アパート経営には興味があるけれど、「自分は地主でもないし、簡単には手が出せない」と思っている方は多いのではないでしょうか。
戦後増え続けた日本の人口は現在、減少に転じています。にもかかわらず、新築住宅の供給過多により空き家が増加しているのはご存じの通りです。
また、建築費の高騰などの理由により、物件価格は上昇し、利回りは低下しています。そんな昨今の状況下、「アパート経営は、だれでも出来る」とは簡単には言うことが出来ません。
しかし、複数のアパートを所有して、資産を大きく増やしてる人が数多く存在するのも事実です。
どのような状況下であれ、どのような業界であれ、工夫を重ね、成功する人もいれば、残念なことに失敗する方もいらっしゃいます。アパート経営も同じです。
やりかたによっては、安定して長期に渡って収入を得ることが出来、大きく成功する可能性を秘めているのが、アパート経営と言えます。
そこで今回の記事では、「アパート経営で利益を出すにはどうしたらよいか」「メリット・デメリット」、そして、それにかかる「経費について」解説していきます。
勉強になります!
アパート経営の基礎知識
アパート経営とは
アパート経営を簡単に言うと、「アパートを1棟購入、又は建設してその1室を貸出し、入居者から家賃を得ること」と言えます。
それにはいくつかのパターンがあります。
1つ目は、既に土地を所有している人が、そこに賃貸向けの集合住宅を建設する方法です。
2つ目は、新たに土地を購入して、一からアパートを建設する方法です。
3つ目は、土地と中古物件を同時に購入する方法です。
アパートの管理業務
アパート経営をするにあたり、どのような業務が発生するのでしょうか。
アパート経営を安定的に成功させるためには、しっかりとした管理業務が行われている必要があります。
杜撰な管理下にある物件では入居者のモラルも次第に低下し、結果、入居者が寄り付かなくなってきます。
ここでは管理業務には、どんなものがあるのか、解説していきます。
入居者募集
入居者がいなければアパート経営は始まりませんので、入居者募集業務はアパート経営において、最も大切な業務と言えます。
募集に当たっては様々な不動産サイトに掲載するなど、インターネットを活用することがほとんどです。さらに、入居者に長く住んでいただくために契約更新もしてもらわなければなりませんので、更新の手続きに関する業務も必要になります。
入居者対応業務
賃料徴収
毎月一回、入居者から家賃を徴収します。
現在は口座引き落としが一般的です。また、滞納をした人からの回収業務も必要です。
1~2度の対応も手間ですが、滞納者が居座った場合、最終的に強制執行にいたった際には、さらに煩雑な業務と、大きな負担がかかります。
問い合わせ対応
隣人がうるさい、水が出ない、お湯が出ない、悪臭がする、ゴミ出しのマナーが悪い、インターネット回線が遅い、などなど、多種多様なクレームや、住民間のトラブルにも対応しなければなりません。また、家賃を下げてほしい、駐車場の場所を変えてほしい、等の交渉事なども含め、様々な問い合わせに対応する必要があります。
建物管理業務
建物そのものについての管理業務は、大きく3つに分けることが出来ます。
清掃業務
廊下や踊り場、エントランス、駐車場、駐輪場、ごみ置き場などの簡単な日常清掃、そして半年~1年に1度の大規模な定期清掃が必要です。
点検業務
消防設備点検をはじめ、建物、外構の点検、貯水槽点検、物件によっては法定点検などがあります。
建物修繕業務
コンクリートや建物のひび、パイプ等に錆などがあれば早めに対処しなければなりません。建物は時を経るにつれ劣化していきますので、建物の維持管理は重要な業務といえます。
主なアパート管理業務
入居者募集 | 入居者募集、賃貸借契約、更新 |
入居者対応 | 賃料徴収、問い合わせ対応、入居者間トラブル対応 |
建物管理 | 清掃、点検、建物修繕 |
以上、見てきたように、管理業務の内容は多岐に渡り、非常に手間がかかります。自身で管理するには、これらすべてをひとりでやらなければならないので、専業の大家さんにならないと難しいでしょう。
自主管理とするか、管理会社に委託するかのどちらかですが、一般的には管理会社に委託するケースが多いといえます。
マンションの一室を賃貸する場合、もし、一室しか持っていないとすると、空室率はゼロか100%となります。ことに比べると、アパート一棟は複数の部屋がありますので、家賃収入が途切れるリスクは低いと言えます。
アパート経営を始める前に
アパート経営の学習をする
アパート物件を購入して経営を始める前に、アパート経営について十分に学習しておく必要があります。
アパート経営の基礎知識に関しては本屋さんに行けば書籍が平積みに積んでありますので、何冊かは読んでおきましょう。また、アパート経営に関するセミナーに参加するのも有効です。
分かりました!
