土地に対して区画形質の変更をおこなうことを、開発行為と呼びます。
少し分かりにくいですが、土地に道路を新設したり、切土や盛土をおこない新たに斜面を切り開いた際は、開発行為に該当します。
他にも土地を直接いじるわけではないですが、地目変更も開発行為の一つです。
建物を建てる場合の開発と混同しやすいため、開発行為の定義をきちんと押さえる必要があります。
また開発行為は一部特例を除き、都道府県知事の許可申請が必要です。
特例の要件に関しては、区域区分が絡んできますので、都市計画についても把握しなければなりません。
開発行為の概念と、市街化区域及び市街化調整区域における開発行為を学びましょう。
目次
開発行為とは?開発行為の定義や許可申請を知ろう
開発行為という言葉を聞くと、空き地などに新たにビルや商業施設を建てるというイメージを持つのではないでしょうか。
何やら新しい建物をつくり、街として発展させていくという意味合いに感じるかもしれません。
しかしながら、都市計画における開発行為とは建物を建てることではありません。
開発行為の意味としては、土地に何らかの変化を加えることを指します。
つまり建物を建てる以前の前段階にあたる、土地に対しての行為を意味しているのです。
開発と聞くと、建物を建てることをイメージしてしまいます
たしかに普段の日本語では、新築マンションを開発するなどという風に、何かを建てる時に用いる言葉です
しかし都市計画法における意味合いでは異なるのですね?
そうです。ここを混同させないことが、開発行為を正しく理解するうえで必須です
都市計画法における開発行為の正式な定義は以下になります。
- 主として建築物の建築または特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更
少々難しいですが分かりやすく言うと、建築物や特定工作物を建設するために土地をいじることです。
土地をいじることを、土地の区画形質の変更と言いますが、具体的には以下の3つをおこなうことを指します。
- 区画の変更
- 形状の変更
- 性質の変更
3つ全てではなくても、このうちのどれか1つでもおこなえば土地の区画性質の変更をおこなったことになります。
では次に土地の区画形質の変更とはどのような行為なのか、もう少し詳しく見ていきましょう。
開発行為における区画の変更とは
開発行為の一つとして、区画の変更があります。
区画の変更と聞くと、土地の分割を指すイメージを持つかもしれませんが、実際のところ少し違います。
開発行為における区画の変更とは、区画内に以下のものを設けたり、逆に撤去することです。
- 道路
- 水路
- 公園
このような区画形成のための公共施設を新たに作ったり、逆になくしたりすることが開発行為に該当します。
よってただ単に土地の区分けを変更するだけの場合は、開発行為にあたりません。
また登記簿上で文筆登記などをおこなうだけの場合にも、区画の変更ではないです。
分かりやすくまとめると、広い分譲地の中に複数の戸建て住宅を建てるだけなら開発行為には該当しません。
分譲地のための道路を整備することが、開発行為です。
ただし住宅建築にあたっては接道義務があることから、広い分譲地に戸建てをたくさん建てようとすると、結局新たな道路が必要になることがほとんどです。
形状の変更とは切土や盛土し新たに造形する行為
開発行為における形状変更とは、土地を切土もしくは盛土して新たに造形する行為のことです。
山の斜面など自然のものを、新たに切り開いて傾斜にする場合などが該当します。
自宅の庭を多少掘るだけであれば、形状の変更とは呼ばれません。
ある程度大規模な工事を行う際のみ、開発行為の許可申請が必要になります。
ただしどの規模が対象となるか判断基準に関しては、自治体次第です。
土地の形状変更は人為的に切土もしくは盛土をおこなうため、きちんとおこなわないと危険性が生じます。
具体的に言いますと災害時などに土砂崩れなどが生じる可能性があるため、許可を取ってからでないと勝手におこなってはいけないことになっているのです。
他にも土地をアスファルトなどで舗装する場合も、形状変更にあたります。
しかしながらこちらに関しても、許可申請の対象となる規模は自治体によって違うため、事前に確認しましょう。
性質の変更とは宅地以外の土地を宅地に変える事
性質の変更は、地目が宅地以外の土地を宅地に変えることを指します。
宅地以外の土地というのは、例えば農地や雑種地などです。
他には道路を宅地などに変える場合も含まれます。
要は自然溢れる雑草地などに、いきなり建築物を建てようとする場合は開発行為に該当します。
区画の変更と形状の変更は、実際に土地に手を施していますが、性質の変更は単に地目を変更するだけです。
よって他の2つとは少し概念が異なるため、分かりにくいかもしれません。
開発行為の定義の中にある特定工作物とは何か
開発行為の定義の中に、特定工作物という言葉が出てきます。
建築物や特定工作物をつくる目的で土地の区画形質をおこなう場合開発行為にあたりますが、特定工作物とは一体どのようなものでしょうか?
