家をはじめて売る際には、どんな手続きや流れになるのか、分からないことが多いと思います。
また、家を売却すると決めたら、なるべく高額に売りたいというもの。
条件の良い売却にするためにも、基礎知識を身につけるのは重要です。
初めてなので、わからないことが多く不安です…。
この記事では、はじめて家を売る人のための不動産売却の基礎知識と、成功の鉄則5つを解説しています。
家を売る前に、是非参考にして頂ければ幸いです。
目次
家を売却する時の鉄則5つ!!
まずは、家を売る際に押さえておきたい鉄則を紹介します。
- 査定は複数の不動産会社に依頼する
- 実際に家に来て査定して貰う
- 信頼できる不動産会社を見極める
- 悩んだら一般媒介契約にする
- ハウスクリーニングを頼んできれいに見せる
上記の鉄則5つをそれぞれ解説していきます。
査定は複数の不動産会社に依頼
家の査定をして貰う際には、一つの不動産会社だけではなく、複数の会社に依頼することが大事です。
売却を成功させるためには、信頼できる不動産会社を選ぶ必要があります。
不動産会社は、売却活動から売買契約まで全ての業務に携ってくれるので、会社選びを間違えてしまうと失敗する可能性が。
失敗しないためにも、複数の不動産会社に査定を依頼して、それぞれの会社を比較することです。
では、複数の不動産会社をどうやって探せば良いのか、方法はこちらです。
- 直接不動産会社へ尋ねる
- 一括査定サイトで不動産会社に査定依頼する
家の近くの不動産会社へ直接出向いて相談する方法がありますが、近所で探してしまうと不動産会社の数に限りがあるため、色々比較できません。
また、直接訪問するとなると日時を予約してからになるので、休みの日にしか行けないといった、時間と手間がかかってしまいます。
しかし、一括査定サイトだと複数の不動産会社に一斉に査定依頼ができるのです。
一括査定サイトに、家の情報をいくつか入力して、3分位あれば複数の不動産会社に依頼ができて比較できます。
また、家にいながらいつでも査定依頼できるので、費用もかからず効率が良いというもの。
まずは、一括査定サイトで複数の不動産会社を比較してから、信頼できる会社に依頼することが鉄則の一つになります。
実際に家に来て査定して貰う
査定には「机上査定」と「訪問査定」があり、売却を失敗しないためにも訪問査定を必ずして貰うようにしましょう。
机上査定と訪問査定の違い
机上査定 | 訪問査定 |
データを基に査定額を出す実際には物件を見ない実際の査定額とかなり差が出る場合がある期間は1〜3日くらい | 現地に行って査定額を出す机上査定より的確な査定評価ポイントを把握できる期間は1週間程度 |
机上査定とは
データを基に査定額を出すので、実際に家を見ずに決める査定方法です。
そのため、査定額を出す期間は早くて当日、遅くても3日以内には分ります。
家を実際に見ていないので、確かな査定額が出せず、売却時の価格と大幅な差が出ることもあります。
一方、
訪問査定とは
担当者が実際に家に行って細かく査定する方法です。
机上査定より正確な査定ができるので、売却時も安心できます。
細かく査定する分、期間は少しかかってしまいますが、約1週間となっています。
訪問査定で家を高額に査定して貰うためには、いくつかチェックするポイントがあり、主な項目はこちらです。
- 家の築年数
- 家の日当たりや通気性
- 雨漏りがないか
- 水回りの状態
- 家具の配置がしやすい間取りか
- 土地の面積
- 利便性の良い立地か
訪問査定をする前に、上記を意識して改善できる所は事前に工夫しておくと、評価も高くなる可能性があります。
よって、家を売る際には必ず訪問査定をして貰うことは鉄則です。
信頼できる不動産会社見極める
複数の不動産会社を比較して、信頼できる不動産会社を選ぶためにも、確認するポイントがあります。
不動産売却を専門としている
不動産会社には専門分野があり、「賃貸」「管理」「売却」とそれぞれに分かれています。
家をスムーズに売るためには、売却を専門としている不動産会社に依頼することです。
売却を専門としている不動産会社を見極める方法は、会社のホームページを確認すると載っています。
不動産会社の実績も確認して、売却力があるかどうか判断するのも良いでしょう。
両手仲介の囲い込みにこだわるか
囲い込みとは
両手仲介をして売主と買主から仲介手数料の報酬を貰いがために、売却依頼された物件を他に紹介しないことです。
この囲い込みをされると、高い価格で購入してくれる買主が現れたとしても、「もうすでに申し込みがあったので売れないです」と嘘をつき断られてしまうのです。
大手不動産会社は、囲い込みを行うことが多いと言われているので、売却依頼する前に「両手仲介にこだわりますか?」と確認しておくと良いでしょう。
担当者が信頼できる
