不動残を売る時は、売却された価格が入ってくるだけでなく、出ていくお金もあります。
その中でもよく耳にするのが仲介手数料、売買の手続きを行ってくれる不動産会社に支払う手数料のことですね。
さらにその他にも、物件を売るには支払うべき経費は諸々あります。
不動産売却時の仲介手数料や諸経費についての情報、そして物件を高く売る秘訣についても解説しましょう。
目次
不動産を売ると仲介手数料はいくら?
不動産って売ったらそのまま儲けが出るわけではないんですね。
それはそうだよ。君が売りたいと思っている物件を、不動産会社が買主を見つけて営業活動をする。会社もボランティアではないのだから。
そ、そうですよね、失礼しました。
まあそれは良しとして。まずは基礎知識として、仲介手数料とは何か、そして気になる金額の出し方についても見てみよう。
仲介手数料とは?
仲介手数料とは、物件の売買活動を不動産会社に依頼し、会社が買主を見つけて売買契約を履行する、一連の仲介業務に対しての成功報酬です。
厳密にいえば、絶対に支払わなければならないという決まりはなく、中には仲介手数料無料を謳っている業者もいるほどです。
しかし現実では、仲介手数料は不動産会社としては貴重な売り上げの収入源なので、一般的には発生するものだと考えるほうが無難です。
不動産売却の必要経費の中では、最も大きなウェイトを占めます。
仲介手数料の内訳
仲介手数料の内容には、主に以下の3つの要素が含まれています。
一般的な広告宣伝費
不動産会社が通常業務の中で行う、物件の広告宣伝活動についての費用です。
その内容は主に以下の5つです。
- レインズへの登録
- 店頭を訪れた見込み客や既存客への営業
- ポスティングや新聞の折り込みチラシ
- 現地看板による案内
- インターネット広告
なお補足説明を一つ、レインズとはReal Estate Information Network Systemの頭文字をとったもので、不動産物件の情報交換を行う、業者専用のコンピューターシステムのことです。
ここに登録すると全国に向けて物件情報が公開され、会社が販売活動の参照として情報共有されます。
売買の媒介契約を依頼された際、専任媒介契約の場合は必ず登録する決まりになっています。
一般的な営業活動費
一般的な営業活動費とは、不動産会社の運営や人件費など、会社が通常業務を行う際に発生する諸経費のことです。
買取希望者の現地案内に対する費用
購入を希望する見込み客が物件を実際に見たいと依頼した際、現地へ案内する際に発生するための費用です。
一例を挙げると、車を使って現地まで案内し、その際の駐車場代などが当たります。
要するに、不動産会社に依頼するための費用と謝礼って考え方で合ってますかね?
まあ概ね間違いではないね。ところで、仲介手数料はいつ支払うのか気になるだろう?そのタイミングについても説明しよう。結構まとまった金額だから予め準備しておくと安心だろう?
仲介手数料を支払うタイミングは?
仲介手数料は不動産会社が物件の売買を成約させたときに支払われます。
成功報酬という意味合いがあるので、売買を依頼した段階では支払いません。
実際の支払いは契約時と引き渡しの2回、または引き渡しの時の1回のケースがほとんどです。
売買契約締結時
多くの不動産会社では原則として、契約手続きを行う時に手数料の半額を支払います。
支払い方法は現金にて会社に直接渡すのが一般的ですが、銀行振り込みも可能なこともあります。
ただしその場合は、ATMの引き出し額の上限に注意しましょう。
仲介手数料は数十万単位、時には百万以上になることもあります。
最近のATMは1回で引き出せる金額が50万くらいまでと決まっている場合もありますので気を付けましょう。
引き渡し時
一部の不動産会社では、引き渡しの時に1回で支払いという方法を取っています。
支払い方法は現金または銀行振込がほとんどですが、この時に百万円以上の現金を持ち歩くのが不安なので、振込を選ぶ人も増えます。
振込手数料は800円以上とやや高めですが、安全への保険と考えたら必要経費の範囲内ですね。
仲介手数料の金額相場と計算式
仲介手数料って具体的にどうやって決まるんでしょうか?
