アパート経営を考えるときに、どれだけの資金が必要なのか考えなければいけません。
初期費用を算出して金融機関からの借り入れ、そして利益を出すまでのランニングコストを考えてアパート経営を始めます。
しかし、アパート経営と一口に言っても初期費用に何がどのくらい占めるのか、頭の中でだけ整理するのは困難です。
建築費は実際どのくらいかかるのか?建築費をうまく抑えるためには何が必要なのか?
アパート経営を成功させるためにも建築費用の相場をしっかりおさえるようにしましょう。本記事ではアパート経営を始めるにあたって必要な建築費に紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。
目次
アパート経営で利益を出すためにはコンパクトアパートが理想?
アパート経営を始める場合はコンパクトアパートが理想的です。
コンパクトアパートとは、小さい土地でコストを最大限に抑えて、需要の高いワンルームタイプの部屋の数を確保する方法のことをいいます。
コンパクトアパートはファミリータイプのアパートとは異なり、需要が高いため空室リスクを抑えられるといったメリットがあります。
コンパクトアパートのイメージできないという人は、7畳程度の1Kアパートを想像してください。
コンパクトアパートのターゲット層は学生や、若い世代の単身者ですね!
部屋はそれほど広くなくてもいいので、家賃を抑えたい人をターゲットにしています。コンパクトアパートの需要は今後も高いといえます。
狭い土地で家賃収入ができる
コンパクトアパートは、土地が比較的狭くても購入することができます。
もちろん、土地を少し確保できるだけの資金があれば、部屋数を増やすことができ利益を生みやすいメリットがあります。
制限されることなく土地を探せる
土地を購入する際は、ニーズによっては求める土地を購入できないこともあります。
たとえば、商業向けの土地と指定されていると、土地代が高くなり購入を諦めなければいけないこともあるでしょう。
その点、コンパクトアパートなら比較的どこでも建築ができるので、土地選びに制限がかかりにくいという利点を持ちます。
2階建アパートですと大半の場所で建設ができるため理想の立地でアパート経営を始められる可能性があるのです。
部屋の面積は小さいのに賃料単価が高い
コンパクトアパート最大のメリットとは、一部屋の面積を抑えることで部屋数が確保でき、さらに賃料単価を上げても入居者を増やすことができることです。
これは、早期の借入返済も視野に入れることができるため借入返済後の家賃収入による高い利益を出すことができます。
コンパクトアパートだからこそ空室リスクが低い
ファミリータイプのアパートは、年々需要が下がっています。
その理由は、持ち家を考えるのがファミリーだからです。家賃代を支払うよりも持家として、投資して毎月支払う方がお金をうまく回せるからです。
つまり、家賃代として70,000円を毎月支払うより、金融機関から借り入れをしてでも家という資産を残す方が賢いやり方と言えます。
持家という資産を残すことを考える家族向けのアパートは、どうしても需要は低くなりますね。
反対に、狭くてもいいから家賃を抑えて家を確保することを考える単身者、学生のニーズに応えられるコンパクトアパートは需要も安定しているので、リスクがないとは限りませんがノーリスクハイリターンの不動産投資でしょう。
アパート経営の建築費の相場ってどのくらい?建設会社によって建築費は変わるの?
アパート経営を始める中で、土地を購入するところから始める人も増えてきています。
土地ありの人でも建築費は必要です。アパート経営で必要になる建築費の相場も知っておくと、建築費の総額も見当がつきやすくなります。
自身が考える費用から施工会社を選ぶときも比較しやすくなりますので、しっかりと頭に入れておくようにしましょう。
建築費用は建築会社によって異なる
アパート経営の際に必要になる建築費は、建設会社によって異なります。ここは重要視して欲しいポイントの一つにもなるので、相場はさほど変わらないと考えている人は注意が必要です。
やはり、建設会社は利益を出すために見積書を作成します。できるだけ得するように、工事内容も変わりますし、工事の時に使用する部品も変わります。
杜撰すぎる工事で、高額請求する建設会社は噂も広まっていると思うので、なかなかそんな建設会社にお願いすることはないと思いますが、相場を知る中で、見積書と照らし合わせることはとても大切になってきます。
アパート経営に必要な工事内容とは?