家を売る際に購入希望者と交渉してくれたり、売却活動をしてくれたりするのが営業担当者になるので、経験や知識がある担当者を選ぶことが重要です。
特に、宅地建物取引士(宅建士)の資格がある担当者だと信頼ができます。
不動産会社には5人につき1人が宅建士の資格があれば良いので、資格を持っていない担当者もいるのです。
そのため、家をスムーズに売却するためにも、宅建士を持っている担当者に依頼した方が、成功しやすいと言えます。
さらに、資格を所持しているだけではなく、実務経験がどのくらいあるのかも確認した方が良いです。
また、担当者との相性も大事で、家を売るまでの期間は大体3ヶ月〜6ヶ月くらいになるため、相談しやすい担当者を選ぶことが大事です。
話し方に関しては、買主に対しても同じく接するということになるので、マナーがしっかりしている担当者か見ておきましょう。
悩んだら一般媒介契約にする
不動産会社と媒介契約(仲介)を結びますが、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。
媒介契約(仲介)それぞれの特徴
種 類 | 契約数 | 売却活動の報告 | レインズの登録 | 契約期間 |
一般媒介契約 | 複数 | 義務はなし | 義務はなし | 無期限 |
専任媒介契約 | 1社のみ | 2週間に1回以上 | 契約後7日以内 | 3ヶ月 |
専属専任媒介契約 | 1社のみ | 1週間に1回以上 | 契約後5日以内 | 3ヶ月 |
一般媒介契約
「一般媒介契約」は、複数の会社と契約することができて、自分で買主を見つけて取引もできます。
専任媒介契約
「専任媒介契約」は、一社のみの契約で2週間に1回以上の売却活動の報告する義務があります。自分で買主を見つけて取引しても大丈夫です。
専属専任媒介契約
「専属専任媒介契約」も一社のみの契約ですが、1週間に1回以上と専任媒介契約より頻繁に売却活動の報告義務があり、自分で買主を見つけて取引は禁止されています。
不動産会社にとっては、複数の会社と契約されるより、自社だけで契約して貰った方が儲けられるので、専任媒介契約をすすめてきます。
しかし、専任ですすめられて直ぐに契約するのは避けた方が良いでしょう。
一般媒介契約は複数の会社と契約できるので、悩んだら一般媒介契約にしておくのが良いです。
一方、信頼できる会社だから一社だけに依頼したいと言うのなら、専任媒介契約がおすすめです。
専任媒介契約は一社だけの契約になりますが、一般媒介契約より熱心に売却活動を行なってくれます。
ハウスクリーニングを頼む
売却活動中、購入希望者は家を内覧に来ます。
古い家だったとしても部屋の中がきれいだと、売却しやすいというもの。
そのため、内覧の前には家の中を掃除しておくことが大事で、特に水回りのキッチンやバスルームなどは注目されやすいため、徹底してきれいにする必要があります。
買主が内覧に来て好印象になるように、家の中には邪魔になるような物は置かないことや、照明で部屋の雰囲気を良く見せるなどしておくと良いです。
家の中全体の掃除が大変な場合は、プロに任せる「ハウスクリーニング」へ依頼するのがおすすめです。
数万円の費用はかかってしまいますが、家をスムーズに売るためには必要なコストと言えます。
リフォームをするより安いので、売却前にはハウスクリーニングを行うことも鉄則になります。
ハウスクリーニングの相場
箇所 | 相場 |
2LDK | 3万円〜6万円 |
3LDK | 5万円〜10万円 |
4LDK | 8万円〜12万円 |
浴室 | 1万円〜2万円 |
キッチン、換気扇 | 2万円〜4万円 |
トイレ | 7千円前後 |
家を売る際の鉄則5つを紹介しましたが、次に家を売る流れを掴んでおきましょう。
事前に家を売る流れを知っておこう
家を売る際には、大体このような流れになっています。
- 売却の準備
- 査定依頼する
- 不動産会社と媒介契約
- 売却活動と内覧対応
- 売買契約を結ぶ
- 引き渡しと決済
- 確定申告
上記の流れをそれぞれ解説していきます。
売却の準備
家を売る前の準備はしっかり行うことが大切です。
準備しておくべき項目はこちらです。
- 相場を調べる
- ローンの残額を確認
- 売却に必要な書類をまとめておく
- インスペクションを行う
相場を調べる
まず査定依頼をする前に、売る家の相場を把握しておく必要があります。
一括査定サイトなどに依頼して出た査定額は、様々な価格で提示されますが、高額だから良いという訳ではありません。
家の相場を知ることで適正な価格が分かるので、売却がスムーズになります。
また、築年数によって相場は変わっていきますが、築年数が古くなるほど価格が下がるというもの。
新築から築10年くらいまでにかけて大幅に価格が下落し、築20年くらいになると価格も落ち着いてきます。
