築50年マンションでも価値はあります。
税法上は鉄筋コンクリート造の法定耐用年数である47年を経過しているため、建物の価値はゼロです。
しかし実際に建物の寿命はもっと長く、築50年を経過しても住むことが可能です。
なんと100年近く住めるという研究もあります。
また敷地権を所有しているため、土地の価値はしっかりと残ります。
よってある程度需要を見込めますので、全くの無価値ではありません。
しかし売却するとなると、築浅物件と比べて苦戦しやすいのも事実です。
売り抜けるためには、築50年マンションならではのメリットを全面に押し出すことが大切です。
どのように売却すべきか、売却する上での注意点も踏まえて紹介します。
目次
築50年を経過したマンションの価値はどのくらい?売れるの?
マンションに限らず、建物は時間経過と共に劣化していきます。
ずっと新築時のままということは、ありえません。
時間と共に価値が失われていくわけですが、この考え方を減価償却と呼びます。
どのくらいの期間で減価償却がおこなわれるのか数値化したものが、法定耐用年数です。
マンションは鉄筋コンクリート造のため、法定耐用年数は47年と定められています。
よって減価償却という観点から考えると、築50年マンションの建物における価値はゼロです。
築47年でマンションに住めなくなるということでしょうか?
違います。法定耐用年数はあくまでも税金などを計算するために決められているものです。実際の寿命とは異なります
税法上の価値はなくなるということですね!
そうです。47年を過ぎると税法上の価値はゼロですが、マンションの場合まだまだ住めます
マンションの敷地利用権の価値は失われない
建物は減価償却という考え方がある一方、土地に関しては減価償却がおこなわれません。
それは土地の価値は、時間経過の影響を受けないからです。
たとえば建物に関しては時間が経てば目に見えて古くなり、不具合などが生じます。
一方土地は時が過ぎたからといって劣化することはなく、永久的に同じ状態であり続けるという考え方をします。
よって建物の価値がゼロになったとしても、土地の価値は残る訳です。
ここで疑問なのが、マンション所有の場合でも土地の権利が持てるのかどうかでしょう。
一戸建てなら1つの土地に対して所有者は1人のため分かりやすいです。
一方でマンションは1つの土地に多くの人が暮らす、区分所有建物という分類になります。
区分所有建物であっても、土地に対する権利はきちんと得られます。
マンションの敷地権とは?
区分所有建物を購入する場合、自分たちの生活スペースである専有部分と土地の敷地利用権を持つことになります。
また、マンションの場合ですとエレベーターやエントランスなど、居住者誰の物でもない部分が存在します。
このような共有部分における権利も、住人全員で持つことになります。
つまり専有部分は自分だけが所有する権利ですが、敷地と共有部分は共同で持つ権利と考えるとよいでしょう。
そしてマンションを売却する際は、これら全ての権利を一緒に手放すことになります。
どれか1つの権利だけを売却することができない登記形態となっているはずです。
このように、専有部分の建物と敷地を一緒に持ち合わせている権利のことを、敷地権と呼びます。
よってマンションの建物部分の価値がゼロになっても、土地の価値が残っているのであれば敷地権が無価値にはなりません。
マンション価値は築50年で30%程度になる
減価償却において築50年経過するとマンションの建物における価値はなくなりますが、敷地権の価値は残っています。
また法定耐用年数は47年ですが、実際にはまだまだ住むこともできます。
よって実際の取引市場では、築47年が経過したからといって、いきなり価値がゼロと見なされることはありません。
47年で税法上の評価はなくなりますが、住めるかという観点もしくは利用できるかという観点から考えると、価値が少なからず存在するわけです。
では具体的に築50年マンションの価値がどうなるのかと言いますと、目安としては購入時の30%程度です。
2500万円で購入したマンションですと、750万円程度が一般的な価値ということになります。
市場におけるマンション価値は、新築でなくなった瞬間に一度激しく下落します。
いわゆる新築プレミアムの消失です。
その後築20年を経過した段階で、2度目の急落が生じるのですが、その後は緩やかなペースで推移するのが一般的です。
ゆえに築50年が過ぎても、意外と価値は残っています。
管理状況やエリアも価値に大きく影響する
ただし築50年で購入時の30%というのは、あくまでも一般的な物件における価値です。
物件によっては、もっと価値が残っていることもありますし、ほぼゼロに近いという場合もあるでしょう。
その要因の1つとしてマンションの管理状況があげられ、価値に大きな影響を与えます。
たとえば直近に大規模な改修工事を完了している場合ですと、資産価値は少し高くなります。
逆にこれまできちんとした管理がなされていないマンションですと、今後修繕費用の負担が大きくなることが懸念されるため、避けられる傾向にあります。
マンションは管理状況が全てと言っても過言ではなく、実際購入する時に管理状況を最重視する人も少なくありません。
それだけに物件の価値は管理体制の良し悪しに左右されてしまいます。
また単純にエリアによってもマンション価値は変わってきますね
どのエリアなら価値が高いですか?