参加するのは敷居が高いという方は、いまは、オンラインセミナーが活発に行われていますので、気軽に活用するとよいと思います。
インターネットを使って学習する際には、情報の信頼性に注意し、参考までにとどめておきましょう。
学習する内容は、「どんな物件を選んだらよいか」「、どんな管理会社を選んだらよいのか」「自己資金がどのくらい必要で、どのような融資が可能なのか、」また、「どのように運用していくか」等、学ぶことはたくさんありますので、貪欲に学んでいきましょう。
悪質な不動産業者も一定数存在しますので、全ての情報は鵜吞みにせず、自身で調べるようにしましょう。
経営方針を決める
アパート経営の目的は人によって様々に違います。「土地の有効活用をしたい」「老後の生活費にしたい」と言う人も入れば、「相続税対策をしたい」「資産を増やしたい」など、様々にあるでしょう。
また、どのくらいのキャッシュフローを目指すのかによって進め方が大きく変わってきます。
例えば1年後に1棟で年間700万円の利益を目指すアパート経営と、10年後に何棟もの物件を所有し、年間数千万の利益を目指すアパート経営では、その手法は全く異なるのです。
また、自身が用意できる資金を確認していきましょう。自己資金で全て工面できればよいですが、それができなくてもアパート経営専用のローンもありますので、活用することもできます。
ただし、フルローン、オーバーローンはやってはいけません。
フルローンとは、購入時の手数料を現金で払い、それ以外はすべてローンでまかなうことを言います。
オーバーローンとは、すべてローンで購入します。つまり、自己資金なしで始めることです。これを「フルレバレッジ」と言います。これで成功できる人ももちろんいますが、金利も高くなりますので注意が必要です。
情報収集をする
前述したように、アパート経営を行う際、多くの場合は融資を利用します。
自分自身が現状、どの金融機関の融資を利用できるのか、自己資金はどのくらいかをある程度明確にしておきましょう。
インターネットで情報収集することができますが、その際には収益用不動産を扱うサイトでは、利回りまで掲載されていますので、活用しやすいといえます。。その際に一番有効で効率的なのは、やはり、不動産業者を通すことと言えますので、次に解説していきます。
物件探しと同時に信頼できる業者を探す
不動産投資のウェブサイトや情報誌、業界新聞、物件資料などを使って物件を探していきましょう。
分かりました!
不動産のサイトで多くの物件を見ることで、相場観を磨くことができます。不動産業者から、良質な情報を直接教えてもらうということができれば理想です。
不動産会社と良好な関係を作ることができれば、インターネットに掲載していない物件を、優先的に居者を紹介してもらいます。
不動産業者と良好な関係を作り、紹介してもらえるようになればベストです。その際には、ある程度物件の基準を明確にしておきましょう。
また、不動産コンサルタントを活用することも時間短縮には有効だと言えます。コンサルタントは書籍を書いていたり、セミナーを行っていますので、共感できる人に頼むとよいでしょう。当然のことながら、この時点である程度自己資金を用意していなければいけません。
この段階で収支のシュミレーションや、物件周辺の環境に応じた入居者層のターゲットをある程度決めておけると良いと思います
利益を出す物件を選ぶ
アパート経営で利益を出すには、物件選びでその先が決まるといっても過言ではありません。
それには、実質利回りが高い物件を選ぶことです。同じような条件の物件があれば、より利回りが高い物件を選ぶことで、より利益を生むことができます。
また、立地や外観、設備、周辺環境などを勘案し、総合的に判断する必要があります。当然のことながら、この時点である程度自己資金を用意していなければいけません。また、収支のシュミレーションや、周辺の環境を理解して入居者層のターゲットを決めましょう。
同時に、管理会社の選定も非常に重要です。管理会社があらゆる面で優秀であり、購入者と相性が良ければ、大きな成果を得ることができます。
中古アパートと新築アパートのメリット・デメリット
アパート経営向けの物件には、大きく分けると中古アパートと新築アパートの2種類があります。
どちらが良いのでしょうか?