特定工作物を分かりやすくいうと、住宅やビルのような建物以外の建築物が該当します。
例えば鉄道とか電柱とかです。
さらに特定工作物はその特徴によって、第一種特定工作物と第二種特定工作物の2つに分かれています。
第一種特定工作物とは、周辺環境に影響を及ぼす可能性のある工作物です。
つまり公害の恐れがある工作物ですと、第一種特定工作物になります。
具体的な第一種特定工作物の規定は、都市計画法施行令の第1条第1項にて定められているでしょう。
一方で第二種特定工作物は、大規模な工作物が該当します。
第二種特定工作物の規定は、都市計画法施行令の第2条第2項にておこなわれています。
具体的にどのようなものが特定工作物にあたるのか、一例を下記の表に記載します。
第一種特定工作物 | コンクリートプラント アスファルトプラント クラッシャープラント 危険物の貯蔵や処理をおこなう工作物 |
---|---|
第二種特定工作物 | ゴルフ場 1ヘクタール以上の野球場・陸上競技場・遊園地・動物園・庭球場・レジャー施設など 1ヘクタール以上の霊園 |
ちなみに第二種特定工作物に遊園地とありますが、遊園地に付属するレストランは食事提供の仕方によって分類が変わります。
遊園地利用者のみが利用できるレストランは、第二種特定工作物に該当します。
一方で利用者以外の不特定多数が利用できる施設ですと、第二種特定工作物にあたりません。
開発行為をおこなうには原則許可申請が必要
開発行為をおこないたい場合には、都道府県知事の許可を取ることが大前提です。
一般的には都道府県知事の許可が必要ですが、指定都市の場合は市長への申請になることもあります。
一部例外として許可申請しなくても出来る開発行為もありますが、基本的には許可申請をしなければならないものと覚えておきましょう。
許可ですから、意味合いとして特別に許しを貰っておこなう行為ということになります。
よって許可がおりなければ、開発行為は勝手におこなえません。
許可の場合にも不許可の場合にも、文章で通知してもらえます。
不許可ですとその理由も記載されていますが、もし異論があるようなら不服申立の手続きをすることが可能です。
許可基準として全国に適用される基準と、市街化調整区域のみに適用される基準が都市計画法において定められています。
よって市街化調整区域に該当する場合には、2種類の基準を満たさないと許可がおりません。
市街化調整区域以外の区域区分なら、全国における基準のみ満たせば問題ありません。
許可と届出の違い
行政手続きにおける申請には、申請と届出という2種類があります。
許可は前述のとおり、本来なら許されていない行いを申請して特別に認めてもらうことです。
よって許可を得るためのハードルは高いです。
さまざまな書類を用意する必要がありますし、審査基準も厳しいため結果が出るまでに時間もかかります。
大変な手続きを踏んだのにも関わらず、許可が降りない事も珍しくありません。
一方の届出は既に認められている行いに対して、実行する旨を伝えることになります。
そのため届出の場合はハードルが低く、簡単な必要書類に記載すればスムーズに受理されることがほとんどです。
このように許可が必要なのか届出が必要なのかという違いは、実行できるかどうか可能性が大きく変わってきます。
開発行為をおこなうには、届出ではなく許可が必要です。
これだけで開発行為がどのくらい難しいことなのか、分かるのではないでしょうか。
よって開発行為が必要な土地に戸建てやマンション建築をおこなう場合は、販売元のディベロッパーも尻込みしてしまうことが多いです。
このような背景があるため、開発行為が必要となる土地は価値が低くなります。
開発行為とは何かを知るには都市計画法も知る必要があります
開発行為を理解するうえで、都市計画法に関しても触れる必要があります。
都市計画法とは、健全な都市計画を施行するための法律です。
具体的な政策としては、以下の3本柱をメインとしており、要は土地の利用方法や建築できる施設などを規定しています。
- 土地利用に関する計画
- 都市施設に関する計画
- 市街地開発事業に関する計画
都市計画法では開発行為の可否に関しても触れており、どんな場合であれば開発ができるのか要件が記載されています。
また都市計画法内において、日本の国土をいくつかの区域に分類しています。
この分類された区域により、開発行為をおこなえる難易度が変わってくるのです。