築30年以上になると木造の場合は、家の価値がほとんどなくなり、土地の価格しか付かないこともあります。
家を高く売りたいとなったら、築年数が浅いうちに売った方が良いので、売却を考えたら早く行動した方が良いでしょう。
家の相場を知るためには、国土交通大臣が指定している不動産流通標準情報システムの「REINS Market Information(レインズ)」で調べることをおすすめします。
家の条件と似たような物件を探して、実際に取引された価格が分かれば、自分の家の相場も大体把握できます。
ローンの残額を確認
家を売る前に、ローンが後どのくらい残っているのかチェックします。
ローンが残っている状態だと、勝手に家を売ることができません。
何故なら、金融機関から融資を受ける際に、不動産を担保とする権利「抵当権」を外さないと家を売れないからです。
ローンの残債を確認するには、金融機関から送られる「年末残高証明書」を見れば分ります。
残高証明書がない場合は、直接窓口へ行って確認できます。
家の査定額より残債が多かった場合は、資金を用意するか、買い替えローンを利用することになるでしょう。
売却に必要な書類をまとめておく
家を売る時には、様々な書類が必要になります。
主に以下のものになるので、早めに用意しておくとスムーズです。
- 実印・印鑑証明
- 身分証明書
- 登記済権利証
- 間取り図
- 建築確認済証
- 境界確認書
- 固定資産税納税通知書
他にも書類はありますが、前もって準備できるものは集めておきましょう。
わかりました!
インスペクションを行う
家の状況を調査してくれる「インスペクション」を行うとことをおすすめします。
不動産会社に紹介して貰うこともできます。
調査料は3万円ほどになりますが、事前にインスペクションを行なっておくことで、買主は安心して購入することができるため、売却しやすくなるでしょう。
査定依頼する
前述しましたが、査定を依頼する際には一括査定サイトの利用をおすすめします。
査定額が出たら、依頼する不動産会社を選びます。
査定額が低い不動産会社より、高く提示してきた会社を基本的に選ぶようにすると良いです。
ただし、査定額が相場より高過ぎる不動産会社に関しては注意する必要があります。
査定額が高過ぎる不動産会社は、査定をしっかり行なっていない可能性があるというもの。
査定額はあくまでも査定なので、実際に売却する価格ではありません。
高過ぎる価格だと買主から見ても高いとなるので、売れ残る確率が高くなり、結局は大幅に値下げすることになるでしょう。
早く契約を取りたいがために不動産会社が高い査定額にしていることが多いので、実際は相場よりかなり安い価格で売却となってしまったということがないように気をつけておきます。
査定額を見て依頼したい不動産会社が決まったら、「訪問査定」をして適正な査定額を出して貰います。
査定額が根拠に基づいた価格なのか、きちんと説明できる不動産会社を選ぶのが良いです。
不動産会社と媒介契約
不動産会社が決定したら、媒介契約を締結します。
前述した媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」があるので、3つの媒介契約から選択します。
基本的に、悩んだら一般媒介契約を選んでおくと良いでしょう。
売却活動と内覧対応
不動産会社と媒介契約を結んで売却価格を決めたら、いよいよ売却活動がスタートです。
売却期間は3ヶ月〜6ヶ月くらいです。
また、購入希望者が家を見たいとなったら、売主は内覧対応をします。
買い替えで売り先行をする場合は、居住している状態なので、内覧の対応をしっかり行う必要があります。
売却する家を良くアピールすることができれば、購入率が上がるというもの。
一方、内覧準備ができていないと、購入希望者に生活感が伝わってしまって、成約になりづらい可能性があります。
整頓されていない生活感丸出しの家を内覧するのと、きれいに片付けられている家を内覧するのは全く印象が異なります。
購入希望者には好印象を持って貰うためにも、下記のポイントを意識しましょう。
- 内覧に来てくれた人には丁寧に対応し、物件の魅力を伝える
- 内覧希望があった場合は、スムーズに応える
- 部屋の掃除を行い、きれいにしておく
売却する家の良さを伝えることも大事です。
例えば、日当たりが良いことや、リフォームしたことなど魅力的な部分を購入希望者に紹介できれば、購買欲を高められます。
購入希望者から色々と質問される場合は、購入する気があると予想できるので、丁寧に詳細を応えてあげられると良いでしょう。
また、内覧の際に購入希望者から、なぜ家を売るのか質問されることがあります。
もし、売主の家を売却する理由が「この家が好きではない」と言ったマイナスな答えであれば、注意が必要です。