中古と新築のどちらの方がよいと、一概に言うことはできません。その人の属性や投資の目的、目標など、多面的に検討し、どちらを購入するか決定する必要があります。
中古には中古の、新築には新築の特徴がありますので、ここでは中古アパートと新築アパートのメリット・デメリットをそれぞれ紹介します。
中古アパートのメリット
購入費用が安い
中古アパートのメリットは、新築に比べて物件の購入費用を抑えることが出来るところです。当然、建築費用が不要なので、建物を一から立てるよりも、大幅に安く購入できます。
「中古」だからといって状態が悪いかというと、必ずしもそうではありません。アパートは建築して1年が経過すると「中古」とみなされるため、築1年の物件も、築25年の物件も「中古」物件と言われます。
なので、新築並みに良い状態を維持している物件も多数存在します。費用が浮いた分は、リノベーションを実施して、より魅力的な物件にすることが出来ます。
その分、物件の価値が上がれば、購入価格より高く売却できます。購入資金が大きくなると他を圧縮しなければならず、高い経営スキルが必要とされます。以上を考えると、アパート経営初心者は既存のアパートを購入した方がよいといえます。
利回りがよい
中古アパートは上述したように物件の購入費用が安いので、一般的に高利回り物件と言ってよいでしょう。
また、家賃も安定しているのであれば、その分も利回りが良くなりますので、初期投資金額をより短期間で回収しやすくなります。好条件の物件であれば、新築と同じくらいに家賃設定ができます。
安全性が高い
建物の価格や資産価値が下がっても、土地の価格はそう変わりませんし、土地の資産価値は減りませんので、建物の資産価値がどんなに下がろうとも、すべての資産価値がゼロとなることがありません。
その意味で、投資の安全性が高いと言えます。また、中古アパートを購入すれば、これまでの入居率や家賃等の実績はもちろん、現在の建物、設備等もすべて確認できますので、購入する際には十分、吟味することができます。
また、家賃については、築10年を超えていれば、大幅な下落をすることがほとんどありませんので、安心して運用することができます。
購入後すぐに経営ができる
オーナーチェンジ物件といって、入居者がその物件に住み続けたまま売買する物件があります。
その場合はすぐに家賃収入が発生しますので、大きなメリットとなります。最低限の設備も整っているはずですし、水回り、設備周りの業者さんを引き継ぐこともできるので、購入後すぐに経営をスタートできます。
節税効果が高い
中古物件を購入した場合、法定耐用年数が経過しているか、あるいは耐用年数が残り僅かであれば、短期間で減価償却費を計上することができますので、所得税の圧縮に効果的です。節税効果が高いといえるでしょう。
中古アパートのデメリット
修繕リスクがある
築何年も経過している物件においては、外壁、屋上、室内等、全ての箇所の修繕リスクを常に考えていなければなりません。
細かな修繕は日常的に発生しますし、購入した時にはわからない箇所が痛んでいた、という例もあります。いまは特に修繕箇所が無いとしても、建物は自然に老朽化していきますので、定期的に大規模修繕が必要になります。
場合によっては新築物件を買うよりトータル費用がかさんでしまいます。また、購入後に瑕疵が見つかる可能性があります。
それによって瑕疵担保責任について争いに発展するケースもあります。購入時には住宅の検査を実施したり、瑕疵保険に加入しておくとよいでしょう。
入居率が低い
新築と中古で同じ賃料であれば、借りる人は当然新築を選ぶ方がほとんどです。また、安い家賃を求めて入居した学生や新社会人などは入退去のサイクルが短いと言えます。
融資を受けづらい
築古の物件や耐用年数を超えた物件は金融機関から評価されにくく、融資を受けづらいこともあります。
買い手が現れない
築古や耐用年数が短いと融資を受けづらいと上述いたしましたが、ということは、物件を売却しようとしても、次の買い手が現れづらいということにもなります。