アパート経営に必要な工事内容は以下のとおりです。
- 外観や内装の設計費
- 建物の建築
- トイレや浴室
- 台所などの住宅設備を整える
上記に挙げたような内容は、アパート建築に大体必要になる内容です。
外観や内装そして建物の建築に、家の雰囲気を左右するトイレや浴室、台所などはすべて建築費用に含まれます。
しかし、建築費用は実は曖昧なラインでもあり、建設会社からもらった項目はしっかりチェックしておくことも重要になります。実は工事不要な内容でも、工事内容に追加されていることがあるからです。
また、同じ工事内容でも他者と比較して差額が大きい場合などは、どこか抑えられるポイントはないかなど、詳細を出してもらうようにしましょう。実際に、アパート経営のために複数の建設会社に見積もりをお願いしてみると分かると思いますが、受け取る見積書に提示される数字には差があります。
建設会社を絞ることはせずに、時間をかけても出来るだけ多くの建設会社に見積もりをお願いして比較検討しながら建設会社を選ぶのがよいでしょう。
アパート経営の建設費は坪単価で算出される?
アパート経営で必要になる建築費は、坪単価×延べ床面積に直すとわかりやすいです。
今回おすすめするコンパクトアパートの場合は、1K、20~30平方メートルほどが一般的とされています。
坪単価の相場は、本体工事費について表したものですので坪単価を明確に出してもらい、プラスされる別途工事費や諸経費を含めた総額から、どこの建設会社にお願いすべきか考えましょう。
構造によって異なる坪単価の相場
坪単価の相場は構造によって異なります。木造、軽量鉄骨、鉄筋コンクリートの3つの構造の相場は以下のとおりです。
木造の構造の相場 | 50~70万円程度 |
軽量鉄骨の構造の相場 | 60~90万円程度 |
鉄筋コンクリートの構造の相場 | 80~120万円程度 |
たとえば、鉄筋コンクリートのアパート建築を考えている場合、木造の相場だけで判断していては予算を大幅にオーバーしてしまいます。アパート経営で建物の構造にこだわりたいと考えている人は、初期費用も他の構造に比べると高くなることは理解しておきましょう。
アパート経営で知っておくべき坪単価の要素
土地なしでもアパート経営を始める人が増えていますが、アパート経営を始めるまでにどれだけ費用がかかるのか理解しないままスタートさせるのはリスクが高まります。
特に、建物が出来上がるまでにかかる費用は目に見えないものも多く項目も多いので見落としがちです。
そこで、アパート経営に必要な坪単価の5つの要素についてもしっかり理解しておく必要があります。
分かりました!
構造
前述したとおり、構造によって坪単価は変わります。木造のほうが鉄骨造や鉄筋コンクリート造よりも坪単価が安くなります。
立地やニーズを考えて構造を選ぶことも重要になりますが、構造にこだわるあまりにアパート経営が困難と判断される場合は、土地選びを考え直すなどの戦略で不動産投資を始めるとよいでしょう。
間取り
間取りに関しては、ファミリータイプかコンパクトタイプを選ぶことで変わります。
ファミリータイプは部屋数を確保しなければ入居者を増やすことはできません。コンパクトタイプでターゲットを絞るなら1Rや1Kで建築が始まります。
1Rや1Kはコンパクトだからといって建築費が安いと考えてしまうかもしれませんが、部屋数が多い分、浴室や洗面台などの部品の数が増えます。建築費を抑えるなら、実はファミリータイプがおすすめです。
しかし、ニーズを考えるとここでコストを抑えるのはとても危険です。建築費を抑えたがやゆえに空室が続くなんてことになってしまいます。
安定した家賃収入を得るためには、建築費の安さで間取りを考えないようにしましょう。
この間取りに関しては、将来的な利益を考えて抑えられるところは抑えながらも、建築費を占めてしまっても仕方ないと考える方が賢明です。
階数
アパートの回数が上がると家賃も上がるというのは理解している人も多いでしょう。
そこで、10階建、20階建のアパート建築になると、工事会社の人件費も高くなり建築費が高くなります。
