中古住宅の売却でも、一戸建ての売却は比較的難易度は高いといえます。
一戸建てはマンションのようにすんなりと売却できないため、スムーズに売却するにはしっかりと準備をすることが必要です。
また、一戸建てはマンションに比べると査定価格に差が付きやすい傾向にあります。
複数の不動産会社に査定を依頼すると査定価格にかなりのバラつきが生じるのが一戸建ての特徴です。
高額査定を受けるにはコツがありますので、ある程度準備をしておくと意図的に高い高額査定を得ることもできます。
そこで、本記事では「一戸建て売却」について解説します。
今回の記事を読むことで、高額査定を勝ち取るコツや査定を受ける際の注意点、一戸建て売却に必要な費用についてわかるようになります。
最後までお読みください。
一戸建てを高額査定に導く必要不可欠なコツ
一戸建ての売却の流れを示すと上記のようになります。
まずは、一戸建ての売却期間に余裕を持つ事
高額査定を受けるには、売却期間に余裕を持つことが絶対条件です。
一戸建ての売却では、最初に査定を行い、不動産会社を選んでから媒介契約を締結します。
媒介契約とは不動産会社に依頼する仲介の契約のことです。
査定から媒介契約の締結まで、早くても2~3週間かかります。
媒介契約の締結を終えたら、売却活動を開始します。
売却活動の開始から、買主が決まり、売買契約の締結までの標準的な期間は3ヶ月程度です。
一戸建ての売却ではこの3ヶ月がミソとなります。
販売期間に3ヶ月以上の十分な期間を見込んでいないと査定価格が高く出ません。
その理由としては、そもそも査定価格とは3ヶ月程度の販売期間を前提とした価格だからです。
不動産の売却では、「売り急ぎ」と呼ばれる焦って安く売る行為があります。
例えば、「1ヶ月以内で売りたい」という話になれば、不動産会社は安く査定を行うことが通常です。
不動産を早く売るには価格を安くしなければならないため、逆に高く売るなら十分な時間を確保しておく必要があるのです。
ただし、不動産の売却は、売却期間を長くしても高く売れるものではないという特徴があります。販売期間は短くすると安くなりますが、長くしても高くはならないということです。
3ヶ月というとは、あくまでも一定の数の買主に情報が浸透していくまでに必要な時間になります。
適正価格で売りにだせば、3ヶ月程度で買主に知れ渡り、売却ができます。
買主に知れ渡った時点で価格が高ければ、せっかく買主に情報が知れ渡っても売れないということです。
売却のスケジュールには余裕を持った段階で査定を受けるようにしてください。
販売期間に3ヶ月程度の時間は見込んであることを伝えれば、査定価格が安くなることは防げます。
一戸建て売却が得意な不動産会社に査定を依頼する
査定で重要なことは、一戸建て売却が得意な不動産会社に査定を依頼することです。
不動産会社には、得意分野と不得意分野が存在します。
まず、不動産会社の得意分野は売買仲介と賃貸仲介の2つに大きく分かれます。
売買仲介とは、不動産の売買において売主や買主を見つけてくることです。
それに対して、賃貸仲介とは、不動産の賃貸において借主を見つけてくることを指します。
不動産会社の中には、賃貸仲介ばっかりやっているような会社も存在します。
賃貸仲介が専門の会社は、売買仲介には不慣れであるため、一戸建ての高額査定は期待できません。
よって、賃貸仲介がメインの不動産会社への査定は避けた方が無難です。
査定を依頼するなら、売買仲介が得意な不動産会社に依頼するのが基本です。
ただし、売買仲介にも一戸建てが得意な不動産会社とマンションが得意な不動産会社に分かれます。
一戸建てで高額査定を受けるには、もちろん一戸建ての仲介に慣れた不動産会社の方が査定価格は高くでます。
一戸建ては、マンションに比べると個性が強く、不動産会社にとって査定はマンションよりも難しいです。
マンションであれば、過去に同じマンション内の他の部屋が多く売買されていますので、とても簡単に価格を出すことが可能です。
そのため、マンションの査定価格は複数の不動産会社に依頼してもほとんど差が出ないという特徴があります。
それに対して、一戸建ては近くに似たような物件の取引事例があるわけではありません。
近くに事例があっても、土地は立地条件や、面積、地型が異なりますし、建物も築年数や間取り、デザイン等が異なります。
一戸建ては、マンションとは異なり、類似の取引事例が少ないことから、不動産会社によって大きく意見が分かれてしまうのです。
一戸建ての売却に慣れている不動産会社であれば、物件を見た瞬間にだいたいいくらかという見当が付きます。