購入するときは、売却のタイミングも考えて、価値が下がる前に相客できるようにしましょう。
新築アパートのメリット
空室リスクが低い
アパート経営の最初から関わることが出来るので、時代に即したデザインや最新の設備を導入することが出来ます。おしゃれで独自性を持った新築アパートは入居者にとって魅力的で人気です。
賃貸ニーズのあるエリアでは、多少家賃が高くても入居希望者が見つかりやすく、空室が出にくいところが大きなメリットです。
融資が通りやすい
中古アパートとは反対に、新築アパートは空室リスクが低く、法定耐用年数が長くなります。したがって金融機関からの担保評価額が高くなり、融資も通りやすく、長期間の融資を受けることが可能になります。
アパート経営を始める場合、大抵はアパートローンを組むことになりますので、審査に通りやすいことは必要条件であるといえます。
修繕リスクが低い
新築であれば建物も設備も新しいので、当面、大きな修繕費はかかりません。最初から小まめにメンテナンスをすることで、大きな出費を避けることができます。
新築アパートのデメリット
初期投資金額が大きい
新規に土地の取得、アパート建築をするため、初期投資金額は大きくなる傾向です。
ただ、新築アパートを一棟買い上げるにはかなりの費用が必要で、場所や規模によっては1億円を超える物件もざらにあります。
スタートまでに時間がかかる
新築アパートの場合、購入してすぐに入居者を募集し、完成と同時に入居してもらうのが理想ですが、建築工事が建設業界の繁忙期と重なるとアパートの完成が遅れてしまう可能性があり、完成が遅れてしまうと、当然予定していた入居の時期もずれ込んでしまいます。
利回りが安定しない
新築物件は、すぐに入居者が入れば利回りが高くなり得ますが、入居者が決まらなければ、家賃を下げざるを得なくなってしまいます。そのため、利回りが安定しないリスクもあります。
中古アパートのメリット | ・購入費用が安い ・利回りが高い ・安全性が高い ・購入後すぐに経営ができる ・節税効果が高い |
中古アパートのデメリット | ・修繕リスクがある ・入居率が低い ・融資を受けづらい ・買い手が現れない |
新築アパートのメリット | ・空室リスクが低い ・融資が通りやすい ・修繕リスクが低い |
新築アパートのデメリット | ・初期投資金額が大きい ・スタートまでに時間がかかる ・利回りが安定しない |
経費について
アパート経営に取組む際には、多額の費用が必要になります。しかし、そのうちの大部分を経費として計上できれば、控除の対象になりますので、節税に繋がります。
アパート経営では大きな額が動くため、税金対策は非常に重要になります。経費として計上出来るものと出来ないもの、注意が必要なもの等、しっかり把握してかなければいけません。
計上できる費用は、主に以下のようになります。
費目 | 内容 |
1.税金 | 固定資産税・都市計画税等 |
2.損害保険料 | 火災保険・地震保険 |
3.修繕費 | 建物、設備等の修理代金 |
4.管理委託料 | 管理会社への委託料 |
5.水道光熱費 | 電気代、水道代等 |
6.仲介手数料 | 不動産会社に支払う仲介手数料 |
7.広告宣伝費 | 物件の広告費用 |
8.青色事業専従者給与 | 青色申告者と生計を一緒にする扶養親族以外の親族へ給与や賞与 |
9.通信費 | 電話代や切手代、インターネット代 |
10.接待交際費 | 打合せ等に要した飲食費 |
11.新聞図書費 | アパート経営関連の書籍等の料金 |
12.交通費 | 不動産事業に要した電車代、ガソリン代 |
13.消耗品費 | 不動産事業に関連する備品の費用 |
14.地代・家賃 | 不動産事業の借地物件の地代等 |
15.ローン保証料 | アパートローンの保証料 |
16.借入金利子 | ローン返済の利息分 |
17.減価償却費 | 建物の費用を分割して計上 |
