マンションを売却するなら少しでも高く売りたいと思うのが普通でしょう。
特に住宅ローンが残っている状態での売却や買替なら、少しでも多くの資金を手元に残しておきたいものです。
マンションを売却するにあたって多くの人は売却査定を行い、最も高い査定額を出してくれたところを選びますが、査定額が高いからといってその業者に売却を依頼するのは危険です。
その査定額は実際の適正価格とは大きくかけ離れている可能性があり、そのまま売却活動を行うと不利な状況に追い込まれるかもしれません。
国内に数十万もある不動産会社のなかには売り手や買い手を陥れる悪徳業者が混ざっていますので、そのような業者を避けることが大切です。
マンションの売却をする上で重要なのは、適正価格を把握すること、良い不動産会社と出会うことです。
そのためには売却活動の初めのステップである査定が大変重要となります。
この記事ではマンション売却の査定についてお伝えしていきます。
査定額がいくらだったら信用できる?適正価格を知る方法は?適正価格よりも高く売るポイントを知りたい!などの疑問を解決していきます。
マンションの売却を検討している方、高値でのマンション売却を目指したい方は是非参考にして下さい。
査定額が高いと高く売れるのだと思っていました!
必ずしも査定額そのままの価格で売却できるわけではありません。業者によっては査定額だけ高く提示して、結果的に売主が損をする可能性もあるのです。不動産の売却査定を依頼する前に、査定額の意味について理解しましょう。
高すぎる査定額は適正価格ではない?!
マンション売却の最初の手順となる査定。
おそらく多くの人が不動産会社に対して査定を依頼することから始めるのではないでしょうか。
自分が想像していた価格よりも高かったら喜んで契約を結び、低かったら他の業者をあたるでしょう。
しかし、査定額に関する誤った知識を持って査定依頼をすると、それは結果的に売却する上で不利になってしまいます。
その理由をみていきましょう。
査定額とは?
査定額、これはどのような位置づけのものかご存知でしょうか。
売れる価格、売り出しするときの価格など、人によってとらえ方は異なるかもしれません。
実際のところ、査定額というのは、不動産会社の売却予想価格です。
つまり、うちの会社で売り出せばこれくらいで売れると思いますよ、というものです。
不動産会社によって査定額は異なるのは、それぞれの予想価格が異なるからだといえます。
しかし査定額が異なるのは、その理由だけではないかもしれません。
これは多くの業者に査定を依頼しなければ分からないことですが、査定額には数百万円もの差が出ることもあります。
予想価格が異なるからといってこれほどの差が出るのは理解し難い話です。
何故なら査定額を算出する際に参考にするデータや基準は、どの会社もそれほど変わりないからです。
不動産会社にとって査定は営業活動の一環である
ではなぜ不動産会社によって査定額に大きな差が生じるのでしょう。
実は、他と比べてあまりにも高い査定額を提示した業者は、査定額に色を付けている可能性があります。
なぜなら業者にとって査定は営業活動の一環であり、顧客を獲得するチャンスだからです。
そもそもなぜ業者が売却する顧客を獲得したいのかというと、それは仲介手数料にあります。
業者は自社で売却活動をし、買い手が見つかって売買契約を結んだ場合、仲介手数料を確保できます。
仲介手数料はいわば成功報酬のようなもので、売却価格のおよそ3~5%ほど。
売却価格が5000万円ですと、最大で170万円弱の仲介手数料が売主から業者へと支払われます。因みに法令により仲介手数料の上限が決められてますので、上限以上に請求される事は基本ありません。
これには売却活動における広告費用等も含まれていますが、業者にとっても大きな利益となるのがお分かりいただけるでしょう。
仲介手数料を手に入れるには、売主との間に仲介の契約を結ぶ必要があります。
しかし、特段の事情がない限り業者側から売却しませんか?などと個別に営業をかけることはできません。
売却タイミングは完全に売主側が握っているため、業者側はそれを待つしかないのです。