高層階を望む人もいますが、コンパクトアパートに関してはできる限り家賃を抑えたいと考える人の方が多いです。
高層階で空室が多いなんてことになってしまっては、建築費にお金をかけてもリスクが高くなるだけですので階数を高くするよりは、一部屋一部屋のグレードアップに予算をかけるようにしたほうがよいでしょう。
規模
戸数の少ないアパートより、戸数が多く全体の規模が大きいアパートのほうが坪単価は下がります。理由としては、建設会社も同じ部品を確保して工事が進められるので作業効率が上がるからです。
建築エリア
建築エリアによって建築費は大幅に変わります。
大都市になると建築費は上がり、逆に住宅密集地よりも郊外のほうが建築費は下がります。建築エリアで建築費が変わることはもちろんですが、土地なしでアパート経営を始める場合は土地代も変わってきます。
建築エリアを少しでもこだわりたいという場合は、工事用トラックの横づけ駐車が可能なのかなど、工事会社にプラスされる負担費用が少ないところを選ぶのもポイントです。
工事期間中に駐車料金が発生すると別途費用として請求されます。出来るだけ建築費を抑えるためのポイントの一つですが、エリアチェックも工事期間に必要な不要な出費と考えておきましょう。
構造別の建築費とメリット・デメリット
アパート経営は、トータルのコストを明確にしておかないと建物を建てるために無駄な時間をかけてしまい、利益を出すまでにも時間がかかってしまいます。
アパート経営を始める中で出来るだけ早期に借り入れを返済して、家賃収入として得るお金は利益に変えたいと考えます。
しかし、アパート経営を考える中で坪単価の建築費を考えることも大切なことですが、異なる建物の建築費についても理解しておくことが大切です。
上記で説明したとおり、建物の構造には3種類ありそれぞれのメリット・デメリットについて覚えておくとよいでしょう。
木造アパートの建築費とメリット・デメリット
木造アパートの建築費用の相場は、坪単価で50~70万円程度です。坪単価も安いのでアパートでは最も多い構造でもあります。
階数も2〜3階が多く、家賃を最大限に抑えたいと考える方から人気のアパートです。そんな、木造構造のアパートのメリットはなんといっても建築費を抑えられるという点にあります。
また、建築期間も軽量鉄骨と鉄筋コンクリートと比較すると短いので、工事開始から入居者を募集し入居させるまでの期間を短縮できます。金融機関から借り入れをして返済するための収入が早期に手にできるので、返済面でもリスクを抑えることができるのです。
しかし、木造構造にはデメリットもあります。アパートは高層化できないという点と木材や壁材が痛んでくるため耐用年数が比較的短いことです。
また、木造構造を極端に嫌う方も多いので構造選びで失敗してしまうと、いくら家賃が安くても空室の多い物件になってしまう可能性もあります。
建物の構造選びはとても重要で、その地域の求めるニーズをしっかりと把握しておくようにしましょう。
また、木造アパートの建築費の計算は以下のとおりです。
敷地面積 × 建蔽率 × 階数 × 坪単価 = 建築費用
たとえば、敷地面積50坪、建蔽率80%、2階建て、坪単価50万円だった場合は上記の計算式に当てはめると建築費用は4,000万円となります。
軽量鉄骨の建築費とメリット・デメリット
軽量鉄骨の建築費用の相場は、坪単価で60~90万円です。建築費は木造構造よりは高くなってしまいますが、鉄筋コンクリートよりはコストを抑えられます。
軽量鉄骨構造の場合は2階〜4階建てのアパートを建設することが多いです。木造構造よりも少し階数を増やすことができるのが特徴です。最も、低層建物に適した構造で木造構造よりもワンランク上の外観に変えることができます。
そんな、軽量鉄骨構造のメリットは、コストを最大限に抑えられる木造構造と比較すると耐震性と耐久性があるという点にあります。
また、建築費の1番かかる鉄筋コンクリート構造と比較すると見た目を維持したまま、建築費が抑えられるという特徴もあります。