仲介手数料は金額ごとに分けられるが、上限については基本的な数式があるからしっかり覚えておこう。
仲介手数料の金額は、宅地建物取引業法にて上限が決められています。
その計算式は金額に応じて段階的に変化します。
売買価格 | 仲介手数料の上限額 |
---|---|
200万以下 | 売買価格 × 5% + 消費税 |
200万超~400万未満 | 売買価格 × 4% + 消費税 |
400万以上 | 売買価格 × 3% + 消費税 |
なお、売買価格には消費税は含まれません。
ただしこの計算式を使うと手間がかかってしまいます。
たとえば2000万円で成約した場合の計算式は以下のようになります。
200万 × 5% + 200万 × 4% + 1600万 × 3% + 消費税 = 72万6000円
これでは3回に分けてになってしまうため、速算式という数式を使う方法が一般的です。
どちらの方法でも金額は同じです。
速算式では400万円を基準に、以下の通りになります。
400万以下 = 最大18万円まで
(2018年より法改正、それまでは400万円ちょうどの場合のみ上限18万円)
400万超 = 売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税
仲介手数料って、不動産会社にとっては大切な収入源なんですね。
そうだよ。不動産取引は専門知識も多く、また必要書類も多いだろ?さらに動く金額も大きいから慎重に行われるんだ。我々一般人ではとうていできないことを不動産会社がやってくれるわけだからね。
仲介手数料は安くできる?
え?仲介手数料って安くできるんですか?
その通り。昔とは違って今は交渉次第で安く相談することも可能だ。しかしそのためにもコツをマスターしてから臨もう。
仲介手数料が安くできるようになった背景とは
不動産売買において、仲介手数料についての法整備が出来上がったのは1970年10月から、当時の基準では以下の計算式にて上限金額が定められていました。
物件価格 × 3% + 6万円 + 消費税
しかしインターネットなどない当時の不動産業界では、売買を成約させるためには口コミや人脈などに頼っていました。
そのため、現在では当たり前に行っている契約書や重要事項説明書に関してのフォーマットもなく、成約のたびに手書きやタイプライターで書類を作成していました。
その際の事務費用や手間賃、人件費は大変なものでした。
ところが今ではインターネットで簡単に情報が見られるようになり、また各書類の書式や法整備も飛躍的に進んできました。
さらにコンプライアンス順守についての意識も高まり、不都合なことがあると会社の評判や信用はネットであっという間に拡散されてしまいます。
それがもたらした結果、不動産業界の事務作業は大幅に簡素化され、費用面でもコストを抑えられるようになりました。
また法令順守の考え方も定着し、書類のやり取りの重要性も見直されてきました。
さらに、以前までは、手数料を掲示する際に上限金額のみを見せ、交渉しようにも一切応じない会社は珍しくありませんでした。
しかし少子高齢化によって住宅の販売は需要より供給が上回り、土地の価格も下落しています。
その一方で、マイナス金利政策によって不動産への投資は右肩上がりなので、業界は生き残りをかけて、より一層成約に向けて努力しています。
また、同じく少子高齢化で深刻になっている空き家問題についても、不動産取引の流動性を保つために法改正が行われるといった社会問題への配慮も含まれています。
そのような時代背景ではもはや殿様商売的な会社は淘汰の危険があり、流動的かつ柔軟性を持った販売方法が求められるようになりました。
交渉しやすくなる2つの条件
インターネットの普及と時代背景によって手数料を安くなりやすくなったとはいえ、どんな場合でもというわけにはいきません。
では、仲介手数料の値引き交渉をしやすい条件とは、どのような内容なのでしょうか。
物件そのものに売れやすい条件が整っている
不動産会社にとって、売りやすい物件は早く確実に利益を得やすいことから、そうした物件についてはぜひ仲介を行いたいものです。