査定の依頼は大きなチャンスですから、その顧客を獲得し仲介契約を結ぶため、他業者よりも際立つ必要があります。
査定額を割り増しして顧客の目を引く、それが結果的に他業者との査定額に大きな差が生じる原因となるのです。
査定額が高いと売却活動で不利になる理由
査定額が適正価格からかけ離れた価格ですと、売り出し価格の設定で転ぶため、売却活動が不利になります。
売り出した物件がいつ売れるか、いくらで売れるかは誰にも分かりません。
しかしながら、売却活動には期限があり、売却相場というのも決まっています。
売り出し価格の設定を誤ると、期限内に売れない、想定よりも大幅に低い価格で売るしかないといった状況に陥る可能性があるのです。
例えば、適正価格が3000万円のマンションを売却するとしましょう。
売主は最も高い3500万円という査定額を提示した業者のみに仲介を依頼し、売却をします。
売り出し価格は売主が自由に決められるため、値下げ交渉を見据えて3800万円で売り出したとします。
これは適正価格よりも大幅に高い価格設定です。
購入希望者の多くは数多くの物件を見て大まかな相場を把握していますから、相場と大きな乖離のある不動産には手を付けません。
買い手が付かない中で時間だけが過ぎていくと、業者は大幅な値下げ要求をし、市場価格に近付けようとします。
結果3000万円まで下げて売却ができたとしても、3800万円程度で売れると思っていた売主にとっては大きな痛手となるでしょう。
もし買替の資金やローンの返済に充てるための資金計画に含めていたとしたら、それすら崩れてしまいます。
このような状況に陥る売主は意外に多く、そのほとんどが査定に重きを置くべきだったと後悔しています。
売り出し価格が売却活動に与える影響を以下にまとめました。
売り出し価格が適正基準よりも | 売却活動 |
---|---|
安すぎる | 早く売れるが数百万円単位で損をする |
高すぎる | 売れないor売り切るには大幅な値下げが必要 |
正常な範囲 | 有効期間内に適正価格で売れる |
査定額は売却活動そのものに影響を与えるため、慎重な判断が必要です。
ここまでをご覧いただき、査定額が高い業者は要注意であること、適正価格を知ることの重要性をお分かりいただけたでしょう。
これを踏まえ、次項からは悪徳業者を見抜く方法についてお伝えしていきます。
悪徳業者を見抜く方方法とは?
「この業者だけ査定額が高いな」と感じるのは、複数の業者に査定を依頼した人だけです。
もし1社だけしか申し込んでおらず、運悪くその業者が査定額に色を付けるような会社だと、知らぬ間に不利な売却をする羽目になります。
査定額が高すぎる=要注意の業者を見抜くためには、複数の業者に査定を申し込むことが大切です。
複数の業者に査定を依頼するとより多くの査定額を知ることができ、良い業者と出会える可能性も高まるからです。
査定を依頼する際は、以下のポイントに気を付けましょう。
- 一括査定で複数の不動産会社に依頼
- 不動産会社の種類を分散させて依頼する
- 査定書をもらう
適正価格を把握し、良い不動産会社を選ぶために大変重要なポイントとなります。
複数の業者に一度に査定依頼できる一括査定サイトが便利!
複数の業者に査定してもらうことが大切とは言え、1社ずつ申し込んで回るのは大変です。
そこでおすすめなのが、インターネット上で一度に複数の業者に査定を申し込める一括査定サイトです。
一括査定サイトは無料で、気軽に利用できます。
また、利用方法も以下のようにシンプルなものとなっています。
- 依頼する物件の情報の入力
- 個人情報の入力
- ピックアップされた不動産会社から申し込む会社を選択
- 依頼完了 各不動産会社からの連絡を待つ
以上が一括査定サイト利用の流れです。
適正な査定額を出してもらうためには、提供する物件情報も正確でなければなりません。
サイトを利用する前に、以下の物件情報を把握しておくと良いでしょう。(マンションの場合)
- 専有面積
- 間取り
- 構造
- 住所
- 部屋番号
- 築年数
マンションの査定では部屋の情報以外にも、周辺環境や駅からの距離などといった立地条件も重要視されますので、住所は正しく入力しましょう。
一括査定サイトは信用できるの?
