「所持している物件が空き家の状態なので、できればおしゃれなカフェに貸して家賃収益を得たい。」と思っている方もいらっしゃることでしょう。
コーヒーのいい香りが漂うおしゃれなカフェが、自分が所有している空き家に入ってくれることは素敵なことですよね。
最近では、古民家や長屋など古い空き家をリメイクしてカフェとして生まれ変わった店舗が多くあります。
繁華街から離れたへんぴな場所で営業している古民家カフェでも、沢山のお客で賑わっていることもあり、空き家をカフェにしようという風潮が広がっています。
しかし、街中を歩いていると、「ついこの前オープンしたばかりのカフェが閉店している!」という状況をよく見かけませんか?
実は、カフェ経営は小売業やサービス業などと比較するとさまざまな規制のハードルが低く出店しやすい業種であるため、カフェの経営者が緻密な事業計画を出さずに安易に出店する場合があります。
また、販売するコーヒーや軽食の単価が安い割には、お客が滞在する時間が長く利益を効率よく算出できません。
そのためカフェは、開業してから3年以内に廃業することも多く、撤退率が高い業種です。
どうしてカフェは撤退率が高いのでしょうか?
今回は、空き家をカフェに活用することについて、メリットやデメリットを踏まえつつ、まずはカフェ業界の取り巻く現状からご説明していきます。
カフェ業界の現状
カフェ業界の推移
カフェ業界の動向を見ると、2007年度をピークとして喫茶店やカフェの店数は減少傾向にあります。
2008年度までは増加し、全国で約29万件の喫茶店が営業していましたが、現在では約20万件へと喫茶店の店舗は減少へと推移しています。
しかし、市場規模はここ20年間、ほぼ横ばいで推移しているためカフェ業界が衰退しているわけではありません。
出典:厚生労働省 今日から実践!収益力の向上に向けた取り組みのヒント
と言うことは、喫茶店やカフェを利用している人はいるのに、店舗だけが減少していることになります。
コンビニエンスストアで販売されるコーヒー
減少へと転じたことの大きな要因は、コンビニエンスストアで販売されているコーヒーが美味しくなったことが挙げられます。
できたての美味しいドリップコーヒーが100円程の安価な値段で購入できるのであれば、コンビニを利用したくなるのは当然のこと。
カフェで提供しているコーヒーの味が、コンビニと変わらない程度であれば、わざわざ高いお金を払ってカフェに行く必要はありません。
最近では、テーブル席やカウンター席を設置しているコンビニ店も現れはじめ、今ではコンビニはカフェの機能を持つお店として位置づけられるようになりました。
こうなっては1杯300円以上のお金を出してわざわざカフェに行かなくても事足りるようになり、強力な競争相手を目の前に廃業していくカフェが増えたことも理由の1つです。
街のあちこちに店舗を展開し、手軽に美味しいコーヒーを、安価に飲めるのであればコンビニを利用しますよね。
ゆっくりと過ごしたい時は別ですが、忙しい人や合間に利用したい人が喫茶店やカフェを選ばずコンビニを選んだ、ということになります。
カフェの多様化
また、カフェにプラスした競合店が多くなったことも原因の1つです。
室内で猫や犬、爬虫類などを飼育し触れ合うことができる「猫カフェ」などの動物カフェや、店内のウエイトレスがメイドに変装しお客をもてなしてくれる「メイドカフェ」など、独自性を持ったカフェが多く出店するようになりました。
待ち合わせや暇な時間つぶしでも利用されていたカフェですが、趣味を兼ねて楽しく時間を過ごせる場所が増えたことで利用客が分散されています。
レストランのカフェが充実
そして、何杯でもお替りが自由にできるレストランの「ドリンクバー」も原因の1つです。
コーヒーをはじめ色々な種類のドリンクが楽しめる「ドリンクバー」であれば、お友達との話でついつい長時間滞在してしまっても何度も飲み物をお替りできます。
当然のことですが、ドリンクバーがないカフェでお替りをお願いしたら、2回分のコーヒー代を支払わなければなりません。
小さなカフェであれば、長時間滞在すると店主の顔色が気になりますが、広いレストランであれば気兼ねなく滞在できますよね。
レストランとしてではなく、レストランをカフェとして利用しやすい時代になりました。
次に、スターバックスやドトールなどフランチャイズ店や大手チェーン店が全国に出店し始め、お客が大手のコーヒー店に流れていることも原因です。
お客や時代のニーズに付いていけない場合や、経営努力を怠った店舗は次第に経営が悪化し淘汰されることになります。