どういうことかと言いますと、開発行為をおこなうには許可が必要ですが、どんな場合に許可が必要かという点において各区域により要件が異なります。
許可される基準が緩い区域もあれば、開発行為をするハードルが高い区域もあるのです。
つまり同じことをおこないたくても、該当する区域次第で許可申請が必要かどうか変わってきます。
そこで開発行為を実施するためには、まずは区域区分に関して理解しなければなりません。
区域ごとの特徴と特例の要件に関して、次の項目でもう少し詳しく見ていきましょう。
都市計画法の区域エリアと特例の要件とは
まず日本の国土は、都市計画法において次の3つに分類されます。
- 都市計画区域
- 準都市計画区域
- 都市計画区域外
都市計画区域は、優先的に都市計画を考え、積極的に整備・開発・保全をおこなわなければならない地域です。
メインで街づくりをおこなう場所とイメージすればよいでしょう。
次に準都市計画区域は、都市計画区域には該当しないものの乱開発を防止したい場所が該当します。
現在は優先的に街づくりをする場所ではないけれど、放置しておきたくない区域です。
都市計画区域外は、都市計画をおこなわないエリアになります。
ただし全く規制がないわけではなく、あまりにも無秩序な開発は規制対象になることもあります。
都市計画区域は、さらに細かく次の3つのエリアに分かれます。
- 市街化区域
- 市街化調整区域
- 非線引都市計画区域
この中で市街化区域は既に市街化していたり、今後積極的に発展させる区域が指定されます。
一方市街化調整区域は、市街化区域のすぐそばにあるものの農村地などを保護するために、発展させるのを抑える地域です。
非線引都市計画区域は、都市計画区域に属しているものの、特に区域区分が定められていないエリアになります。
このようにいくつかの区域に分かれているわけですが、エリアにより開発許可が必要となる基準が異なっています。
それはこの話を通しても分かるとおり、エリアによって街づくり対するスタンスが違うため許容範囲も変わってくるからです。
具体的な基準に関しては、次の表を確認ください。
区域エリア | 開発行為の許可が必要となる面積要件 |
---|---|
市街化区域 | 1000m2以上 |
市街化調整区域 非線引都市計画区域 | 面積に関わらず許可が必要 |
準都市計画区域 | 3000m2以上 |
都市計画区域外 | 1ヘクタール以上 |
ちなみに以下3つの区域に関しては、開発許可が必要となる条件を自治体の判断で300m2まで引き下げることが可能です。
- 市街化区域
- 非線引都市計画区域
- 準都市計画区域
市街化区域は1000m2以下なら許可申請不要で開発行為が可能
市街化区域は1000m2以下の面積であれば除外規定を満たすため、申請せずに開発行為をおこなえます。
つまり小規模な開発であれば、許可不要です。
そもそも市街化区域は発展を進めていくことを前提としている区域だからです。
規定を厳しくしすぎると必要な開発までも阻害してしまう恐れがあるため、除外規定が設けられています。
小規模な開発行為であれば、街づくりを乱す危険性もないため、あえて許可は要りません。
ただし、前述のように自治体の中には許可が必要な条件を、300m2まで引き下げているところもあります。
300m2となると、小学校にあるプール程度の広さです。
そのためそれほど大規模な開発でなくても、条件に引っかかる可能性があります。
よって市街化区域で開発行為を行う際には、まずは自治体の規定を確認することが必須です。
同じ県内でも市によって許可申請の基準が異なるため、必ず該当する市区町村の規制を調べる必要があるでしょう。
市街化区域は農林漁業の特例なし 許可申請対象に
農林漁業に関する建築物をつくるための開発行為は、面積の大きさに関わらず申請は不要です。
では農林漁業に関する建築物とはどのようなものかと言いますと、例えば以下があげられます。
- 農林漁業従事者の住宅
- 温室
- 畜舎
- 蚕室
- サイロ
- 家畜人工授精施設
- 農機具等収納施設
- のり・わかめ乾燥施設
- 野菜集荷施設
- 果実集荷施設
基本的にこのような建築物を建てる場合、区域エリアに関係なく建てられるのですが、市街化区域は例外です。
つまり市街化区域で農林漁業関連の建築物を建てるための開発行為をする場合のみ、許可申請の対象となります。
なぜ市街化区域で農林漁業関連の建物を建てる開発行為をするには、許可が必要なのですか?