不動産会社の中には悪徳業者も含まれているかもしれないとお伝えしました。
そこで気になるのが一括査定サイトの信頼性です。
無料で利用できるのに個人情報を入力しなければならないため、不安に感じる方も多いでしょう。
結論からいうと、一括査定サイトは安全です。
なぜなら運営サイトによってしっかり管理されているからです。
運営サイトが厳選した業者のみと提携している
一括査定サイトはたくさんあり、そのどれもが同じというわけではなく、運営者も提携している不動産会社も異なります。
サイトによって提携数は異なりますが、500社のところもあれば2000社以上のところも。
ただ、提携先については運営サイトが厳選した業者であることが基本です。
個人情報や物件を安全に取り扱える業者でなければ提携することはありません。
一括査定サイトが普及してきたことで各サイトがしのぎを削る中、口コミ等で悪いうわさが広まることは避けたいところ。
利用者からのクレームを避けるためにも、悪徳業者と呼ばれるような不動産会社とは提携せず、優良会社との提携を前面に押し出しているサイトがほとんどです。
もし、自身が良くない業者にあたった場合も、運営サイトに連絡することで即時対応してくれるため、心配はいりません。
無料で利用できるのはなぜですか?
それは提携している不動産会社から運営サイトへと登録料や紹介料などが支払われているからですよ。
ネームバリューに囚われず 中小規模も選択肢に入れる
ピックアップされた不動産会社から選択する際、やはり名の知れた大手不動産会社が目につくでしょう。
多くの人は大手なら安心、高く見積もってくれそうなど、ネームバリューに囚われた選択をしてしまいがちです。
しかし、不動産会社はそれぞれ特徴や強みが異なりますので、大手だからといって良い条件で売却できるとは限りません。
特にマンションに関してはエリアが重要な要素となるため、むしろ地域密着型の不動産会社の方が良い場合もあります。
マンション購入希望者はエリアを絞って探す
マンション売却の場合、地域密着型の不動産会社の方が高く売れる可能性があります。
その理由は購入者の目線に立つとよくわかります。
マンションを購入する人たちの多くは、部屋の条件よりもエリアを重視する傾向にあります。
例えば、○○線沿い・○○駅の近辺・○○市○区・○○学校の学区内などといった感じで、ある程度絞った範囲の中で物件を探します。
もちろん部屋の間取りや築年数なども希望条件ですが、購入を検討していく中でエリアに関する条件が変わることはほとんどありません。
エリア条件を中心に検討してくと今度は保育園や学校の評判、夜の治安、再開発の予定などといったさらに深い部分を気にするようになります。
このような情報はエリア内で取引し、ノウハウを蓄積した地元密着型不動産会社の方が精通しています。
購入希望者はこのような情報を求めて地元密着型不動産会社での購入を検討する傾向にあるため、売却活動する売主にとっても早く高く売れる可能性があります。
何社に申し込めばいい?
一括査定サイトに物件情報を入力したら、運営サイトが提携する中から自動的に査定可能な不動産会社がピックアップされます。
提携数が多いほど査定可能な業者は多くなり、また首都圏に近ければ数十社が選ばれることも少なくありません。
サイトによって申し込める数は違いますが、最大10社程度まで申し込めます。
とはいえ、査定を申し込んだ後には各不動産会社から個別に査定の連絡が来ますので、全てに対応するのは難しいでしょう。
目安としては5~7社ほど、少なくても3社以上を選択することをおすすめします。
選択肢の中には大手不動産会社と地域密着型の中小不動産をバランスよく織り交ぜると良いでしょう。
査定額の根拠が記載された査定書を作成してもらう
査定書とは、査定額を算出した根拠が記載された書類です。
各社が査定額を算出する際に参考にするデータや基準は路線価や実勢価格、過去の取引事例が主となりますのでほとんど変わりません。
しかし、査定方法は異なりますので、不動産会社によって査定額に若干の差が出ます。
その差額分の根拠を知るために、査定書は大変重要なのです。
高すぎる査定額を出した場合も、何故他社よりも高いのかを知ることができます。
他社の査定書と比較すれば、色を付けているのか、それとも高く売れる根拠があるのかを知ることができるでしょう。
査定書は、査定額の根拠を知るとともに、悪徳業者を見抜く方法の一つでもあるのです。
不動産会社に査定を依頼した後は、査定書が自宅へと送付されるのが一般的です。
しかし、電話やメールなどの連絡のみで査定書を送らない会社もあります。
送付の有無で良し悪しを判断することはできませんので、作成した査定書を送付してもらうように依頼することが大切です。
査定書には査定額の他にどんな情報が載っていますか?