大手カフェ店のチェーン店が増加
大手のコーヒー店は資金力がありますので、ブランディング力や季節のメニュー、集客率の高い場所への出店、広告力など個人店では到底太刀打ちできません。
まず個人経営と大手のチェーン店とでは、認知度の差が大幅に違いますから同じような経営ができるはずがありません。
喫茶店やカフェを利用する人は多いですが、チェーン店だけ利用するお客も全体の約2割いることが現状です。
馴染みのお店であれば入りやすいですが、行ったことがないお店に入りにくいですよね。
その点、チェーン店はどの場所に行っても雰囲気や内装、メニュー、味は全て同じですので安心感があり入りやすいことも大手チェーン店の利点と言えます。
このことから、市場規模はほぼ横ばいで推移しているのに喫茶店やカフェが減少しているのは、出店数以上に廃業に追い込まれている店舗が多いということになります。
テナントに喫茶店やカフェが入ったとしても、近くにコンビニがあったり経営方法によっては早期撤退される可能性があるので、撤退率が高くなる業種です。
空き家にカフェが入ってくれたことで、これから家賃収入を得られると安堵していても、あっと言う間に廃業に追い込まれ撤退される可能性が高いことを頭に入れておいたほうが良いでしょう。
退去されてしまうと、定期的に収入を得られなくなりますからまた入居者を募集しなければならなくなります。
どうしてですか?
募集をかける時にまた手数料などがかかるため、長期的に入居して欲しいと思う空き家オーナーの方であればカフェに貸すことはおすすめできません。
次に、テナントに入ってもらった時に得られる家賃収入についてご説明いたします。
喫茶店やカフェを含めた飲食店の家賃
空き家の状態が続くより、どんな業種でも入居を歓迎したほうがよい?
アパートやマンション、古家付きの土地を所持しているだけであれば税金やローンを払い続けることになり、折角の資産もただの負債になるだけです。
できることであれば空き家の状態を長引かせず、常に入居し続けている状態をキープしたいところです。
空き家のままだと家賃収入が見込めないからと言っても、どんな業種でも構わずに入居を歓迎して大丈夫なのでしょうか?
その答えを導き出すためには、まず賃料単価について考えることが大切です。
賃料単価
賃料単価は立地や用途によって変わりますので、高い賃料になるように活用すれば必然的に儲かる土地活用ができると言えます。
地域の相場や、周辺地域の利便性などで賃料単価は大体決定しますが、空き家を探している人が入居したくなるような物件の魅力を見出すことも大事です。
一般的に居住系と事業系の賃料で見ると、事業系のほうが賃料は高くなり、2階以上の建物の場合1階のテナントが最も高くなります。
業種別賃料単価
そして、業種によっても賃料単価に違いが出ます。
家賃の適正価格を算出する数値指標としては、売上高の10%以内に収めることが良いと言われています。
例えば空き家の家賃が月に10万円だったとすると、月の売り上げは10万円÷0.1=100万円程度が必要となります。
空き家に入居する業種が、毎月100万円の売り上げが見込めないのであれば貸したとしても撤退される可能性が高くなります。
しかし、実際入居し営業していない状態でどの程度の売り上げが見込めるか分かりませんよね。
そんな場合は、売り上げは広さに制限されることから月単位の売り上げ高を試算することができます。
月単位の売上高(試算方法)
売上高=客単価×客数(客席数×客席稼働率×客席回転数)×営業日数となります。
客単価 | メニュー表の単価で1人のお客が注文する平均想定額を当てはめます。 |
客席数 | 1坪当たりの客席数は1.5~2.5席前後が妥当な数とされています。 |
客席稼働率 | 設置した座席が全て埋まった状態を1.0とします。実際は4人掛け席を設けていたとしても2人で利用する場合もあります。 通常は0.7前後が適切な数値として計算します。 |
客席回転数 | 全席が満席の状態を何回転したかを表す数値です。 |
以上のことから、客単価が1人1,000円で10坪の店舗で大繁盛している場合に想定できる売上高は以下の通りです。
1,000円(客単価)×16人(客席数)×0.7人(客席稼働数)×3(客席回転数)×26日(営業日数)=873,600となります。
月の家賃が10万円10坪の空き家に、もし客単価1,000円のカフェが入居した場合に想定できる月の売り上げは873,600円となり健全にカフェを経営していく上では少し厳しい家賃となります。
