不動産の売却は一生で何度も経験するものではありません。
また大きなお金が動くため、不動産を売却する際は不安を感じることがほとんどでしょう。
不動産売却で後悔しないためには、信頼のおける不動産業者を選ぶ必要があります。
そのためには少しでも高くスピーディーに売却してくれる不動産業者をあなたが見極めなければなりません。
ここでは優秀な不動産業者の選び方について詳しく解説していきます。
注意点や取引の流れも確認して、依頼して良かったと思える不動産業者を見つけましょう。
目次
不動産の売却を成功させるためには不動産業者選びが重要
一般的に自分で不動産の買主を見つけるのは困難です。
不動産の売却には複雑な手続きも多いため、不動産売却のプロフェッショナルである不動産業者に依頼する必要があります。
とはいえ不動産業者の数は膨大です。
信頼のおける不動産業者もあれば、自分たちの利益のことばかり考えている悪徳な業者も存在します。
悪徳な業者に依頼した結果、相場よりもかなり安い価格で売却してしまったというケースもあります。
様々なチェックポイントを確認して、信頼のおける不動産業者を見つけることが大切です。
また不動産が売れるまでは数か月ほどかかるため、担当者との相性も重要になってきます。
不動産の売却で満足するためには、信頼のおける不動産業者に依頼することが重要なんですね
いくつかのチェックポイントを確認して、信頼のおける業者とそうでない業者を見分けることが求められるんです
不動産を売却するまでの時期をストレスなく過ごすためには、担当者との相性も大切なんですね
宅地建物取引業の免許を取得しているか
不動産業者で不動産を売却する際は、宅地建物取引業の免許を取得している業者に依頼する必要があります。
宅地建物取引業の免許は以下の2種類です。
- 国土交通大臣免許…2つ以上の都道府県に事務所を設置している場合
- 各都道府県知事免許…1つの都道府県に事務所を設置している場合
一般的に不動産業者の業務には、不動産売買の関連業務が含まれますが、賃貸物件の管理や賃貸の媒介(仲介)や代理などの業務も含まれます。
一方、宅地建物取引業者は、
不動産の売買や媒介(仲介)業務や代理業務を専門に行います。
宅地建物取引業のみを行う宅地建物取引業者も存在しますが、賃貸物件の管理などの業務を行いつつ宅地建物取引業を行う不動産業者も少なくありません。
そのため事務所に掲げている宅地建物取引業者票で免許の有無を確認しましょう。
宅地建物取引業者票のチェックポイント
宅地建物取引業者票は依頼者側がすぐに確認できる見やすい場所に提示していなければなりません。
例えば事務所の出入り口や応接室などです。
また宅地建物取引業者票を掲げているか否かだけでなく、以下の内容も確認する必要があります。
- 免許証番号
- 商号または名称
- 代表者の氏名
- 専任の宅地建物取引士の氏名
- 事務所の所在地
- 有効期限
免許証は5年に1度のペースで更新する必要があります。
免許証番号の欄に記載している、カッコで囲まれた数字を見て更新回数を確認しましょう。
更新回数が多いほど業務年数が長いということになります。
ただし例えば各都道府県知事免許から国土交通大臣免許に変わった場合などは、更新回数が引き継がれません。
なお、記載されている更新回数が少なくても、不動産売却の経験が豊富なケースもあります。
実績を調べる
自分でも信頼できる業者か否かを調べるとより安心できます。
そのためには宅地建物取引業者票をチェックするだけでなく、自分でも以下のうちのいずれかの方法で業者の実績を調べてみましょう。
取得している免許によって確認方法が異なるため、免許の種類をよく確認することが大切です。
- 国土交通大臣免許…本店がある都道府県の宅地建物取引業免許事務担当部署、もしくは、支店のある都道府県の宅地建物取引業免許事務担当部署
- 各都道府県知事免許…各都道府県の宅地建物取引業免許事務担当部署
国土交通大臣免許に関しては、インターネットから宅地建物取引業者の実績や処分履歴なども確認することができます。
その他のチェックポイントとしては、社名や住所を頻繁に変更しているか否かという点です。
何度も変更している業者は怪しいと思ったほうが無難です。
宅地建物取引士が常駐しているか