記載されている内容は不動産会社によって異なりますが、売り出し価格の設定額や仲介手数料の金額も知ることができますよ。諸費用を差し引いた手取り価格もわかりますので、具体的な資金計画を立てる場合にも役立ちます。
適正価格を知る方法とは?
複数の不動産会社に査定を依頼して査定額が提示されたら、その中から売却の仲介を依頼する会社を選ぶ必要があります。
選ぶ際のポイントは、適正価格の範囲内の査定額であることです。
信頼できる不動産会社を選ぶためにも、まずは自身が適正価格を把握しておかなければなりません。
まずはマンションの適正価格を以下の方法で調べてみましょう。
- 公示地価を参考にする
- 不動産情報サイトを参考にする
- 過去の取引価格を参考にする
1.公示地価を参考にする
公示地価や相続税路線価などは国が決めた土地の価格です。
不動産の価格を決めるにあたっては取引の指標となる公示地価も基準の一つとなりますので、適正価格を知るためにも参考になります。
公示価格は国土交通省が提供するものですが、同じようなものとして都道府県が提供する基準地価というのもあります。
どちらも国土交通省のホームページで検索できますので、検索条件を指定して検索してみましょう。
2.不動産情報サイトを参考にする
不動産情報サイトとは、不動産を購入する際に検索ツールとして利用するサイトのことです。
こちらを参考にすることで、自身が売却する予定のマンションと似た条件の物件がどのくらいの価格で販売されているかが分かります。
もしかしたら同じマンションの一室が売りに出されているかもしれません。
よりリアルな売り出し価格を知れるため、参考になるでしょう。
ただし、不動産情報サイトで知ることができるのは現在の販売価格です。
売却では値下げ交渉するケースが多いため実際の売却価格とは異なる点を踏まえて参考にしましょう。
3.過去の取引価格を参考にする
不動産情報サイトで分かる情報は販売価格でしたが、こちらは実際の成約価格を知れる方法です。
レインズマーケットインフォーメーション(国土交通大臣から指定を受けた不動産指定流通機構)では、実際に売却されたマンションの成約価格を知ることができます。
沿線や最寄り駅、専有面積や間取りなど、細かな条件を指定して検索できます。
また、成約時期を指定できるのも大きな特徴です。
マンション価格は景気や市場の動向に左右されやすいため、時期を知ることで正確な適正価格を把握するのにも役立つでしょう。
直近1年以内にエリア内で取引された情報など、現在のマンションの需要の傾向や供給状況などエリア内の不動産流通状況についても把握できます。
悪徳業者に騙されないようにするために必要な事とは?
一括査定サイトで複数の業者に査定を依頼し、自身が適正価格を把握する。
ここまで行えば、売却する売主が不動産会社を見定めることができます。
高く提示された査定額を信用していいのか?の判断基準となる材料を持っているからです。
ここからは、複数の査定額を提示した不動産会社の中から、悪徳業者を避け、信頼できる会社を選ぶ方法について詳細をみていきます。
査定額を申し込み人に知らせる際の連絡は、電話あるいはメールで行われます。
いずれにせよ不動産会社の営業マンと直接やり取りする機会が設けられますので、査定額の根拠について聞いてみましょう。
根拠を明確に提示できるところこそ、信頼できる業者と言えます。
近隣の販売状況を踏まえた売却戦略を立てられるところを選ぶ
査定額の根拠として次の内容も含まれているかを確認しましょう。
- 近隣物件の販売状況を把握している
- 査定額だけでなく売り出し価格にも根拠がある
一般的に査定額の提示と同じタイミングで売り出し価格が提案されます。
売り出し価格は売却する上で大変重要な要素となりますが、これを安易に決める業者も少なくありません。
特にマンション売却の場合は近隣に競合物件があると予想されますので、これを考慮した売り出し価格を提案している会社でなければ適正価格での売却が難しくなります。
査定額=売却予想価格ですが、売り出し価格=値下げ分を加味した価格です。
早く、高く売る売却戦略においては、査定額にどのくらい上乗せして売り出し価格とするかは大変重要な要素となります。
マンション売却の場合、どのくらい上乗せするかの目安となるのが競合物件の売り出し価格です。
競合物件と比較して高すぎる売り出し価格であれば買い手が付きにくくなり、反対に安すぎる売り出し価格であれば売主が損をすることになります。