都心部など人口が多いエリアですと、今後も安定して需要を見込めるため価値が下がりにくいです
マンション躯体部分の寿命は50年以上とも
次に建物の寿命という観点から、資産価値を考えていきましょう。
一般的に鉄筋コンクリート造の寿命は50年以上と言われていますが、現在の物件はさらに性能が良いため100年以上住めるという研究結果もあります。
また適切にメンテナンスをおこなった場合のマンション寿命は150年以上という研究もあるため、躯体部分に関しての寿命は非常に長いです。
150年以上となると自分の代だけでなく、孫の代まで住むことが可能です。
実際80年以上取り壊しをせず現役で使っていたマンションも日本には存在するため、管理次第ではいくらでも住めると言ってよいでしょう。
たとえ税法上の価値がなくなったとしても、住めるとなると価値は失われません。
特に立地条件の良い場所であれば、建物がいくら古くても住みたいと考える人は一定数いるはずです。
需要があるうちは価値がゼロになることはないため、50年程度であればまだ資産価値は残されています。
ただし設備面は劣化する
マンションの躯体における寿命は100年以上ですが、設備面は別です。
設備面の劣化は避けられず、もっと早い段階で不具合が生じます。
よって交換が必須ですが、たとえば以下のサイクルで設備の交換をおこないます。
- 排水管及び給水管は20年~25年前後
- エレベーターは20年~25年前後
- 空調設備は15年前後
- 給湯器は11年~15年前後
このように設備面は都度修理や交換対応が必要となるため、躯体の寿命は長くても設備面は違います。
設備面のメンテナンスを怠っていると住むことができなくなりますので、結局マンションの寿命は短くなってしまいます。
よって躯体の安全性を確認するのも大事ですが、こまかなメンテナンスが行き届いているかというのも重要な確認事項です。
大規模修繕の実施状況を見るのはもちろんのこと、設備の交換頻度なども買い手が気にするポイントでしょう。
そういった意味でも修繕積立金がきちんとプールされている物件でないと、なかなか買い手が付きません。
価値がほぼない築50年マンションでも売却可能?
ここまで築50年を経過したマンションの価値について見てきました。
寿命は残されていますが、管理状況次第では建物の価値はほぼなくなってきます。
敷地権における価値もエリア次第となり、目安としては新築購入時のおおよそ30%の価値しか残されません。
そこで気になるのが、30%ほどの価値しかない物件でも買い手が見つかるのかという問題でしょう。
価値がほぼなくなったマンションでも、現実的に売却できるのかまとめます。
築50年超など築古マンションの物件数
まずは日本に築年数の古いマンションがどの程度存在するのか見ていきましょう。
下記の国土交通省による表をご参照ください。
項目 | 平成20年以前 | 令和元年末 | 令和6年末 | 令和11年末 | 令和21年末 |
---|---|---|---|---|---|
築30年~40年未満 | 築30年超は213.6万戸 | 121.7万戸 | 145.2万戸 | 171.0万戸 | 185.7万戸 |
築40年~50年未満 | 築30年超は213.6万戸 | 80.3万戸 | 99.7万戸 | 121.7万戸 | 171.0万戸 |
築50年超 | 築30年超は213.6万戸 | 11.5万戸 | 46.8万戸 | 91.8万戸 | 213.5万戸 |
このように令和元年末の時点では、築50年超の物件だけで11.5万戸存在します。
築30年超まで範囲を広げると、その総戸数は212.8万戸です。
いわゆる築古と言われる物件が、かなり国内に多く存在することが分かったのではないでしょうか。
国土交通省の資料によると、平成30年末時点でのマンションストック数は約657.4万戸です。
よって全マンションにおける3分の1近くが、築30年超のマンションということになります。
そして今後はさらに築古マンションが溢れかえる予測です。
築古マンション売却の成約状況は?