近くに事例がなくても、概ね適正な価格を出すことが可能です。
しかも、一戸建てを売り慣れているため、物件の良い部分をすぐに見抜くことができます。
一戸建てに慣れた不動産会社は、物件の良い部分をしっかり捉えてくれるため、価格は他社よりも高く出やすいのです。
一戸建てとマンションのどちらが得意かを見抜く方法は、不動産会社の周辺環境が参考になります。
周囲に一戸建ばかりがある街の中の不動産会社は一戸建てが得意で、マンションばかりある街の中の不動産会社はマンションが得意な傾向が強いです。
また、駅前にある不動産会社が必ずしも売買仲介に強いとも限りません。
駅前の不動産会社は賃貸仲介の需要が高いため、自然と賃貸仲介の取扱量が増えてしまっている会社が多いです。
一方で、駅から少し離れた場所にある不動産会社は売買仲介に強い傾向があります。
売買仲介では、ふらっと来店してくる顧客はほとんど居ないので、駅前に店を構える必要がないからです。
ただし、一般の人が「売買仲介が強く、かつ、一戸建てが得意」という不動産会社を見抜くことは、普通はできないと思います。
不動産一括査定サイトを利用して一戸建ての査定金額を比較しよう
不動産一括査定サイトとは、無料で複数の不動産会社に査定を依頼できるサービスになります。
不動産一括査定サイトには、通常、一括査定サイトの運営会社が存在します。
この運営会社は査定に参画する不動産会社を厳選して登録していることが通常です。
不動産会社に登録させる際、過去の実績等をチェックしていますので、どの会社が一戸建てを得意で、どの会社がマンションを得意としているかを把握しています。
不動産一括査定サイトの中には、査定を依頼すると、自動で一戸建てやマンションが得意な不動産会社に査定依頼が振り分けられるようなシステムを組んでいるサービスもあります。
そのような不動産一括査定サイトを使えば、一戸建て売却が得意な不動産会社に査定を依頼することができますので、高額査定を得ることが可能です。
誰でも自然と高額査定を得られるようになっていますので、査定の際はぜひ不動産一括査定サイトを利用してみてください。
大手と地元中小の不動産会社に査定を依頼する
高額査定を得るなら大手と地元中小の不動産会社に査定を依頼するのもコツです。
査定は一戸建て売却が得意な不動産会社に依頼するのが基本ですが、大手と地元中小の不動産会社に分散して依頼することをおススメします。
一般的に、高額査定が得やすいのは一戸建て売却を得意とした地元中小の不動産会社です。
地元中小の不動産会社は地元の相場にも精通しており、地元で高く売れる物件の特徴を良く把握しています。
そのため、一戸建て売却を得意とした地元中小の不動産会社に当たれば、高額査定を得ることが可能です。
特に、築30年超の古い物件は、地元中小の不動産会社が威力を発揮します。
ただし、地元中小の不動産会社は当たれば大きいですが、外れもあり得ます。外れてしまうリスクを踏まえれば大手不動産会社にも査定を依頼しておいた方が良いです。
大手不動産会社は、一戸建もマンションもオールマイティに対応できます。
無難に価格を出してくれますので、一応、大手不動産会社にも依頼した方が良いです。
ただし、大手不動産会社は営業店が少ないため、郊外の物件は弱い傾向があります。
また、営業マンのノルマも厳しく、価格が安い物件は露骨にやる気を出さない傾向もあります。
郊外で築年数の古い一戸建ては価格が安いため、このような物件は地元の中小の不動産会社の方が頑張って売ってくれる可能性があります。
査定の依頼方法は、「大手だけ」または「地元中小だけ」といった偏った依頼の仕方が最も良くありません。
高額査定を得たいのであれば、可能性を広げる必要があり、大手にも地元中小にも依頼する必要があるのです。
不動産一括査定サイトを使う場合には、大手にも地元中小にも依頼できるタイプのサービスの方が高額査定は得やすくなります。
利用する不動産一括査定サイトを変えても査定価格は変わってきますので、大手にも地元中小にもバランス良く依頼できる一括査定を選ぶようにしましょう。
査定依頼する前に土地の境界を確定しておく
一戸建ての売却では、土地の境界を確定しておくことが高額査定を得るコツとなります。
土地の境界が確定していない物件は、その時点で不動産会社が売れる状態にないと判断し、査定を行わない可能性もあるためです。
高額査定ができる不動産会社も、土地の境界が未確定なことを理由に査定から離脱することもありますので、境界は査定の前に確定しておくべきです。
境界の確定とは、隣地所有者との間で境界ラインが定まっていることを指します。
一戸建ての売主には、土地の境界の明示義務があります。