そのような物件の特徴とは
- 駅近や人気のエリア
- 築年数が新しい
- ブランド付きのマンション
- 耐震基準適合証明書があるなど、設備面で強みがある
こうした強みを持っている物件は、高値での取引が期待されやすいので交渉のチャンスが十分にあります。
この物件を売りたいと思い、そのために売主から仲介手数料の値引きがある場合に応じるケースも少なくありません。
両手仲介を行っているところ
両手仲介という言葉は耳慣れませんが、これは売主と買主が同じ不動産会社と契約し、成約時に両者から手数料を受け取れる取引の方法を指します。
この両手仲介は1つの物件の売買で得られる手数料の金額が多いので会社にとっては大変メリットの多い取引法です。
そのため一部の不動産会社では、両手仲介を積極的に勧めているケースもいまだに残っています。
両手仲介を行っている場合、売主の分を多少値引きしても買主からも受け取れる分があるため、比較的応じてくれるケースもあります。
仲介手数料を浮かせるコツ
やっぱり、これは売りたいと思った物件でないと、仲介手数料を安く済ませようという考えは甘いんですね。
いやいや、そんなことはない。仲介手数料を浮かせるための有利な条件は確かにあるが、そうでないからと言って諦めるのはまだ早い。決め手は不動産会社の選び方と、タイミングにも秘密があるんだ。
仲介手数料の安い不動産会社を探す
売りたくなるような条件がそろっていなくとも、諦める必要はありません。
最もシンプルな方法は、仲介手数料が安い業者を見つけ出すことです。
しかし、今では蕎麦屋の数より多いと言われる不動産屋の中から1件ずつ調べ出すのは大変です。
そこでおすすめされるのが、インターネットによる一括査定サービスの利用です。
一括査定サービスとは文字通り、複数の業者でまとめて査定額を打ち出すポータルサイトです。
一括査定サービスのメリットは
- 一度に複数の業者を比較検討できる
- いつでも好きな時間に調べられる
- 料金がかからない
- 結果が早く分かる
ネット社会の現代にとってはまさに最適なサービスなので、利用しない手はありません。
さらに会社情報を一気に見ることができ、その中から仲介手数料についても分かるので、できるだけ安くしている会社を見つけるのも簡単です。
ただしネットでの査定には以下のデメリットがあることも覚えておきましょう。
- 会社のデータから判断された相場なので実際と異なることが多々ある
- 手数料の安さだけで釣っている悪徳業者もある
そのため、よりお勧めされるのは一括査定サービスと地域の不動産探しを平行して行うことです。
大手だから良い、中小はダメということは必ずしもなく、地元の販売実績や小回りが利く面ではむしろ中小が強いケースも少なからずあります。
また、一括査定サービスで行われるのは簡易(机上)査定と呼ばれるもので、数字や実績などのデータのみで判断される概算です。
そのため相場の参考として頭に入れるのに適していますが、より詳細な査定額を求めるためには訪問(詳細)査定を必ず行う必要もあります。
タイミングは媒介契約の時に
値引き交渉を行うには、タイミングが非常に重要、最も切り出しやすいのは査定後の媒介契約の手続き時です。
媒介契約とは、査定が終わり、実際に物件の売買業務を依頼(媒介)するために不動産会社と結ぶ契約のことです。
なお、媒介契約には3つの形態があるので、知っておきましょう。
特徴 | メリット | デメリット | |
---|---|---|---|
一般媒介契約 | 1.複数の会社に媒介を依頼する 2.依頼会社を公表する明示型としない非明示型がある | 複数の会社が販売活動を行ってくれるので、早く成約しやすい | 他社との競合で奪われるリスクがあるため、販売活動に非積極的な会社もある |
専任媒介契約 | 1.1社だけに媒介を依頼する 2.買主を選べる | 1社に絞られているため、販売活動に積極的。さらに買主を選べる自由度がある | 途中で他の業者に変えることができない |