次に実際に築古マンションがどの程度売れているのか解説します。
下記の表をご覧ください。
項目 | 築0~5年 | 築6~10年 | 築11~15年 | 築16~20年 | 築21~25年 | 築26~30年 | 築31年~ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
中古マンション新規登録成約率(2018年) | 23.00% | 26.80% | 24.40% | 23.30% | 17.30% | 12.70% | 13.00% |
成約価格 | 5,411万円 | 4,602万円 | 4,242万円 | 3,716万円 | 2,528万円 | 1,967万円 | 1,815万円 |
こちらは東日本流通機構が発表したデータです。
築30年超物件は13.0%が成約に至っています。
よっておおよそ19万戸前後が売却できているわけです。
また都内では、1年間に築50年超マンションは約200戸取引されているというデータもあります。
築浅マンションに比べると成約率こそ低くなりますが、売れる物件は売れていると言えます。
そして注目すべきは築26年~30年のマンションと比較すると、築30年超マンションの成約率が若干高くなる点です。
中途半端な築年数の物件を購入するのであれば、安さを最重視して築古を狙うという考えの人が一定数いることが分かります。
よって需要が若干高くなるため、最終的な成約価格も築26年~30年と比較すると築30年超の方が高いです。
つまり築古を狙っている層にしっかりとアピールできれば、売却が不可能ではありません。
首都圏の築古ヴィンテージマンションは人気が高い
ただしエリアによって売れ行きはある程度左右されてしまいます。
人気が高いのは首都圏のヴィンテージマンションです。
見た目の衰えは風合いとして捉えられ、築年数経過の影響をほぼ受けません。
常に需要があるため、首都圏のヴィンテージマンションなら売却はそれほど難しくないです。
また、比較的人口の多い都市圏に所在するマンションであれば、一定数の需要が見込めます。
売却価格設定など売り出し方さえ間違えなければ、売れる可能性は十分にあるでしょう。
一方厳しいのが田舎です。
元々田舎は戸建て思考が強いこともあり、マンションの買い手探しが難航しやすいです。
人口流入も少ないですから、転勤などにより新たな物件が必要となる層にもアプローチできません。
築古マンション売却を得意としている不動産会社を選び、独自のツテなどに頼る方法が現実的になってきます。
空き家問題の深刻化に伴い今後は築古マンション売却が厳しい可能性も
築古マンションもある程度は売れていますが、それは現時点での話です。
先ほどの表からも分かる通り、今後は築古マンションがどんどん増えていく予測が立っています。
令和11年末には現在のおおよそ2倍、令和21年末には4倍以上となります。
今後20年のうちに急速に中古マンションが溢れかえる問題が発生するわけです。
一方人口は減少していく見込みです。
総務省の試算によると、2060年には総人口が現時点よりおおよそ30%減少する可能性が高いです。
2060年に8674万人まで人口が減ると予測されています。
深刻な少子高齢化社会の到来が待っています。
よって築古の中古マンションに関しては、完全に供給過多です。
買い手の奪い合い状態になる可能性が高く、売却の道が閉ざされてしまう可能性が懸念されます。
築古マンションの売却を検討しているのであれば、一般論からすると早い段階で売った方が無難です。
もちろん個別事情も考慮する必要はありますが、売り時は間違えないようにしましょう。
築50年マンションはどうやって売るべき?売却のコツ
さて、現時点では築50年マンションもある程度は売れることが分かりました。
しかし人気は築浅マンションの方が高いため、普通に売却しても飛ぶようには売れません。
よほど立地条件や管理状態が優れたマンションなら話は別ですが、普通の築50年マンションならそれなりに苦戦します。
どんなマンションでも売れるわけではないため、売るための工夫が必要です。
そこでここからは売り方のコツに関してご紹介します。
築50年マンション売却のために有効なアプローチを学びましょう。
築古マンション売却のターゲット層を明確にする
まずはターゲット層をきちんと絞る必要があります。
物件購入にあたり、日本は新築主義が強いです。
よって新築市場と比べた場合に中古市場は小さく、中古市場の規模はおおよそ35%前後と言われています。