木造構造を極端に嫌がる人も、数万円出して鉄筋コンクリートに住みたいかと言われると極端にそんなことはありません。
ある程度、見た目も気にしているという人の場合は、鉄筋コンクリートよりも家賃を少し抑えられる軽量鉄骨構造にメリットを感じます。
木造構造と鉄筋コンクリートの中間に位置するのが軽量鉄骨構造ですのでニーズもあり、空室を避けられるという強みも持っているのです。しかし、軽量鉄骨構造にもデメリットはあります。
軽量鉄骨構造は耐火性や遮音性が他の構造よりも劣ります。耐火性や遮音性を求める方には、ニーズが合わずに選択肢から除外されてしまいます。
軽量鉄骨構造はメリットも多いですが、入居者を募集する際はデメリットについてもしっかり伝えた上で入居してもらうようにしましょう。
また、軽量鉄骨構造アパートの建築費の計算は以下のとおりです。事例は木造アパートで使用した数字を利用しています。(坪単価のみ60万)
50坪×80%×2回×60万円=4,800円
鉄筋コンクリートの建築費とメリット・デメリット
鉄筋コンクリートはどうしても建築費は割高になります。しかしその分、家にこだわる人からは人気の物件にもなります。
建築費の相場は、坪単価で80~120万円程度です。もし、土地なしでアパート経営を始める場合は土地代を含むと、資産や借入金額はどうしても高くなります。
初期費用は高くなってしまいますが、鉄筋コンクリート構造ですので木造と軽量鉄骨と比べるとアパートを5階〜10階建てと高層建築も可能です。
そのため、高層階を求める方で立地条件などがマッチすると安定した家賃収入が期待できます。鉄筋コンクリート構造の建築費はネックになりますが、それ以上のメリットが多いので初期費用をかけても、鉄筋コンクリート構造のアパートを検討するのも一つの戦略といえます。
鉄筋コンクリート構造のメリットは階数が上がるだけでなく耐震性、耐久性、そして遮音性が高いという点です。これは、修繕費が定期的にかかる費用を抑えられ、一度、入居を決めた人が早期退去するリスクも抑えられます。
鉄筋コンクリート構造はメリットも多いですが、デメリットもあります。鉄筋コンクリート構造のデメリットは建築費の高さと、工事に時間がかかるという点です。
階数を高くすればするほど工事期間が延び、多くの業者も入ることになるので工期が遅れることもよくある話です。また、材料が届かないなどの理由で工事が数日止まる業者なども出てきます。
もちろん、建設業者は工事開始前にスケジュールを立てますが、工事期間が延長することも考え余裕のある返済計画を立てることも重要になってきます。
建築による主な諸経費
アパート経営では建築費に伴って以下のものを支払う必要がでてきます。
- 土地購入仲介手数料
- 土地不動産取得税
- 土地登録免許税
- 建物不動産取得税
- 建物登録免許税
土地購入仲介手数料
土地を購入する際に不動産会社の仲介を利用すると仲介手数料を支払うことになります。宅地建物取引業法で不動産会社が受け取ることのできる仲介手数料の上限は以下のように定められています。
取引額 | 速算式 |
200万円以下 | 5% |
200万円超から400万円以下 | 4%+2万円 |
400万円超 | 3%+6万円 |
全日本不動産協会の事例を参考にすると仲介手数料の上限額の計算は以下のとおりです。
●売買価格が1,000万円の土地の仲介手数料の上限額
→売買価格を次のように分解して計算します
a) 200万円までの部分
200万円 × 5% = 10万円
b) 200万円超 400万円までの部分
200万円 × 4% = 8万円
c) 400万円超 1,000万円までの部分
600万円 × 3% = 18万円
a + b + c = 36万円
※この額に消費税を上乗せした金額が仲介手数料の上限額になります。
なお、400万円を超える物件については、以下の式で仲介手数料の上限額を速算することができます
→売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税
