住宅ローンには連帯債務というローンの組み方があります。
主たる債務者が1人で支払いをするのではなく連帯債務人と一緒にローンを支払い続ける、共働き家庭で検討されることが多いローンの組み方です。
しかし連帯債務と似ている住宅ローンの組み方は他にもあります。
ペアローンと連帯保証です。
名前や特徴は似ているものの大きく異なる点もあるため、違いをしっかり理解することが大切です。
また連帯債務と間違われやすい連帯責任との違いについても理解しましょう。
目次
共働き家庭に合う住宅ローンの組み方
住宅ローンは主たる債務者が1人でローンを組むのが一般的です。
つまり1人分の年収に基づいて住宅ローンが受けられるか否かが判断されたり、借入可能額が決まったりします。
例えば主たる債務者が夫の場合は、夫の年収に基づいていくら借りられるかが決まるということです。
しかし共働きの家庭が増えている現在は、夫婦でローンを組むケースも増えてきています。
以下に共働き家庭に相応しい3種類のローンの組み方をまとめました。
- 連帯債務
- ペアローン
- 連帯保証
上記の3種類の住宅ローンはどれも2人の収入を合算できます。
2人分の収入で借入可能額が決まるため、借入可能額は従来の住宅ローンよりも増えるのが一般的です。
ただし借りられるお金が多い分、毎月の返済額が増えるということも把握しておかなければなりません。
それぞれの特徴やメリット、デメリットについては、後の項目で詳しく紹介していきます。
住宅ローンには1人で組むローンだけでなく、返済義務を2人で負うローンもあるんですね
ただし夫婦それぞれに収入があるのが条件です
特徴が似ている3種類の中から選ぶとなると、どれを選んだら良いか迷いそうですね
共通点もありますが異なる点もあるため、それぞれをよく比較して夫婦の働き方に合う住宅ローンの組み方を見つけることが大切です
住宅ローンを選ぶ際に注目すべきポイント
住宅ローンを選ぶときは様々な点をチェックしなければなりません。
数多くのチェックポイントがあるため、ただ漠然と概要を見ていると大切なチェックポイントを見逃す可能性があります。
特に住宅ローンを組むのははじめてという方が多いため、どのような点を重点的にチェックしたら良いかわからないでしょう。
先に紹介した3種類の住宅ローンの組み方を比較する際は、次の点をよく確認することが大切です。
- 借入可能額
- 住宅借入金等特別控除
- 団体信用生命保険
- 所有形態
- 登記簿謄本の記載方法
- 返済口座
数年後、数十年後の生活にも関わる大切なポイントのため、上記のポイントは必ず確認しましょう。
借入可能額
その名の通り住宅ローンで借りられる限度額のことです。
借入可能額を決める際に主な判断材料となるのは、住宅ローンを組む人の年収です。
主たる債務者の年収に頭金の金額や返済方法などの様々な条件がプラスされて借入可能額が決まります。
2人でローンを組む場合は2人分の年収を基とするため、必然的に借入可能額が増えます。
ただし審査基準は金融機関によって異なるため、借入可能額にバラつきが出るということを理解しておかなければなりません。
もし希望金額を満額で借りられることになったとしても、ローンを完済するまでに本当に支払い続けられるか夫婦でしっかり話し合うことが大切です。
住宅借入金等特別控除
住宅借入金等特別控除は住宅ローン減税や住宅ローン控除とも呼ばれています。
住宅ローンを利用して住宅を購入した場合に、一定の期間所得税や住民税から控除を受けられるという制度です。
2019年10月の消費税率の引き上げに伴い、控除を受けられる期間が10年から13年に伸びました。
税金から控除される控除の割合は12月末の住宅ローン残高の1%、最大で40万円です。
つまり年末の住宅ローンの残高が2,000万円の場合は、20万円まで控除が可能ということになります。
ただし所得や住宅ローンの返済期間などの様々な条件が設けられているため、控除の対象となる条件をよく確認する必要があります。
団体信用生命保険
団体信用生命保険とは住宅ローンを返済している期間中に団体信用生命保険の加入者が死亡してしまった場合、残りの住宅ローンが完済されるという保険制度です。
団体と信用生命保険の頭文字をとって団信とも呼ばれています。
例えば夫が団体信用生命保険に加入したとしましょう。