前述したように不動産を売却する際は、信頼のおける宅地建物取引業者に依頼しなければなりません。
基本的に宅地建物取引業者は、そこで働く5人に1人の割合で宅地建物取引士の免許を持っている人を配置しなければならないことになっています。
宅地建物取引業社票を掲げているからと言って、その業者の事務所で働くスタッフ全員が宅地建物取引士の資格を取得しているわけではないのです。
宅地建物取引士の主な役割を以下で見ていきましょう。
- 依頼者が知っておくべき重要事項を調査し、これを書面にして依頼者に説明する
- 契約書に宅地建物取引士として記名し捺印をする
これらは宅地建物取引士の資格を持っている人しか行えません。
また不当な契約で損害を被るのを防いで契約者の利益を守るという役割もあります。
つまり安心して不動産の売却を任せるためには、宅地建物取引士が必要だということです。
そのため宅地建物取引士の資格を持っているスタッフがいるか、また自分の不動産売却を担当してくれるかなどを確かめましょう。
信頼できる担当者か
宅地建物取引士の資格を持っている人に担当してもらうだけでなく、相性を見極めることも重要です。
これから長くつき合っていくことになるからです。
もちろん有能か否かを見極めることも求められます。
有能でない担当者に当たってしまうと、不動産がなかなか売却できずに結局値段を下げなければならなくなることもあるからです。
以下のような対応をする担当者は、信頼できる担当者だと考えても良いでしょう。
- 電話やメールの返信が早い
- 電話やメールの対応が丁寧
- 素人にもわかりやすい言葉で説明してくれる
- 現地調査に時間をかける
- 様々な資料を用意して調査に臨む
ただし担当者によって得意分野が異なります。
そのため自分が売却したい不動産を得意としているかも確認することが大切です。
売主に寄り添ってくれるか
有能な担当者であれば、あなたが満足できる内容で不動産を売却してくれるでしょう。
しかし仕事ができるだけでなく、人間性も優れた担当者であればさらにあなたの満足度が高まります。
大切な不動産を手放した後も、これでよかったと思えるでしょう。
担当者の人間性は、会話をすればだいたいわかります。
あなたの話を受け流したり、やたらにおだてたりする人は、寄り添っているとはいえません。
売買の媒介や代理業務で得られる手数料のことだけを考えているといっても過言ではないでしょう。
逆にあなたの不安をしっかり聞いてくれたりあなたにとって本当に良い方法を探してくれたりする担当者は、あなたに寄りそってくれる担当者だと判断して良いでしょう。
たとえば不動産の売却は、本当にあなたにとって良い策なのか?賃貸するほうが良いのではないか?など、経験や地域の特性、今後のトレンドなどを踏まえてあなたにとってより良い策を提案してくれます。
スタッフの入れ替わりが激しくないか
スタッフの入れ替わりが激しい不動産業者は良い業者とはいえません。
次のようなことが考えられるからです。
- ノルマが厳しい
- 良い人間関係を築けない
- 人材を育てる能力がない
- パワハラやセクハラがある
どのような理由があるにしても働きにくいということは確かです。
働きにくい会社は有能なスタッフの定着率も低いです。
不動産の売却においては豊富な知識と経験が求められるため、ベテランの有能なスタッフがいない不動産業者では満足のいく売却は望めません。
離職率の高い不動産業者よりも定着率の高い不動産業者を選んだほうが安心感があります。
囲い込みをしないか
- 不動産業者に不動産の売却を依頼した場合は、データベース(指定流通機構)などに売却情報を登録し、不動産業者全体でデータを共通することになっています。
- しかし中には売却情報の登録をせず、情報を囲い込みする業者も存在します。また、他の不動産業者から物件を紹介してほしいと言われても、意図的に断ってしまうのです。
- 売主と買主の両方から媒介手数料をもらいたいという思惑があって情報の囲い込みをするのです。
また囲い込みをする業者に依頼すると、相場よりもかなり安い価格で売却される危険性もあります。
不動産業者にとっては売主と買主から媒介手数料が入るため、売却価格が安くても儲かるからです。
しかし囲い込みをする業者か否かを見分けるのは簡単ではありません。