市場規模が小さい中で、さらに築古マンションが占めるシェアはかなり狭いです。
つまり、中古の築古マンション購入を検討する人は、少数派中の少数派ということになります。
一般的な物件購入希望者とは少し様相が異なってくるわけです。
そのため築古マンション購入希望者の分析は欠かせません。
詳しく見ていきましょう。
外国人
外国人は日本人ほど中古物件に抵抗感がありません。
事実、アメリカやイギリスでは中古市場の割合が高くその規模は80%とも言われています。
市場に出ている物件のほとんどが中古なのです。
外国人も住宅ローンの問題をクリアできれば、日本の物件を購入可能です。
永住権ありの場合には、住宅ローンの借り入れにおいて特に障害はありません。
もし永住権がなかったとしても、頭金の額などによっては、日本のマンションを購入できる可能性があります。
そのためターゲットを日本人ではなく外国人にするのは、非常に現実的な手段でしょう。
特に外国人に人気の高いエリアや、在留者の多いエリアであれば期待できます。
外国人相手の不動産売買実績のある不動産会社を選ぶとよいかもしれません。
とにかく安い物件を購入したい人
物件購入において安さを最優先させる人も少なからずいます。
築50年超の物件となると、数百万円程度のお手頃価格のマンションが豊富にあります。
たとえば400万円の築古マンションを購入し、その後20年住んだとしましょう。
ひと月あたりの住居費はわずか1.6万円です。
賃貸を借りるよりも格段に安く暮らせるため、住居費をかけたくない人からすると魅力的な物件となります。
都心の立地条件が良いエリアでも、1000万円以下のマンションが存在するため、安く都会暮らしをしたい人のニーズを満たしてくれます。
築古物件の懸念点として耐震性があげられますが、このような安さ最重視の人はそこを問題とはしていません。
耐震性に関してはある意味割り切っていますので、昭和56年以前の旧耐震基準物件でも売れる可能性はあります。
投資目的の人
築50年マンション購入を検討している人は、一般消費者だけではありません。
投資用物件として活用したい人も存在します。
具体的には物件購入後は賃貸として市場に出し、収益を上げる手法です。
築50年のマンションともなると、非常に安く購入できます。
少し上乗せした賃料を設定したとしても、都心であれば他の賃貸物件よりも相当安く提供できるはずです。
上手に運用できればかなりの利回りが期待できます。
築年数が経過した物件には借り手が付かない印象はあるものの、古さは気にせず、少しでも安い賃貸を借りたいという層も一定数存在します。
そのような人を対象とした投資物件を探している層へなら、売却できる可能性があります。
不動産業者
築50年マンションの売却相手は個人だけではありません。
出来るだけ安く購入し、リフォームやリノベーションを施した後、再度売りに出す目的の不動産業者も存在します。
要は転売用物件としての購入です。
築年数が50年も経過したマンションであれば、格安で手に入れることが可能です。
古く見た目の印象が悪い物件に手を加えてオシャレに蘇らせれば、強烈なインパクトを与えられます。
オシャレで今風なマンションを、周辺相場よりも安く購入できるとなると、元が古いマンションとはいえ購入希望者が見つかるはずです。
このように転売益狙いで購入する不動産業者も存在するため、築50年超マンションのターゲット層はさまざまです。
不動産会社の仲介ではなくマンション買取システムを利用する
一般的に不動産を売却する際は、仲介というシステムで売りに出します。
不動産会社にサポートしてもらい、第三者の買主相手に売却する方法です。
前述のとおり、築50年マンションのターゲット層は少々特殊で、一般の購入希望者はそれほど多くありません。
そのため仲介で買主探しをしたとしても、思ったように見つけにくいのが現状です。
築浅マンションと比較すると売却活動が難航する可能性が高いでしょう。
よって仲介での売却ではなく、買取での売却を視野に入れるのがおすすめです。
買取は個人の買主ではなく、不動産会社自体に売却する方法になります。
不動産会社の中には築古物件を安く買取し、リフォームなどをして転売するノウハウを持っている会社もあります。
個人が転売するとなると予算も限られてくるため厳しいですが、資金力を持つ法人ですと転売益狙いで買ってくれる可能性が高いです。
そのため売却が難しいようであれば、仲介から買取にシフトチェンジするとよいでしょう。
仲介と買取の違いは?