売主の義務はあくまでも「境界の明示」だけですので、厳密には「境界の確定」までは不要です。
しかしながら、確定していない境界を「ここが境界ですよ」と明示されても意味がないので、通常は境界が確定していることが前提となります。
境界が確定していない物件は、売却後にトラブルになることが多いので、まともな不動産会社は境界が未確定の物件は受け付けないこともあります。
境界が確定していない物件を売ると、不動産会社は買主にしっかり説明しているにも拘らず、説明不足という理由で買主から不動産会社が訴えられてしまうことがあります。
買主の理解が浅いままだと、「境界が確定していないなんて聞いていなかった!」という話になり、売主や不動産会社が後から訴えられてしまうこともあるのです。
そのため、土地の境界が未確定の物件は不動産会社にとってリスクが高い物件となります。
境界の確定がなされていなければ、すぐに売れる状態ではないので、査定すら行ってくれない不動産会社もあります。
また、境界が確定していない物件は、そもそも売却しにくいです。
購入する人も少なくなるため、価格が下がる原因にもなります。
境界が確定しているかどうかは、「確定測量図」を持っているかどうかで判断します。
確定測量図とは、対象地が接している全ての境界が確定しているときに作成できる実測図です。
「現況測量図」や「地積測量図」、「実測図」といった名称の図面だけでは境界が確定しているかどうかの判断がつきません。
現況測量図等の名称の図面しかない場合には、どこかの境界ラインが未確定な可能性があります。
確定測量図がない場合には、測量会社に依頼し、確定測量図を作成するようにしてください。
実務的には査定の時点で境界が確定していなくても、査定を依頼することはできます。
物件の引渡は、4~5ヶ月先になりますので、売却活動をしながら境界確定も同時に進めていくことも可能です。
多くの売買契約では、引渡までに買主に確定測量図を交付することが売主の義務となっています。
そのため、理屈の上では、引渡までに確定測量図を作成すれば大丈夫です。
高額査定を得たいのであれば、査定時点で確定測量図があることが理想です。
すぐに売れる状況であれば不動産会社の協力を得やすいので、高額査定も得やすくなります。
全ての部屋の写真を撮れる状態にしておく
高額査定を得るには、査定時に全部屋の写真を撮れる状態にしておくことがコツです。
不動産の売却では、SUUMOやアットホームといった不動産ポータルサイトに写真付きで物件広告を載せます。
査定時に広告用の写真も撮れるようにしておけば、不動産会社もすぐに売却に移行してくれます。
不動産会社の感覚は、とにかく「すぐに売れる状態の物件」を基本的に好みます。すぐに売れる状態の物件は、不動産会社にとってもすぐに収入に繋がる物件だからです。
そのため、査定時に写真が撮れて、すぐにでも売却活動を開始できるような物件は、不動産会社の協力を得やすくなります。
すぐに売れる物件は、やる気を出す不動産会社が多くなりますので、結果的に高額査定が得やすいのです。
例えば前節で紹介した土地の境界が確定していない物件も、典型的な「すぐに売れない状態の物件」です。
このような「すぐに売れない状態の物件」は、基本的に不動産会社のやる気が低くなります。
査定時に写真が撮れる状態の物件は、不動産会社が好む「すぐに売れる状態の物件」です。
そのため、高額査定を得たいのであれば全部屋の写真を撮れるようにしておいてください。
広告に載せる写真は多ければ多いほど良いので、全部屋取れるような状態にしておくことが望ましいです。
ベッドや机等の大きな家具は映ってしまって構わないのですが、他の細かい荷物は整理し、売主の個人情報がわかるようなものが映り込まないように隠しておいてください。
査定の前にハウスクリーニングは不要です。
ハウスクリーニングとはプロの清掃会社が行う有料の家のサービスになります。
ハウスクリーニングは、内覧前に行うことが良くあります。
内覧とは、購入希望者に家の中を実際に見せる販売行為です。
購入希望者は素人なので、ハウスクリーニングによって家が綺麗になっていると好印象を持ちます。
そのため、ハウスクリーニングは不動産を高く売却するテクニックの一つです。
ただし、不動産会社はハウスクリーニングの実施の有無によって価格を上げるような査定は行いません。
査定の前にハウスクリーニングを行っても、あまり意味がないので、行うなら内覧の前に実施するようにしましょう。
過去のリフォームをアピールしよう
高額査定を受けるためには、過去のリフォームをアピールすることもコツです。