専属専任媒介契約 | 1.1社だけに媒介を依頼する 2.買主は選べない | 販売活動に積極的、買主を見つける手間がない | 途中で業者を変えられない、さらに買い手希望が表れた場合でも認められない |
値引き交渉のためには専任媒介契約がおすすめ
仲介手数料を値引きしたい場合には、専任または専属専任媒介契約がおすすめです。
その理由は、販売活動をより積極的に行ってくれる可能性が高いからです。
一般媒介契約では、1つの物件の販売を自社の他にも行っているライバルがいます。
しかしその中でもし他社で成約が決まってしまった場合、その他の会社が受け取れる仲介手数料はゼロです。
そのため業者の力の入れ具合にはかなり差があり、それだけでなく多くの物件を取り扱っていることから、業務上のミスなども起こりがちです。
一方専任媒介契約の場合は自社に任されているという感があり、会社側も信用をかけて販売活動を精力的に行ってくれます。
一般媒介契約では見込み客も多くなる分成約は早いですが、専任媒介ではより着実な成約に向けての活動に期待が持てます。
不動産会社サイドとしては仲介手数料を得られる可能性が高いため、多少の値引きをしても媒介を引き受けるというケースも少なくありません。
仲介手数料が安く交渉できるとはちょっと意外でした。
不動産業界を取り巻く環境もどんどん変化し、それに対応せざるを得なくなっているからね。そのためにも裏技を知っておくに越したことはないね。
仲介手数料ゼロって本当?
ところで、仲介手数料無料って売り文句の不動産会社を時々見かけるのですが、あれって本当なんですかね。
鋭い質問だね。仲介手数料無料とは確かにすごく魅力的ではある、しかしそこにはカラクリがあるようなんだ。
仲介手数料が無料になるケースとは?
仲介手数料の支払い義務は法律で定められているものではありませんが、不動産会社が販売活動を行い利益を得るためには必要な経費です。
しかしごくまれに、仲介手数料の発生しない取引があります。
そのケースとは不動産会社が物件を購入した場合、ここに第三者としての買主の存在はなく、売主と会社で直接取引を行うためです。
それゆえに、販売の成功報酬という形での金銭授受は必要なくなります。
一部の不動産会社では、買取保証といって期限内に物件が売れなかった場合に会社が直接物件を買い取る制度を持っています。
このような形を取れば確実に金銭は手に入るので、とにかく現金に困っている場合にはおすすめできます。
ただしほとんどの場合は、相場よりも安く買い取られるので注意が必要です。
確かに、会社との直接取引だとシンプルですよね。
そうだ。しかしその分販売価格が大幅に下がるから、一概に良し悪しは決められないんだな。
仲介手数料無料のカラクリ
上記に示した、不動産が買主以外の場合にもかかわらず、仲介手数料が無料になるのはこんなケースが想定されます。取引の際には十分注意しましょう。
両手取引にもかかわらず一方からのみ受け取っている
両手取引とは、仲介手数料を売主と買主の双方から受け取る取引です。
その反対に、どちらか一方からしか取らない取引のことを片手取引と呼びます。
しかし両手取引にもかかわらず、仲介手数料を売主からしか受け取っていないという事例も少ないながらあります。
そのため仲介手数料を支払わなかった買主によって、あの会社は仲介手数料無料だという評判が上がり、広がっていってます。
物件価格に上乗せされている
また、販売価格を操作して行う方法も考えられます。
その手法としては、なかなか買い手のつかない物件に目を付け、差額を調整します。
売れない物件は会社としても在庫となり、少しでも早く話をまとめたいところです。
そこで、会社は売主に対して販売価格の値下げを打診します。
売主から同意をもらうと再び購入希望客に提案をしますが、その時の価格はそのまま値下げ前の価格で設定しています。
買主は仲介手数料こそ支払いませんが、本当なら値下げされているはずのものを上乗せされた金額で買うことになってしまいます。
その差分が結果的に仲介手数料と同じことになり、不動産会社の利益となります。
