団信に入っていない場合、その他の保険に入っている可能性が高いです。
諦めずに、他の保険への加入有無や保障内容を確認してみましょう。
債務返済支援保険(住宅ローン返済支援保険)の加入有無をチェック
債務返済支援保険とは、死亡や高度障害状態以外で就業不能になった場合のリスクをカバーしてくれる保険です。
住宅ローン返済支援保険とも呼ばれています。
この保険は社団法人全国地方銀行協会が保険契約者となる団体契約となるため、比較的割安な価格で加入できるのが特徴です。
団信に加入していない人で、下記の条件を満たす人であれば高確率で加入している可能性がありますので、加入有無を確認しましょう。
- 住宅ローンの契約者である
- 住宅ローンを借り入れ対象物件が主に居住用の物である
- 加入時の年齢が満20歳以上満70歳以下である
- 勤労収入がある
- 保険対象期間が1年以上ある
加入時にこれらすべての条件を満たしている場合は、債務返済支援保険に加入している可能性があります。
債務返済支援保険(住宅ローン返済支援保険)の保障内容
債務返済支援保険は、病気や怪我によって30日を超える長期療養となった場合に、毎月の住宅ローン返済分をカバーしてくれる保険です。
入院だけではなく医師の指示による自宅療養についても保障範囲として認められるため、契約者の病気が悪化して働くことが困難になった場合のリスクをカバーできます。
就業不能状態が発生してから30日以上の療養が必要な場合に、最長3年間にわたってその間の住宅ローン返済を保険金で賄う仕組みです。
ただし、就業不能状態が発生してから最初の30日間分について支払い対象外期間となります。
つまり、6ヶ月間の長期療養が必要になった場合、住宅ローン1か月分は契約者が負担し、残り5か月分を保険でカバーする形となります。
債務返済支援保険は原則、就業不能期間終了後に一括で保険金が支払われることになっていますが、契約者が個別に申し出ることで就業不能期間中でも1カ月単位で分割払いしてもらうことが可能です。
都度診断書が必要になる等細かな規定はありますが、医療費との兼ね合いで家計に不安のある方でも手厚い保障を受けられるでしょう。
しかし、就業不能になる理由については、全ての事由が認められるわけではありません。
次のような事由が起因となって就業不能となった場合は保険金が支払われませんので注意しましょう。
- 契約者・被保険者・受取人の故意または重大な過失
- 自殺行為・犯罪行為・闘争行為
- 麻薬や覚せい剤等の使用
- 戦争・暴動・武力行為等
- 妊娠・出産・早産・流産
- 医学的他覚所見のないもの(むち打ち等)
- 精神病性障害・知的障害・アルコール障害等を原因として生じたもの
- 自動車又は原動機付自転車の無資格運転又は酒気帯び状態での運転
- 発熱等、他覚症状の無い感染
保障内容は手厚いとはいえ、適用条件に細かな要件が定められています。
保険会社によってもその内容は異なりますので、自身の状態と照らし合わせてチェックしてみましょう。
病気になっても、収入を確保して住宅ローンの返済を続けていく方法
前項までの内容は、重度の障害や長期療養、就業不能を認められた場合に限り住宅ローンの返済が免除されるというものでした。
しかし、病気が悪化して住宅ローンの返済が厳しいと感じる人たちの中には、次のようなケースでお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
- 住宅ローンの返済をカバーする保険に加入していない
- 就業不能ではないが、入院によって収入が一時的に減ってしまった
- 特約付き団信でローン返済はできるが収入がないため生活費が苦しい
- 治療を優先するため仕事をセーブしたいが、収入の減少が不安
等
病気の状態や経過、治療など様々な事情により団信や債務返済支援保険の適用条件を満たさないため、住宅ローンの返済が苦しいと感じられる方。
預貯金があるが、住宅ローンと生活費を同時に払うのは厳しいという方。
ここからは、そういった方々に向けて、一時的に収入を確保して住宅ローンの返済を続けていく方法を解説してまいります。
病気が悪化して住宅ローンが払えない時、団信保険や債務返済支援保険以外で収入を確保し、返済していく方法は次の通りです。
- 労働災害補償保険を活用する
- 民間の保険(所得保障保険・就業不能保険)を活用する
- 金融機関にリスケジュールの相談をする
では、一つずつ詳しくみていきましょう。
労働災害補償保険を活用する
企業に従事する正社員、契約社員、パートタイム、アルバイトを含む全ての労働者は、労働災害補償保険(以下 労災保険)の補償対象者となっています。