つまり、査定額を出すのに過去の成約事例のみしか参考にしていないのであれば売り出し価格を加味していないことになるため、査定額を算出する際の情報として不足しているといえるのです。
近隣の競合物件の販売状況を考慮した売却戦略を立てられる会社でない場合は、査定額が高すぎたり、査定額と同額の売り出し価格が提示されるでしょう。
査定額の根拠を質問しても、競合物件や近隣物件の販売状況に関する情報が含まれません。
査定額の根拠を聞く際には、売り出し価格の根拠として競合物件の情報を参考にしているかを見極めることが大切です。
売却予定のマンションと似た条件の売却実績があるところを選ぶ
不動産会社によって特徴や強みは異なります。
都心のマンション売却に強いところもあれば、郊外の戸建てを中心としているところもあります。
売却の仲介もしているけれどもメイン事業は賃貸管理というところもありますし、売却を専門としているところもあります。
強みとしている事業によって売却活動に差が出ます。
そのため、売却予定のマンションと似た条件の売却実績があるところを選ぶことが大切です。
査定額の根拠としても、過去の販売実績が重要な要素となります。
参考になるデータは、路線価などの公示地価や固定資産税路線価、不動産流通機構等のデータベースを元にした過去の売却事例が一般的ですが、より正確な適正価格を算出するには同じ条件の物件の売却実績が最も有効です。
査定額だけ高く出した業者が実は過去に同じような物件の売却実績があり、有利な条件で売却できることを知っているのかもしれません。
逆に、査定額の算出に過去の売却実績が関与されておらず、なんの根拠のないものであることを確認できる可能性もあります。
査定額の根拠を明確にするために、自社に同じ条件の売却実績があるのかを確認しましょう。
査定額だけ高くして囲い込みしようとする業者に要注意!
不動産を売却するなら、囲い込みのことについて知っておく必要があります。
不動産会社が提示した査定額が他社よりも適正価格よりも高いのに何の根拠もなければ、囲い込みをしようとしているのかもしれません。
囲い込みとは、売主との媒介契約(仲介の契約)を結ぶ際、仲介手数料を独占するために他の不動産会社と契約させないことです。
不動産会社は不動産指定流通機構(レインズマーケットインフォメーション)に売却物件情報を登録して不動産市場全体に情報を共有しなければなりません。
仲介を依頼した売主の利益確保を優先し、買い手を早く見つける努力をしなければならないのです。
媒介契約には専属専任媒介契約・専任媒介契約・一般媒介契約の三種類があります。
契約内容について以下の表をご覧ください。
契約内容 | 専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 |
---|---|---|---|
複数の不動産会社との契約 | × | × | ○ |
他社への通知義務 | × | × | ○ |
自己発見取引 | × | ○ | ○ |
契約の有効期間 | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 | 特になし |
不動産指定流通機構への登録義務 | 契約後5日以内に登録 | 契約後7回以内に登録 | 任意 |
業務状況の報告義務 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | 任意 |
このように専任媒介契約と専任専属媒介契約を結んだ会社は、決められた期間内に不動産指定流通機構へ登録することが義務付けられています。
故意に情報を隠したり、独占したりする行為は法律で禁じられているのです。
しかし、他の不動産会社から購入希望者がいるとの連絡が来ても、既に買い手が見つかっていると嘘をつき、紹介を断ることがあります。
これが囲い込みと呼ばれるものです。
囲い込みをされると売主は損をする可能性が高くなります。
媒介契約を結んだ不動産会社の仲介による売買契約が結ばれていたとしても、先に購入希望者が表れた他社の不動産会社であれば最も良い条件で売却できた可能性が残るからです。
それにもし契約の有効期限内に買い手が見つからなければ売却できないままとなってしまうでしょう。
不動産指定流通機構側でも囲い込みの対策強化を行っていますが実際のところ根絶には至っていません。
そのため、売主自身が囲い込みする会社を選ばないよう、査定額を以て不動産会社を選ぶ術を身に付けておくことが大切です。
良い条件で売却するためのポイントとは?