土地不動産取得税
土地を購入した場合は不動産取得税が発生します。
土地登録免許税
土地を取得すると法務局に登記申請書を提出する必要があります。
そのため、登記申請を行うと登録免許税が発生するのです。土地に関する所有権移転登記の登録免許税の税率は1.5%となっています。
土地の登録免許税の計算方法は以下のとおりです。
土地の登録免許税 = 固定資産税評価額 × 1.5%
建物不動産取得税
建物も取得すると不動産取得税が発生します。不動産取得税の税率は3%です。建物の不動産取得税の計算方法は以下のとおりです。
建物の不動産取得税 = 固定資産税評価額 × 3.0%
建物登録免許税
アパートを取得した場合は土地同様に登録免許税が発生します。建物に関する登録免許税の計算方法は以下のとおりです。
建物登録免許税 = 固定資産税評価額 × 0.4%
アパート経営の建築費を安く抑えるためのポイント
アパート経営で利益を出すためには、構造から予想される坪単価を知ることです。
坪単価での建築費を算出して、うまく予算内に収め理想のアパートを作りましょう。
そして、出来るだけ無駄なく建築費を抑えることも大切ですね!
建築費を抑えるポイントは以下のとおりです。
- アパートの構造を得意とする建築会社を選ぶ
- シンプルな形状にすることで費用を抑えられる
アパートの構造を得意とする建築会社を選ぶ
アパートの構造は大きく分けて木造、軽量鉄骨、鉄筋コンクリートの3つの構造です。
構造によって、得意とする建築会社は異なります。木造建築を得意とする建築会社は、建築費用を抑えて利益を出すはことができます。
建築費は高くなりますが鉄筋コンクリート建築を得意とする建築会社は、他者と比べて予算を抑えられる建築会社を選ぶとよいでしょう。
どの構造が得意としているのかを知ることで建築費を少しでも抑えることはできます。
シンプルな形状にすることで費用を抑えられる
建築する場合、建物が複雑な形だと建築にかかる日数も増えてしまい建築費が高くなります。
複雑ではない建物にすることにより、材料や手間を省くことができ建築費が抑えることができます。複雑な構造だと揃える部品と限られ、部品の値段も高い可能性があるからです。
補足①アパート経営における必要経費
アパート経営を始めるにあたってどんな種類が必要経費に算入できるかを知っておくと便利なため必要経費について簡単に説明します。
必要経費に算入できるもの
アパート経営に関する費用が、経費として計上できる一部を参考にしてください。
税金 | 固定資産税、都市計画税 |
減価償却費 | 建物や設備投資 |
修繕費 | 共用部の修繕・排水管の工事 |
広告宣伝費 | 入居者募集のための広告 |
損害保険料 | 火災保険・地震保険 |
借入金利息 | 借入返済する分のうちの利息分 |
仲介手数料仲介手数料 | 不動産街会社に払う仲介手数料 |
報酬 | 弁護士や税理士に依頼費 |
立ち退き料 | 立ち退き時に発生した費用 |
接待 | 交際費関係者との食事代や贈答品代 |
消耗品費 | カメラやパソコンなど、アパート経営に必要な機材の費用 |
交通費 | 電車賃やガソリン代 |
必要経費に算入できないもの
アパート経営のためのお金と思っていても必要経費に算入できないものもあります。必要経費に算入できるものは以下のとおりです。
- アパートローン返済額のうち元本部分
- 不動産に関係のない所得税・法人税
- 修繕積立金(計上できるタイミングに注意)
金融機関からの借入の中で利息分は計上できますが、元本は経費にあたりません。
また、修繕積立金は経費として落とせるタイミングに注意が必要です。修繕積立金は大規模修繕の際に使うお金です。実際に修繕したタイミングでの計上が可能になります。
補足①アパート経営を始める際の注意点
アパート経営をいざ始める際は以下のことを注意しておくとよいでしょう。
建物の建築費なども大切ですが以下のことを知っておくとアパート経営を始めた際に役立つ情報です。
- 個人事業届(個人の場合)
- 初期費用
- 空室リスク