「交通量の多い場所なため、喘息になってしまい売ります」となったら、中々売却できないです。
家のマイナス部分を売却理由にするのではなく、対処法としてアドバイスできると良いでしょう。
「夕方は交通量が増えるので、窓をしっかり閉めておいてください」など伝えてあげると親切になります。
売却理由を何て伝えて良いか分からない場合は、不動産会社からアドバイスを貰うのもおすすめです。
売買契約を結ぶ
内覧に来て貰って、家を購入することが決まったら、売買契約を買主と結びます。
売買契約と家の引き渡しは別の日になり、大体この期間は1ヶ月です。
売買契約には色々な書類などがあるので紹介していきます。
- 実印・印鑑証明書
- 身分証明書
- 固定資産税評価証明書
- 固定資産税納税通知書
- 登記済権利書
- 印紙代
- 仲介手数料
マンションの場合
- 管理規約
- 維持管理費の書類など
戸建ての場合
- 境界確認書
- 建築確認通知書など
必要書類が沢山ありますが、不動産会社が教えてくれるので、一緒に確認して用意すれば大丈夫です。
売買契約は中々解約ができないものですが、買主のローンが通らなかった場合は、契約が白紙になることもあります。
住宅ローンの審査時に確認する個人信用情報に問題があると、残念ながら通らないケースが多いです。
住宅ローン特約が付いている場合は、「買主のローンが通らなかったら契約解除」になり、買い替え特約が付いている場合は、「買主が自宅を売却できなかったら契約解除」という、いずれも買主の状況で契約が白紙になる内容です。
契約が白紙となったら、売主はまた最初から売却活動を行うことになります。
売買契約を結ぶ際には特約を確認しておきましょう。
はい!
引き渡しと決済
売買契約が締結したら、日にちを決めて引き渡しと決済を行います。
家を引き渡す時には、下記の書類などが必要になります。
- 抵当権抹消の書類
- 建築確認の書類
- 所有権移転登記の書類
- 設備の保証書や取説
- 仲介手数料
- 実印・印鑑証明書
- 家の鍵
- 領収書
上記の項目は、事前に不動産会社に確認して用意しておきます。
また、売主の抵当権が残っていて、買主が抵当権を新しく設定する時には、抵当権の抹消と設定や所有権移転登記も行うので、司法書士も立ち会うことになります。
売主は、登録免許税と抵当権抹消の手数料を用意しなくてはいけません。
司法書士は不動産会社が手配してくれます。
家の引き渡しには、退去が済んでいることが原則なので、売主は事前に引っ越しをする必要があります。
引っ越しが済んでから、引き渡しになるのでバタバタと忙しくなりますが、不動産会社と話し合いながら行いましょう。
確定申告
家を売った際に譲渡所得が発生した場合、納税することになります。
しかし、マイホームを売る場合は、特例が設けられていて税金がなるべく発生しないようになっています。
大体は、税金を支払うことはありませんが、特例を受けるには確定申告が必要になるので、しっかり行いましょう。
売却にかかる費用や税金の基礎知識
家を売る際には様々な費用や税金がかかってきます。
売却額が丸ごと利益になる訳ではないので、どのくらいの費用がかかってくるのか事前に把握しておくことが重要です。
売却に必要な諸費用は、大体売却価格の7%前後かかると言われています。
費用は下記になります。
売却にかかる費用
- 仲介手数料
- 抵当権抹消の費用(2万円位)
- ローン返済手数料(2万円位)
- その他、引っ越し費用など
税金
- 譲渡所得税
- 印紙税
仲介手数料
家を無事売ることができたら、報酬として不動産会社に仲介手数料を支払います。
仲介手数料の上限は以下の計算式で決められているので確認しておきましょう。
仲介手数料の計算式
契約金額 | 仲介手数料の上限額 |
200万円以下 | 取引額の5%+消費税 |
200万円超400万円以下 | 取引額の4%+2万円+消費税 |
400万円超 | 取引額の3%+6万円+消費税 |
大体の不動産会社は仲介手数料を上限の金額で設定していることが多いです。
例えば、売却した家が2,000万円だった場合、仲介手数料は以下になります。
- 2,000万円×3%+6万円+消費税10%=【仲介手数料は72.6万円】
仲介手数料がない不動産会社もあるので様々ですが、上記の計算式を目安に準備しておきましょう。
印紙税
印紙は契約書に貼り付ける際に使用します。
売買契約書は売主と買主1通ずつあるので、印紙を2枚購入します。
契約金額によって印紙税が異なるので確認しておきましょう。
平成4年3月31日までは軽減措置が施行されています。
契約金額ごとの印紙税
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