適正価格を把握したからこそできる不動産会社の選び方と注意点についてお伝えしてきました。
提示された査定額を基準に良い不動産会社を判断できるとはいえ、誰しも少しでも高く売りたいと思うものですから、高い査定額になびいてしまうのは当然でしょう。
しかし、実際のところ本当にその値段で売れるのか不安は付きまといます。
以前は、専任媒介契約や専属専任媒介契約など1社と契約を交わす形態が主流でした。
現在は一括査定サイトが普及して複数社から見積もりをとれるようになったこと、口コミサイト等で囲い込み等の悪質な手口が知られるようになったことで、一般媒介契約が主流になりつつあります。
実際に、専任媒介契約であとひと月も有効期限が残っているのにも関わらず、今値下げをしなければ売れなくなるなどと値下げ要求をされ、売主に不利な条件で売却させられたという事例もあります。
専任媒介契約や専属媒介契約は1社としか契約をしないため不動産会社側の熱心な販売活動が期待できる点がメリットですが、それを利用した悪質な手引きをする会社もあるのです。
このような不安を無くし、より良い条件で売却するため、一般媒介契約でのマンション売却をおすすめします。
どの不動産会社も仲介手数料が欲しいことに変わりありませんから、各社は良い条件で売れる顧客を見つけようとし、結果的に早い段階で高く売れる確率が上がります。
また、複数の不動産会社と一般媒介契約を結ぶと次のようなメリットを得られます。
- ポータルサイトを経由するなど情報が拡散しやすくなる
- 各社が抱える顧客に優先的に物件を紹介してもらえる
- 独占されないため囲い込みの心配がない
購入希望者はインターネットで物件を探すため、大手不動産会社と契約した際の情報の拡散力においては効果絶大といえるでしょう。
囲い込みに不安がある、どの会社に依頼したらよいか分からないという方にも一般媒介契約がおすすめです。
ただし、販売状況の報告義務等がないため熱心な販売活動という点はあまり期待できませんし、状況を知りたい場合は売主から連絡をしなければなりません。
一般媒介契約を結ぶ会社の数が多いほど個別の連絡対応に手間がかかることも覚えておきましょう。
また売り出し価格が高すぎると、相場よりも高い物件が売れ残っているという印象を与えてしまいます。
購入希望者たちの相場観は磨かれていますし、マメに物件をチェックしていますので、あくまでも適正価格を基準に売り出し価格を設定することが大切です。
一般媒介では各社が情報公開前に顧客に優先的に紹介しますので、早期売却できる可能性が高くなります。
早く売れるということは高く売れるかもしれませんね!
顧客の条件に合う物件であれば公開前に売れる可能性がありますので、値下げ要求もされにくくなります。値下げを見据えた売り出し価格にしていれば、相場よりも高く売れるかもしれませんね。
まとめ
ここまで、マンション売却で査定額だけ高い業者には注意すべきこと、また不動産会社を選択する上で判断材料となる適正価格を知る方法を解説してきました。
売却をするなら少しでも高く売りたいと思うものですが、適正価格からかけ離れた金額を提示する業者は仲介手数料を目当てにしているだけかもしれません。
そのような会社で売却をしたら、不動産会社は仲介手数料を手に入れられても、売主は大きく損をする可能性があります。
それを回避するため、一括査定で複数の業者に査定を申し込み、査定額を比較しましょう。
不動産会社側は一括査定サイトを経由して申し込まれた査定であると分かっていますから、他社と比較されることも理解しています。
査定額の割り増しを抑止することにもつながるでしょう。
悪徳業者に騙されないようにするためには、自身が適正価格を把握しておくことが大切です。
各不動産会社から査定額が出されたら査定額の根拠を聞き、適正価格とのかい離が無いかを確認しましょう。
もし査定額が高いなら、なぜ高いのかを突き詰めて質問することが大切です。
査定額が高い根拠が明確であれば、より良い条件で売却できる可能性が高くなります。
どの会社に仲介を依頼するかは全て自分次第ですから、慎重に判断しましょう。
早く売りたい、高く売りたい、囲い込みが不安などという場合は、複数の不動産会社と一般媒介契約を結ぶことをおすすめします。
大手や地元密着型不動産などの規模や査定額の高低を織り交ぜて契約することで、不安を解消しつつより良い条件で売却できる可能性も高まるでしょう。