一概には言えませんが、カフェは客単価が少ない上に客席回転数も低い業種となります。
コンビニやドラッグストアなどは100円コーヒーとパンを購入したとしても300円程度となりますが、回転率がカフェとは比べ物にならない程高くなり、カフェと比較すると安定的に経営を続けることができます。
飲食業やサービス業、小売業などは集客の面から見ても人の目につきやすい1階に出店をしたいと考えており、2階や3階に比べると1階部分の家賃は高くなります。
先ほどの想定売上高を算出しても分かるように、カフェの収益は少ないため人の目につきやすい1階部分には収益をしっかり出してくれる業種に出店してもらいたいですよね。
では、喫茶店やカフェに空き家を貸さないほうがよいのでしょうか?
飲食業会は3年間後に生存率している確率は約3割
飲食業界は、新規開業してから3年後に生存している確率は約3割程度と言われている業種です。
廃業率が高くなると空き家になってしまいますので、継続的に収益がみこめなくなります。
儲かる土地活用という面で考えるのであれば、空き家としての期間は避けて通りたい所ではありますが、だからと言って空き家として放置し続けるとどうなるのでしょうか?
次に、空き家のまま放置し続けた場合のデメリットについてご説明いたします。
空き家を放置し続けていると
空き家を放置したことで必要になる維持管理費
所有している空き家を「相続したけれど現在住居している家があるので、放置している」「古い家なので売却もできずに放置し続けている」と言う方はいらっしゃいませんか?
空き家を放置することは、非常に高いリスクとコストがかかってしまいます。
ここでは、もし空き家を放置し続けるとどんなリスクとコストが必要になるのかについてご説明いたします。
まず、空き家を放置し続けると建物の修繕費、管理費、固定資産税などの維持管理費が必要になります。
物件を誰かに貸した場合でも諸々の維持管理費は必要になってきますが、人が住むことで得られるメリットがあります。
空き家を貸したことで得られるメリット
人が住んでいると、換気をして部屋の温度を一定に保とうとしますよね。
そして部屋が汚れホコリが付くと、掃除をして家を綺麗にします。
しかし、空き家になってしまった家には誰も住んでいませんから、換気をすることもこまめに掃除をすることもありません。
手入れをしなくなった家は劣化スピードが速くなり、痛みがひどくなります。
空き家に入居してもらえば、入居した人が生活をしてくれるので自ずと換気をし、部屋を一定に保ち掃除をしてくれます。
わざわざオーナーが出向いて掃除や換気のために労力を使わなくても良い上に、家賃収入を得ることができ一石二鳥と言えます。
空き家を手入れせずに放置し続けると
木造でも鉄骨造でも、住宅構造に関わらず結露が酷くなる雨の日は気を付ける必要があります。
結露はやがてカビを発生させますので、計画的に換気をしなければなりません。
カビは温度が20~30℃あれば壁などに付着して栄養を吸収し、空気中に含まれる水分を利用して繁殖していきます。
住宅に使用されているほぼ全ての建材を、カビは栄養に変えることができ、ホコリなどの汚れがあればさらに育ちやすく拡散されていきます。
カビの胞子は常に空気中を漂い、吸い込むと感染症やアレルギーなどを引き起こし体に悪影響を及ぼします。
例えば、鼻の粘膜にカビの胞子が付くことで鼻水や鼻づまり、くしゃみなどの症状を引き起こすアレルギー性鼻炎や、アスペルギルスというカビが体内に入って肺で増殖し、呼吸を妨げてしまう気管支炎アスペルギルス症、水虫などカビは人体にさまざまな影響を与えることとなります。
カビを完全に除去させるべく徹底的に掃除をしたとしても、実際には完全に除去しきれないケースもあります。
畳みや壁、サッシの部分など至る所にカビが発生した場合、除去するための掃除は苦労を要しますし、素人では除去しきれないことから業者に依頼しなければならないことも。
業者に依頼することになれば、高い費用を支払わなければなりません。
普段から手入れをしておかないといけませんね。
空き家を放置していたことで進行する建物へのダメージ
また、放置し続けていると気が付かないことも多いです。
コンクリートにヒビが入り、割れ目から露出した鉄骨部に雨が染みると錆びることもあります。
木造住宅であれば、結露などにより木材が腐る恐れがありますし、カビの中に木を腐らせる木材腐朽菌が発生する可能があります。
腐朽菌は、柱や梁部分などの構造材を腐食させ、住宅の強度を弱めますので早急に対策を取らなければなりません。