市街化区域は街づくりを発展させるためのエリアです。他のエリアと違い、街づくりをするための建物が優先になります
だから農林漁業関連は特例の対象外なのですね
そうです。発展したエリアで農林漁業をおこなうと街づくりに影響がでてしまうからです
公益的な建築物は許可不要だが、除外規定の対象外もあるので注意
公益的事業をおこなうための開発行為は、区域エリアや面積に関わらず、除外規定の対象です。
その理由として公益的事業は都市計画に影響を及ぼす危険性が少ないからで、特例として認められています。
ではどのような施設が公益的な建築物にあたるのかと言いますと、例えば以下の施設が該当します。
- 駅舎及び鉄道関連の施設
- 図書館
- 変電所
- 公民館
しかし公益的な建築物といえども、次にあげる施設は除外規定の対象外です。
一定面積以上の開発行為を行う場合には、許可申請をおこなう必要があります。
面積要件としては、一般的な開発行為の除外規定と一緒になります。
よって市街化区域なら1000m2以上の場合、市街化調整区域は面積に関わらず許可申請の対象です。
- 学校
- 社会福祉施設
- 医療施設
このような施設も以前は許可不要でしたが、平成19年より都道府県知事の許可が必要に変わりました。
市街化区域で気を付けたいのが接道義務
市街化区域で許可申請の対象となりやすい開発行為として、土地の区画の変更があげられます。
都市計画区域内で建物を建てる際には、接道義務を満たさなければなりません。
増員4メートル以上かつ間口が2メートル以上確保できる建物でなければ、建築できないのです。
市街化区域における開発行為の除外規定要件は、引き下げがない場合ですと1000m2です。
ですが基準引き下げをおこなっている自治体ですと、300m2から許可申請が必要となるケースがあります。
例えば広大な土地に分譲住宅を建てて販売する際に、土地の分割自体は開発行為にあたらないため、許可申請不要と考えてしまいがちです。
ただし、ここで問題になってくるのが上述の接道義務です。
戸建て住宅を建てたい場合、それぞれの戸建てが接道義務を満たしていなければいけません。
要は土地内に、新たに道路を設ける必要性が生じます。
道路をつくることは、土地の区画の変更ですから開発行為に該当します。
300m2はそれほど広大というわけではないため、そこそこの規模の分譲地を建てようとすると許可が必要になってしまう訳です。
一方で広大な敷地内に1つのマンションなど大きな建物を建築するのであれば、新たな道路をつくらなくても接道義務を満たすことができます。
よって開発行為にあたらないため、許可申請は不要です。
このように接道義務の存在があるため、同じ広さの土地を所有していてもどんな建物を建てるかによって、開発行為の有無は変わってきます。
市街化調整区域は原則として開発許可が得られない
市街化区域における開発行為の定義が分かったところで、次は市街化調整区域について見ていきましょう。
大前提として、市街化調整区域は市街化するのを抑制するためのエリアです。
無秩序に開発が進み、農地など必要な自然が失われてしまうのを保護するために設けられています。
よって市街化調整区域は発展させる必要がないため、開発行為をおこなうのはNGです。
他の区域と異なり、唯一面積における除外規定も設けられていない区域になります。
そのため小規模な場合でも、開発行為をおこなう際には必ず許可申請をする必要があります。
つまり市街化調整区域は、他のエリアよりも開発行為をする難易度が高いです。
開発行為における許可とは、認められていないことを特別に許してもらうという意味合いになります。
許可してもらうハードルが高いため、除外規定が設けられていないとなると、開発行為をおこなうにあたって相当不利です。
市街化調整区域において例外的に許可される要件とは?