そのため、下記4つの理由によって休業する場合は、休業補償を受けることができます。
労働災害による休業…勤務中または通勤中の事故等の療養により、業務を行うことが出来ないことによる休業
自己都合による休業…上記以外の病気や事故による療養、産前産後の休暇や出産後の育児休暇介護休業など
会社都合による休業…会社側からの申し立てによる休業(経営難による操業停止や自宅待機等)
天災事変による休業…地震や火事、水害、台風の影響など休まざるを得ない状況による休業
業務や通勤と関係性のある病気や怪我の場合は休業補償を受けられますが、関係性の無い理由で休業する場合でも各社会保険による補償や手当を受けることができます。
下記の表は、休業補償とその他社会保険による補償や手当についてまとめたものです。
項目 | 休業補償 | 休業手当 | 傷病手当 | 傷病手当金 |
---|---|---|---|---|
保険 | 労災保険 | -(賃金として扱われるため) | 雇用保険 | 健康保険 |
受給額 | 給付基礎日額の80% | 平均賃金の60%以上 | 賃金日額45~80% | 標準報酬日額2/3 |
受給できる期間 | 休業4日目から休業が続く間 | 休業期間中 | 本来基本手当を受けられる日数 | 最長一年半 |
従業員による申請 | 必要 | 不要 | 必要 | 必要 |
所得税課税有無 | 無 | 有 | 無 | 無 |
労災保険が給付される休業補償(勤務又は通勤に起因する病気や怪我)を受けられる場合は給与の8割に加え、治療費の全額を労災保険が負担してくれます。
住宅ローンの返済も無理なく続けられる収入を確保できるでしょう。
療養の起因が労働によるものでない場合でも、傷病手当金を受けることができます。
労災補償よりも補償額は低くなりますが、それでも給与の2/3を最長18ヶ月にわたって得られるため、住宅ローン返済の補填に大変役立つでしょう。
いずれの補償を受ける場合でも、受けられる要件や申請に細かな規定が定められています。
また、申請から給付までには1~2か月程度の時間がかかりますので、休業する場合は早めに会社に相談しましょう。
民間の保険(所得補償保険・就業不能保険)を活用する
近年は医療技術が高度化したことにより、従来なら救えなかった命を救えるようになった反面、障害等が残って働くことが出来なくなった患者も増えてきました。
そこで、病気や怪我で長期間働くことが出来なくなったときのリスクに備えるため、所得補償保険や就業不能保険の販売が開始されました。
働けなくなった時のために備えるための保険というキャッチフレーズをCM等で耳にしたことがある方も多いでしょう。
この2つの保険は、所定の就業不能状態が続いた場合、快復するまでの間、毎月のお給料のように給付金を受け取ることができるものです。
これらの保険に加入している場合は団信保険に疾病特約を付けていなくても、債務返済支援保険に加入していなくても、住宅ローンの返済を補填できる額の収入を確保出来るでしょう。
一般的な会社員であれば前項でお伝えした労災保険や社会保険によって収入が確保できるため加入している可能性は低いと考えられますが、休業補償や傷病手当金が充実していない自営業や個人事業主の方の場合は休業補償の一つとして加入している可能性があります。
保険の内容は大きく分けて短期間タイプと長期間タイプの2種類があり、どちらに加入しているかによって免責間の長さや保険金支払期間等が異なります。
下記の表は、一般的な所得補償保険のうち、短期保障と長期保障の違いをまとめたものです。
保障内容 | 短期保障 | 長期保障 |
---|---|---|
免責期間 | 7日程度 | 60~365日 |
保険金支払い対象期間 | 1~2年 | 60歳又は65歳まで |
就業不能の要件 | 病気や怪我の治療のための入院/入院以外の医師の治療を受けていて保険証券に記載した業務に終日従事できない | 病気や怪我の治療のための入院/医師の指示による自宅療養で如何なる業務にも全く従事できない |
活用ケース | 病気や怪我で1~2年間、仕事が出来ない場合 | 寝たきりなど、生涯仕事が出来ない場合 |
短期保障タイプは保険金支払期間が比較的短くなりますが、快復するまでの間安定した収入を確保できます。
団信の標準タイプでは快復する見込みがあると保険金支払い対象外となるため、快復する見込みがある場合でも保障が受けられるこちらの保険に加入していれば、治療を進めながらでもこれまでの生活水準を維持できるでしょう。
長期保障タイプは団信の標準タイプと支払い対象の要件が似ています。