わかりやすくアピールするためにも、紙一枚に過去に行ったリフォームの「箇所」と「内容」、「実施時期」の3つをまとめておくことをおススメします。
リフォーム内容をまとめた紙を、査定時に各社に渡すだけでも、かなり印象は良くなります。
実際に、リフォーム箇所を見てもらい、良し悪しを判断してもらうようにしてください。
ただし、売却のためにわざわざリフォームをすることは不要です。
過去5年くらいの間にたまたまリフォームしていれば価格が上がる要因になりますので、きちんとアピールすることが必要です。
特にデザイン性の高いリフォームをしている場合、不動産会社によって価格に大きな差が開く可能性があります。
フルリフォームに限らず、デザイン性の高いリフォームは、例えばキッチンだけであっても評価が高くなります。
また、バスも交換していると査定価格は上がりやすくなります。
高額査定を狙うのであれば、過去に行ったリフォームは必ずアピールするようにしてください。
インスペクションを行う意向を示そう
高額査定を受けるには、インスペクションを行う意向を示すこともコツとなります。
インスペクションとは、専門家による建物の状況調査のことです。
具体的には、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について専門家が目視調査を行います。
インスペクションに合格している物件であれば、買主が安心して購入することができるため、高く売却することが可能です。
特に一戸建ては、木造等の比較的弱い構造の建物が多いため、屋根や基礎、柱、開口部等に不安が残ります。
一戸建ては、買主にとってはマンションよりも不安材料が多いのです。
そのため、一戸建ての売却においては、インスペクションは不動産を高く売るための効果の高い対策となります。
査定時においては、「インスペクションを実施してから売ります」という意向を示せば、不動産会社はインスペクションの実施を前提とした高い査定価格を付けてくれます。
ただし、インスペクションは査定の前に行っておく必要はありません。
インスペクションの実施のタイミングは、不動産会社との媒介契約締結後となります。
売主がインスペクションを行う場合の流れは以下の通りです。
インスペクションは、2018年4月1日の宅地建物取引業法の改正によって新しくスタートした制度です。
現行の制度では、不動産会社が媒介契約の締結時にインスペクションを実施する者のあっせんに関する事項を記載した書面を依頼者に交付する義務があります。
媒介契約の締結の際、インスペクションに関しての説明が行われることが一般的です。
インスペクションに興味があれば、不動産会社にインスペクター(インスペクションを行う専門家のこと)をあっせんしてもらうことができます。
インスペクションには別途5万円程度の費用が掛かりますが、インスペクターのあっせん自体は無料です。
インスペクターは自分で探す必要はないので、不動産会社に適切なインスペクターを紹介してもらうようにしてください。
インスペクションに要する時間は1~3時間程度です。
期間に関しては、依頼してからインスペクション実施まで1週間程度、実施してから報告書受領までが1週間程度かかりますので、合計で2週間程度となります。
従って、査定の前に自らインスペクターを探してインスペクションを実施することは不要です。
査定時には、「インスペクションを希望しているので、それを前提に査定をして欲しい」と伝えれば良いことになります。
一戸建ては特にインスペクションの効果が高いので、ぜひ検討してみてください。
一戸建ての売却査定を受ける際の2つの注意点
この章では査定を受ける際の注意点について解説します。
1.事前に住宅ローン残債を調べておく
住宅ローンが残っている一戸建てを売る場合は、査定を受ける前に必ずローン残債を調べておくようにしてください。
正確なローン残債は、銀行に確認すればわかります。
ローン残債が売却価格を下回ることをアンダーローン、ローン残債が売却価格を上回ることをオーバーローンと呼びます。
オーバーローンの場合、売却額で返済しきれなかった残債は、貯金等を切り崩して返済することが必要です。もし、貯金等を加えても返済できないときは、場合によっては売却そのものを断念せざるを得ません。
査定価格がローン残債を上回るかどうかは重要なポイントですので、査定前に正確なローン残債を把握しておくようにしましょう。
2.一戸建て売却の相場を調べておく
査定を依頼する前は相場を調べておくことをおススメします。
あらかじめ相場を調べておくと、査定価格が高いのか安いのかの判断を付けることができます。