住宅ローンの返済中に夫が高度障害に合ったり死亡したりした場合、保険金によってローンの残額が全て支払われるため残された家族は住宅ローンの返済に悩まずに済みます。
通常は住宅ローンの金利に上乗せされているため、別途保険料を用意する必要はありません。
所有形態
所有形態とは購入した住宅の所有形態のことです。
単独で住宅を所有するか、共有するかの2択になります。
1人で契約する一般的な住宅ローンの場合は、所有形態も単独となります。
しかし妻も一緒にローンの返済義務を負う場合は、所有形態を共有とする場合がほとんどです。
共有することで妻も自分の財産を持てたり、夫婦で住宅控除を受けられたりするメリットがあるからです。
しかし売却する際は2人の同意がないと売却できません。
そのため離婚する際はトラブルが起こることもあります。
登記簿謄本の記載方法
登記簿謄本には住宅の所有者や住宅ローンの債務者などが記載されています。
普段生活をする上で登記簿謄本が必要になることはほとんどありませんが、住宅を売却する際や相続をする際などは必要です。
もし2人で住宅ローンの返済義務を負う場合や2分の1ずつ所有権を持つ場合などは、2人の名前が記載されます。
ただし所有権に関する登記は義務ではありません。
しかし住宅を購入したら登記を行うのが一般的です。
将来的に相続や住宅の売却を行うことになった際にトラブルを避けるためにも登記をすることが大切です。
連帯債務について
ここからは住宅ローンの組み方について紹介していきます。
まず連帯債務についてです。
連帯債務は住宅ローンを組んだ金融機関に対して、夫婦がそれぞれ独立して返済する義務を負います。
主たる債務者と一緒に返済義務を負う人を連帯債務者と呼び、仮に主たる債務者が夫の場合は妻が連帯債務者になります。
以下で連帯債務についての詳細を見ていきましょう。
借入可能額 | 2人の収入を合算 |
---|---|
住宅借入金等特別控除 | 2人とも受けられる |
団体信用生命保険 | 一般的には1人しか加入できない |
所有形態 | 共有 |
登記簿謄本の記載方法 | 2人の名前 |
返済口座 | 主たる債務者の口座 |
夫婦それぞれがローンを支払いますがローンの完済時期は一緒で、一方が住宅ローンを完済するともう一方の支払いも完済するように毎月の返済額を決めていきます。
連帯債務のメリットとデメリット
連帯債務は共働きの家庭においては魅力的な住宅ローンですが、メリットとデメリットの両方を知っておくことが大切です。
以下でメリットとデメリットを確認しましょう。
メリット
- 収入合算できるため借入可能額を増やせる
- 夫婦それぞれが住宅ローン控除の適用対象となる
- 住宅ローンの諸費用を抑えられる
- 売却時に3,000万円の特別控除が受けられる
デメリット
- 団体信用生命保険に加入できるのは1人だけ
- 贈与税が発生する場合がある
- 連帯債務を扱っている金融機関が少ない
次の項目で1つずつ詳しく見ていきましょう。
借入可能額を増やせる
連帯債務では主たる債務者と連帯債務者との収入を合算できるため、借入可能額を増やすことが可能です。
頭金の金額や年齢、勤続年数も審査の対象となりますが、2人の年収次第では希望額以上のお金を借りることも可能です。
しかし勤務形態によっては連帯債務者になれないこともあります。
例えば契約社員やパートで働いている場合です。
この場合金融機関によっては連帯債務者に認められないこともあるため、事前に金融機関に確認しておきましょう。
正社員ならば連帯債務者になれる可能性が高いです。
また将来的に出産を考えている場合も、育児休暇をもらった際に提出が必要な書類などを事前に確認しておくと良いでしょう。
2人とも住宅ローン控除が受けられる
連帯責務では2人で返済義務を負うため、住宅ローン控除も夫婦それぞれが受けられます。
ただし住宅の持分割合に応じてそれぞれの負担金が決まるため、控除の対象となる金額も夫婦で異なることがあります。
頭金なしで4,000万円の借入をした場合の持分割合と返済金額の例を以下で見ていきましょう。
返済義務を負う人 | 夫 | 妻 |
---|---|---|
持分割合 | 50% | 50% |
ローンの負担金額 | 2,000万円 | 2,000万円 |
上記の例は最もシンプルでわかりやすいパターンです。
しかし実際は持分割合が半分ずつでない場合もあり、その場合はローンの負担割合も変わります。