それを防ぐには、これといった理由もないのにいつまでも売れ残っている場合、販売状況について詳しく確認してみましょう。
特に専任媒介契約の場合は、一定期間で販売状況を報告する義務もあります。
その際に相場と仲介手数料の上限額を知っていると、数字的な根拠が持てます。
他の名目の手数料が取られる
仲介手数料という言葉を出すと売れにくくなるという理由で、無料を謳う代わりに別の名目での手数料という形で取る方法も考えられます。
仲介手数料は法律でその上限が決まっており、それを上回る額を請求するのは違法行為になります。
しかしその部分を隠して無料と言いながら、他の名目での手数料として請求され、時には本来の仲介手数料上限金額を上回る可能性さえあります。
こうした業者とやむを得ず取引する場合には、手数料の名目と金額について逐一確認する必要があります。
その際にも、仲介手数料の上限金額を事前に知っていると、明確な根拠を示しやすいですね。
やっぱりうまい話しには裏があるんですね。
もちろん、仲介手数料無料の業者の全てが悪徳であるとは限らない。しかしただほど高いものはないというくらいの慎重さが、不動産取引では大変大事なんだ。
仲介手数料以外の費用に対する注意点
仲介手数料の他にも、費用ってかかるんですよね。
うむ、だいぶ先読みできるようになったね。物件の売却には他にもかかる諸経費があるので、それについても併せて学習してみよう。
売主が仲介手数料以外に負担する費用は何がある?
売主が負担する費用は、仲介手数料以外にも必要に応じてあります。
内容によっては少しまとまった額になるので、事前に情報を仕入れておきましょう。
特別な依頼に基づいて発生した実費
不動産会社の一般業務での費用は仲介手数料に含まれますが、その範囲外で発生する費用については、売主が負担します。
なおその際には以下の3つを満たしていることが必要です。
- 売主の依頼に基づくものであること
- 通常の業務では発生しない費用であること
- 実費であること
具体例としては、広告宣伝において、テレビCMやその他メディアへの広告掲載、遠隔地に住む購入希望者との手続きで生じる交通費などです。
ハウスクリーニング費用
内覧の際、水回りの清掃などでハウスクリーニングを使う場合にかかります。
相場は浴室で20,000円、キッチンやレンジフードで15,000円、トイレで8,000円くらいです。
印紙税
売買契約書に価格を記載する際に必要です。
多くの場合、不動産会社側で用意していますが、費用立て替えの必要が心配であれば確認してみましょう。
不動産取引でかかる場合の金額帯は1,000円~30,000円程度です。
登記費用
不動産取引で生じる登記についての費用の多くは買主が負担しますが、条件によっては一部売主が負担するものもあります。
主に引き渡し時の精算金として支払います。
抵当権抹消登記(登録免許税)
売主が物件を購入した際、多くは住宅ローンを使って分割して支払っています。
銀行はお金を貸す代わりに土地と建物を担保にし、債務が不履行になった場合には差し押さえる権利を持ちます。
これを抵当権といい、物件を売却した際には売主で抹消手続きを取り、買主が次に登記登録できるために、登録情報は原則としてきれいにしなければなりません。
抵当権の抹消とは、担保として設定されていた土地や建物の所有権を手放すことと同義です。
この手続きを行う際、登録免許税が発生し、さらに登記の業務は不動産会社が指定した司法書士が代行します。
なお、住宅ローンを完済している場合でも、抹消の手続きは必要です。
その際にかかる登録免許税、司法書士への報酬は売主の負担となります。
登録免許税の計算方法は、不動産の数×1,000、たとえば土地1つと建物の場合は2×1,000で2,000円になります。
司法書士への報酬相場は5,000円~10,000円程度です。
また引っ越しで住所が変更する際の登記にも、別途同額の費用が発生します。
譲渡所得に対する税金
物件を売却すると給与とは別に譲渡所得が発生し、その際に確定申告が必要になる場合があります。