不動産業者との媒介契約を一般媒介契約にして複数の不動産業者に重ねて売却を依頼すれば情報の囲い込みリスク減らすことができます。しかし、専属専任媒介契約や専任媒介契約では、不動産業者には売却情報をデータベースに登録する法的義務がありますので、これらの媒介契約でも不動産業者が不法な行為に及ばない限り、情報の囲い込みのリスクは低いでしょう。
媒介契約については、後の項目で詳しく説明していきます。
不動産仲介手数料とサポート内容を確認する
不動産の売却によって不動産業者が受け取る媒介(や代理の)手数料の上限は法律によって決められています。
以下の表で媒介手数料の上限額に関する規定を見ていきましょう。
売却価格 | 媒介手数料の上限 |
200万円以下の金額 | 売却価格の5%+消費税など |
200万円を超えて400万円以下の金額 | 売却価格の4%(+2万円)+消費税 |
400万円を超える金額 | 売却価格の3%(+6万円)+消費税 |
そのため上限を超える媒介手数料を求められることはありません。
しかし媒介手数料の下限は決められていないため、これは業者によって異なります。
それならば安ければ安いほど良いのではないかと思うかもしれませんが、安いとサポート内容が落ちることも含めて考えなければなりません。
出典:国土交通省 不動産流通について
不動産業者によって受けられるサポートの数や内容は違うため、媒介手数料だけでなくサポート内容も必ず確認しましょう。
それならば安ければ安いほど良い業者さんなのですかね?
そうとも限らないぞ。安すぎると逆にサポートがおろそかになる業者もあるから、トータルで考えないとだね
相場を調べてから不動産会社と媒介契約するまでの流れ
これまでは信頼のおける不動産業者の選び方を紹介してきましたが、ここからは実際に取引きをする際の流れをまとめていきます。
まずは自分の不動産の相場を把握しましょう。
国土交通省が指定する不動産流通機構などで確認できます。←指定流通機構のデータベースは、会員専用なので一般の人は利用できません。 地価公示価格、路線価や民間の不動産サイトで情報を得ることができます。
例えば首都圏における2021年1月の中古住宅の相場は次のようになっています
地域 | 平均価格 |
東京都 | 4,740万円 |
埼玉県 | 2,431万円 |
千葉県 | 2,181万円 |
神奈川県 | 3,194万円 |
出典:公益財団法人不動産流通推進センター 2019年不動産業統計集
あくまでも都や県全体の平均価格で、あなたの不動産の価格ではありません。
しかしおおよその相場を知ることで、不動産業者に査定をしてもらった際の価格が適正価格か否かが判断しやすくなります。
また、平均的な価格を知ることができます。
オンライン査定を依頼する
自分で相場を調べたら、より精度の高い相場を知るためにインターネットを使って不動産業者に査定をお願いしましょう。
その際は1社に査定をお願いするのではなく、5社から6社の業者に一括査定をしてもらうことが大切です。
一括査定をするメリットを以下にまとめました。
- 1度に複数の不動産業者に査定を依頼できる
- 売りたい不動産の種類や場所に合った不動産業者を見つけられる
- より客観的な相場がわかる
- 1社あるいは、少数の業者に依頼しても、無料です。価格査定で報酬を得ることは禁じられています。
査定額には差が出るのが一般的です。
不動産業者によって得意な不動産の種類やエリアが異なることもその一因です。
しかし複数の業者で査定をすることで、高く売ってくれそうな業者やより精度の高い相場がわかります。
業者からレスポンスがあったら、担当者の対応や具体的な販売計画を提示してくれるかなどを確認して現地調査をお願いする業者を絞りましょう。
一括査定をすれば、査定金額だけでなく相場や高値で売却できる不動産業者もわかるんですね
自分に合う不動産業者を見つけるためには5社から6社で一括査定をしてもらうことが大切なんです
担当者の対応などを知るのにも役立つんですね
オンライン査定の流れ
では実際にオンラインで一括査定をする際の流れを見ていきましょう。
不動産の情報を入力するところから査定結果が届くまでの流れを以下にまとめました。
- 無料の不動産査定サイトを探す
- 売却する予定の不動産の情報を入力する