例えば4,000万円の住宅の所有権を夫が6で妻が4と決めた場合は、夫の負担額が2,400万円で妻の負担額が1,600万円になるということです。
また頭金を支払う場合は誰がいくら頭金を出したかによって、持分割合やローンの負担割合が変わることもあります。
いずれにしても夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられることに変わりはなく、節税対策をする上で効果的です。
住宅ローンの諸費用を抑えられる
住宅ローンの中には住宅の購入費用の他に諸費用が含まれます。
新築住宅の諸費用の目安は、住宅購入費用の約3%から7%です。
諸費用にはどのような項目が含まれるのか、以下で見ていきましょう。
- 事務取扱手数料
- ローン保証料
- 抵当権設定登録免許税
- 火災保険料
- 地震保険料
- 団体信用生命保険料
- 印紙税
一般的な住宅ローンを組む場合も上記のような諸費用がかかりますが、夫婦の収入を合算して住宅ローンを組む場合は手数料や保険料などが2倍かかることもあります。
しかし連帯債務の場合は夫婦で返済義務を負いますがローンの契約数は1本のため、諸費用を2倍払わなければならない住宅ローンと比較すると諸費用を抑えられます。
売却時に3,000万円の特別控除が2人分受けられる
住宅を売却して利益が出た場合は、利益分に対して課税されます。
しかし3,000万円までの売却益であれば非課税になる、3,000万円の特別控除の特例というものがあります。
例えば住宅を売却して500万円の利益が出たとしましょう。
500万円-3,000万円=0円となることから税金はかかりません。
しかし3,000万円特別控除がない場合は次の費用がかかります。
所得税 | 75万円(500万円×税率15%) |
---|---|
復興特別所得税 | 15,750円(75万円×2.1%) |
住民税 | 25万円(500万円×税率5%) |
合計 | 101万5,750円 |
節税効果の大きさがわかるのではないでしょうか。
しかも共有で連帯債務を組んでいる場合、つまり所有形態を共有としている場合はこの3,000万円特別控除がダブルで適用されます。
つまり夫婦それぞれ3,000万円ずつ、合計で6,000万円までの売却益ならば非課税になるということです。
団体信用生命保険に加入できるのは1人だけ
連帯債務はローンの契約数が1本のため、団体信用生命保険には主たる債務者のみが加入するのが一般的です。
主たる債務者が夫の場合は夫のみが団体信用生命保険に加入できるということです。
もしも夫が死亡した場合は、保険金によってローンの残高分が全て支払われます。
そのため妻は夫の死亡後に住宅ローンを支払い続ける必要はありません。
しかし逆に妻が高度障害を負ったり死亡したりした場合は、妻は団体信用生命保険に加入していないためローンがそのまま残ります。
夫は妻を亡くしたショックの中でローンを支払い続けなければならないのです。
そのため民間の生命保険に加入するなどして、連帯債務者に何かがあったときの備えをしておく必要があります。
また金融機関によっては、主たる債務者と連帯債務者が一緒に団体信用生命保険に加入できることもあります。
贈与税が発生する場合がある
連帯債務を組んだ場合は夫婦それぞれが債務者となります。
そのためローンが完済するまではそれぞれが毎月の返済額をしっかり支払っていかなければなりません。
しかし長い人生の中で予定外のことが起こることもあるでしょう。
例えば何らかの理由で妻が仕事を辞めなければならなくなったなどです。
妻の収入がなくなるということは、妻の支払い分を支払えなくなる可能性があるということです。
一般的には妻が支払いを続けられない期間は夫が代わりに支払うことになるでしょう。
ただし妻の代わりに支払った分が一定の金額を超えてしまうと、贈与税がかかってしまいます。
そのため連帯債務者が途中で仕事を辞めるかもしれないという不安感があるのならば、他の住宅ローンの組み方を検討したほうが良いです。
連帯債務を扱っている金融機関が少ない
連帯債務は住宅ローン1本分の諸費用しかかからないのにもかかわらず夫婦それぞれが住宅借入等特別控除を受けられるため、夫婦で住宅を共有したい人にはメリットが多い住宅ローンの組み方です。
しかし連帯債務を扱っている金融機関は少ないです。