さらに、腐った木材は白アリの餌になりますから、近隣にも迷惑がかかりことも考えられます。
最悪の場合倒壊の恐れもありますので、放置し続けることは得策ではありません。
劣化や老朽化が進むと資産価値が下がりますので、修繕やリフォーム工事などを施さなければならなくなりさらに出費が増えます。
建物の老朽化スピードを速めないためにも、空き家の管理をこまめに行うことが大切ですが、オーナーが近隣に住んでいないと難しくなります。
近隣に住んでいない場合は、代理業者に建物の管理を依頼すればよいのですが、また不要なお金が発生してしまいます。
そして、誰も住んでいない空き家を長期間放置し続けると不審者が出入りするようになることや、放火など火災が起きるケースも考えられ近隣住宅の治安をも脅かす存在となる可能性が考えられます。
空き家を放置し続けたことで考えられるデメリットはまだあります。
「特別空家」に指定されると減額から除外
次に挙げられるデメリットは、毎年空き家と土地に必要となる固定資産税です。
その物件が駅から近い、近隣に大型ショッピングモールなどがある場合など、利便性の高い物件であればある程固定資産税は高くなります。
人が住んでいない空き家であろうが、固定資産税は毎年必要になります。
平成27年度の税制改革により、「特定空家」は減額から除外されることになりました。
このことを受けて、物件の管理がされていない「特定空家」に指定された場合は「住宅の特例措置」が適用されず、減額の恩恵を受けられなくなったため、更地状態と同等の最大6倍の固定資産税を支払う必要があります。
土地や建物などの不動産を所有すると固定資産税が発生することは誰しも知っていることだと思いますが、地域によっては都市計画税が課税されさらに費用は膨れ上がります。
固定資産税は固定資産税評価額の課税標準に税率をかけて算出され、税率は法律で規定されています。
空き家の場合、土地の上に住宅が建てられているので「住宅用地の特例措置」があり、通常であれば固定資産税の課税標準は最大で1/6、都市計画税は1/3まで軽減されます。
区分 | 固定資産税 | 都市計画税 |
空き家(更地) 建物が何もない | 課税標準の1.4% | 課税標準の0.3% |
小規模住宅用地 住宅1戸につき200平方メートルまで | 課税標準×1/6 | 課税標準×1/3 |
一般住宅用 住宅1戸につき200平方メートルを超えた部分 | 課税標準×1/3 | 課税標準×2/3 |
以上のことから、空き家として放置し続けることで起きるデメリットを考えると、撤退率が高くなる傾向にあるカフェであっても入居してもらうほうが得策であると言えます。
開業のハードルが低い
「喫茶店営業許可」と「飲食店営業許可」
喫茶店やカフェを開業することは、その他の業種を開業することに比べると認可に必要な開業資金も手続きも簡単にできることから、カフェや喫茶店を開業するためのハードルは低いと言えます。
カフェや喫茶店を営業するために必要な「喫茶店営業許可」は、提供できるものにかなり限りが出てきますが比較的簡単に取得できます。
ちなみに喫茶店営業許可範囲のお店とは、飲み物と軽食(簡単な調理)を提供するお店のことです。
自分で作ったケーキやお菓子を提供することもできます。
喫茶店営業許可 | 飲食店営業許可 | |
できること | 軽食・簡単な調理 既製品をそのまま提供 | 食事を一から調理する(オムライスやパスタ) お酒を提供する |
許可 | 10,000円程度 | 15,000円程度 |
しかし、実際には飲食店営業許可が必要ではないケースもあります。
厨房で調理しない場合
自分が厨房で作っていない食品(お弁当やおそうざい)を販売するのであれば、許可を取得する必要はありません。
例えば、パンをパン屋さんで直接配達してもらいそのまま提供する場合や、すでにざく切りの状態で仕入れた野菜をサラダにして提供する場合などが例に挙げられます。
こども食堂や高齢者カフェ
そして、こども食堂や高齢者カフェなどの福祉目的のサロンを運営するのであれば、一定の衛生基準を守ってもらうことで「飲食店営業」許可証を取得しなくても問題がないケースもあります。
設備投資が少なくても開業できる
その他にカフェが比較的開業しやすいポイントとしては、ドリンクやトーストのみの提供だけであればリノベーション費用が安く済むことです。
空き家物件の状態のまま、テーブルやイスを設置するだけでも店舗が出来上がります。
このことからカフェは手軽に始められる分、簡単に撤退される可能性があります。
カフェの開業は難しいのでしょうか?