確定申告が必要なのは譲渡価格から諸経費を引いた金額がプラスになっている(つまり利益が出ている)場合です。
売却の諸経費として、売主が払うものでは仲介手数料の次に大きな金額になるので注意しましょう。
税金の計算方法
譲渡所得の計算式は以下の通り、販売価格そのままではないので注意しましょう。
譲渡所得 = 譲渡価格 -(取得費 + 譲渡費用)
取得費とは、土地や建物の購入代金から減価償却費を差し引いた金額です。
不明の場合には売った金額の5%相当とみなすことも可能です。
なお所有期間によって、税率はそれぞれ以下の通りです。
所有期間 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
長期譲渡所得(5年超) | 15.32% | 5% |
短期譲渡所得(5年以下) | 30.63% | 9% |
これを例に税額を計算してみましょう。
販売価格5000万、取得費4000万、譲渡費用130万、所有期間10年間の物件は以下の通りです。
譲渡所得 = 5,000万円 -(4,000万円 + 130万円)= 870万円
①所得税 = 870万円 × 15.315% = 約133.2万円
②住民税 = 870万円 × 5% = 約43.5万円
①②合計 = 約176.7万円
この金額は売却した翌年の確定申告時に支払う可能性があるので、事前に把握していると心構えができますね。
他にも支払いがあるから事前に用意すべきなんですね。
その通り。その中には税金関係など公共性の高い項目もあるから、取り扱いにも注意が必要だ。
少しでも利益を得るために知りたい高く売る方法
でも出ていくお金って少しでも減らしたいですよね。
確かにそれは売主の共通の願いだ。しかし経費を安くすることについては仲介手数料の交渉くらいで、他は税金関係だからなかなか難しい面もある。
先生、そこをなんとか・・・。
仕方がない、では、物件を少しでも高く売れる方法を伝授しようではないか。
物件を高く売るための4つの方法とは
家を少しでも高く売りたい、そんな時には以下の4つの心がけが大切です。
信頼できる不動産会社を選ぶこと
不動産売却の第一歩はまずは査定から、取引の成功には仲介会社選びが重要です。
そのためにも売主も相場について勉強し、さらに複数の業者を比較すること、信頼している会社がある場合でも最低3店舗くらいと比較検討しましょう。
媒介契約は専任契約がおすすめ
査定の後に行うのが媒介契約ですが、おすすめされるのは専任媒介契約です。
専任媒介契約には1社としか取引できない制限はありますが、その分会社側としては見込み客としてより強いので、販売活動を熱心に行うケースが多くなります。
内覧は明るく清潔に
購入希望者の連絡があると内覧が始まりますが、この時は実際に物件を見てもらえる貴重なチャンスです。
玄関やリビング、水回りをきれいにするのはもちろん、窓も掃除して室内をできるだけ明るく、広く見せましょう。
この家を買うメリットを伝えよう
実際に住んだことがある売主だからこそできるのが、この家に住むことで得られるメリットを伝えることです。
住宅内の設備についてはもちろん、周辺環境や利便性も購入希望者にとっては大変気になる情報です。
必要経費を浮かせることもですが、やはり売却の価格を上げようとする方が現実的ですね。
その通りだ。国で決まったお金は安くしにくいが、売却の価格は頑張れば高くすることは可能だ。
まとめ
仲介手数料は不動産売買にかかってくる最も金額の大きな必要経費です。
その費用は不動産会社への成約の成功報酬という位置づけの他、売買に関する業務や販売活動のための諸経費という意味も含み、会社にとっては貴重な売り上げ源の一つです。
仲介手数料は交渉次第では安くすることもでき、そのためには物件が持つ好条件があると有利ですが、そうでなくとも諦めずに適切な方法で交渉してみましょう。
また、仲介手数料以外にも費用がかかり、特に確定申告時の譲渡取得税は意外とまとまった金額になるので注意しましょう。
物件を少しでも高く売って、賢い不動産販売をしましょう。