一戸建ての相場を把握するのであれば、レインズマーケットインフォメーションを利用するのが簡単です。
レインズマーケットインフォメーションは成約価格を元に相場を開示しているのが特徴です。
成約価格とは実際に決まった売却価格のことを指します。
一戸建ては値引きも多いので、ポータルサイトの売り出し価格を見るよりもレインズマーケットインフォメーションを使った方が適切な相場を知ることができます。
ただし、レインズマーケットインフォメーションを使っても、相場の把握には限界があります。わかっても「なんとなくこれくらいか」程度ですので、軽く調べておくだけで十分です。
この章のポイント 査定を受ける際の注意点は以下の2つ
- ローン残債を調べておく
- 相場を調べておく
一戸建て売却に必要な費用は5つ
この章では一戸建て売却に必要な費用について解説します。
1.不動産会社へ支払う仲介手数料
一戸建ての売却の中では、仲介手数料が最も高い費用となります。
仲介手数料とは、不動産会社へ支払う報酬のことです。
仲介手数料については、宅地建物取引業において、不動産会社が受領できる上限額が定められています。
仲介手数料の上限額の求め方は、以下の通りです。
仲介手数料は、取引額に応じて速算式が変わることも特徴となります。
取引額 (売買金額) | 速算式(上限額) |
200万円以下 | 5% |
200万円超から400万円以下 | 4%+2万円 |
400万円超 | 3%+6万円 |
仲介手数料には別途、消費税が発生します。
一戸建ての仲介手数料は、上限額がそのまま相場となっています。
法律で定められているのはあくまでも上限額ですので、仲介手数料が上限額以下でも問題ありませんが、不動産会社は上限額を請求してくることが一般的です。
仲介手数料の支払い時期は、売買契約時に全体の50%、引渡時に全体の50%という形で支払います。
2.建物の状況調査に必要なインスペクション費用
インスペクションの費用相場は5万円程度です。
一戸建ての場合、面積によって価格に若干の差があります。
面積 | 相場 |
約165平米未満 | 約4.5万円 |
約165~250平米未満 | 約5.0万円 |
約250~500平米未満 | 約6.5万円 |
尚、大手不動産会社の中には、インスペクションを無料で行ってくれる不動産会社も多いです。
インスペクションに興味のある方は、査定時に無料サービスを行っていないかどうか確認することをおススメします。
3.売買契約書に必要な印紙代
不動産の売却では、売買契約書に貼り付ける印紙代が必要となります。
売買契約書は、法律上、印紙の貼付が必要な課税文書です。
印紙税の金額は取引額(消費税抜き)に応じて以下のように定められています。
契約書に記載する売買金額 | 本則 | 軽減税率※ |
1万円未満 | 200円 | 非課税 |
1万円以上10万円以下 | 200円 | 200円 |
10万円超50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円超100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円超500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
5,000万円超1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
1億円超5億円以下 | 100,000円 | 60,000円 |
5億円超10億円以下 | 200,000円 | 160,000円 |
10億円超50億円以下 | 400,000円 | 320,000円 |
50億円超 | 600,000円 | 480,000円 |
金額の記載のないもの | 200円 | 200円 |
※2014年4月1日~2022年3月31日まで
4.抵当権抹消に関連する費用
売却する一戸建てに抵当権が設定されている場合、登記簿謄本から抵当権の記載を抹消する費用が生じます。
抵当権とは、お金を貸した銀行が物件から優先的に弁済を受けることのできる権利のことです。
抵当権のついた一戸建ての売却では、引渡と同時に抵当権の抹消を行います。
抵当権抹消には、「抵当権抹消登録免許税」と「司法書士手数料」の2つを要します。
抵当権抹消の登録免許税は、不動産1個につき1,000円となります。
土地1つ、建物1つという構成なら2,000円が必要です。
また、司法書士手数料には売主が負担すべき費用もあります。