- メールアドレスや電話番号などを入力する
- 提示された不動産業者の中から査定してもらう業者を決める
- 事前に入力していた自分の連絡先に不動産業者から査定結果が届く
査定をお願いした全ての業者から査定結果が届いたら、査定金額を確認したり担当者とやりとりをしたりして最終的に媒介契約する業者を決めましょう。
ちなみにおおよその査定金額を知りたいだけであれば、匿名でも無料査定をすることが可能です。
本格的な査定に必要な書類
机上調査や訪問査定などでより詳しく査定してもらう際は、いくつかの書類を用意しておく必要があります。
必要な書類を用意しておかないと、正確な査定金額を出してもらえなかったり手続きが止まったりするため注意しましょう。
査定の際に必要な書類は次の通りです。
- 査定する不動産の位置がわかる地図など
- 登記情報
- 法務局の地図または公図(土地の配列や形状が記載された図面)
- 土地の測量図もしくは建物の間取り図
- 身分証明書
- 固定資産税納税通知書
以上が一般的に価格査定に必要な書類です。
より精度の高い金額を知るためには、もしあれば、必須の書類以外に耐震診断報告書やアスベスト使用調査報告書、リフォーム報告書などの書類も提出すると良いでしょう。
マンションの場合は管理組合規約も必要です。
書類は査定額に影響することもあるため、本格的に査定をしてもらう前にできるだけ多くの書類を揃えておくようにしましょう。
不動産業者と媒介契約を交わす
信頼できそうな不動産業者が決まったら媒介契約を結びます。
媒介契約には次の3種類があるため、その中から契約の方法を選びましょう。
一般媒介契約 | 2社以上の不動産業者と契約できる |
専任媒介契約 | 契約できるのは1社のみ。自分で不動産の購入者を見つけた場合は、不動産業者を媒介者としなくても良い |
専属専任媒介契約 | 契約できるのは1社のみ。自分で不動産の購入者を見つけた場合でも、不動産業者を媒介者にしなければならない |
専任媒介契約や専属専任媒介契約には、売却情報の指定流通機構への登録義務があることから情報は多くの業者により共有されるため、情報の囲い込みのリスクは限定的となります。また、販売活動の報告が課されており、販売の進捗状況がよりタイムリーにわかります。
一方一般媒介契約は複数の業者と媒介契約ができますが、指定流通機構への登録義務がないため、情報は契約した限定的な数の業者内にとどまり、情報の囲い込みリスクが高くなります。
媒介契約に必要なもの
一般的に媒介契約に必要なものは以下の3点のみです。
- 身分証明書(運転免許証などの身分を証明できるもの)
- 登記済権利証もしくは登記識別情報通知書
- 認め印
媒介契約では実印は必要ありません。
ただしシャチハタは使えないため、認め印を持参しましょう。
またマンションを売却しようとしている場合は、媒介契約を結ぶ前に物件状況確認書で不動産の状況を正確に伝える必要があります。
もし故障部分などを申告しないまま売却すると契約解除や損害賠償を求められることがあるため、不動産業者に現状を正直に伝えてから媒介契約をしましょう。
不動産の売り出し価格を決めて内覧の準備をしよう
媒介契約を結んだら不動産の売り出し価格を決めます。
売り出し価格は不動産業者が決めるものと思っている方もいるかもしれませんが、任せっきりにするのはやめたほうが良いです。
不動産の売却に慣れている担当者ならば安心感がありますが、そうでない場合は担当者がつけた売却価格のせいで買いたい人がなかなか現れないこともあるからです。
例えば3,000万円などと、きりのいい売り出し価格をつけた場合です。
一般的に不動産を購入しようとしているときは、まずインターネットの情報サイトで不動産の情報や価格を確認します。
その際は3,000万円未満などと、きりのいい数字を選らんで不動産を検索するようになっています。
つまり売り出し価格を3,000万円にすると、3,000万円未満で検索した場合は条件に引っかからなくなってしまうのです。
そのため担当者と相談しながら、きりのいい値段を避けて売り出し価格を決めましょう。
綺麗に見せられる様に内覧の準備をする
不動産の購入希望者が現れたら内覧の準備をしましょう。