以下に詳しく説明します。
1.税金
税金の支払いは、通常は経費で落とすことはできませんが、毎年納める税金として、固定資産税、都市計画税があげられます。
不動産取得税等、登録免許税、印紙税等、不動産の購入時や売却時にかかる税金は経費として計上出来ます。所得税や住民税、法人税は経費として計上することができません。
経費として計上できる税金 | 不動産取得税等、登録免許税、印紙税等、不動産の購入時や売却時にかかる税金 |
経費として計上できない税金 | 所得税、住民税、法人税 |
2.損害保険料
火災や地震等の建物にかけている損害保険について、当概年は計上できます。
1年ごとに保険を毎年かけていれば、毎年、全額を経費として計上することができますが、数年に渡る加入期間中の保険料を全額前払いしたとしても、計上できるのは1年につき1年分のみです。
例えば、10年の火災保険を契約し金額が300万円であった場合は、1年あたり30万円分を経費計上することになります。また、近年では、物件価値下落対策として、「孤独死保険」等も存在していますので、検討してみてもよいでしょう。
3.修繕費
建物や設備のメンテナンス代、壁の補修やペンキの塗り替え、エアコンや給湯器等の設備交換費用、クロス、フローリングの貼替費用等も必要経費となります。通常の原状回復にかかる費用といえます。
4. 管理委託料
前述したように、入居者募集、入居者対応業務など管理業務を管理会社へ委託する場合、家賃の数%を管理会社へ支払います。サブリースとして管理している場合は、管理委託料として計上出来ないので注意が必要です。
5.水道光熱費
共用部の廊下や階段等の照明に使用する電気代、水道代等、水道光熱費も計上することが出来ます。
6. 仲介手数料
入居者を募集したいときは不動産会社に依頼するのが一般的です。
入居者が決定した際は、手数料を支払います。これを「仲介手数料」と言います。また、物件を購入する際に仲介してもらった場合も、これにあたります。購入にあたって、この手数料は大きな金額になりますので注意して、計上するようにしましょう。
7. 広告宣伝費
入居者を集めるために、自分でチラシを作ったりインターネットを活用することは、今の時代、容易にできるようになりました。
不動産会社などを利用すると、さらに効率的に宣伝できますので、活用するといいでしょう。
この広告も費用として計上できます。チラシのデザイン料やパンフレットの制作料、営業マンの人件費等が含まれます。
8. 青色事業専従者給与
青色申告者と生計を一緒にする扶養親族以外の親族へ給与、賞与等を支払った場合に計上できます。青色申告をしていれば、家族に支払った給料は、全額経費として処理可能です。家族に様々な業務を手伝ってもらうことが出来れば、経費として計上可能です。
ただし、「青色専従者給与に関する届出書」を、納税地に提出する必要があります。また、家族の誰もが、この対象になるわけではありません。この事業に、専ら専従していること、学生でないこと、等、いくつかの条件があります。
不動産所得においては、戸建ての賃貸であれば5棟以上、アパート・マンションであれば10室以上賃貸していることが判断基準になります。これは、「事業的規模でなければならない」という要件があるからです。
9. 通信費
不動産賃貸業の事業のために使った電話代や切手代等が経費として認められます。例えば、携帯電話やPCの購入代金、携帯電話のキャリアに支払う料金、プロバイダー料金等がこれにあたります。もはや、スマホやパソコンは必要不可欠なので、積極的に活用する必要があります。
10. 接待交際費
業務を遂行する上で必要な取引先との打合せの際、飲食を伴っていれば、必要経費と認められます。また、取引先へのお中元やお歳暮、手土産等も計上できます。不動産投資とは関係のない付き合いや外食などの費用については計上することが出来ません。
11. 新聞図書費
アパート経営関連の書籍等の購入費用は計上することが出来ます。
12. 交通費