- 建物の老朽化
- 確定申告
個人事業届
アパート経営をする方は青色申告や白色申告制度を利用するので法人化せず個人事業主になるケースが多いです。
そのため、建物が完成した段階で税務署に個人事業届を提出するようにしましょう。青色申告制度は節税効果が非常に高いため審査も厳しいです。
青色申告制度を利用する場合は、開業日から経費などを帳簿につけて管理しておくようにしましょう。また、青色申告制度を利用する場合は、以下の書類が必要になります。
- 青色申告承認申請
- 青色事業専従者給与に関する届出
- 減価償却資産の償却方法の届出書
初期費用
アパート経営の初期費用は、土地や建物を持っていない場合は、土地・建物の購入費用がかかります。
その他にも保険料や登録免許税などの費用も必要です。アパート経営における初期費用の相場と内訳は以下のとおりです。
アパートの取得費用 | 50万円以上 |
不動産取得税 | 固定資産税評価額×税率 |
登記費用 | 20万円以上 |
アパートローン手数料 | 借入額の1%以上 |
保険料 | 30万円以上 |
空室リスク
アパート経営を始めて入居者が確保できず空室ができる可能性もあります。
総務省統計局の調査によると、賃貸住宅の空室は431万戸を超えており、空室率は18.4%です。
空室状態では、家賃収入が得られないだけではなくその空室の管理にも手間がかかるといったことは理解しておきましょう。
建物の老朽化
アパートの価値は、年数がたつにつれて価値が下がります。
そのため、数年単位で修繕を行うなどのデメリットがあることを理解しておきましょう。
老朽化の対策については、建物や設備の耐用年数などを踏まえて、ほぼ確実に発生する修繕費などをあらかじめ想定した資金計画を立てておく必要があります。
確定申告
アパート経営をするにあたって確定申告が必要になるため、早いうちに確定申告の準備をしておきましょう。確定申告で必要になってくる主な書類は以下のとおりです。
確定申告書マイナンバー固定資産税の納税額に関する通知書類社会保険料控除などの証明書火災保険の証券地震保険の証券返済予定表必要経費に算入した領収書 |
確定申告には白色申告と青色申告の2種類の方法があります。
白色申告とは、所得税の確定申告で青色申告を利用しない個人の方が行く申告方法です。青色申告と違って手続きが簡単なので、所得が少ない方や簡単に手続きを済ませたい方が多く利用しています。
一方、青色申告とは、白色申告と違い帳簿作成の義務などがありますが、税金に関する優遇措置があります。
アパート経営における青色申告の税金に関する優遇措置は3点ほどあります。一つ目は、青色申告制度を利用すると最大で65万円の特別控除が受けられます。
この青色申告特別控除を受けられる条件としては、簿記の原則に従った記録および貸借対照表・損益計算書の提出が必要です。
二つ目は、青色申告では初期投資費用を繰越ができます。白色申告では赤字申告を1年で終わらせなければなりませんが、青色申告は赤字申告を3年まで繰り越すことが可能なのです。
三つ目は、上記で説明した青色事業専従者給与を経費に算入できることです。白色申告でも一定額の控除は受けられますが、青色申告の場合は事業に必要として支払われた全額が経費になります。
青色申告制度は税金に関する優遇措置があるなどのメリットがあります。しかし、青色申告をするときに申請が必要であることや正規の簿記に従った会計処理が必要なことなど手続き面に手間がかかることがデメリットです。
青色申告制度は手続き面に手間がかかりますが、控除金額が多いので青色申告制度を利用するのもよいでしょう。
まとめ
アパート経営は土地なしでも始められます。しかし、資金は必要です。アパート経営のメリットは家賃収入で利益を生むことができることです。
何もせずに家賃収入の利益を出すためにはスタートがとても大切になります。すなわち、予算を決めて理想のアパートを作ることです。
予算内で理想のアパートを作るために建築費も多くの建築会社から見積書を出してもらうようにしましょう。