戸建て住宅やマンションの場合は内覧の結果、購入をやめるケースもあるため、内覧対応は重要です。
準備を万全にして購入希望者を迎えましょう。
内覧当日までに最低限準備が必要なことを以下にまとめました。
- 必要のない物は処分する
- 部屋を隅々まで掃除する
- 補修が必要な部分は補修する
- 換気をする
- 綺麗なスリッパを用意する
部屋が散らかっていたり汚れていたりすると物件の印象が悪くなります。
臭いも同様です。
そのため部屋を隅々まで丁寧に掃除しておきましょう。
もちろん水回りや窓ガラスをピカピカに磨くことも忘れてはいけません。
内覧当日はカーテンを開けて、部屋を明るい印象にしましょう。
内覧当日に売主が立ち会う場合は、売却理由や近所の情報なども答えられるようにしておいたほうが良いです。
不動産売却を進めて買主が決まったら売買契約を交わし引き渡す
内覧が終了して購入したいという申し出があったら、売主と買主とで売買契約を締結します。
その際はいくつかの書類を持参する必要があります。
忘れると契約できないため、絶対に忘れないようにしましょう。
- 身分証明書
- 印鑑証明書
- 登記済権利証もしくは登記識別情報通知書
- 実印
また媒介契約のときとは違い、印鑑は実印が必要になるため注意しましょう。
買主と一緒に売買契約書の確認をして問題がなければ、必要な書類にサインと捺印をして終了です。
売買契約当日に必要なお金
売買契約当日は書類と一緒に、不動産業者に支払うお金も持参しなければなりません。
必要なお金を以下で見ていきましょう。
- 媒介手数料
- 印紙税
印紙税は売却価格によって異なります。
不動産を売却する際は金額が大きくなるため、次の金額を参考にしましょう。
契約金額 | 印紙税の金額 |
1千万円を超えて5千万円以下の金額 | 10,000円 |
5千万円を超えて1億円以下の金額 | 30,000円 |
仲介手数料の上限は法律で決められていますが、売買契約の日に支払う場合の金額は媒介手数料の半分の金額であることが一般的です。なお、媒介手数料は、売買代金の全額を受領する、いわゆる決済時に全額を支払うケースも多くあります。
事前に不動産業者に確認して必要な媒介手数料を用意しておきましょう。
また売買契約当日は買主側から手付金を受け取ります。
手付金の相場は5%から10%です。買主の求めに応じて、手付金の領収証を用意します。なお、個人が売主となる場合は、領収証への印紙貼付は不要です。
不動産を売却する際は5%から10%の金額でもかなり高額になるため、トラブルにならないようにすることが大切です。
わからない点は担当者に聞いたりトラブルが起こり得る事例などを事前に確認したりして、気持ちを落ち着かせて売買契約に臨みましょう。
売買契約で定めた期日に不動産を引き渡す
売買契約を結んだからと言って、それで不動産の引き渡しが完了するわけではありません。
売買契約で定めた期日に引き渡しの手続きを行い、売買契約が完了します。
その際は以下の書類が必要です。
- 身分証明書(共有の場合は共有者全員分が必要です。)
- 移転登記用の委任状(共有の場合は、共有者全員分が必要です。)
- 印鑑証明書(共有の場合は共有者全員分が必要です。)
- 登記済権利証もしくは登記識別情報通知書
- 固定資産税納付書
- 住民票
- 抵当権抹消書類
- 戸建て住宅やマンションの部屋の鍵
- その他、買主に引き渡すことを約束した書類(実測図や境界確認書など)
マンションを売却する場合は、住宅のパンフレットや設備に関する説明書なども買主側に渡しましょう。
必ず必要な書類ではありませんが、買主側にとって役立つ書類です。
なるべく多くの書類を渡したほうが、お互いに気持ち良く取引を終えられます。
引き渡し当日に必要なお金
引き渡し当日は書類と一緒に以下のお金も準備していきましょう。
- 残りの媒介手数料
- 抵当権抹消にかかる費用
登記申請の登録免許税 | 不動産の数×1,000円 |
司法書士報酬 | 10,000円から15,000円 |
その他諸費用 | 2,000円 |
また住宅ローンの返済が残っている場合は、ローンの残額を返済します。
売買代金が住宅ローンの残額を上回る場合は、売買代金の一部で住宅ローンの残額を返済します。
抵当権の抹消について
抵当権とは金融機関がローンを融資したときに不動産に設定した担保物権です。