日本司法書士連合会が公表している「報酬アンケート結果(2018年(平成30年)1月実施)」によると、抵当権抹消に要する司法書士費用は以下の通りです。
地区 | 低額者10%の平均 | 全体の平均値 | 高額者10%の平均 |
北海道地区 | 8,358円 | 15,532円 | 30,120円 |
東北地区 | 8,307円 | 13,863円 | 22,091円 |
関東地区 | 9,536円 | 15,613円 | 26,001円 |
中部地区 | 9,839円 | 16,638円 | 35,220円 |
近畿地区 | 9,933円 | 18,795円 | 32,444円 |
中国地区 | 9,471円 | 15,289円 | 26,682円 |
四国地区 | 9,917円 | 14,409円 | 21,562円 |
九州地区 | 9,737円 | 13,821円 | 22,676円 |
5.税金(譲渡所得が生じた場合)
一戸建ての売却では、譲渡所得が生じると税金が発生することがあります。
譲渡所得の求め方は以下の通りです。
【譲渡所得の求め方】
譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用
譲渡価額とは売却価額等です。
取得費とは、土地については土地の購入額、建物については建物の購入額から減価償却費を控除した価額になります。
譲渡費用は、仲介手数料や印紙税、測量費など、売却に要した費用のことを指します。
譲渡所得がプラスと計算された場合、所得税および住民税、復興特別所得税の3つの税金が生じます。
税金は譲渡所得に所有期間によって定められた税率を乗じて計算されます。
税金 = 譲渡所得 × 税率
税率は、売却する年の1月1日時点において所有期間が5年超の場合は長期譲渡所得、1月1日時点において所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得という分類です。
それぞれの税率は以下の通りです。
所得の種類 | 所有期間 | 所得税率 | 住民税率 |
短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 9% |
長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 5% |
復興特別所得税の税率は所得税に対して「2.1%」です。
一戸建ての中でも居住用財産(マイホームのこと)と呼ばれる不動産を売却する際は、3,000万円特別控除と呼ばれる特例を利用することができます。
3,000万円特別控除を適用した場合の譲渡所得の計算式は以下の通りです。
譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円
居住用財産の定義は以下の通りです。
【居住用財産の定義】
- 現に居住している家屋やその家屋と共に譲渡する敷地の譲渡の場合
- 転居してから3年後の12月31日までに、居住していた家屋やその家屋と共に譲渡するする敷地の譲渡の場合(この間に貸付や事業用に供していても適用となる)
- 災害などにより居住していた家屋が滅失した時は、災害のあった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、その敷地だけ譲渡する場合
- 転居後に家屋を取り壊した場合には、転居してから3年後の12月31日までか、取り壊し後1年以内か、いずれか早い日までに譲渡する場合(取り壊し後にその敷地を貸し付けたり、事業の用に供したりすると適用外となる)
3,000万円特別控除が適用できると、多くの場合、税金は発生しません。よって、一戸建ての売却では税金が発生することはレアケースとなっています。
この章のポイント 一戸建て売却に必要な費用は以下の5つが発生
- 仲介手数料
- インスペクション費用
- 印紙代
- 抵当権抹消関連費用
- 税金(ただし、発生するのはレアケース)
まとめ
以上、一戸建ての売却について解説してきました。
高額査定を勝ち取るには、「売却期間に余裕を持つ」、「一戸建て売却が得意な不動産会社に査定を依頼する」、「大手と地元中小の不動産会社に査定を依頼する」、「土地の境界を確定しておく」、「全部屋の写真を撮れる状態にしておく」、「過去のリフォームをアピールする」、「インスペクションを行う意向を示す」の7つがポイントです。
査定を受ける際は、「ローン残債を調べておく」、「相場を調べておく」が注意点となります。
準備ができたら、早速に不動産一括査定サイトを使って査定に取り掛かりましょう。