ペアローンや連帯保証は見つけやすいですが、連帯債務に関しては限られた金融機関でしか扱っていません。
団体信用生命保険に夫婦で加入できるタイプの連帯債務は特に少ないです。
そのため住んでいる地域によっては取り扱っている金融機関が少なくて不便に感じることがあるかもしれません。
オンライン専用の銀行でも取り扱いが少ないのが実情です。
連帯債務が向いている人
連帯債務が向いている人の特徴を以下にまとめました。
- 借入額を増やしたい
- ずっと安定した収入を確保できる
- コストを抑えて住宅ローンを契約したい
- 対等に不動産の所有権を持ちたい
夫婦それぞれに安定した収入がある場合は連帯債務を検討するのも良いでしょう。
連帯債務は無駄なコストをかけずに2人分の節税対策をすることが可能です。
ただし例えば出産を機に妻が仕事を辞める可能性がある場合などは、住宅借入金等特別控除を1人分しか受けられなくなる可能性があります。
贈与税がかかることもあるため、他の住宅ローンを検討したほうが良いでしょう。
連帯債務と連帯責任は違う
連帯債務と連帯責任は言葉の響きが似ているため、しばし混同されることがあります。
しかし連帯債務と連帯責任は内容が異なります。
連帯責任は夫婦になると同時に生じる責任です。
日常の家事に関するものは連帯で責任を負うことになっています。
民法第761条で定められている内容を以下にまとめました。
夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。
出典:法務省 〇民法(明治二十九年法律第八十九号)現代語化案・第四編(親族)
日常の家事に関する内容とは主に次のようなことです。
- 日用品
- 保険
- 医療
- 娯楽
ちなみに住宅ローンは日常の家事に関するものには当てはまりません。
一方の住宅ローンの連帯債務は連帯責任と違って、金融機関で手続きをする必要があります。
結婚したからと言って連帯債務のメリットを得られるわけではないため注意しましょう。
ペアローンについて
ペアローンの特徴は連帯債務の特徴と似ています。
以下で確認すべきチェックポイントを見ていきましょう。
借入可能額 | 夫婦の収入を合算 |
---|---|
住宅借入金等特別控除 | 2人とも受けられる |
団体信用生命保険 | 夫婦それぞれが加入 |
所有形態 | 共有 |
登記簿謄本の記載方法 | 2人の名前 |
返済口座 | 夫婦それぞれの口座 |
ペアローンと連帯債務は類似点が多いですが、契約するローンの数は異なります。
連帯債務はローンの契約数が1本ですが、ペアローンの場合は2本です。
つまり夫婦それぞれが別の住宅ローンを組むのです。
そのため毎月の返済額は夫婦それぞれの口座から引き落とされます。
また団体信用生命保険にも夫婦それぞれが加入します。
ペアローンのメリットとデメリット
ペアローンのメリットとデメリットを以下にまとめました。
連帯債務に比べて取り扱っている金融機関は多いですが、だからと言ってすぐに契約を結ぶのではなくメリットとデメリットの両方を把握してから決めることが大切です。
メリット
- 借入可能額を増やせる
- 夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられる
- 売却時に3,000万円の特別控除が受けられる
- 夫婦それぞれが団体信用生命保険に加入できる
デメリット
- 住宅ローンを組むのに手間やコストがかかる
- 双方とも返済完了まで収入を得る必要がある
メリットは連帯債務とほぼ同じですが、ペアローンにしかないデメリットもあります。
住宅ローンを組むのにコストがかかる点です。
この点は連帯債務との大きな違いのため、よく確認しましょう。
手間やコストがかかる
ペアローンは夫婦それぞれで住宅ローンを組む必要がありますが、住宅ローンを組む金融機関は通常同じです。
しかし住宅ローンを契約する際の手間は一般的なローンの2倍かかります。
住民票や担保関係書類などの書類を2人分用意しなければならないからです。
また住宅ローンの諸費用も2人分必要です。
以下で住宅ローンの諸費用の相場を見ていきましょう。
2人分の諸費用の相場です。
事務手数料 | 約6万円から10万円 |
---|---|
ローン保証料 | 借入額や返済期間によって違う |