次に、カフェは廃業率が高い業種として言われていますが、実際どの程度であるかを数値に表してご説明いたします。
カフェの撤退率
カフェを含む飲食サービス業の実態
平成25年と少し古い資料にはなりますが、厚生労働省から「生活衛生関係営業経営実態調査」と呼ばれる調査が行われました。
これは、飲食店営業の実態を調査したものであり、飲食店営業を巡る諸々の問題を抽出し解決のための資料として作られたものです。
その中で平成19年~22年までのカフェを含む喫茶店の営業許可・使用確認新規件数は119施設ありましたが、同平成19年~22年までに廃業したカフェを含む喫茶店の営業件数は141件と新規件数を上回るほどが廃業したことを表しています。
そして、平成22年の1世帯あたり(1人以上の世帯)が外食の時に支出する金額は、和食が21,622円、中華が4,634円、洋食が16,993円、喫茶代が5,143円となっています。
出典:厚生労働省 飲食店営業(一般食堂)の実態と経営改善の方策
年別カフェの開業率と廃業率はNo,1
カフェや喫茶店を含む、飲食店業界は廃業率が高いとされていますが2019年の業種別開廃業率をご覧ください。
開業した業種 | 廃業した業種 | |||
No,1 | 宿泊業、飲食サービス業 | 8.6% | 宿泊業、飲食サービス業 | 6.2% |
No,2 | 情報通信業 | 6.4% | 生活関連サービス業,娯楽業 | 4.8% |
No,3 | 電気・ガス・熱供給・水道業 | 6.3% | 小売業 | 4.5% |
No,4 | 生活関連サービス業,娯楽業 | 6.2% | 情報通信業 | 4.3% |
出典:中小企業庁 第1部 令和元年度(2019年度)の中小企業の動向
上位4位は表のようになっています。
2019年度に最も開業した業種は、宿泊業と飲食サービス業でしたが、廃業した業種も宿泊業、飲食サービス業でした。
廃業率が高い理由としては、飲食業は個人店が多いことにあります。
宿泊業と飲食サービス内の比率で言えば、小規模事業者が割合の87.3%、中規模企業は12.6%となります。
廃業率が高い理由
経営規模が小さくなると、不調を乗り切る力が少なく、店内のリフォームや新しいメニューの開発、広告などに存分に力を注げないことが原因となります。
宿泊業や飲食サービスの中でもカフェは、特に儲けが少なく、回転率と客単価が効率的ではありません。
アルコールを販売するお店であれば回転率は高くなりますが、一杯300円程度のコーヒー1つで1,2時間過ごすお客もいます。
開店当初は物珍しさから、想定していたお客を獲得することができても、翌年には売り上げを落とすことも多いです。
しかし、お店のコンセプトとお客のニーズがマッチすれば、話題のお店となり沢山のお客が訪れる店舗になる可能性も大いに考えられます。
経営者の高齢化
飲食店経営者は60歳以上が約55%となり特に個人経営の場合には70歳以上の経営者が約26%を占めています。
昔から長年経営してきた喫茶店、会社員として勤続していた人が定年と同時に趣味を兼ねたカフェ経営を始めるケースもあります。
体調不良で長く続けられないこともありますし、考えていたよりもカフェ経営の難しさに行き詰まっているのかもしれません。
開業に必要な許可や資格が容易
開業してから自分好みのジャンルと融合することもできるので、趣味の延長線上にカフェを開業することも可能です。
一度もカフェで働いたことがない人でも、カフェや喫茶店を開業しているケースもあります。
お客相手に商売をするのですから、実務経験を積まずにスタートしても成功できるものも成功できないかもしれません。