団信に加え、こちらの保険にも加入しているのであれば、仕事が出来ない状態であっても家族の暮らしを守っていくことが出来るでしょう。
所得補償保険や就業不能保険は、主契約で結ぶ単体タイプと主契約に付帯する特約タイプとがあります。
通常の医療保険に特約として付けている可能性がありますので、医療保険の証券を確認し、加入有無をチェックしてみてください。
金融機関に住宅ローン返済のリスケジュールを相談をする
リスケジュールとは、やむを得ない事情により住宅ローンの返済が苦しくなった場合、返済負担を一時的に軽減してもらう救済措置のことです。
病気でしばらく働くなけなった、リストラされたため再就職するまで返済が出来ないなどといった理由がある場合、金融機関が返済方法を見直してくれます。
一時的に毎月の返済額を軽減する措置となりますので、一般的にはしばらくの間元本は支払わず金利のみを支払う形となります。
住宅ローン残債が2000万円で金利が2%だとすれば、一定期間月額3万3000円程度の返済に抑えられます。
また、完済までの融資期間を短くしている場合は、最長期間まで延長することも可能です。
それによって月々の返済額を少なく抑え、少ない預貯金や収入でも返済ができるようになるでしょう。
リスケジュールが出来る期間は半年~1年程度。
1年以上のリスケジュールは認められない場合が多いため、1年以内に病状や収入ともに回復の見込みがある場合は、金融機関に相談してみましょう。
但し、リスケジュールは一時しのぎにすぎません。
なぜなら、返済総額を減らせるものではなく、また後ろ倒しする分利息の総額が大きくなる可能性があるからです。
一時的な返済能力の低下であれば有効な方法ではありますが、今後慢性的にその状況が続くのであれば焼け石に水ということになり兼ねません。
返済総額が増える、完済時年齢が遅くなるというデメリットを踏まえ、慎重な判断が必要となるでしょう。
とはいえ、まだ滞納はしていないがこれから返済が厳しくなりそうだ、病状の改善が見込める病気である場合は、早い段階で金融機関にその旨を伝えておくことが大切です。
一度でも滞納してしまったら、金融機関はリスケジュールに応じてくれません。
滞納が続けば有無を言わさず債権者が変わり、強制的に競売にかけられてしまいます。
事情を説明しておけば、住宅ローンの借り換えやリースバック等を含めた返済方法の提案をしてくれるでしょう。
受けられる保障や保険を把握し、確保できる収入を把握できていれば、より具体的な返済計画を立てられ、大切な家を手放す事にならなくて済みます。
如何なる理由であっても、今後返済できなくなる可能性が生じた時点でまずは金融機関に相談しましょう。
病気が悪化して療養が必要になる、収入が減って返済が厳しくなるというのが分かった時点ですぐに相談した方が良いですね。
そうですね。
一度でも滞納してしまうと、リスケジュールに限らず、全ての対処法において不利になる可能性があります。
住宅ローンが払えない時は早めに返済の手立てを講じることが大切です。
まとめ
ここまで、病気や怪我で住宅ローンが払えなくなった時の対処法と返済方法について解説してきました。
住宅ローンの返済が滞りそれを放置しておくと、1年足らずで強制退去しなければならなくなります。
病気や怪我、その他の理由で働くことが出来ずに返済が滞ってしまうのは、誰にでも起こり得るものです。
病状やローン残高問わず返済を続けられる可能性はありますので、今後の返済が厳しいと感じた時点で早めに対策を講じましょう。
住宅ローン契約者のほとんどが加入している団信保険なら、死亡だけではなく、高度障害状態になった場合も住宅ローンが全額免除となります。
団信に特約を付けていれば、高度障害以外の長期療養を必要とするガンや脳梗塞等を患った場合に保険金が支払われます。
病状や療養期間によっては全額免除とならない場合もありますが、返済の負担を大きく軽減できるでしょう。
団信に加入できなかった場合、他の保険で収入をカバーし、返済を続けていくことになります。
会社員や組合員であれば労災保険や健康保険、雇用保険による休業補償や傷病手当金を申請してみましょう。
自営業や個人事業主の場合は休業補償の一つとして医療保険の特約に所得補償保険や就業不能保険を付帯している可能性があります。
加入の有無、そして契約内容をご確認ください。
1年以内に病状や収入の回復が見込まれる場合は、金融機関にリスケジュールを相談してみましょう。
一時的な返済の軽減措置ではありますが、相談することによってより具体的な返済計画の見直しができるかもしれません。
一度でも滞納すると応じてもらえなくなりますので、返済が厳しいと感じたら早い段階で債権者に相談することが大切です。