仲介と買取の違いについて、もう少し両者の特徴を深堀して見ていきましょう。
まず仲介は不動産会社と媒介契約を結び、第三者に売却するシステムです。
よって買主は第三者となる一方、買取の場合は不動産会社自体に売却するため、買主は不動産会社となります。
不動産会社が転売目的で安く仕入れる方法が買取のため、買取での売却価格は仲介よりも安くなる傾向にあります。
目安としては仲介よりもおおよそ2割程度売却額が落ちます。
よって高く売るためには買取ではなく仲介を選ぶべきでしょう。
しかし仲介は、売却完了までの期間が長いです。
広告宣伝活動をおこない売却相手を探し、そこから売買契約を結んで引き渡し完了となるまで、短くても3か月は必要とします。
買取ですと相手探しの期間は生じませんし、契約などもプロ相手のため非常にスムーズです。
そのため多少売却額が安くなってもスピードを重視したい場合には、買取の方が向いています。
築50年マンションは売却金額を安くする
売却金額を限界まで安くするのも、築50年マンションを売却するための有効な手段です。
築50年マンションにおける最大の魅力は安さと言っても過言ではありません。
予算さえあれば、わざわざ築年数の経過した物件ではなく、新築を購入したい人の方が多いはずです。
低予算で購入できるのが築50年マンションの武器ですから、その武器をさらに際立たせるのも一つの戦略でしょう。
築50年マンションの購入希望者は元々安さ重視で選んでいるため、周囲の物件より安い物件があれば食いつく可能性が高いです。
同じような価格帯が並んでいる中に、明らかにお得なマンションが見つかれば、自然と惹かれるはずです。
多少売却額を下げたとしても、買主が現われるのを待っている間に支払う税金や維持費を考えれば、大きな痛手とはなりにくいでしょう。
周辺相場よりも売却金額を安くすることで、早期売却の可能性がアップします。
マンション内覧前にハウスクリーニングをおこなう
マンション売却を成功させるため、内覧前にはハウスクリーニングを実施しておくことをおすすめします。
築古マンション購入希望者は、物件の古さや汚さに関してはある程度覚悟しています。
しかしあまりにも汚い場合、印象が悪いです。
特に水回りなど普段使う個所ですと、生理的に嫌悪感を覚えるような汚さは厳しいです。
パッと見て清潔感がない物件は避けられてしまいます。
よって設備の古さに関してはどうしようもありませんが、せめて丁寧に使っていた印象を与えることが大事です。
ハウスクリーニングでプロの手を借りると、水回りの汚れも軽減されます。
内覧時の印象を良くすることで成約へと結びつきますので、価格もお手頃なためぜひ実施しておくよいでしょう。
ハウスクリーニングを利用するうえで気を付けることはありますか?
ハウスクリーニングを実施するタイミングですね。内覧前もしくは不動産会社の訪問査定前がベストです。逆に物件の引き渡し前は効果的ではありません
それはどうしてでしょうか?