10万円を超え50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円を超え100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円を超え500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円を超え1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円を超え5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円を超え1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
5億円を超え10億円以下 | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え50億円以下 | 40万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
引用元:国税庁 不動産譲渡、建設工事の請負に関する契約に係る印紙税の軽減措置
利益がでた時に発生する譲渡所得税
家を売った売却額から経費を引いて出た利益を譲渡所得と言いますが、その場合は所得税と住民税が課税されます。売却した時に譲渡所得の利益が出なければ税金はかかりません。
譲渡所得の税率は所有期間で異なり、売却する年の1月1日に5年超えているかで下記のように変わります。
所有期間 | 所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | 合計 |
短期譲渡所得(5年以下) | 9% | 30% | 0.63% | 39.63% |
長期譲渡所得(5年超) | 5% | 15% | 0.315% | 20.315% |
例えば、家の売却額が3,000万円で、購入した時の取得費が2,000万円、売却時の諸費用が250万円の場合
- 3,000万円-2,000万円-250万円=【譲渡所得は750万円】
譲渡所得が750万円なので、ここにかかる税金は所有期間でまた変わってきます。
所有期間が5年以下の場合
- 750万円×39.63%=【譲渡所得税は297万円】
所有期間が5年超えの場合
- 750万円×20.315%=【譲渡所得税は152万円】
所有期間が5年以下だと譲渡所得税は倍近く高くなってしまうので、なるべく5年超えてから売却するのがおすすめです。
ところが、自分の家を売った場合は、特別控除を受けられる特例があるのです。
3,000万円の特別控除
マイホームの場合は、3,000万円の特別控除を受けられる特例があり、譲渡所得が3,000万円までなら課税されません。
特例を受けるには条件を満たしていることが前提となります。
- 家族などに家を売らない
- 実際に住んでいた家である
- 3,000万円の特例を前年と前々年に受けていない
- 退去した日から3年が経過した年末まで
上記以外にもいくつかありますが、この条件は大体の人が満たしているので、適用になるケースが多いです。
家を売る際に注意すべきポイント
家を売ることになった理由で最も多いのは、「住み替え」のためです。
次に「資産整理」、「相続」といった理由で家を売却する方が多くいるようです。
それぞれ家を売る際に気をつけておくべきポイントを紹介していきます。
住み替えで売却
現在住んでいる家を売却して、新しく家を購入することを「住み替え」と言いますが、住み替えをするには、タイミングに注意する必要があります。
家を先に売る場合は、売却が決まったのに、新しく住む家がまだ決まっていないという問題が起こる可能性があるというもの。
売却が決まった家は、引き渡しまでに出て行かなくてはいけないので、新しい家が決まっていない場合は、一旦賃貸物件に入居することになるでしょう。
一方、新しい家を先に購入する場合は、売却がまだ決まってないため、資金調達しなくてはいけません。
資金に余裕がないと、新しい家の購入資金に回せないので、購入が難しくなります。
また、売却が全然決まらないでいると、新しく購入した家のローンと、売却する予定の家のローンが二重になってしまい、返済が圧迫することが考えられます。
そうなると、早く売却しようとなるので、相場より安い価格で売ることになってしまい、予想以上に安値で売却することになってしまうリスクがあります。
家を売る時と、購入する時のタイミングを上手に見計らっておきましょう。
資産整理で古家を売却
築30年を超えている木造の古家は、資産価値が全くなくなる可能性がありますが、土地には価値があるので、古家と土地を一緒に売却すると良いです。
また、古家を売却する時は、解体をしないでそのまま売る方がおすすめです。