現地に行ったり、関係者と打ち合わせをするため等に必要な電車代、ガソリン代は計上可能です。
13. 消耗品費
アパート経営に関連する備品を購入した場合は経費になります。ただし、消耗品費として認められるのは、原則10万円未満です。
14.地代・家賃
地代とは、借りた土地の上にアパート等を建て、それを賃貸している場合に生じる経費です。無償で土地を借りている場合は対象になりません。
15. ローン保証料
保証会社を使用している場合は経費となります。繰延資産として借入年数で割った金額がその年の必要経費となります。
16. 借入金利子
アパートローンで生じる利子については経費となります。元本を返済しているところに関しては経費とはなりません。
17. 減価償却費
経費のうち最も大切で、最大化するべき経費が減価償却費といえます。減価償却費は実際に支出は伴いませんが、経費として計上することができます。
アパートを購入した金額を国が定める法定耐用年数で割り、それを分割して毎年計上することができるのです。
例えば、木造アパートの賃貸物件の法廷耐用年数は22年です。6,000万円で木造アパートを建てると、22年間、毎年約272万円ずつ経費として計上できるということです。なお、土地は減価償却をすることが出来ません。
必要経費として計上出来るものは、アパート経営に関するものだけです。個人的な支出は対象になりません。
上表のうち、接待交際費、交通費、通信費、新聞図書費、消耗品費等は、アパート経営に関連するものだけを計上することできます。
これらの費目は、税務調査の際にはチェックが厳しくなりますので注意が必要です。例えば接待交際費であれば、友人や家族との食事等、私的な目的で払った支出は計上できません。
気をつけます!
しかし、接待交際費で経費として落ちる可能性のあるものとしては、情報交換のために行ったゴルフや、関係者へのお中元、お歳暮等の費用などが挙げられますが、その必要性を証明できるようにしておかなければなりません。
領収書ほか、状況を説明できる書類や記録は保管しておく必要があります。誤解されるような経費を計上しないようにしましょう。
経費にならないもの
アパートローン返済額の元本
アパートローンを借りて返済する際、元本返済部分に対する支払いは計上することはできません。
利益を計算する上での損益ではなく、支払いをしているわけではないと解釈されます。
ただし、借入金のうち利息については、銀行に払っているサービス料であるとみなされるため、経費として計上することができます。
アパート経営関連ではない税金
固定資産税や不動産取得税等は計上出来ますが、所得税、法人税、住民税等といった、経営に関係のない税金は経費として計上できません。
原則として税金は経費に計上できないので、アパート経営に関する税金だけが例外であると認識して良いでしょう。
修繕積立金
仮に毎月4万円を修繕積立金として支払っていたとしても、アパートの修繕が実施されるまでは経費として落とすことができません。毎月の支払いについては計上できません。
金額が20万円以上の修繕費
金額が20万円以上の修繕費は、一括で費用計上することができません。一旦、資産計上され、減価償却の対象となって少しずつ費用化されていきます。
罰金
自動車関連費用としてレッカー代金は認められていますが、交通違反などの反則金や罰金は経費として認められません。
まとめ
これまで見てきたように、アパート経営において利益を出すためには、税金や経費についての正しい知識を身につけることが必要です。
どれだけ適切に必要経費を計上し、税金対策がとれるか。それが利益を出せるかどうかの肝となります。
また、借入金を抑え、空室リスクを徹底的に減らすことも、利益を出すためには大変重要です。借入金の多寡は最後まで利益に影響しますので、少しでも多くの自己資金を用意しましょう。
その上で、信頼できる不動産会社と良好な関係をつくり、必要なサポートを受けていくことで、利益を最大化することが出来るでしょう。