基本的に開発行為が許されていない市街化調整区域ですが、例外的に許されるケースがあります。
それは農林漁業関連の施設を建築する場合です。
先ほどご紹介した通り、市街化区域では除外規定の対象になりませんでしたが、市街化調整区域であれば許可不要です。
元々市街化調整区域は農林業の保護を目的としているため、農林漁業関連の施設であれば開発行為をおこなっても問題ありません。
また農林漁業従事者の住宅を建てるための開発行為も、許されています。
このことは都市計画法における第29条にて規定されています。
そしてもう一つ許可不要でおこなえる開発行為が、公益的な建築物を建てるための場合です。
これは市街化区域の時と同様で、公益的事業であるならば許可申請なしで開発行為が可能になります。
災害時の応急施設など、やむを得ない施設に関しても、区域エリアに関わらず基本的に認められています。
ただし基準に関しては、自治体の判断に依存するところが大きいです。
市区町村により微妙に異なるため、例外的に許可されている要件であっても確認しておくのが無難でしょう。
市街化調整区域は建物を建てると開発行為に該当する
市街化調整区域における現況の地目は、農地や雑種地が多いです。
建物を建てる場合の地目は宅地でなければならないことが、法律で定められています。
そのため市街化調整区域に建物を建てる場合には、まずは地目を宅地に変える必要があるのです。
しかしながらここで問題が生じます。
地目を変更することは、土地の性質の変更ですから開発行為に該当します。
市街化調整区域は、原則開発行為が認められていない区域です。
たとえ小規模な開発行為であったとしても、除外規定がないため許可を得る必要があります。
そして再三説明している通り、許可は簡単に降りるものではありません。
よって市街化調整区域は、建物を建てること自体が開発行為に該当するため、ハードルが非常に高いのです。
一部例外的に、農林水産業関連の施設や公益的事業の建物であれば、開発行為をおこなえるのみとなっています。
市街化調整区域では、自由に建物を建てられないのですね
開発行為ができないため、土地の活用方法が非常に限られてしまいます
土地の価値にも影響を及ぼしますか?
はい。市街化調整区域の土地が安い理由ですね
既存宅地の建て替えには許可申請が必要
市街化調整区域は原則建物を建てられない区域ですが、気になるのは既存宅地の建て替えに関してですね。
基本的には既存宅地であっても、建て替える際には許可が必要です。
ただし市街化調整区域に指定される前から建っている建物ですと、許可を得るのはそれほど難しくありません。
たとえば以下のような一定条件を満たせば、基本的に建て替えできます。
- 同一の使用用途
- 同じ敷地内に同規模の建物を建てる場合
一方で市街化調整区域に指定された場所では、建て替えどころか建築の許可が降りないと考えて良いかもしれません。
そもそも市街化調整区域は基本的に住宅を建てられない地域のため、後から市街化調整区域に新築するハードル自体が高いです。
建築する基準を満たした場合のみ許可されるため、既存宅地の建て替えであっても制限が厳しいです。
後から建てた場合にはさらに審査が厳しくなるため、建て替えは難しいものと理解したうえで新築する必要があります。
開発行為許可の手続きに関して知っておきたい基礎知識
開発行為に関する概念や除外要件を理解したところで、許可申請における具体的な手続き方法を見ていきましょう。
一部特例を除き、開発行為をおこなう際には必ず許可を得なければなりません。
本来はやってはいけないことに対して許しを請う手続きのため、申請手順も内容が複雑で大変です。
何か1つでも不備があれば許可されませんので、慎重に進めていく必要があります。
ここでは開発行為の手続きに関する基礎的なポイントを解説していきます。
開発行為許可の手続きの流れは5ステップ
手続きの流れを簡単に説明すると、以下の5ステップから成り立っています。
- 開発許可の申請をおこなう
- 都道府県知事の審査を受ける
- 許可あるいは不許可の決定が下される
- 開発工事着工
- 開発工事完了
開発許可を行うのは都道府県知事のため、申請書は都道府県知事に提出することになります。
また申請をおこなうのは、開発行為を行う人のため必ずしも土地の所有者とは限りません。