買主は更地で購入するよりも、家付きで購入した方が住宅ローンを受けやすくなるので、高い価格で買ってくれる可能性があります。
更地にしてしまうと、家付きの土地に比べて固定資産税が高くなってしまうことや、解体するにも高額なコストがかかってくるので、古家は解体しないでそのまま売却しましょう。
相続した家を売却
相続した家を売るためには、不動産の名義を前の所有者から、相続する人へと変更する必要があります。
したがって、名義変更がされていないと相続した家を売ることができないのです。
空き家を放置しておくと、固定資産税が毎年かかってきます。
使っていない空き家を相続した際には、なるべく早めに売却をした方が良いでしょう。
賃貸中の家を売却
賃貸中の家を売却する時は、入居者へ賃貸契約が解消できるか確認します。
通常は、入居者に引っ越し代として立ち退き料を渡して、円満に退去して貰う流れになります。
入居者がいる状態だけど売却したい場合は、入居者に家を買って貰う方法や、オーナーチェンンジを行うことで入居者がいても家を売ることは可能です。
ただし、入居がいて他に売却する場合だと、住宅ローンは利用できず、投資ローンの利用しかできないので、投資用として購入してくれる人を探さなくてはいけません。
高く売却するなら長期戦も覚悟
家を売る際には、なるべく高い価格で早く売却したいと考える方は、ほとんどだと思います。
しかし、実際には早く高値の価格で売ることは難しいでしょう。
いつまでに売却したいと期限を決めているなら、ある程度売却価格を考える必要があります。逆に、しっかり売却価格を決めているなら、売却期間に余裕を持つことが必要です。
例えば、相場が4,000万円の家があったとします。
相場が4,000万円なら、3,000万円で売却したら直ぐに買主が見つかり、早く売ることができるというもの。
ところが、売却価格を4,500万円に設定して絶対この価格で売ると決めたら、時間がかかって買主を探すことになるでしょう。
稀に、相場より高い価格で売却しても、直ぐに買主が見つかることもありますが、大体は長い期間が必要になります。
高い価格で早く売却することは、難しいものだと認識して、高く売るなら長期戦を覚悟しておいた方が良いです。
最適な売却の時期
家を売るのに最適な時期は、2~3月です。
そのため、2~3月に家が売れるように売却活動を行うことをおすすめします。
4月に新生活を始める人が多くなるので、3月に家を購入する人が増加します。
新築マンションの工事完成日が3月に多いのも、家が一番売れる時期に合わせているからです。
新築の物件は3月に出回ることが多いですが、中古物件も同じく3月に売れやすくなります。
新生活を始めるには、3月に早く家を決めなくてはいけない人が多くなるので、家を売るなら3月の時期を逃さないで売却すると良いです。
早く家を決めなくてはいけないと焦っている人は、高い価格でも買ってくれる可能性があります。
売却する時期をコントロールできるのであれば、3月に売却するべきです。
通常、不動産の売却期間は3ヶ月かかるものなので、12月くらいから売却活動を始められると最も良いでしょう。
買主が見つからない場合は買取も考える
不動産会社に家の売却を依頼したけど、買主が中々見つからず、どうしても売れないことも中にはあります。
そのような時は個人に売るのではなく、不動産会社に売ると良いです。
不動産会社に家を売ることを「買取」と言います。
買取は「即時買取」という種類があって、すぐに現金にしてくれものと、「買取保証」という契約が決まらない場合、不動産会社が保証して買い取ってくれるものがあります。
買取のメリットは、不動産会社が仲介する訳ではないので、仲介手数料がかからない所です。
直ぐに家を売ることができ、現金化するにも早いので大きなメリットになります。
また、近所の人に知られないで家を売ることもできます。
買主が中々見つからない場合は、買取を考えてみても良いでしょう。
まとめ
はじめて家を売る人に向けて、売却の基礎知識を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
思ったより、必要な書類や諸費用があることに驚きました!
まずは、家を売る前にこれらをしっかり把握しておくことが大切です。
家を売る期限が決まっている場合は、スムーズに売却を行う必要があります。
そのためには、この記事で紹介した流れを参考にして頂ければと思います。
また、家を売る際の鉄則5つもしっかり念頭に置いて、売却活動を行ってください。
家をスムーズに売却するために、特に大事なことは信頼できる担当者に出会えることです。
担当者によって家の売却の成功はかかっていると言っても過言ではないので、複数の不動産会社を比較し、訪問して相性を確かめてから選ぶようにしましょう。