住宅ローンを完済すると、金融機関から抵当権の抹消登記に必要な書類が交付されます。
抵当権抹消の手続きは自分でも行えますが、買主の売買残代金の支払と買主が所有権移転登記手続きを依頼する司法書士に抵当権抹消登記手続きを依頼することが一般的です。
登記手続きは専門性が高く難しい手続きが多いため、費用はかかりますが、司法書士に依頼しましょう。
住宅ローンが残っている場合は残額を全て返済して抵当権設定登記を抹消しないと不動産を売却することができないんですね
不動産の売買金額が住宅ローンの残額を上回る場合は不動産を売却したお金で一括返済できるから心配しなくても大丈夫なんですよ
所有権移転登記や抵当権抹消登記の手続きは司法書士に依頼した方が良さそうですね
費用はかかるけれど、司法書士に頼めば難しいことを考えなくても良いから楽なんです
不動産を高く売却できる時期に狙いを定める
不動産を売却する際は、なるべく高く売却したいと思うのが売主側の当然の心理です。
そのためには高く売れる時期に狙いを定める必要があります。
1年の中で最も不動産購入の需要が高まるのは1~3月です。
特に戸建て住宅やマンションの需要が高まります。
4月から新しい生活を送る人が多いからです。
そのため多少割高でも3月までに部屋を確保したいと考える人が増えます。
しかし3月に売買契約をするのでは新しい生活を新居で迎えることができません。
つまり売主側は2月に売買契約を結ぶということを念頭に置いて活動することが大切です。
もし1~3月の時期に売却できなかった場合は9月前後がねらい目です。
9月は転勤によって住宅を探す人が増えるため、高額で売却できる可能性があります。
売却活動は余裕をもって動く
3月に売買契約をするのでは、新しい生活を新居で迎えることができません。
つまり売主は十分に期間の余裕をもって売買契約を結ぶということを念頭に売却活動をすることが大切です。
余裕がないと担当者と十分に話し合うことができず、担当者と信頼関係を築くことができません。
また、十分にマーケット調査をする時間がなく、売却価格を安く設定したり逆に高く設定したりしてしまう可能性があります。
そのため、時間的に余裕をもって売却活動をすることが大切です。
情報収集などの準備期間も含めて、ターゲットとした時期の5カ月前くらいから活動を開始すると良いでしょう。
一括査定をしてじっくり不動産業者を選べる他、自分でもしっかり相場を調べられます。
自分に合う不動産業者や担当者も見極められるでしょう。
大手の不動産業者に偏りすぎない
はじめて不動産の売却をする場合は、とりあえず大手の不動産業者に任せれば安心だと思う人が多いでしょう。
しかしそうとは言い切れません。
大手の不動産業者にも個人の不動産業者にも、メリットもあればデメリットもあるからです。
以下でそれぞれのメリットとデメリットを確認していきましょう。
メリット | デメリット | |
大手不動産会社 | 持っている情報量が多い 取り扱いエリアが広い | 転勤が多いため担当者が変わりやすい |
個人不動産会社 | 地域の情報に精通している 親身に対応してくれることが多い | 広告宣伝費が少ない |
そのため一括査定をしたり担当者とやりとりを重ねたりして、自分にはどのような業者が合っているのかを見極めましょう。
はじめから大手の不動産業者にしぼらずに幅広くアプローチすることが大切なんですね
それぞれのメリットとデメリットをしっかり見ながら自分に合う業者を選ぶことが重要です
一括査定をすれば様々な業者をまとめて比較できますね
まとめ
不動産を売却する際は、信頼のおける不動産業者と担当者を見つけることが最も重要です。
不動産の売却に必要な免許を持っているかだけでなく、人間性も確認して信頼できる不動産業者と担当者を見つけましょう。
しかし自分で1件1件探すのは時間がかかります。
そのため無料オンライン査定を利用して、同時に複数の業者に査定をしてもらいましょう。
不動産売却の相場がわかりますし、業者の特徴も比較できます。
あわてて売却活動をすると後で後悔することになりかねません。早めに準備をはじめることが大切です。
今回紹介した不動産業者の選び方や選ぶ際の注意点などを参考にして満足できる不動産業者を見つけましょう。