抵当権設定登録免許税 | 新築の場合は0.4%×2 |
火災保険料 | 約15万円から30万円 |
地震保険料 | 保険金額が1,000万円の場合は3万円未満 |
団体信用生命保険料 | 約20万円 |
印紙税料 | 借入額が1,000万円から5,000万円の場合は2万円 |
団体信用生命保険は金利に上乗せされるため、別途支払う必要はありません。
また火災保険料や地震保険料についても、共有名義であっても契約者は1人とするのが一般的です。
ただし2人分用意しなければならない諸費用もあるため、2倍のコストがかかることを把握しておくことが大切です。
諸費用と言っても2人分となると高額になりますね
2つの住宅ローンを契約するため、諸費用も2倍必要なんですよ
はじめから諸費用も含めて借入額を考える必要がありそうですね
ペアローンの団体信用生命保険について
ペアローンを組む場合は、夫婦それぞれが団体信用生命保険に加入することになります。
そのため夫と妻のどちらかに万が一のことがあったとしても、住宅ローンに関しては安心感を持てるでしょう。
しかし一般的な住宅ローンを組んだときに加入する団体信用生命保険とは異なる点もあります。
もし夫や妻が高度障害に合ったり死亡したりしたとしても、住宅ローンの残高が全て返済免除にならないという点です。
2つの住宅ローンを契約してそれぞれが団体信用生命保険に加入するため、夫や妻に万が一のことがあった場合は相手の返済額だけが返済免除になります。
例えば夫が死亡した場合は夫の借入額は返済が免除されますが、妻の借入分は返済し続けなければなりません。
ペアローンが向いている人
ではペアローンが向いているのはどのような人なのでしょうか?
以下に特徴をまとめました。
- こだわりが詰まった家を建てたい
- ずっと夫婦ともに安定した収入を確保できる
- 信用がある
- 健康上のトラブルがない
- 返済が完了するまでの計画に無理がない
夫婦の収入を合算するため、1人分の収入で審査されるよりも多くのお金を借りられます。
ただしどちらも審査に通過する必要があるため、勤務形態や勤続年数などが重要になります。
また夫も妻も安定した収入を継続して得られるということも必須の条件です。
もし夫や妻が途中で仕事を辞めたとしても、それぞれが毎月の支払いを継続できるプランを立てられる場合はペアローンが向いています。
しかし夫婦それぞれで返済していく方法を検討するのならば、余分なコストがかからない連帯債務のほうが良いかもしれません。
連帯保証について
これまで紹介した連帯債務とペアローンは、夫婦それぞれがローンの返済義務を負う住宅ローンの組み方でした。
それに対して連帯保証は、主たる債務者のみが返済の義務を負います。
つまり仮に夫が主たる債務者になった場合、通常時は妻が返済の義務を負うことはありません。
しかし万が一主たる債務者である夫が住宅ローンを支払えなくなった場合は、妻が支払いを肩代わりすることになります。
以下で連帯保証のより詳しい情報を見ていきましょう。
借入可能額 | 2人の収入を合算(金融機関によって異なる) |
---|---|
住宅借入金等特別控除 | 1人しか受けられない |
団体信用生命保険 | 主たる債務者のみ加入 |
所有形態 | 単独 |
登記簿謄本の記載方法 | 1人の名前 |
返済口座 | 主たる債務者の口座 |
連帯保証は夫のみが返済の義務を負う一般的な住宅ローンと類似点が多いです。
しかし2人の収入を合算できる点が一般的な住宅ローンとの大きな違いです。
ただし夫婦の収入を合算できない金融機関もあるため、よく確認する必要があります。
同じ収入合算型でも連帯保証の場合は、主たる債務者だけが返済の義務を負うんですね
ただし主たる債務者が何らかの理由で返済できなくなったときは、主たる債務者以外の人(妻もしくは夫)が返済を肩代わりしなければならないんです
収入合算型ではない一般的な住宅ローンとほとんど同じに見えますが、2人分の収入を合算できる点は大きな違いですね
それによって借りられる金額を増やすことが可能になるんですよ
連帯保証のメリットとデメリット
連帯保証のメリットとデメリットの両方を以下にまとめました。
メリット
- 借入可能額を増やせる
- ペアローンよりもコストを抑えられる
- 連帯債務やペアローンより妻もしくは夫の責任が軽い
デメリット
- 単独所有になる