引渡し前に実施しても、高値での買取に結び付かないからです。また売買契約後にハウスクリーニングをして、もし設備などの破損が生じた場合、そのまま引き渡すと契約不適合責任を問われる懸念もあります
築50年マンションを売却する際の注意点
築50年マンションの場合、築浅物件よりも売却が難しいです。
築年数が経過しているため、買い手からはシビアに見られます。
思わずリフォームしたい気分になりますが、それは避けた方がよいです。
また築50年マンションの場合、状態が良いとは言い難いですから、トラブルを起こさないよう売却時には注意を払う必要があるでしょう。
ここからは、築50年マンションを売る際に注意すべき点を解説します。
マンションリフォームは施さない
内覧時の印象を良くするため、リフォームを検討している人もいるでしょう。
しかし築50年マンション売却の場合、それは止めておきましょう。
築50年マンションをわざわざ購入する人は安さ重視です。
リフォームしてしまうと、どうしてもその費用を上乗せした売却額を設定しなければいけません。
せっかくの強みである価格の安さが失われます。
良かれと思って施したリフォームによって、魅力が半減されてしまうわけです。
また安く仕入れて転売しようと考えている業者は、自分自身でリフォームを施したいと考えています。
既に余計なリフォームが施されていても、正直メリットはありません。
そしてもしリフォームを実施したとしても、リフォーム分をカバーできるくらい高値で売却するのは厳しいです。
買い手が見つかりにくくなる可能性の方が高いでしょう。
総合的に考えて、わざわざリフォームをおこなう利点はほぼないですから避けましょう。
マンションの建て替え話が出ていないか確認する
築50年ものマンションになると管理組合より建て替え話が出てもおかしくありません。
よって売却を検討する前に、そういった話がないか確認しておきましょう。
もし建て替えた場合、その物件は新築です。
当然、現在売ろうとしている価格よりも高値で売却できることになります。
数年以内の建て替えが決定しているのであれば、売却せずに待ってみるのも選択肢でしょう。
建て増しにより新たな住人が居住する場合ですと、建て替え費用負担がないこともあります。
とはいえ、建て替え時は各住人が費用負担を余儀なくされるケースがほとんどです。
そのため建て替え話が出ている時に購入するのは躊躇する人が多くなります。
購入費用の他に建て替え費用も捻出しなければならないため、費用負担が大きいからです。
しかし計画段階であっても、知り得た情報は買い手に開示するようにしましょう。
きちんと情報提供しないまま売却してしまうと、後にトラブルが発生する可能性もあります。
ただし建て替えが実施できるケースは少ない
建て替え話が浮上していたとしても、実際に建て替えを実施できるマンションは多くありません。
マンションのストック数に対して、建て替えが完了しているマンションは1%にも満たないと言われています。
その理由として建て替えをおこなう上でのハードルの高さがあげられます。
建て替えを実施するためには、5分の4以上の世帯に賛成してもらう必要がありますが、費用の問題などもあり支持しない住民も多いです。
1世帯あたりの建て替えにおける負担額はおおよそ1000万円から2000万円程度が相場のため、負担の大きさもあり建て替え話がなかなか進まないのです。
瑕疵がある際はきちんと明示する
築50年ともなると、物件に何らかの不具合が生じてくる頃です。
物件や設備に不具合があると売却できるか心配なため、隠したい気持ちが湧くかもしれません。
しかし契約時と異なる状態の不動産を引き渡した場合、売主は契約不適合責任を負うことになります。
そのため瑕疵がある際には、きちんと説明しなければなりません。
たしかに売却は難しくなるかもしれませんが、後から契約不適合責任を問われる方がよっぽど痛手です。
物件の細部までしっかりと確認し、異常がないか確かめておくことが大事です。
設備などは寿命が短いため、引き渡し後に不具合が生じる可能性が高い気がしますが…
免責事項を設けておくと安心ですよ。不備がある箇所に関しても、責任は負わないという内容を契約書に記載しておきましょう
合意の上なら責任を追及されることはないんですね?
そうです!そのためにもきちんと不具合を説明して納得してもらうことが大切です
まとめ
築50年マンションは新築購入時と比較しておおよそ30%の価値が目安です。
だいぶ価値は下がりますが、都心部などマンション需要が高いエリアであれば売却はそれほど難しくありません。
一方で地方ですと苦戦が予想されますので、不動産会社の買取による売却も検討しましょう。
買取ですと売却金額が下がってしまいますが、築古物件のような難アリ物件も売却しやすいです。
不動産会社が安く購入し再販するため、リフォームなどで蘇りそうなマンションであれば購入してもらえる可能性は高いでしょう。
また築50年マンションを売却する際は金額設定も大事です。
安さ重視で購入を検討する人がほとんどですから、少しでも安く売りに出し、周辺物件よりもお得感を演出しましょう。
そのためには自身でのリフォームは実施せず、ハウスクリーニング程度にとどめておくのが良いです。
費用の高いリフォームをおこなっても、それをカバーできる金額で売却するのは難しいです。
リーズナブルなハウスクリーニングであれば費用効果を見込めるため、内覧前に綺麗にしておくと買主への印象アップに繋がります。