申請後には審査に移りますが、審査基準は自己居住用なのか分譲開発用なのかによって少し変わってきます。
審査完了後には開発行為の可否が通知されますが、不許可に対して不服があるようなら不服申し立てをおこないます。
無事に開発行為が認められれば、そのまま工事を開始し、完了後にはまた都道府県知事に届出を行わなければなりません。
以上が開発行為手続きにおける一連の流れです。
開発行為をおこなうには事前協議が必要
基本的に開発行為をおこなう際には、いきなり許可申請書を提出してよいという訳ではありません。
除外規定に該当する場合を除き、事前に協議をしておく必要があるのです。
まずは開発行為をおこなうことで新たに公共施設が設置される場合ですと、公共施設の関係者との協議が必須です。
公共施設として例えば以下があげられます。
- 上下水道
- 道路
- 公園
- 緑地
また開発行為は周辺地域に影響をもたらす行為ですから、該当する自治体の役所とも協議しておかなければなりません。
このように実際に都道府県知事に書類提出をおこなう前に、関係各所への根回ししておくことが求められます。
事前協議における手順の多さも、開発行為をおこなうハードルが高くなってしまう理由の一つでしょう。
開発行為完了後の工事完了公告とは
開発行為が完了したら、完了検査を受けますが、その後検査済証が交付されると工事完了公告がなされます。
きちんと開発行為が終了した旨を伝えるためのものです。
よって工事完了公告が設置されるまでは、開発行為が終わっていないことになります。
そのため工事完了公告の告知前に建築物が建設されることはありえません。
ただし例外的に、土地の分譲だけは工事完了公告前でもできることになっています。
もし工事完了公告日が未記載なのに建物を建築している場合は、違反建築に該当します。
開発登録簿に記載されている工事完了公告を確認することは、きちんと開発行為がなされたかどうかを知るチェックポイントでもあるのです。
開発行為許可が降りた後の開発登録簿とは
開発行為の許可が降りると、開発登録簿の作成がおこなわれます。
開発登録簿は、開発に関する全内容が記載されている書類です。
たとえば以下の内容が分かります。
- 開発許可の年月日
- 許可番号
- 許可を受けた者
- 予定建築物の用途
また開発登録簿には詳細内容の記載だけではなく、土地利用計画図と呼ばれる図面も一緒になっています。
開発登録簿を見ることはできますか?
誰でも閲覧可能です。また写しの交付を受けることもできますが、自治体によっては事前の連絡が必要な場合もあります
お金はかかりますか?
閲覧であれば無料です。写しの交付を希望する場合は手数料がかかります。
開発行為の廃止や変更はできるの?
開発行為の工事を開始後、さまざまな事情により詳細が変更となる場合があります。
工事完了予定日のズレなど、些細な変更であれば届出を行えば事足ります。
一方で前提条件が変わってくるような大きな変更が生じる場合には、再度許可を受けなくてはなりません。
例えば開発工事完了後に建てる予定建築物の用途が変わる場合や、開発行為の設計が変更となる時などです。
また開発行為の許可後に、工事自体が中止となるケースもあるでしょう。
この場合は中止自体可能ですが、遅延なく届出を行うことが必須です。
中止にあたっては許可ではなく届出で良いため、それほど難しくはありません。
まとめ
土地に対して何らかの変更をすることを、開発行為と言います。
この開発行為は簡単に出来ることではなく、おこなう場合には法律によってさまざまな縛りが生じます。
無秩序な開発によって、街づくりが乱されるのを防ぎ、暮らしを守るためです。
市街化調整区域以外の区域エリアでは、小規模な開発であれば許可なしで開発行為ができますが、市街化調整区域は必ず許可申請が必要です。
許可申請は非常にハードルが高く、必要性を認められた時のみ許されます。
よって開発行為を伴う土地は、建物を建てる自由度が著しく低くなってしまうことを覚えておかなければなりません。
当然土地価格にも影響を及ぼします。
開発行為が必要な分譲地や市街化調整区域の土地価格が低く設定されているのは、このためです。
開発行為とはどんなことなのか正しく覚えることは、土地の性質を深く理解するための一歩でしょう。