いくら美味しいコーヒーを出してくれるカフェであったとしても、店主が傍若無人な振る舞いをし、サービスの質が悪ければ自ずとお客は離れていくものです。
所持している空き家で安定した収入を獲得したいと考えるのであれば、カフェの撤退率が高いからと言ってすぐに振り払うのではなく、空き家にカフェや喫茶店が入る前に、どんなコンセプトのお店でどんな人柄であるのかを確認することも大切だと言えます。
実際、何年経ってもお客が後を絶たず安定した収入を得ているカフェもあります。
逆を言えば、他の業種であったとしても廃業することもありますし、移転してしまうことも考えられます。
空き家をカフェに変えた時の影響
家賃収入と空き家の管理
空き家をカフェに変えた場合のメリットは、家賃収入が得られること、空き家の老朽化のスピードを進行させないことですが、それ以外にもメリットはあります。
近隣地域の活性化
カフェは地域に住む住民たちの交流の場となります。
交流の場として活用してもらえば、カフェを拠点として周囲が活性化されることとなり、その人の動きを目当てにお店が増え、またさらに人が集まってくるという経済効果を生み出します。
例えば、ビル一棟所持しているのであれば1階に雰囲気のよいカフェに入居してもらうことで、2階、3階にオフィスや事務所の入居者が増える相乗効果が期待できます。
カフェが有名になると、インスタ映えを狙い遠方からはるばる訪れる人もいるため、一種の観光スポット的な役割を担う場合もあります。
施設内の休憩場として
カフェや喫茶店はその施設を訪れたお客が買い物などで疲労した体を休ませる場所として利用できる便利な空間です。
帰宅する前に一旦休憩したり、購入を検討するためにカフェを利用したり、買い物の途中でお腹が減ったのでカフェで軽食を取り再度買い物をするためなど、複合店舗の中には必ずなくてはならない施設としてカフェは位置付けられています。
多くの売り上げを見出せないと言われているカフェが、複合施設内に必ず1店舗以上ある理由は利用客のニーズに応えているからと言えます。
古い空き家だけの雰囲気
年季の入った空き家であれば古民家カフェとして再生でき、古き良き時代の温かさを感じられることです。
かやぶき屋根の農家住宅や、築100年が経過した古民家などをリノベーションした古民家カフェは、現代の建物では再現が難しい所です。
現在の住宅からは姿を消した当時のデザインや、木の暖かさ、古き良き時代を体験していない世代から言えば「古さ」は逆に「新鮮さ」に変換されるのでお客を集める効果があります。
今や衰退していく風潮の長屋にアート力の強い個人経営店が沢山集まり、おしゃれな複合店として生まれ変わった事例も少なくありません。
その場合にもまずカフェが出店し、その後新しいお店が入居したケースもあります。
ですので、カフェや喫茶店は他の業種と比較すると退去率が高くなる業種ではありますが、思わぬ相乗効果を生んでくれる業種とも言えます。
まとめ
カフェは新規開業数と撤退数が高い業種ではありますが、経営方法によっては健全な経営を長期的できるお店でもあります。
手堅い資産運用を目指すのであれば、コンビニエンスストアやドラッグストアに貸すことが理想的と言えますが、小さい区画であったり駅の近くや人通りが少ない場所であったりすると出店する可能性は低くなります。
そして、思い描く資産運用をしたいがために、いつまでも空き家として放置し続けることは老朽化スピードを速めることにもなりますので避けたい所です。
所持している空き家の適正な資産価値を考えた上で資産運用を行いましょう。
はい!