- 団体信用生命保険に1人しか加入できない
- 住宅借入金等特別控除が1人しか受けられない
借入可能額を増やせる点やコストを抑えられる点は連帯債務と似ています。
しかし夫婦それぞれに返済の義務がない点は連帯債務と異なります。
また連帯債務も連帯保証も1本の住宅ローンを組みますが、連帯債務の所有形態が共有なのに対して連帯保証の場合は単独です。
住宅借入金等特別控除が1人しか受けられない点も連帯債務との違いです。
団体信用生命保険に1人しか加入できない
連帯保証は住宅ローンの契約数が1本のため、団体信用生命保険には主たる債務者しか加入できません。
この点は連帯債務と同じです。
仮に夫が主たる債務者だった場合、妻は団体信用生命保険に入れません。
この場合万が一夫が死亡したときは、残りの住宅ローンの返済は免除されます。
妻が住宅ローンを払い続ける必要はありません。
しかし妻が死亡した場合は住宅ローンがそのまま残るため、夫は完済まで返済し続ける必要があります。
そのため主たる債務者が加入する団体信用生命保険だけでは不安な場合は、民間の保険を検討してみましょう。
連帯保証が向いている人
連帯保証は同じ収入合算型の連帯債務やペアローンに比べてメリットが少ないです。
しかし次に当てはまる場合は、連帯保証を検討すると良いでしょう。
- 借入可能額を増やしたい
- 主たる債務者以外の人(妻もしくは夫)が契約社員やパートで働いている
- 夫婦で返済の義務を負うのは不安
連帯保証は夫婦の収入を合算できることが多いため、借入額を増やすことが可能です。
しかも金融機関によっては妻の勤務形態がパートでも収入を合算できる場合もあります。
そのため例えば主たる債務者である夫が正社員、妻がパートで働いているケースで借入額を増やしたい場合は連帯保証を検討すると良いでしょう。
また妻が途中で仕事を辞める可能性がある場合も連帯保証が向いています。
ただしその場合は住宅ローンを組む段階で、妻が仕事を辞めても夫が返済し続けられる返済プランをしっかり立てておかなければなりません。
収入合算型の住宅ローンを一覧表で比較
これまで紹介してきた3種類の住宅ローンを一覧表にしました。
3種類の住宅ローンの各項目を比較してみましょう。
住宅ローンの組み方 | 連帯債務 | ペアローン | 連帯保証 |
---|---|---|---|
借入可能額 | 2人の収入を合算 | 2人の収入を合算 | 2人の収入を合算(金融機関によっては合算できないケースもある) |
住宅借入金等特別控除 | 2人とも受けられる | 2人とも受けられる | 1人しか受けられない |
団体信用生命保険 | 1人しか加入できない(金融機関によっては2人で加入できるケースもある) | 2人とも加入できる | 1人しか加入できない |
所有形態 | 共有 | 共有 | 単独 |
登記簿謄本の記載方法 | 2人の名前 | 2人の名前 | 1人の名前 |
返済口座 | 主たる債務者の口座 | 2人の口座 | 主たる債務者の口座 |
同じような特徴を持つ住宅ローンの組み方ですが、一覧表にするとメリットが多いのは連帯債務ということがわかります。
ペアローンは全てにおいて独立していることがわかりますね
それは2本の住宅ローンを契約するからなんですよ
でも連帯債務は住宅ローン1本分の手数料しかかからない上に、夫婦それぞれが住宅借入金等特別控除の対象になるためペアローンよりもお得ですね
団体信用生命保険に2人で加入できる金融機関を見つければ、より満足度を高められますよ
まとめ
3種類のローンの違いを理解するためには、まず契約するローンの数を把握する必要があります。
連帯債務と連帯保証の場合、住宅ローンの契約数は1本です。
そのため住宅ローン1本分の手数料しかかかりません。
類似点が多いものの、連帯債務の場合は夫婦それぞれが住宅借入金等特別控除の対象となるのが大きな違いです。
住宅ローンの契約数が2本のペアローンは手数料が2倍かかりますが、団体信用生命保険には夫婦それぞれが加入できます。
それぞれを比較すると、手数料を抑えつつも夫婦で住宅借入金等特別控除が受けられる連帯債務のメリットが大きいです。
ただしいずれの方法も借りるお金が多くなる分、返済額も多くなる可能性があります。
そのため数年後から数十年後の返済プランもしっかり考えて、自分たちに合う住宅ローンを見つけることが大切です。